吉田修一のレビュー一覧
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ネタバレああ凄かった。と思わず声が漏れた。
大河ドラマを一晩で観たような、そんな感覚だった。1人の人間の生き様を、美しく甘く、残酷な鮮やかさで、これほどの舞に見せれるものか。語り長で、一章一章舞台を見ているかのような充実感。ずっとそばで喜久夫を見てきたような、でもすごく遠い存在のような。
面白かった、とか、感動した、とか、共感した、とかじゃなくて、凄かった。
周りの女性も凄かった。喜久夫を母親代わりに育てた幸子も、我が子の座を彼に取られながら、結局は後ろでずっと支えたし、喜久夫の元彼女にして俊介の嫁もまあ強かった。そりゃあ俊介の逃亡10年を側で支えてれば強くもなるか。みんな子供の頃に悲しい記憶を持ちな -
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世之介シリーズの完結編。
他の方も書いておられるのだが、読み進めるにつれて、「ああ、もうすぐ終わってしまう」と切なくなるのだ。本シリーズは1年を12章で分割して、1章で1か月が経過するスタイルだから、「あと1年、あと半年、あと3か月」と残りの月数を数えてしまう。
世之介シリーズの読者であれば、世之介が電車事故で亡くなることは周知のこと。正確な年月や、世之介の享年は覚えていなくても、なんとなくそろそろではないかと、残りの章が少なくなるにしたがって焦りが増してくる。
加えて、先だった恋人・二千花の亡くなる直前のエピソードや、これから生まれてくる子(後輩・ニコの子供)など、後半は生と死が入り乱れ -
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『横道世之介』シリーズ第3弾。
39歳となった横道世之介。カメラマンとして細々と生活しながら、『ドーミー吉祥寺の南』で暮らしている。祖母からドーミーを引き継いだあけみちゃんとは、未だ籍は入れずに同棲中。元芸人のサラリーマン・礼二さん、書店員の大福さん、大学生の谷尻くん、中学教師ムーさんの引きこもりの息子・一歩、の『ドーミー吉祥寺の南』の住人たちとの日々を送っている。
なんとなく、生きる世之介。ふわふわと中に浮いているように。
変わらない、本当にずっとこどものままだ。
亡くなった恋人・二千花を忘れられないために、あけみちゃんとの関係も…
あけみちゃんにも、『2番目』と言ってしまう始末で。
本 -
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ハリウッドで活躍した伝説の大女優、和楽京子。(本名、石田鈴) 80歳を超え 女優業は引退してもなお美しくスカッとした粋な人柄と、戦後の銀幕を彩った彼女の映画に魅了されていく大学院生の一心。
二人の半年間の心の交流を、丁寧に静かに紡いでいきます。
鈴は米国でミス・サンシャインと呼ばれ人気女優になりますが、実はそう呼ばれるのは嫌だったこと、愛する人がいたこと、長崎で被爆していること、自分よりもっと綺麗な幼なじみがいたこと‥徐々に彼女の華やかな半生の裏にある哀しみが明らかになっていきます。
作者の吉田修一さんが『初めて長崎の原爆のことを書こうと思った』と言っています。でも、このストーリーの -
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ネタバレ良かった。
けど、映画とはまた違う。
悪魔に祈るシーンが全然出てこないなと思ってたら、だいぶ後の方で出てきた。これは映画は上手く切り取ったなと思う。本だとそこまで印象に残らないような…?
娘との関係性についても意外だった。記者というところは一緒でも、本ではなんと、相撲ファンの父の影響か力士と結婚し、あっさりと退職、相撲部屋の女将さんになっている。荒れた時代はあるとはいえ、一緒にハワイに行ったり、孫にも会えたりする。その後また確執も生まれるが…なんというか、人生いろいろというか。悪魔に魂売り、家族を捨てた歌舞伎役者…と単に決められない気がする。映画はそこに焦点を当てた感じ。
ただ、本は最 -
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上巻に続き、歌舞伎という特殊な世界を描いた物語でありながら、読み終える頃には「芸を極めること」と「普通に生きること」は本質的には変わらないのだと感じた。才能や努力、嫉妬、挫折、人との縁など、誰もが人生で向き合うものが、歌舞伎という舞台を通して濃密に描かれている。
華やかな世界の裏にある厳しさや葛藤、人生を懸けて芸を追い求める登場人物たちの姿には何度も心を動かされた。上下巻を通して一人の人間の生涯を見届けたような読後感があり、歌舞伎に詳しくなくても最後まで物語に引き込まれる一冊だった。読み終えた今は、実際の歌舞伎を一度観てみたいと思わせてくれる作品でもある。