吉田修一のレビュー一覧
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世之介シリーズを読むと世之介が確かにこの世にいた、という気持ちになる。
読む前と読んだ後では、世界が少し優しく感じる。というか、自分が少し優しくなれる気がする。
人間の営みとはなんと愛おしいものか。
最終集ということで、これまでより、少し重いというか、真面目な感じがしたし、世之介を独り占めしてる二千花さんにすこしジェラシーを感じたり、あけみさんに同情したりした。(世之介はこれまで、成り行き的に付き合ってたけど、二千花さんだけは自分から好きになったんだね。)最後に一歩がベストセラー絵本作家になってるのも、ちょっと盛りすぎな感じもあった(自費出版、もしくは静かな広がりくらいでよかったけど、最後は -
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読み終えるのがさみしかったです。
いっぱい笑って、いっぱい涙がでて、たまにいろんなことを考えさせられました。
ずっと世之介とあけみちゃんとニ千花ちゃんとドーミーのみんなと何気ない1日を過ごしているようで。読み終えちゃうと、その雰囲気の中から出てしまうのがとってもさみしかった。そしてとっても愛しい作品でした。
世之介って特別能力が高くはないし、というか小学生みたいなデリカシーのなさだし、二枚目というより三枚目だし、でもめちゃくちゃいいやつで、何も考えてないようで周りをよく見ているようで…どこにでもいそうで、現実にはなかなかいないような、つかみどころのない人。
つかみどころはないけれど、これ -
Posted by ブクログ
横道世之介シリーズ第三作目。このシリーズはハズレがない。あいかわらずおもしろかった。
筆者の吉田さんは次のとおり書いてる。本シリーズは気の利いた伏線も回収もなし。世之介とその周辺の人たちのなんてことない日々が綴られている。もう少しいうと、人生とは人の一生から、派手な物語部分を引いたところに残るものではないか、と。
そのとおり、派手な物語がない本作。でも引き込まれるし、胸をうたれる。それは世之介のなんとも憎めないキャラクターがそうさせているところも大きいけれど、「事実は小説よりも奇なり」の部分もあるなと思う。
例えばあけみの父の勉の言葉「反対はするよ。…でも、こうも言うよ。芸者は立派な仕事 -
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最新刊読んだあとで、改めて最初の世之介さんを読みたい衝動がおさえられなかった。
晩年の彼を知ってからの物語はこうも大きく膨らんでくるのかと、感慨深く。ひとつひとつのエピソードをかみしめるように読み進めた。登場人物たちのその後もちりばめながら時系列が前後しているのがとても心地好く、懐かしいアルバムを紐解くような気持ちだった。
以下 2017/1/24の感想。
とある大学生の日常をほんわかとのんびしとした雰囲気が描かれていて。
結構投げやりであったり、行き当たりばったりで
とりたてて特別なことも起こったりしないのに
面白ろおかしく読めてしまう。
後半になるにつれ、主人公のその後が