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都内の2LDKマンションに暮らす男女4人の若者達。「上辺だけの付き合い? 私にはそれくらいが丁度いい」。それぞれが不安や焦燥感を抱えながらも、“本当の自分”を装うことで優しく怠惰に続く共同生活。そこに男娼をするサトルが加わり、徐々に小さな波紋が広がり始め…。発売直後から各紙誌の絶賛を浴びた、第15回山本周五郎賞受賞作。
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Posted by ブクログ
この読後感よ……感情を咀嚼するまでに時間かかってしまった。みんなそれぞれがその場所にいられるような自分を演じてるから、居るけど居ない。居ないから居られる。会話劇がとにかくリアルで、うわ〜こんな共同生活良いなとか思って笑わせられるんだけど、絆っぽい関係が首の皮一枚で繋がってる危うさが見えてきて薄ら寒く...続きを読むもなる感じ。心の暗さのグラデーションが綺麗。本当に狂ってるのは誰なのか?下世話な事には興味あって、少しでも自分の領域が犯されそうになると見て見ぬふりしてしまうよなー…。個人的に平山夢明「他人事」と同じホラージャンルに区分したいと思う。
リアルな日常を描かれていて妙にリアルでした。 日常に嫌気がさしてきた時に読み返そうと思えました。彼の作品は2作目でしたが、どの作品も日常をリアルに描かれていて不思議な気持ちになりました。
#エモい
「お前が知っているサトルしか、 お前は知らないんだよ」 直輝の言葉にはっとする 誰もがそうしてそれぞれの一部分 しか知らない そうしてみんな生きている きっと家族であっても そう思っているはず 知るはずのない何かを でも‥ 何気ない日常を描いているのだけど なんだか怖い 怖い
ただのほのぼの作品かと思いきや、最後の最後で驚かされた!ものすごく恐ろしいようで、だけどどこか暖かくて、どう解釈するべきか迷い考えさせられる作品だった。 「この部屋での、この共同生活は、そういったものを持ち込まないからこそ、成立しているんじゃないか、とも思う。話したいことではなく、話してもいいこと...続きを読むだけを話しているから、こうやってうまく暮らせているのだと。」 ーー良介 「飽こうが飽くまいがこの世に悪意は存在するし、目をつぶって過ごそうなんて、そんなの楽観的すぎるよ、と笑う人がいるかもしれない。ただ、そう言って笑おうとする、その悪意にも、私はもう飽きている。」 ーー琴ちゃん 「ここでうまく暮らしていくには、ここに一番ぴったりと適応できそうな自分を、自分で演じていくしかない。そしておそらく、ここではシリアスな演技は求められない。」 ーー未来 「ふぬけの大学生。恋愛依存気味の女。自称イラストレーターのおこげ。健康おたくのジョギング野郎。どう考えても、あそこで知り合っていなければ、絶対に口もききたくないタイプの奴らばかりだ。それなのに、どうもあの連中の中に入ってしまうと、自分でも不思議なくらい、一緒にいて楽しくて仕方ない。」 ーーサトル 「俺のことになど、誰も構っていないようだった。その時だ。こいつら、本当に知っているのだと肌で感じた。本当に知っていたのだと、肌で感じた。」 ーー直輝 これらの5人の独白が、本書で一番重要な部分なのではないかと思う。 直輝をきっかけにして徐々に集まった彼らの最優先事項は、この部屋の平穏を維持すること。そのためなら、無理ない程度に自分を演じるし、知らないふりだってする。適度な心地良い距離感を保つことで、彼らはそこでの生活を楽しむことができるのだ。 他人と深く関わりすぎない関係は、とても楽だ。その究極の形が彼らなのだと思う。 極悪な犯罪者を放っておくことは本当に怖いし、私がもし被害者側だったら本当にあり得ないと怒りに震えるであろうことなのに、なぜか彼らの関係性に魅力を感じてしまった。そう思わせる作者の筆致に脱帽した。
シェアハウスの内情
昨今シェアハウスをしてる人が増えている中、それぞれの暮らしの日常を、部屋の上から見ている感覚で読めました。人には必ず影がある。しかしシェアハウスと言う空間の中では、自分の意思ではなく、自然と別人格を演じる事になる可能性を感じる作品でした。ラストは衝撃的な展開です。
とても難関な作品。 文体が難しいとかではなく、作者の意図が捉えがたかった。 主要な登場人物は5人。 千歳烏山にあるマンションで同居する若者たちの話しである。 それぞれの奇妙さを丁寧に描き、若者たちの姿を表現していると思いきや、最終章での急転直下。感情がついて行けなかった。 この終わり方は読めな...続きを読むいよ。 巻末の解説にあるように、結末を知った上で再読すると違った印象を残すかもしれない。 そんな一冊だった。
************************************************ 都内の2LDKに住む四人の若者と、そこに加わったサトル。 本音を偽り、優しくも怠惰な共同生活を送る彼らの日常に、 サトルが加わることで小さな波紋が広がり、歪みが生じる。 平穏な日常、抱える秘密、そして不...続きを読む可解な事件が絡み合う。 ************************************************ ユーモア溢れる軽快で愉快な会話のテンポやトーンが 一見読みやすく若者達の青春群青劇を思わせる切り口。 シェアハウスに住む四人は、理想的な暮らしに見えた。 干渉し合わない、踏み込まない、適度な距離感を保つ。 それが上手くやる暗黙のルール。 しかし心地良かったはずの生活の実体が明らかになる。 深く関わりすぎないからこそ、それぞれの印象も様々。 そこで、他人の目や理解なんて、勝手なものだと痛感。 ううう〜んこれは難しい。難しいぞ。 自分自身、人間関係は狭く深く派なので、 広く浅く関わる人には必要以上に関与したくない。 でもそれは結局自己防衛の為で、傷付きたくないとか、 面倒に巻き込まれたくないとか、振り回されたくないとか。 だからもしかしたら私もこの部屋の一員になり得るかも。 上手に見て見ぬふりをして、なんとなく大人のふりして。 明らかな「悪」から目を逸らして、心地良さを優先して。 読み進めるにつれ、どんどん不穏さが増していき、 衝撃のラストにまた全部最初から読み直したくなる。 そしてその不気味さと奇怪さは最初の印象とは違い、 つまりは結局どういう話だったんだ?と疑問が湧く。 きっと誰しも分かり合いたいと思っているはずなのに、 現実はこんなものか、と軽く絶望した私なのでした。 -----------✂︎-----------✂︎-----------✂︎-------- 読み終えてから、映画化されていないか調べて、 「あれ?これ映画で観たことあったわ」と気付く。笑 映画から入ったからもちろん申し分ないナイス配役。 藤原竜也林遣都はもちろん、香里奈もなかなか良い! これもう一度観たいなあ藤原竜也の狂気が見たい。笑 -----------✂︎-----------✂︎-----------✂︎--------
表面的には穏やかで居心地のいいシェアハウス。でも読み進めるほど、誰もが何かを隠していて、空気が少しずつ歪んでいく感じがゾクッとした。特に直輝の視点に切り替わった瞬間、一気に世界が反転して鳥肌。人の“普通”の裏にある狂気をここまで静かに描けるのに驚愕した。
なんの共通点をもたない5人が2LDKで共同生活をするほのぼのストーリーだと思いながら、1章の良介視点から読んだ。しかし、違っていた。非常に怖い小説だった。 吉田修一さんが書く人物は不思議と魅力的な人物ばかりで、私は結構好き ぜひ、読んだ後解説まで読んで欲しい作品。 なんだこの感覚、、、、
シチュエーションがあまりにも非現実的。 その間に入る、リアルなテレビ番組や生活感が微妙に混ざってなんとも言えない世界観。 正直、私は好きです。 最初は吉田さんの代表作、【横道世之介】タッチかと思いましたが全然違う【怒り】に近い世界でした。
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