吉田修一のレビュー一覧

  • パレード

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    ただのほのぼの作品かと思いきや、最後の最後で驚かされた!ものすごく恐ろしいようで、だけどどこか暖かくて、どう解釈するべきか迷い考えさせられる作品だった。

    「この部屋での、この共同生活は、そういったものを持ち込まないからこそ、成立しているんじゃないか、とも思う。話したいことではなく、話してもいいことだけを話しているから、こうやってうまく暮らせているのだと。」
    ーー良介

    「飽こうが飽くまいがこの世に悪意は存在するし、目をつぶって過ごそうなんて、そんなの楽観的すぎるよ、と笑う人がいるかもしれない。ただ、そう言って笑おうとする、その悪意にも、私はもう飽きている。」
    ーー琴ちゃん

    「ここでうまく暮

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    2023年04月30日
  • 悪人 新装版

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    決して明るい話ではない。
    だけど、自分はこっち側なんだと。どうしてか共感出来る部分多々あり。
    生きているなかでの社会での不条理さや不公平感、要領良い人やうまく立ち回れない自分。
    吉田氏、好きです。

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    2023年04月23日
  • 泣きたくなるような青空

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    吉田修一さんのエッセイ読むの、意外にも初めてかも。
    人間というものの切なさ、愛おしさが感じられる簡潔な文章はエッセイでも健在で、ああ吉田修一ってやっぱいいなあ、と思いながら読んだ。

    特に好きなのは『お盆・花火・長崎』。
    長崎ではお盆に墓場で花火したり、精霊流しで100本以上も爆竹を鳴らすのは初めて知った。故人を賑やかに送るの、楽しそうで、どうしようもなく切なくて、最高。

    吉田修一さんは、盛大な爆竹と共に精霊船を流し終えた後、宴会に向かって、高揚と虚しさが入り混じったような足取りで歩きながら、亡くなった家族や友人のことを話すのが好きだそうで、それもすごくいいなあと思った。

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    2023年04月20日
  • 怒り (上)

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    都会のホモセクシャル、無人島で暮らす田中、田舎の漁港に流れ着いた田代。それぞれ過去に秘するものを持ちながらそこで暮らす人達を巻き込んでいく。巻き込まれた方の視点で物語は語られ、それぞれ苦悩の中にある。とても人間臭い。冒頭の殺人は誰の手によるものなのか?怒りは誰に向けられたものなのか?3カ所で起こるドラマは丁寧に描かれ、何かに向かっていく予感をさせます。後編が楽しみ。大好き度❤️❤️❤️

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    2023年04月09日
  • 犯罪小説集

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    随分前に『楽園』を見て読みたくなり購入。買ってから短編集と知るw

    じめ〜っとした嫌な蒸し暑さと全てを覆い隠してしまう重苦しい寒さといった温度が感じられる文章だったな。
    不快な温度の中にいると何も考えられなくなるのと同じように、各短編の登場人物達も考え方が一方通行すぎるし人って本当に自分の都合のいい方にしか考えられへんのやなと思った。
    それは悪夢を終わらせる希望でもあるのか。
    あいつが怪しい、あいつに決まってるって次々に言い出すの怖かった。

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    2023年02月04日
  • 路

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    吉田修一っぽくはない。でもとても良い。

    台湾に日本の新幹線が走る。その巨大プロジェクトに、それぞれの国の人々の個々に抱いてきた想いが繋がっていく群像劇。

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    2023年01月22日
  • 逃亡小説集

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    ネタバレ

    吉田修一の短編小説集で『逃げろ九州男児』『逃げろ純愛』『逃げろお嬢さん』『逃げろミスター・ポストマン』の4作が収録されている。
    どの話も実際にあった事件を彷彿とさせる内容で、個人的には『逃げろお嬢さん』がとても良かったと思う。夫が大麻取締法違反で捕まった舞子が逃亡し、その舞子をかつて推していた宿の経営者宮藤康太がひょんなことから舞子を助け「テレビのドッキリだな」という壮大な勘違いをしてしまい、その結果、大騒ぎになるというもの。
    クスッと笑ってしまう表現とハラハラする表現の塩梅が最高でのめり込むようにして読んでしまった。
    また、吉田修一は社会的弱者とされる立場の人たちの描写をこちらの心が痛くなる

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    2023年01月04日
  • 路

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    コロナで長いこと旅行もできてなかったので、絶対に台湾に行くと決めてこの本を買いました!
    そしてこの本を読み終わる前に航空券も買いました!
    生まれ育った国だから1番自分にしっくりくるというわけではなく、自分に合う環境でのびのびと生活できることは心身ともに良いことだらけだなと実感。
    ありきたりですが、本当に台湾に行きたくなる、そんな一冊でした。

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    2022年11月14日
  • 悪人 新装版

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    主要な登場人物の中での「悪人」ランキング

    僕の中では、

    第一位 ボンボンの大学生・増尾圭吾(だんとつ)
    第二位 殺された保険外交員・石橋佳乃
    第三位 土木作業員・清水祐一
    第四位 紳士服店店員・馬込光代

    でした。


    「人としての正しい行い」がこの小説のテーマかな、と思いました。
    誰にも潜む「悪人」の自分。そいつが衝動的に引き起こす悪行。もちろん取り返しのつかないこともあるけど、その悪行の後の「人としての正しい行い」こそ、生きていく上では大切なこと。


    それと、人に執着すること、について。
    佳乃の父、佳男が増尾の友人、鶴田に語りかける言葉。
    長くなるけど、とても心に残ったので引用する。

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    2022年10月05日
  • 怒り (上)

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     房総の漁協で働く洋平とその娘・愛子、東京の企業で働くゲイの優馬、沖縄に離島に移住してきた女子高生・泉。3人の語り手たちの側に現れた、素性の知れない3人の男たち。それぞれの人物が交わることはないが、語り手たちは男が1年前の八王子夫婦惨殺事件の容疑者・山神一也ではないかと徐々に疑いを募らせる。
     夢中になり一気読みして映画も観た作品。吉田さんも追いかけようと思うきっかけにもなったが、あまり冊数は伸ばせていない。上巻は誰が山神なの?とドキドキしながら終了。

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    2022年09月11日
  • おかえり横道世之介

    購入済み

    なるほど、そういうことか!

    世之介の人生において、前作には書かれなかった部分のお話。
    前作との繋がりは殆ど無いに等しいので、本作だけ読んでも充分楽しめます。もちろん、前作ファンの方は必読です。

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    2022年09月05日
  • 怒り (上)

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    映画を見たいが為に先にこちらを読みました!
    とても読みやすい。
    世間を堂々と歩けなさそうな人が3人出てくるけどこの中に犯人はいるのかな?
    下巻へ続きまーす!

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    2022年07月09日
  • おかえり横道世之介

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    ネタバレ

    文庫化で購入。
    バブル最後の売り手市場に乗り遅れ、バイトとパチンコで食いつなぐこの男。名を横道世之介という。いわゆる人生のダメな時期にあるのだが、なぜか彼の周りには笑顔が絶えない。鮨職人を目指す女友達、大学時代からの親友、美しきヤンママとその息子。そんな人々の思いが交錯する27年後。オリンピックに沸く東京で、小さな奇跡が生まれる。

    構成が素晴らしすぎる。
    未来の描写の時、ここに世之介がいたらどんな感じだったのかなぁと思わずにはいられない…。
    世之介は本当に優しい人。自然と人に寄り添う優しさで。
    線路に落ちた人を助けようとして亡くなるっていうのがまさにそう。
    “本当に不思議だった。世之介兄ちゃ

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    2025年06月02日
  • 初恋温泉

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    短篇集。
    前日に離婚を告げられた夫婦や、過ちを犯して1人で来た旦那や、不倫旅行や、カップル。合計5編。
    最初の初恋温泉と純情温泉が良かった。
    特に純情温泉。
    吉田さんってこんな高校生の恋愛の話を書くんだと少し意外に思った。まだまだ読み足りないな。

    部活でかいた汗や、女子たちのデオトライトや香水の匂いが混ざって、まるで夕方の教室みたいだった。

    この表現で一気に学生の頃、夕方教室に残って友達達と過ごした時間を思い出した。
    純情温泉、とてもよかったなー。
    また読みたい。

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    2022年06月13日
  • 悪人 新装版

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    田舎での生活がよくイメージできた。
    狭い世界で暮らす閉塞感
    やるせなさ、虚無感 などなど よくわかる
    その中で必死に生きること
    そもそも老いること と 生きること 何が違うのか
    同じようで 違う気がする
    意味ある毎日を送るには? やっぱり意味を意識しないといけないのだと思う。
    味気ない日常は人間を疲弊させる 虚無感に繋がり、存在意義を疑う。
    そしてなんでもない事が良い(実際にはその通りなのだけど)と自分に言い聞かせて、虚無感と闘う。
    そしてそれの繰り返し。。
    気がつけば、何もできなくなっている 時間も労力も十分ではないと嘆く
    そしてまた感謝、日常への感謝 それがずっと続いて、最後は死ぬ。
    人生

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    2022年05月28日
  • 女たちは二度遊ぶ

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    あらためて、クズでチャーミングで社不でセクシーな女性を描くのがうますぎるなと。。
    「遭ったことのある11人の女」を小説にしたそうだが、自分のことをこんなふうに描いてくれる人がいるなんて恐ろしいけれどすこし羨ましい。

    解説の田中敏恵氏
    「男が語る女は、女にとってリトマス試験紙のようだ」

    吉田修一さん、モテるんだろうなぁ。

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    2022年05月18日
  • 怒り (上)

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    新聞配達少年が遊び人になってもいい、という辺りのやりとりが良かった。どの視点の物語も続きが気になって仕方ない。

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    2022年04月25日
  • 悪人 新装版

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    ネタバレ

    どんな理由であれ、人を殺してしまうと、罪悪感から逃れられないことがよく分かった。一気に読んでしまう面白さだった。

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    2022年04月17日
  • ウォーターゲーム

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    ネタバレ

    面白かった~~!
    心配してたあの人との再会もできてよかった!

    しかし、すごくスリリングでした
    途中で後ろのページ見たくなったです
    鷹野さんと田岡さん生きてるよねって 
    確認したくなりました。
    突然警察に逮捕されたり
    プライベートジェットから脱出できるのか?とか、ハラハラドキドキでした。

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    2022年03月08日
  • 森は知っている

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    鷹野さんと風間さんが出逢った頃の話です。
    壮絶な過去のトラウマと闘う鷹野さんがどうやってAN通信で働くようになったのか?
    どうして風間さんが車椅子生活になったのか?
    鷹野さんと風間さんのことを知った上でもう一度「太陽は動かない」を読んでみたくなりました。

    富美子さんの気持ちも少しわかるような気がして 読んでいて苦しかったです…

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    2022年03月03日