あらすじ
品川の貨物倉庫で働く亮介は25歳の誕生日、出会いサイトでOLの〈涼子〉と知り合った。どんな愛にも終わりは来るとうそぶく亮介と、愛の力を疑いながら、でもどこかで信じたい〈涼子〉。嘘と不安を隠し、身体を重ねるふたりは、やがて押し寄せる淋しさと愛おしさに戸惑う……。東京湾に向きあった、品川埠頭とお台場に展開する愛の名作に、その後を描く短編「東京湾景・立夏」を増補した新装新版。(解説・朝井リョウ・陣野俊史)
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Posted by ブクログ
人生で一度くらいは、自分の体が傷を負うことも躊躇しないくらい、好きな人のために体を張れるぐらい相手を好きになりたいと思った。
これ読んでから品川埠頭の倉庫街やレインボーブリッジの景色を眺めると胸がじーんとしました
りんかい線の開通でお台場から品川へ行くのは便利になったけど、便利になる前の「目の前に見えてるのになかなか辿り着けないもどかしさ」みたいなのも、涼子と亮介の距離感とリンクしてるのかと思った。
Posted by ブクログ
読み始めたときから、好きだと思った。
さらさらと一気に読めるのが、もったいないと感じるほど。
お互い気持ちが向き合わないもどかしさとか、
ちょっとズレてしまう想いだとか、
もう、グーッと切なかった。
亮介いいな。こんな人いいな。惹かれる。
Posted by ブクログ
4.2/5.0
手に取った時に想像してた内容とは違い、結構がっつり恋愛小説だった。
吉田修一作品は、登場人物たちが皆んな可愛らしくて、でもそれぞれに色々なものを抱えていて、微笑ましくなると同時に少し切なくなる。
二十代中盤という、人生について少し立ち止まって考えることが多くなる時期を過ごす登場人物が、迷いながらも進んで行こうとする姿に勇気づけられた。
Posted by ブクログ
夜の埠頭にバイクで行ってみたくなる。
これを薦めてくれた人は、これを読んだ後、過去にマッチングアプリで付き合った人を追って、夜に原付きで長距離走った………と言ってた。そんなイメージなんてない人なのに。
人をそんなふうにする力がある作品かと。
登場人物誰一人として、彼らの恋愛観には共感できないけど、その勢いと熱情には共鳴できる。
そして少し切なくなり、かなり歳を感じる。
Posted by ブクログ
人ってそうそう誰かのこと好きになれないけど、人は何にでも飽きる…
終わるのがこわいから始まりたくないっていうのも。
亮介にはいらいらもするけど、こういう男に女性は惹かれますよね。
あと夜の倉庫のシーンはどきどきする!
全体的にお台場の景色も想像できるのがなんかいい。
Posted by ブクログ
タイトルに惹かれて読みました。
取り巻く雰囲気がリアルで、物語は割と淡々と進みます。実際に東京湾周辺で仕事していたら、こうなるのかなと思ったり想像して読んでました。
地方在住ですが、東京湾周辺に行ってみたいと思いました。
Posted by ブクログ
品川に勤める私にとって東京湾の雰囲気は非常に身近な風景。今とは随分と異なる風景だなとは思うものの、物語と風景のバランスが絶妙で、物語の展開に関わらず穏やかな気持ちになることができた。
物語は東京湾の港湾で働く青年。出会い系で知り合った女性との恋の物語であるが、互いに何に惹かれあっているのかが分からない直感的な恋心というのが非常に文学的だなと感じた。決して共感するわけではなく、芸術家作品を鑑賞するような少し別の世界を俯瞰で眺めているといった気分だった。
Posted by ブクログ
畑野智美さんの「海が見える街」に続いて読んだ。
当たり前だが恋愛小説でもこれだけ違うんだと
思わされた。こちらの「東京湾景」の方が好みだ。
得体の知れない愛や恋に対して真剣に向き合って
いるからこそ傷ついている亮介と愛だの恋だのを
小説の中だけのものと遠ざけている美緒。最後は
歩み寄って、また始めようとする。良いラスト。
でもこれからが2人には大問題。真剣な2人だから
こそ、大変なんだろうなぁ〜。と心配してしまう。
2人には幸せになって欲しいが、難しいよなぁ〜。
読み終えた直後の感想です。あっ、読むのが遅い
俺がほぼ1日で読めました。面白かった。
Posted by ブクログ
吉田修一の初期の代表作をまだ読んでいなかったので、あらためて読む。
本作は男女のヒリヒリするような感情描写が素晴らしい。東京湾の光と影とも言えるお台場と品川埠頭をコントラストとしながら、本来交わるはずがない男女の、心の深い部分をお互い貪るようなそんな恋愛描写に心が動かされる。
後日談とも言える短編が書き下ろしで新たに書き加えられたのも、例え時代が令和の現代に変わっても、男女の気落ちが思わず溢れ出すような感情の交信は不変なんだと思わせて貰えて、余韻を楽しめた。
Posted by ブクログ
著者の作品で恋愛物は初めて読んだかも?
気持ちが通いそうで通わないもどかしい2人のお話。
恋心など無縁で忘れつつあるけれど面白かった!
こんな風に惹かれ合うのもいいな〜私もお台場周辺を舞台に恋してみたいw
Posted by ブクログ
感想
なんかボヤッとした感じの小説だったな。アンビバレンスな気持ちになる。
あらすじ
亮介は品川の倉庫で働いている。たんぱくな性格だが、女性で苦労したことはない。隣に住む同僚の大杉の彼女のゆうこの友達の真理となんとなく付き合っていた。
亮介はある日、出会い系サイトを通じて涼子という女性と出会う。涼子とは一度会っただけでそれきりだったが、亮介はどうしても涼子のことが忘れられず連絡をとる。
涼子は、偽名を使って亮介と付き合う。イマイチ本気になれなかったが、亮介に火傷の原因を聞いて亮介のことが好きになる。
Posted by ブクログ
東京湾の壮大な埋め立て地、わたしも、家具屋さんもあるし、豊洲市場ができれば一度は行ってみる。
新橋からゆりかもめに乗ると、車窓の景色、タワーマンションの林立、倉庫群、潮溜まり、大規模催事場などが非現実的で、まるで遊園地で乗り物に乗っているような気がするのだ。
そんな浮遊しているような街にも、ラヴストーリがあるというのが、この小説。聖地になっているのか?
吉田修一作品は好きなのがあって、このところよく読んでいる。
『悪人』と『湖の女たち』が特に印象深い。