吉田修一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2026.04.22 ★4.6
上巻は静かに淡々と時間が流れ、下巻からは怒涛の展開。
3ヶ所に居る身元不詳の男は一体誰なのか
誰が誰を信じていて、誰が誰を信じられないのか
「怒り」は誰が誰に向けたものなのか
一気に色々なことが起こり、ページをめくる手が止められない。
正直、読み進めるのが辛く感じる展開もあったが、ほんの少しだけ光が見える終わり方だった。
↓↓↓内容↓↓↓
山神一也は整形手術を受け逃亡している、と警察が発表。
洋平は一緒に働く田代が偽名だと知り、
優馬は同居を始めた直人が女といるところを目撃し、
泉は気に掛けていた田中が住む無人島であるものを見てしまう。
日常をと -
Posted by ブクログ
ネタバレ喜久雄が不憫すぎて何度も辛くなっしまった。誰も悪くないからまたつらい(悪いやつも一部いたが、いやでもその人にも何らかの事情があったのかもしれないか)。マツと徳次の人情が良くて涙した場面もあった。映画を観たときも思ったが、喜久雄は幸せだったんだろうか、、、私にはそうは思えない。でもこうなる運命というか、渦の中で生きるしかなかったのかとも思う。
解説がありながらも想像ができない部分があって読むのが難しいと思う箇所も少なくなかった。それゆえ、私は映画を観てから読めて良かった。心の中で吉川亮氏(喜久雄ぉぉぉぉ)ーーーー(涙)!!!となることも多かった笑
稚拙な言葉しか出ないけど、いろいろな文献が載って -
Posted by ブクログ
人は魚ではないので、陸で生活した方が楽だ。
それでも水の中での生活はやめない。
ときおり顔を出して大きく息を吸う。
顔を見合わせて笑ったりする。
そういうときに限って、水中から足を引っ張られたりする。
それでも泳ぎ続ける。
以下抜粋
- おめえ、大したもんだよ。自分が世話になってきた親分さんの顔、ちゃんと立てたんだってな?貧乏くじ引くの覚悟で、そのパーティーに出たんだろ?俺はな、そういう奴は買うんだよ。世のなか、自分の損得でしか動けない奴ばっかりだ(P.126)
- うちの娘婿がやったことを咎められる奴が、この世界にいるんですかね?あいつを咎めるってことは、自分たちを咎めるってことだ。 -
Posted by ブクログ
全ては運命と言われれれば、そうだったのかもしれないと思わされる。
一方で全ては意志であり、意地であり、欲であり、怒りであり、
人の正負が混在した意識が濁流となってできたような展開に飲み込まれていく。
以下抜粋
- そう問いかける半二郎の、何も知らぬような目を見たとたん、ああ、旦那はまえから何もかも知ってはったんやな、と、今さら気づく喜久雄でございます。(P.195)
- 俊ぼん、アンタは生まれときから役者の子や。他の子らと野球するのも我慢して稽古してきはずや。何があっても、ちゃんとアンタの血ぃが守ってくれる。そいで喜久雄。アンタ、うちに来て何年や?五年になるやろ。そのあいだ、一日でも稽古休 -
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吉田修一の描く群像劇はやはりピカイチだと思う。
とても素敵な作品だった。
台湾に日本の新幹線が走る。
商社の台湾支局に勤める春香と日本で働く建築家・人豪の巡り合い。
台湾で生まれ戦後引き揚げた老人・勝一郎の後悔。
「今」を謳歌する台湾人青年・威志の日常。
新幹線事業を背景に、
日台の人々の国を越え時間を越えて繋がる想いを色鮮やかに描く群像劇。
出てくる登場人物たちが皆何らかの形で台湾新幹線に関わっている。
これは非常に高等なテクニックだとも思った。
何気ない日常を描き、何でもない台湾人青年に至ってもそういう流れになる。
群像劇で一番難しい繋がりを、いとも簡単に描いている点は流石の一言。
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Posted by ブクログ
喜久雄と俊介の人生が対照的でありながらお互いを補うように、まるで太陽と月のように描かれている。映画を観ておらず歌舞伎にも疎いが、ありありと映像が目に浮かぶような、特等席で芝居を見ているような芸の凄みを見た感覚になった。
「…見るもん、やるもん、何から何まで新鮮で、歌舞伎が好きで好きで、稽古がおもろうておもろうて…」
「…歌舞伎が憎くて憎くて仕方ないんでしょ。…でも、それでいいの。それでもやるの。それでも毎日舞台に立つのがあたしたち役者なんでしょうよ」
芸に魅了された者と生まれた時から芸に生きる道を決められた者、この文章にすべてが凝縮されているのではないかと思う。花道篇を読むのが楽しみ。 -
Posted by ブクログ
当初想像していたのとはだいぶ違う内容だった。それは勿論良い意味で。
心に傷を負った大学院生の岡田一心は、
伝説の映画女優である和楽京子こと石田鈴の自宅で荷物整理を手伝うことに。
引退した今なお美しい鈴さんの胸に秘められていた波瀾万丈な映画人生、
原爆が奪った運命と大切な人たち。
その過去に触れるうち、一心の胸にあたたかな光が灯る。
吉田修一作品で言ったら横道世之介に分類される読みやすさと温かさであった。
何より、鈴さんの生きた人生が本当に胸に刺さる内容であった。
ミス・サンシャインに込められた皮肉、
そんなことにも気付けなかった己の無知さ加減も含めて。
鈴さんという存在によって、
主人公