吉田修一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
昭和後期の地方任侠家の盛衰のなかで、少年の心の成長を追う物語。
主人公の駿と弟の悠太が身を寄せる三村家は、叔父にあたる長男・龍彦がヤクザの組長、次男・文治がチンピラ、文治を慕う正吾と猛々しい男たちばかり。幼い駿はそんな男たちの中で育つ中、自死した三男・哲也と思われる幽霊を離れの家で見ることに。
暴力・酒・女に荒くれる男に自分もなっていくと思いつつも、どこか違和感を感じながら成長していく過程が繊細に描かれています。駿は三村家の男たちにある意味呪われていて、それが消化されるようなラストが良かった。歳を重ねていくうちに、駿が哲也に似ていく様子が少し恐くも感じました。 -
Posted by ブクログ
思い当たる節しかない物語だった。
テレビ局に勤める俊平は、
公園で出会った聴覚にハンディキャップを持つ響子と恋に落ちる。
静かで穏やかな日々を重ねる二人だが、音によって隔てられた世界は
恋しさと戸惑いを同時に生み、やがてすれ違いが積み重なっていく。
自分はその相手のことをどれぐらい知っているのだろうか。
これはある意味、永遠の問いなのかもしれない。
言葉にしなければ伝わらない。だが、その言葉によって逆に伝わらない。
そんな矛と盾のような禅問答が頭の中で駆け巡る。
物語は全編通して俊平の目線でしか語られないので、
響子の思いはわからない。つまり読み手も俊平と同じ感覚を味わうしかない。
こち -
Posted by ブクログ
ネタバレ過去と現在2つの事件に関わる満洲と滋賀の2つの湖。
そのとても美しい情景と子供の残虐さが共通している。
そしてそれを知っている大人が口を噤んでしまうことも。
真実を語ることと沈黙を貫くこと、子供のためにどうすべきなのだろう?
また、誰でもいいからとにかく犯人を作り上げる、という警察の悪しき構造もとてもよく描かれていた。
他人の幸福や真実と自身の立場や利益に利益相反がある時、どちらを大切にするのだろう?
なぜ人間はそんな選択ができてしまうのだろう?
そして、主人公の増幅していく「誰かに従属したい」という仄暗い欲望。
これは程度の差こそあれ、誰しも持っているものなのかもしれない。
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Posted by ブクログ
フォローしている方のレビューに惹かれて読んでみたいと思った。
大学院生・岡田一心が既に引退している伝説の女優・和楽京子こと石田鈴の自宅で荷物整理のアルバイトをすることとなり、そこから交流を深めていく物語。
戦後のエンターテインメントの歴史を辿りながら、その時々に銀幕を彩った色々な女優さんを彷彿させる鈴さんの魅力と生き様がとても面白くスルスルと読めた。
加えて、これまで観てきた映画のエッセンスが詰め込まれたような、著名な映画監督たちとその代表作を思い出させる(架空の)作品が語られていくのも楽しい。
後半には鈴さんと一心の出身地である長崎に落とされた原爆の話が入ってくる。
私も長崎生まれで、小