吉田修一のレビュー一覧

  • ミス・サンシャイン

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    20代の青年と、80代のかつての大女優の交流。青年が「銀幕の過去の彼女」から、徐々に「目の前にいる生身の彼女」へ惹かれていく描写の積み重ね。最後は純粋な思いを、疑いなく私も受け止められた。
    想像が難しい感情を、読後に違和感もなく成立させる。これこそ「物語の力」だと感じさせてくれた。

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    2026年09月14日
  • 湖の女たち(新潮文庫)

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    相変わらずこの方の作品は生々しく、気持ち悪さを感じる。上手い表現が見つからない。
    そして最後もまたゾッと終わる感じね。
    個人的には嫌いじゃない(好きと公言しづらい)

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    2026年09月14日
  • 横道世之介

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    「普段レストランで態度の悪い店員に当たっても世之介は苦情を言うことがない。どちらかと言えば、そんな店に入った自分に運がなかったんだと考える人間である。」(p.242)
    「あの、自分で言うのもあれだけど、俺、みんなから『お前は隙だらけだ』って言われますよ」(p.373)
    「大切に育てるということは『大切なもの』を与えてやるのではなく、その『大切なもの』を失った時にどうやってそれを乗り越えるか、その強さを教えてやることではないかと思う。」(p.402)
    「いろんなことに『YES』って言ってるような人だった・・・もちろん、そのせいでいっぱい失敗するんだけど、それでも『NO』じゃなくて、『YES』って言ってるような人」(p.413)
    「ああ、そうか、と世之介は思う。誰かを傷つけたことがないんじゃなくて、傷つけるほど誰かに近づいたことがなかったんだと。」(p.426)
    「『ダメだ、助けられない』ではなくて、その瞬間、『大丈夫、助けられる』と思ったんだろうって。そして、そう思えた世之介を、おばさんはとても誇りに思うんです。」(p.467)
    優しすぎる世之介が、将来断固たる行動を起こすまでになる。どのような経緯を辿ったのか?続きが読みたくなった。

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    2026年09月13日
  • 国宝 下 花道篇

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    圧倒
    重厚

    独特の語りに慣れたら、引き込まれるように読んだ。
    先に映像を観てしまったため、登場人物のイメージが固定されてしまった。
    固定したくないので、あまり先に観ることはしたくないのだが。

    ずっと、孤独とか重苦しい空気が深いところを漂っているかのようで苦しい。
    とてつもなく別世界であることを突きつけられたかのよう。
    凄まじいな…

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    2026年09月12日
  • 国宝 上 青春篇

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    星4.8
    上下巻まとめての評価です。

    映画が先か?小説が先か?
    映画が先のお勧めが多かったので、映画を先に観ました。
    映画と小説、もちろん大筋は同じなんですが、映画は舞台が見せ場で素晴らしいですね。
    終わり方が違っていて、小説の方が余韻があって私は好きでした。

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    2026年09月12日
  • 国宝 上 青春篇

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    大ヒットした映画に興味を持ったが、3時間は観れそうに無いため、小説を読んだ。
    歌舞伎については興味ないが、これを読んで少しだけ興味が湧いた。
    面白く読み進めるのが苦じゃ無い。
    下巻も楽しみ。
    ただどうしても喜久雄を横浜流星、俊介を吉沢亮に脳内変換して読んでしまう。
    逆のはずなのに。

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    2026年09月11日
  • 熱帯魚

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    ネタバレ

    ひりひりする恋を描く、とびっきりクールな青春小説。

    「熱帯魚」 
    大工の大輔は子連れの美女、真美と同棲し結婚を目指すが、そこに毎日熱帯魚ばかり見て過ごす引きこもり気味の義理の弟の光男まで加わることに。奇妙な共同生活の中でふたりの間には微妙な温度差が。

    「グリーンピース」

    いつだって自分の気分に任せて、彼女の千里振り回してきた草介。友人の鷹野と彼女の椿さん。椿さんの品の良さと千里の興味のない映画の話が出来る唯一の存在。
    仕事が決まらないことで大喧嘩し、千里が出ていった。
    鷹野から来た電話で、千里との浮気を告白される。それ以前から椿さんと二人きりで映画鑑賞に行っていた草介。
    浮気を知った椿さんと草介。椿さんが罪悪感に苛まれる程、椿さんが好きではないけど夢中になって好きだ好きだと口説く草介。
    二人の行方は。

    「突風」 
    会社の有給を使い突然、リゾート地で駆け込みアルバイトを始める新田。
    無愛想な海辺の民宿の主人の下で働きはじめるが、そこには何をやらせても不器用過ぎて怒鳴られまくる妻のすみれも同居していた。
    2階の窓からいつも寂しそうに海辺を見ているすみれの頭を優しくなでる新田。
    どこか子供っぽさの残るすみれと、どんどん距離が縮まっていく。
    「逃げればいいのに」砂まみれ新田の車をこっそり洗車してくれていたすみれを夜のドライブに誘う。
    高速に乗りどんどん民宿から離れて行く。
    「こんなに簡単に逃げられるのに」車はついに東京へ。 

    付き合う直前が一番盛り上がる。
    子連れ美女の子供も、連れ子同士の再婚で二年間だけ兄弟だった引きこもりの弟も全て受け入れてる俺カッコいいが透けてみえてる大輔。
    思い通りに操りたい俺様だった草介。奪う程好きでも無いのに椿さんを口説く。
    挙げ句は思い通りだったはずの彼女千里に浮気され、許す。いや許せないと悶々。 
    最後の新田は散々、思わせ振りしておいて人妻をまるで逃避行するようにドライブに誘うも最後には・・・・。
    プライベートでかかわったら不幸な未来しか見えない男達。
    私がイメージしていた青春小説なんて爽やかなものじゃないけれどじっとりとした背徳感が後をひく感じ。





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    2026年09月11日
  • おかえり横道世之介

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    横道世之介、大学を卒業してもフリーターで24歳から25歳のダメダメの一年間を描いている。
    本人はダメな一年と思っていても、その一年で知り合った人々。何気に周囲の人達に良い影響を与えているんだよね。
    世之介はどこか頼りない、でも一生懸命で憎めない。
    周囲の人達も良きでしたね。

    おじいちゃん写真家が世之介の写真を『善良なんだよね』と言うのだけれど、まさに世之介は善良であります。
    『善良』良い言葉です。

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    2026年09月11日
  • 永遠と横道世之介 下

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    横道世之介シリーズの3作目。

    これまでと変わらず、横道世之介の何気ない日常が描かれている。

    その何気ない日常が振り返ると幸せな時間だったということを思い出すという。

    春、夏、秋、冬のそれぞれで良かった日を考えることの大切さや今の幸せに感謝することの大切さを知る。

    横道世之介の後輩のカメラマンに子供が生まれる時、医者から良くない状態だと知らされる。

    その時の後輩のカメラマンが言う言葉が感動的だ。

    子供が半分しか生きられなかったら、人の倍抱きしめてあげる…

    こんな言葉を思いつく作者はすごいと思った。

    今後も読んでみたいと作家さんだ。



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    2026年09月11日
  • 国宝 下 花道篇

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    ものごとを極めた人の境地を感じさせてくれる満足感。激動のストーリーに没入させてくれた。サイドストーリーがやや多く、一つ一つの話題をもう少し掘り下げてくれるかそもそもない方がいいのかと思ったり。それもこれも深く知りたい。感じたいと思たからのことではある。

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    2026年09月10日
  • 罪名、一万年愛す

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    孤島の探偵ミステリーで王道かな、っと思っていたらとんでもない!
    ぶっ飛んだエンタメだと笑ってもいられない。
    戦災孤児の話や登場人物のキャラクターに泣いてしまう。
    各々がちょうどいい具合に混ざりあっている所為か、
    どことなくリアルで、
    どことなくエンタメで、
    笑えるのに、心揺さぶるものがありました。

    -戦争を始めたのは大人たちだった

    45年、悲しい子どもは居なくなっただろうか


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    2026年09月10日
  • 国宝 下 花道篇

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    映画化された『国宝』の下巻。
    激動の時代をどんどん生き抜いていく様子が叙事詩的に、まるでこちらを歴史書を読んでいるかのように錯覚させるペースで描かれる。
    映画ではあくまで歌舞伎界のみに焦点を当てて描かれていたが、小説では弁天や北野の視点からテレビ業界も描かれていて、群像劇的な総合芸能小説の側面が強いと言える。

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    2026年09月09日
  • おかえり横道世之介

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    やっぱりこのシリーズは面白い。桜子とその息子のリョウタ、はやとさん、こもろん、浜さん等素敵な方に囲まれて世之介の人生がまた色濃くなった。
    この世界で自分も生きたと思える不思議な感覚でした。

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    2026年09月07日
  • パレード

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    男女4人のルームシェアに訪れた"ある変化"によって見え隠れする本性。あの部屋の澱みが善悪の判断を見誤らせているのか。彼らの関係性は良好に見えたけど、私はただ上澄だけを見ていたのだと最後に思った。
    再読するとさらに楽しめる作品だと解説にあったのでまた読みたい。

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    2026年09月06日
  • おかえり横道世之介

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    自分にとっては人生ダメダメな時期でも、意外と周りの人の人生に影響を与えているのかも…?
    善良であることを忘れてはならない

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    2026年09月05日
  • ミス・サンシャイン

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    伝説の映画女優和楽京子と大学院生の岡田一心が京子の自宅にアルバイトで荷物整理を手伝いにいくことで始まるのですが…
    和楽京子は私が読んでいても魅力的な女性
    芯があって凛としている
    自分をちゃんと持っている人は、いくつになってもかっこいいのです
     京子の生い立ちには長崎の原爆の話も出てくるのですが…
     この本を手に取るまで『国宝』を書いた方とは存じ上げず、『国宝』を読んだり観たりする前にこの小説を読めたことは良かったです
    次は『国宝』

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    2026年09月04日
  • 最後に手にしたいもの

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    重たいテーマの本が続いて、無性にエッセイが読みたくなった。そして久しくエッセイの本を読んでいないことに気づいた。誰のを読めばいいのかもわからなかったが、たまたま見つけた吉田修一さんの本作に吸い寄せられた。タイトルも気になったし、これまで数作読んで、吉田修一さんのファンになり、人柄に触れてみたいと思ったからだ。

    結果から言うと、ドンピシャだった。ANAの機内誌に連載していたとのことで、旅もののお話が多いのがよかった。情景描写を読んでいるだけで行ってみたいと思わせてくれる。それでいて、日常のありふれたきまづい瞬間などを切り取っていて、しかもそれがちょっと笑いそうになったり、どうなっちゃうの?と思わせたりする筆力はさすが!新作を含め、まだ読んでいない作品はいっぱいあるので楽しみでならない。

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    2026年09月03日
  • 日曜日たち

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    ネタバレ

    読み逃していた初期の作品を読む。

    「日曜日のエレベーター」
    30歳の渡辺。
    生きるのが下手、というか雑というか。

    「日曜日の被害者」
    女友達からの電話に
    3人で出かけた旅行先の出来事が思い出される。

    「日曜日の新郎たち」
    東京見物に来る父親を出迎える息子。
    2人の微妙な関係がバランスよく描かれる。

    「日曜日の運勢」
    実家暮らしの兄と、何をするにも煮え切らない弟。
    兄弟の会話に引き込まれる。
    (連作短編集の要といえる幼い兄弟との関わりも深くなる)

    「日曜日たち」
    東京で働く女性。
    恋人から受けたDVを自立支援センターに相談。
    そこからセンターで働くことになる。
    成長した兄弟との再会も描かれている。

    それぞれのタイトルがいい。
    幼い兄弟を軸に、物語が進むのも良かった。

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    2026年09月03日
  • 永遠と横道世之介 上

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    前作、前々作もそうだったが、読んでいるとその情景が頭に浮かぶような描写ばかりで、その空気感がさらに登場人物の気持ちを伝えてくれる。
    出てくる人たちがみんな暖かく安心して読める。下巻も楽しみ。

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    2026年08月29日
  • 国宝 上 青春篇

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    芸術選奨文部科学大臣賞、中央公論文芸賞をW受賞、
    作家生活20周年の節目を飾る芸道小説の金字塔。

    1964年元旦、長崎は老舗料亭「花丸」――侠客たちの怒号と悲鳴が飛び交うなかで、この国の宝となる役者は生まれた。男の名は、立花喜久雄。任侠の一門に生まれながらも、この世ならざる美貌は人々を巻き込み、喜久雄の人生を思わぬ域にまで連れ出していく。舞台は長崎から大阪、そしてオリンピック後の東京へ。日本の成長と歩を合わせるように、技をみがき、道を究めようともがく男たち。血族との深い絆と軋み、スキャンダルと栄光、幾重もの信頼と裏切り。舞台、映画、テレビと芸能界の転換期を駆け抜け、数多の歓喜と絶望を享受しながら、その頂点に登りつめた先に、何が見えるのか? 朝日新聞連載時から大きな反響を呼んだ、著者渾身の大作。

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    2026年08月29日