吉田修一のレビュー一覧
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オッソーと久遠、この二人だったからこそ、手に入れることのできた景色があったのだと思う。
読みながら、いろいろな感情の涙が出た。悲しいだけでも、嬉しいだけでもない。登場人物たちが過ごした時間、越えてきた時間を一緒に歩いてきたからこそ湧いてくるような涙だった。
情景描写が鮮やかで、人物の心理も細やかに描かれている。景色そのものだけではなく、そこにいる人の感情まで色を持って見えてくるようだった。文字を追っているはずなのに、物語の中に自分も登場人物の一人として参加しているような没入感がある。
だからこそ、「うんうん、そうだよな」「分かるよ」と、何度も心の中で登場人物たちに頷きながら読んでいた。
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個人的には著者が同じ国宝より好き。
映画を観ていないけど、国宝は映像が伴って良さがより際立つ作品じゃないかと思う。
で、こちらの作品は、日経に連載されている小説だった。
日経を購読しているので連載を読めば読めたけど、この作品に関して言えば1冊を一気読みした方がいいように思った。
舞台は、東京、長崎、沖縄。
登場人物はいずれもワケあり。
ベースは高校生の恋愛話なんだけど、話は単純ではない。
そして、20年経ってもその2人にも、高校時代にかかわった人たちにもなんかワケがある。
そんな描写が結構引き込んでくれて、500ページ以上あるのに1日で読んだ。
オッソーと久遠のその後を知りたくなった。 -
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吉田修一さんの愛と喪失を描いた物語。
恋愛小説であり、戦争小説でもありました。
主人公・一心の日常と、伝説の映画女優だった和楽京子こと鈴さんの人生がリンクして描かれており、『国宝』と似た描き方だと感じました。
戦後、鈴さんの女優人生は、成功に満ちた鮮かな人生に見えますが、その裏には被爆者であることを揶揄されたり、親友の存在が心の傷として残っていることが明らかとなります。
鈴さんが佳乃子さんを長崎港に連れ出し、海に向かって叫ぶシーンは、胸が引き裂かれそうになりました。
鈴さんが佳乃子さんのことを語ると、彼女が影になってしまうという言葉が重く響き、佳乃子さんの人生も引き受けた鈴さんの覚悟に、戦争を -
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ネタバレ上下巻どちらも引き込まれて、冗長と感じる要素が無い数少ない傑作。映画は観なくとも、映像美が脳裏に映し出されるのは、仔細な表現だからこそ。歌舞伎や歴史に疎い自分にも分かりやすく、ストーリーと演目が重なる仕立てであるが故、感情移入もし易く、より深く知りたい、観たいとさせる。単なる血筋を呪うような安い話しではなく、人が業を極めるとは如何な事か、そしてそれを一観客として求めると言う事の残酷さと儚さ。役者が何故突然死してしまうのか、ブラウン管を通して観ていた私としては勿体無い、何故?という感情しかなかったが、この作品を読み、完璧では無いが、自分で幕引きをするタイミングが決まったのかということを少しだけ理
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ああ、なんて愛おしい物語なんだろう。これほどエモい小説があっただろうか。
誰しも思い出しただけで、キュッと胸が苦しくなるような思い出があると思う。あの頃に戻りたいわけじゃないけれど、ずっと大切に取っておきたい。そんな思い出。
そんな自分の中の青春をそのまま描いてくれるのがこの小説だ。読んでいる間中ずっとその大切だった時間にタイムスリップしたような感覚でいられた。
オッソー(尾崎)と久遠は偶然再会するところから物語は始まる。この2人は高校の同級生で、恋人だった。
内容には敢えて触れないでおきたい。これから読む人のためでもあるし、内容には関係なく感情優先の物語だと思うから。
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読み終わった瞬間、温かい涙があふれ出て
止まらなくなりました…
心がいちばん柔らかい場所に
優しく触れられたような
切なくも美しい余韻に包まれています♡
初めて目にした時から
相手のことばかりを考えてしまう初恋の戸惑い
ふたりで並んで歩くだけで感じる胸の高鳴り…
『オッソー…』
『久遠…』
お互いの名前を呼び合うだけで
ドキドキしちゃいました♡
登場人物たちの心の揺れや傷
そして誰かを愛おしく想う純粋な気持ち…
過ぎ去っていった時間と
今生きているこの瞬間が
ふっと重なり合うところで
気づけば涙が頬を伝っていました
澄み渡る空と海のような
グラデーションが美しい青 -
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ネタバレ建設会社に勤める尾崎は大雨の日、タクシーを奪い合う形で高校の同級生である久遠に再会する。久遠は広告代理店に勤めており、尾崎のたちの建設会社とともに美術館建設プロジェクトに携わることとなる。時を同じくして、編集者である尾崎の妻は取材相手であるjリーガーと不倫しており、話し合いの末に離婚することとなる。久遠も数年前に流産をしてとり、パートナーとは離婚していた。そんなことも相まってか、高校時代のように2人は仲のいい関係に戻ってゆく。大人になった2人の話と高校時代の2人の話が交互にあり、2人の人生を追体験しているようだった。高校時代の尾崎は母親に育てられていたが、その母親が県議会議員とドライブ中に交通
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ネタバレ純愛小説だった。
はっきりしないエンドは好みではないと思っていたけれど、この小説を読んで考えが変わった。
夏に読むのがおすすめ。海を見に行きたくなる。
恋愛小説は多いけれど、ここまでストレートな純愛を描いた小説は案外読むことがなかったので、逆に新鮮だった。
ストレートすぎて、大人だけど泣けるのかなと途中不安になったけれど、心配無用だった。
何かある結末だと現実感が薄れる気がするし、何もない結末だと期待感が薄れる気がするから、我儘にも着地点が描かれていなくて良かったと思った。
久しぶりに読み返したいと思える綺麗な小説に出会った。
「冷静じゃない時の気持ちが、本当の気持ちなんですよ、きっと