吉田修一のレビュー一覧
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ネタバレ前半はよくいるOLの話。仲が良いようで心の中ではほくそ笑んだりしている、女の汚い部分が描かれていた。被害者はまさに"イヤな女"だし、加害者は苦労人で初め同情したが結局感情で人を殺めたし、で、登場人物の誰にも共感できない、むしろ胸糞な内容。だが後半、どうしようもない登場人物の家族側にスポットライトが当てられ、感情移入をし、泣いてしまった。自分の大切な子・孫がどんな悪行を働いたとしても、愛おしいし、それを馬鹿にする人の気持ちがわからない。普段では考えられない行動も発作的に起こす。亡き娘の背中を蹴り飛ばした男の元へ行くも結局もできず帰ってきてしまう父の切なさ。自分を脅迫する男の元へ震えながら立ち向かう祖母の姿。孫の優しさが動力になる。その孫は人を殺めたが、祖母にとってはかけがえのない孫である。救いようのない事件の中で、人の心が希望の光となる物語だった。
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読んだ本 おかえり横道世之介 吉田修一 20260614
シリーズ連投で読みました。
ちょっと世之介の世界が小さくなった気がするけど、周りの人たちの関わる世界に間接的に触れることで、無力感を感じさせない何もできない様子がなんかいいですね。
こういう幸せの中で納めてあげたくなる気もするんだけど、そうはいかないんですかね。
隼人さんの最後が、すごく感じ入りました。当たり前のようにしていたことからの解放。自分が何なのかを取り戻すようなラストシーン。これを最後に持ってくるなんて、やっぱり良いお話でした。
三作目もあるって気づきました。
少し余韻に浸ってから読みますかね。 -
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偶然にも知り得た吉田氏のエッセイは、心に響いた。本書もすぐに読んでみようと思っていた。個人的にも、旅は、いいものだ。
本書は、航空機内誌に連載されていた25編のエッセイを纏めている。カバーが、圧巻だ。椰子の木と
その椰子の木の周囲を取り囲む岩場等、ちぎれ雲とのコントラストが筆舌し難い。見事に夏の一瞬を切り取っているように見え、非常に目に映える。
筆者は、中国語を勉強しているようだ。日本語と中国語との発声方法の違い等を知ると、中国語に対するイメージ等も変わるという。さらに、筆者は、新しい言葉を学ぶ楽しさを述べている。確かに、学習直後は、特に楽しいだろう。
中国語の勉強を始めた筆者と、中国語に限らず外国語を少しでも実践したいという気持ちが強かった学生時代の頃とが重なった。
余談だが、先日、勤務中に中国人旅行者が質問してきた。何とも心許ない中国語力だが、問題等は解消できたようで、そのお二方は、満足気だった。
日々思っていることだが、新しい言葉を知ることは、世界を拡げてくれるはずだ。
本書は、私の背中をそっと押してくれた気がした。 -
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ネタバレ映画に感動して手に取った。
当然映画はいろいろ端折られている。でも、改めて映画は映画でとてもまとまっていたのでは…と思った。
徳次の存在
これは小説において重要。喜久雄が寡黙なタイプ、表現が薄いタイプなだけに、かなり効いてくる。喜久雄にとってなくてはならない存在。そして読者的には喜久雄がヤクザの血筋であることを要所要所で思い起こさせる。
ヤクザの勢力図と歌舞伎界の勢力図
なんかね…ヤクザっていたんだなって…この時代を生きてきていないから、ちょっと理解しにくくはあるけども、どう立花組が解体させられていくのか、それでも辻村には頭が上がらない、なんなら資金援助を受けているとか。立花組のことを夜の女性達が哀れむほどとか。描かれ方が切ない。
梅村が白虎の件で左遷され、喜久雄の後見人に万菊がならず、鶴若がなる。そして端役しか渡されず、地方巡業。一方、竹野が俊介を見つけ、万菊が後見人となる。俊介には良い役が与えられ、万菊と共演。一方の喜久雄は端役も端役。歌舞伎界の後見人の必要性が描かれていた。
マツ
小説で印象的な女性はマツだった。喜久雄の実の母ではないのに、千代子に顔向けできるような子育てをと奮起している。いや、それ以上の母としての愛を感じた。大阪に送り出すときに他のヤクザの家はダメだと大反対、突然帰省した喜久雄に女中姿を見られたときの切ない対応、何よりも優先する仕送り、大阪へは行かず、いつか東京で喜久雄の歌舞伎を観ると長崎で小料理屋を営む決意。なんか、かっこいいお母さんだよね。見栄で大阪行くときに良い着物を質屋で借りるとかさ、立花組の妻の意地と見栄もあり、一生懸命な人。
さてさて、彰子が登場して上巻は終わり。下巻も楽しみ。 -
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吉田修一さんの恋愛小説。
テレビ局に勤める俊平は、公園で出会った聴覚にハンディキャップを持つ女性・響子と恋に落ちる。
静かで穏やかな日々を重ねていく二人は、俊平が仕事で忙殺されるなかで、すれ違いが積み重なっていく。
俊平と響子は言葉を交わせない分、伝えたいことを精査して文字で伝えるため、余分なことを省略するのが当たり前になってしまう。だけど、その余分なことが相手を知るために必要なこともあり、心が通じ合えるほどの関係に至っていなかったことに気付かされる。
思っていた以上に相手のことを知らず、知らないことに薄々気付いていたのに知ろうとしなかった俊平の気持ちが見えてくる描写がとても良かったです。
二人の出会いの場面がとにかく美しく、はっきりとは描かれない二人の関係も想像をかき立てます。
吉田さんの恋愛小説は心に沁みる。また好きな作品が増えました。