吉田修一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ表題作「パークライフ」よりも、同収録「flowers」がとにかく圧巻。
「同じルートを廻っていると、ふっと外へ飛ばされるような気がする」
生活に「僕」を縛り付けるような地元のしがらみや仕事のルーティンが、墓石やビールケースなどやたらと重みを強調する仕事で表現される。
対比される元旦や鞠子の軽やかさ、自由さ。同僚の妻と堂々不倫をしたり、公衆の面前で金太郎の喜劇を演じてみたり。露悪的でありながら、どこか自由。
心を通わせていたはずの彼らや、また兄弟のように接してきた従兄弟と、どうしようもすれ違っていく瞬間。
壊れたシャワーを浴びながら元旦を殴り付けたあの日のように、鞠子ともいつか、壊滅的な出来事を迎えるのだろうか。「いち抜けたぁ」とふっ飛ばされる衛星のような、そんな結末を想像してしまうようなラスト。
吉田修一ならではの何とも言えないモヤモヤ感を存分に感じられる傑作だった。
オススメです。
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Posted by ブクログ
世之介シリーズを読むと世之介が確かにこの世にいた、という気持ちになる。
読む前と読んだ後では、世界が少し優しく感じる。というか、自分が少し優しくなれる気がする。
人間の営みとはなんと愛おしいものか。
最終集ということで、これまでより、少し重いというか、真面目な感じがしたし、世之介を独り占めしてる二千花さんにすこしジェラシーを感じたり、あけみさんに同情したりした。(世之介はこれまで、成り行き的に付き合ってたけど、二千花さんだけは自分から好きになったんだね。)最後に一歩がベストセラー絵本作家になってるのも、ちょっと盛りすぎな感じもあった(自費出版、もしくは静かな広がりくらいでよかったけど、最後はわかりやすい社会的な位置付けをだすんだな、と)
けど、ほんとに世之介いいんだよね。情景がいい。
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Posted by ブクログ
横道世之介シリーズ第三作目。このシリーズはハズレがない。あいかわらずおもしろかった。
筆者の吉田さんは次のとおり書いてる。本シリーズは気の利いた伏線も回収もなし。世之介とその周辺の人たちのなんてことない日々が綴られている。もう少しいうと、人生とは人の一生から、派手な物語部分を引いたところに残るものではないか、と。
そのとおり、派手な物語がない本作。でも引き込まれるし、胸をうたれる。それは世之介のなんとも憎めないキャラクターがそうさせているところも大きいけれど、「事実は小説よりも奇なり」の部分もあるなと思う。
例えばあけみの父の勉の言葉「反対はするよ。…でも、こうも言うよ。芸者は立派な仕事だって。俺は誇りに思ってるって」は涙出たし、世之介のあけみに対する「2番目」発言は世之介なら言いそうで納得感があった。
小説なので、「事実は小説よりも奇なり」というのはおかしいけれど、本シリーズはいい意味で小説っぽくない雰囲気がとっても好きです。本当に世之介と生活を共にしているような気分になります。
下巻も期待です。 -
Posted by ブクログ
最新刊読んだあとで、改めて最初の世之介さんを読みたい衝動がおさえられなかった。
晩年の彼を知ってからの物語はこうも大きく膨らんでくるのかと、感慨深く。ひとつひとつのエピソードをかみしめるように読み進めた。登場人物たちのその後もちりばめながら時系列が前後しているのがとても心地好く、懐かしいアルバムを紐解くような気持ちだった。
以下 2017/1/24の感想。
とある大学生の日常をほんわかとのんびしとした雰囲気が描かれていて。
結構投げやりであったり、行き当たりばったりで
とりたてて特別なことも起こったりしないのに
面白ろおかしく読めてしまう。
後半になるにつれ、主人公のその後が描かれていくあたりがとても切なくなってくるのけれども
彼の言動のひとつひとつが心に残って
映画をみているような余韻。
読後感もとてもよかった。