吉田修一のレビュー一覧
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吉田修一さん著「横道世之介」
著者の「国宝」が素晴らしかったので著者作品で人気のこちらの作品も期待して購読。
書店にて知ったがこの「横道世之介」は三部作になっていたので全て購入してきた。
今回の物語は主人公、世之介18~19歳の東京での大学生活の一年間が描かれている。時代設定や大学生の青春譚というところでなんとなく村上春樹さん「ノルウェーの森」を彷彿させられる。
この世之介、とにかく笑えるエピソード満載で久し振りに面白可笑しい物語だった。
主に就寝前に読んでいたのだが笑って何回も眠気が飛んでしまった。
この作品が秀逸だと感じるところが著者の文章力にある。個性的な登場人物のキャラクター設定 -
Posted by ブクログ
春、子供のいない夫婦が預かっている、海外赴任中の姉の高校生の息子が、彼女を妊娠させる。夏、市議会議員の妻が、夫の収賄を知って苦悩し、秋、数カ月後に結婚を予定している順風そうなテレビディレクターが、彼女を殺してしまう。そして冬、時代は一気に70年後に飛ぶ。冬の視点者は、「サイン」と呼ばれる、特殊な生まれ方をし、通常の人間とは区別されて生きている男。その「サイン」は、秋、テレビディレクターが追いかけていた研究者が作り出したものである。サインの妻が、春の夫婦の血縁者であったり、もう一人のサインの夫が、夏の市議会議員の血縁者だったりすることが、だんだんわかる。70年前の出来事が、影響している世界。あの
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おかえり!
泣けた!
横道の善良さに心洗われた。
冬に飲む自販機のコーンポタージュみたいな安心感と暖かさがある。
相変わらず笑いもあり。
大人になって大学生の頃のような激しさはないけど、人間味がある深い話が多かった。
印象に残ったのは次の吉田修一さんのまとめ。
人生の低迷期だったとしても、その時にしか会えなかった人はいるし、その時ならではの楽しかった思い出もある。
スランプ万歳!
なんか焦らなくていいんやなって思った。
当たり前に過ぎていく日常やけど、色んなことは起きてる。
それを楽しんで、受け入れながら生きていくだけでいいのかもって。
あとは、やりたいことやる。
横道みたいにカメ -
無料版購入済み
さすが
2025年夏、超話題の映画「国宝」のマンガ版。
原作小説が2018年秋と2021年秋の上下巻発売、このマンガが2024年9月から連載開始、そして映画の公開が2025年6月。
タイミング的に、このマンガ版は映画と共に売るというメディアミックス戦略の一環だろう。
作画の三国史明というマンガ家は、ビッグコミックオリジナルにて「穀潰しのメシア」という読み切り作品で2022年にデビュー。
そして、恐らくその次の作品が本作。
他に「武論尊100時間漫画塾」出身という情報くらいしかないが、絵のレベルはかなりのモノ。
特に、歌舞伎の女役にスポットを当てた作品で、妖艶さを出す描画力はすごい。
また、普段の絵 -
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ネタバレパレード
「悪人」、「横道世之介」と心に残る吉田修一氏の作品。「横道世之介」と同じような若者の日常を描きながら、「パレード」はとても不気味な小説でした。
狭い2LDKのマンションで共同生活を送る5人の若者。のんきで憎めない大学生、イケメン俳優の彼女、痛烈に飲むイラストレータ、映画俳優会社勤務の男、男娼の若者。
彼ら5人の背景を織り込みながら、5人が各章で主人公となり物語を少しずつ推し進めていきます。
結構ハードに生きている彼ら、彼女らが淡々と当たり前のように語られていることがとても不思議な感覚です。
解説の川上弘美さんが”恐い”小説と書いていて、何故恐いかがうまく書けないと言っています。