吉田修一のレビュー一覧
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筆舌に尽くしがたい。本当に面白い。
昭和のタバコの煙や排気ガスなんかで視界が濁るような空気感の中、清濁盛り合わせて役者道に生きる青年。読んでるだけの身としてはポカンと口を開けて目を見開いて舞台を見上げている気持ち。
一人一人の人生を丁寧に丁寧に書いているし、喜久雄の任侠らしさと役者への没入感がなんともマッチしてる。義理堅いし男らしいのに、たおやかな女形がなんとも言えない。
映画とはまた違うストーリーながらも、吉沢亮が見事に演じていたどこか退廃的な影のある美青年がちらついて、その魅力にうっとりしてしまう。映画と本のどちらも味わえてほんとに幸せ。
先代白虎のこさえた借金、あれは関西歌舞伎界を少しで -
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とても癒されました。
毎日の暮らしの中に共存している
猫という生き物が、たくさんの
作家の方々の憩いであり
生きがいであり、無くては
ならない存在でした。
家の猫も保護してから3年
猫を飼った事もない家族の中で
その存在感の大きな事、
角田光代さんの文章の中に
(以前は、自分は自分はという
感じで暮らしで辛かったところに
猫がきて自分以外の事に心を
持っていけるようになった事で
楽になった)とありました。
まさにそれです。疲れたけど
とりあえず猫に餌をあげようと
声をかける事で気持ちが良い
方向に切り替えていける。
猫って不思議な生き物です。 -
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なにが喜久雄をここまで自己のない人間にさせたのだろう?
日本一の歌舞伎役者になりたい、その気持ちは自分の心と引き換えに得た目標とすら思えた。
たくさんの人間が喜久雄の生涯を通して現れるが、不気味なほどに他者に関する感情が感じ取れない。あっても芸を極めるという目標からくる感情。すべて役に吸われて、喜久雄本人はただ空っぽの器なのだと思えた。人そのものが役者の器としてあるだけ。
晩年は心がないゆえに現実世界と繋ぐものがなくなってしまったのだろうか
人生を描いた大作。喜久雄ほどドラマチックでなくても、誰しもが山あり谷ありの物語を持っている。あとから振り返ったときに「ああ、あそこが山場だったのかな」と -
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ネタバレ読み終わった瞬間大号泣。素晴らしいお話しだった。そしてこの語り口はきっと歌舞伎の神様の視点だったんだなぁと思い、たまらない気持ちになった。
お気に入りは徳ちゃんで、第13章Sagi Musumeの章で本当に大好きが飛び越えた。男らしくて、喜久ちゃんのためなら指も惜しくない。かっこよすぎる徳ちゃん。最後の最後まで徳ちゃんが一番のご贔屓さんだったことがとっても嬉しかった。
映画を見てから読んだ小説、こちらの原作が凄まじくて映画以上に感動した。(映画は映画でもちろん素晴らしかったけど)
本当に「人生」そのものを感じさせてくれた物語に拍手喝采です。
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Posted by ブクログ
吉田修一の本を読んだのは『悪人』以来だろうか。
それとは打って変わって独特の文体、語り口。それが歌舞伎の世界観を醸し出し、凄惨な場や鬱屈したシーンも、どこか舞台のうえでの出来事のように映し出す。
映画を観た後に読んだため、どうしても映画に重ね合わせてしまう。ただ、映画がとても上質だから、決して邪魔にならないどころか、情景を想像する良い補助線となった。
映画と小説、どちらがいいか。巷間、そのような談義がよく繰り広げられているだろう。私はあらゆる意味でズブの素人だが、ミーハーないちファンとしてその輪に勝手に加えさせてもらいたい。
私としては、映画と小説どちらも最高!!!!
ちょっと待ってほ -
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ネタバレ国宝 花道篇 良かった点
1、喜久雄たちの人生が決して順風満帆でないこと。
喜久雄や俊介は、挫折や苦しみを何度も経験する。だからこそ、彼らの言葉には強い説得力があり、歌舞伎役者としての深みが感じられた。また、すべてを犠牲にして歌舞伎に人生を懸ける姿に強く心を打たれた。
2、歌舞伎の美しい描写に引き込まれること。
文字だけの表現でありながら、映画に引けを取らないほど、美しく妖艶な喜久雄の演技が鮮明に描かれていた。まるで実際に舞台を見ているかのような臨場感があり、歌舞伎の魅力に強く引き込まれた。
3、歌舞伎役者の過酷さがリアルに感じられること。
歌舞伎役者本人だけでなく、その周囲の人々