あらすじ
「ねえ。『喜び』って言葉から、どんな風景をイメージする?」風呂上がりの妻から唐突な質問を受けた慎一は、眼を閉じてみると、ふいにひとつの景色が見えてきた。海から眺める東京に似た大都市。同じく想像したらしい妻は、自分は空にいるという。(「ティファニー2021」)一流ブランドには物語があり、人生の一瞬を輝かせる。著者が20年をかけてその一瞬を切り取ってきた珠玉の作品集。
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Posted by ブクログ
エッセイを読んでいると、この感性があの素晴らしい小説達を生み出すんだ、と思う。
「THE BAR」の中で、寺島しのぶのことを「~力強い女優に・・花が美しいのは、水を吸い上げる努力と、懸命に日を浴びる生命力があるからだと、改めて思わせるような女(ひと)」と言っている。素敵な表現だ✨
Posted by ブクログ
エッセイ集なのかな。
どれも数ページで終わるストーリー。
随所に心に染みわたる表現もあり、ほのぼのした印象だった。
最初の逆光写真と、NIGHT COLORシリーズが気に入った。
Posted by ブクログ
吉田修一がさまざまな企業や媒体からの依頼に応じて寄せた掌編・エッセイ集。吉田修一の上質な文章で切り取られる人生の瞬間は美しく、ブランドというものを際立たせる。ただ、もうちょっと編集は工夫できたのではないかなぁ。掌編と取材旅行記的なエッセイが混ざって次々に出てくると読み手側のテンションが追いつかない。執筆順の掲載なのかもしれないけれど、だとしたら20年にもわたるさまざまな時期のいつぐらいに書かれたものなのかだったりどんな媒体にどんな文脈で寄せられた作品なのかの補足情報が少しでもあれば親切かなと思う。普段の小説作品では書けないものが出せる機会、という言葉を最後のインタビューで引き出しているのでどの作品を書いている時期の文章なのかなどの情報もあればより楽しめただろうと思う。おそらく吉田修一のファンが手にすることの多い本だからこそもう少しファンに寄り添った編集はなかったものかと、一つ一つの文章が美しいだけにもったいない。