吉田修一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
現場で何となく生きる男の寂しさ。貞操帯をつけても誰にも気づかれないくらいの存在であることに漠然とした不安を感じる、だからプロポーズって流れが良かった。
毎朝五時に起きて現場に向かう。重い鉄筋を肩に担ぎ、仕出しの弁当を食って、午後はまた重い鉄筋を肩に担ぐ。土曜の夜には毎週「KENTOS」で朝まで踊り、ときどき東京の女を引っかける。そしてまた、月曜になれば五時に起き、重い鉄筋を肩に
担ぐ。なんとなく、みんながそれを知っていると思っていた。自分がそんな一週間を送っていることを、本当になんとなくだが、みんなが知っているのだろうと誤解していた。もちろん何の根拠もないのだが、まさか誰も知らないとは思ってもいなかったのだ。
「とにかく、俺、お前と結婚したいって本気で思ってんだよ。・・・自分の家とか、ガキなんかもさ、たくさん欲しいって」
隼人は天井を見つめたままそう言った。
最後、段々ゆっくり壊れてく設計士の生活みたいにタワーが壊れることを示唆して終わるのが結構怖かった。ゆっくり、気づかないくらいの崩壊って怖い。