吉田修一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ直樹の章の最後で、全くジャンルが異なる本になる。
共同アパートで暮らす5人を丁寧に描いた群像劇のように進んでいく。
サトルが新たに入居して不穏な空気になるがそれがミスリードのまま終わると思いきや、まさかのそれをオチに持ってくる衝撃の展開。
読んでいて全く予想できなかった、ただこの作品のジャンルがとても難しいと思った。
オチありきならミステリーになるのだが、それだとオチの衝撃が無くなってしまうだろう。
しかし、純文学と言われればオチによって全く異なる性質に変わるので純文学ではない、故に非常に難しい本の紹介になる。
紹介する人の技術が問われる小説なのかもしれない。
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Posted by ブクログ
やはり吉田修一作品すごいなあ。
いったい悪人とはなんなのか。見栄を張り平然と嘘をつくものなのか。殺しはしないが人の心を弄びなんとも思わないものなのか。追い詰められて人を殺すものなのか。愛を貫いて法を破るのが悪人なのか。知りもしないで外野から批判する者たちなのか。
2人にとっては逃避行だったけれども、孤独な者同士が初めて繋がる居場所だったんだろう。究極に切ない。
長崎弁で書かれているからか素朴さを感じながらもかえって剥き出しの感情が刺さってくる。
「その人の幸せな様子を思うだけで、自分までうれしくなってくるような人たい」という父親のセリフや「祐一、逃げたら駄目よ。怖かやろうけど、逃げたら駄目よ。 -
Posted by ブクログ
昨年の夏に映画版を見た。
三時間超の長丁場。良かったことは間違いなく良かったのだが、それでも後半はなんだかダイジェスト版を見せられたように感じてしまった。
原作は上下巻本なのだから、これは絶対にもっと書き込まれているはずだと確信できたので、一度きちんと読んでみたいと思った。
最初に意外に感じたのが敬体――「です・ます体」で書かれていたことだった。
なぜこの文体を選んだのか。
しかも、その語り口は“神の視点”ではなく、何やら人格を感じさせるものがあり、それが若干ノイズのようにも思えたのだ。
著者は、自身黒子として歌舞伎の現場取材を重ねた上で本作の執筆にあたったという。その取材経験 -
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ネタバレ会社の同僚たちが次から次へと映画『国宝』を観に行きました。映画を観て小説を読んでも小説を読んでから映画を観ても良いよと言われたのですが、映画を観る前に小説を読みます。
読みながら喜久雄のイメージは横浜流星だと思ったのですが違いましたね(笑)。読んでから映画のキャストを見ました。
語り口調で話が進むのも俯瞰的で良いです。
喜久雄はいい人に恵まれましたね。
いつでも喜久雄の味方になってくれる幼馴染の徳次、愛情深い父の後妻のマツ、喜久雄を目の敵にしているように見えるけど実は…な体育教師の尾崎、そして、喜久雄を引き取って稽古をつけてくれた歌舞伎役者の半二郎。半二郎の息子の俊介も喜久雄をライバルとして -
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ネタバレ評判が良いので読んでみた。
長崎から東京の大学に上京し、大学生を謳歌する世之介。青くて若い生活楽しいー!と思って読み進めていたら急に現在軸になり…。
世之介、亡くなってしまっていたのね。それまで楽しく読んでいたのが一変、見え方が変わって世之介のその後の人生に想いを馳せてしまった。
青い時間が色褪せてしまうことも、過ぎた日々に想いを馳せることも、懐かしい誰かがもう側にいないことも、何も変わったことではなく誰もが日々の中で感じることである。あんな人いたな、こんなときもあったなと感じたことや触れたこと、人生の全ての起点はそこにあるのかもしれない。
とても現実的な小説だった。学生のときの翔子