吉田修一のレビュー一覧
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台湾新幹線建設を中心に、関わる周辺の人々の想い・生き方を描いている。
春香と人豪
結ばれる終わり方を期待していたけれど、そうはならなかった。私はまだまだ青いのか。お互いが言葉を飲み込まず、本心をさらけ出してもよかったのではないか、それで崩れるような関係性ではないはずなのにと、もどかしくなってしまった。
せめて、これからも親友中の親友として支え合っていくことを願う。
葉山勝一郎と中野赳夫
年月を要したが、勝一郎と中野のわだかまりが氷解し、さらに晩年を心穏やかに過ごせたことはよかった。
他の面々の今後もやわらかな明るさをもって想像できる。
ただ、春香と人豪が…(まだ言ってる…)。
私が中学1年の時、母が台湾工場の技術指導のため、1か月ほど高雄市に滞在していた。
帰国後、台湾の高齢者は日本語が話せるんだよと言っていた。
葉山勝一郎と中野赳夫の時代の話だったのかと、中学1年の夏を思い出した。 -
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『国宝』の吉田せんせ、最近では日経夕刊に連載されてましたね。あれはもっとエロが欲しかったですね、残念でした。
とは言え、クズ系ばかり読んでいた私には今回の物語は一服の清涼剤と申せばよろしいのでしょうか、素敵な純愛物語で私のクズ臭が後半の涙と共に一掃されて、ここ最近では一番の涙活ではかったかと。誠にありがとうございます。
女優・和楽京子と親友佳乃子との別れは辛かった。原爆症による早世。ここから物語が一気に進む。悲しい歴史、みんな人には言いたくない辛い思い出はあるはず。
20代と80代の純愛物語です。もちろんエロはありませんが、この伝説の映画女優と言われる80代の和楽京子さんには読んでいてエロスを感じました。吉田せんせウマイ!
ただお願いがあります。実写だけはおやめになっていただければと存じます。いや、まじで。 -
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ネタバレああ凄かった。と思わず声が漏れた。
大河ドラマを一晩で観たような、そんな感覚だった。1人の人間の生き様を、美しく甘く、残酷な鮮やかさで、これほどの舞に見せれるものか。語り長で、一章一章舞台を見ているかのような充実感。ずっとそばで喜久夫を見てきたような、でもすごく遠い存在のような。
面白かった、とか、感動した、とか、共感した、とかじゃなくて、凄かった。
周りの女性も凄かった。喜久夫を母親代わりに育てた幸子も、我が子の座を彼に取られながら、結局は後ろでずっと支えたし、喜久夫の元彼女にして俊介の嫁もまあ強かった。そりゃあ俊介の逃亡10年を側で支えてれば強くもなるか。みんな子供の頃に悲しい記憶を持ちながら、歯を食いしばって何度落ちても這い上がる。カッコよかった。歌舞伎の世界って古いし、女性は舞台に立てないけど、舞台に立つべき周りの支えがあってこそ、役者が舞台に立てるのだという事を初めて知った。
市川団十郎と麻央ちゃんのことを、つい思ってしまった。 -
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世之介シリーズの完結編。
他の方も書いておられるのだが、読み進めるにつれて、「ああ、もうすぐ終わってしまう」と切なくなるのだ。本シリーズは1年を12章で分割して、1章で1か月が経過するスタイルだから、「あと1年、あと半年、あと3か月」と残りの月数を数えてしまう。
世之介シリーズの読者であれば、世之介が電車事故で亡くなることは周知のこと。正確な年月や、世之介の享年は覚えていなくても、なんとなくそろそろではないかと、残りの章が少なくなるにしたがって焦りが増してくる。
加えて、先だった恋人・二千花の亡くなる直前のエピソードや、これから生まれてくる子(後輩・ニコの子供)など、後半は生と死が入り乱れて、読んでいるこちらの心も乱される。でもそんな中でも、世之介はしっかりと、普通に生きて、生活しているのだ。
線路に落ちた女性を救うために、躊躇なくホームから飛び降りることができるのはこんな人だろうなと納得できました。これまでの横道世之介シリーズ2作品も充分楽しませていただきましたが、世之介を理解するに3作目が必要不可欠だと感じました。ありがとうございました。
雑記
長崎の「精霊流し」って、さだまさしさんのしんみりしたイメージしかなかったんですが、あんな爆音と花火の行事だったんですね。同じ行事でも語る人によって印象がこうも変わるんだなと思いました。さださんのは大騒ぎした後の寂寥感でしょうか。一度、お盆の長崎を訪れてみたいと思います。 -
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『横道世之介』シリーズ第3弾。
39歳となった横道世之介。カメラマンとして細々と生活しながら、『ドーミー吉祥寺の南』で暮らしている。祖母からドーミーを引き継いだあけみちゃんとは、未だ籍は入れずに同棲中。元芸人のサラリーマン・礼二さん、書店員の大福さん、大学生の谷尻くん、中学教師ムーさんの引きこもりの息子・一歩、の『ドーミー吉祥寺の南』の住人たちとの日々を送っている。
なんとなく、生きる世之介。ふわふわと中に浮いているように。
変わらない、本当にずっとこどものままだ。
亡くなった恋人・二千花を忘れられないために、あけみちゃんとの関係も…
あけみちゃんにも、『2番目』と言ってしまう始末で。
本当に小学生かと…
誰からも愛される世之介。
世之介の周りにはほんわかとした雰囲気が生まれる。たとえ、南條さんであっても。
なんなんだろうな。
このまま世之介はどうなるんだろう。
あけみちゃんとは⁇
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ハリウッドで活躍した伝説の大女優、和楽京子。(本名、石田鈴) 80歳を超え 女優業は引退してもなお美しくスカッとした粋な人柄と、戦後の銀幕を彩った彼女の映画に魅了されていく大学院生の一心。
二人の半年間の心の交流を、丁寧に静かに紡いでいきます。
鈴は米国でミス・サンシャインと呼ばれ人気女優になりますが、実はそう呼ばれるのは嫌だったこと、愛する人がいたこと、長崎で被爆していること、自分よりもっと綺麗な幼なじみがいたこと‥徐々に彼女の華やかな半生の裏にある哀しみが明らかになっていきます。
作者の吉田修一さんが『初めて長崎の原爆のことを書こうと思った』と言っています。でも、このストーリーの中に生々しい描写は一切なく、そうしないことで逆に哀しみを伝えていく手法を取っています。
「世の道世之介」風の一心くんと80代の鈴の、静かな呼吸が聴こえてくるようなストーリーです。
・2022年 第29回島清恋愛文学賞