吉田修一のレビュー一覧
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感想を思いめぐらしていたら、もう一度始めからしっかり読んでしまった一冊。
感想書きプロではないのに間を置かずに再読するなどと、長い読書人生初めてのこと。
社会派ミステリーに属する内容と思われるのだが、登場する刑事たちがなにしろ悪徳者そのもの。
でも、なぜか排除できないものもあるのだ。
罪ありきの過酷な取り調べ、冤罪になりそうな筋書きを作る刑事たち。おまけに聴取している参考人との不徳な関係は何なんだと思う。
その警察官圭介と事件関係者佳代との不倫関係は、強烈なサディズムとマゾヒズムの関係。不道徳極まりないと嫌悪するも、なんと生き生きと描かれていることか。
そしてその陰に隠れるように、もみ -
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いろんな状況で「逃亡」する人々の話。
なんていうか…やりきれなさが拭えない。
つくづく不公平だよなぁと思う、気づいたらどん詰まり。というか始めっから行き詰まっててどうにもならない。もちろんわかってたけど…何かのきっかけでそのことがもう嫌になって、夢を見ているみたいに、アクセル踏み込んで検問突破したり、郵便の荷物を乗せたままフラッとどっかへ行ったり。
逃亡。願望…ですらないのかなぁ。でも長く人生に苦しんでる人が屋上に登ったら死にたいと思ってなくても突発的に飛び降りてしまうみたいなのににてるんじゃないのかな。
悪人の時も思ったけれど、普通の状態なら真っ先に考える「先のこと」が全く考えられなくなって -
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ネタバレになるけれど、2015年から70年後の世界が描かれていて、構成といい、文章といい、とても面白かったけども、わたしが経験した70年後の世界はもっと面白いのかも。
つまり今、82だから12の時から、現在70年後の世界にいるってこと。
12歳の時(1953年)は今普通に使っているものは無かったか、初期段階。
例えば、テレビジョンの放送が始まって、ブラウン管のでかい箱を駅頭で見上げた記憶。
電話は黒いダイヤル式、冷蔵庫は氷で冷やし、たらいで洗濯(14歳ころ一層式洗濯機ハンドル絞りつきになった)などなど...
人間関係の世界はっていうと、それも変遷だ。社会機構、体制様変わり。
LGBT -
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ネタバレ映画のイメージが強くて(観てないけど)、ずっと逃走劇が繰り広げられていると思っていたけど、前半はむしろ淡々と進んでいた印象。登場人物の心情に深入りすることなく、一歩距離をとって紹介が続く。
こんな感じか、と拍子抜けしていたら、いつの間にか祐一にのめり込んでいて…。光代には惹かれなかったけど、(むしろ、トラウマとはいえ自首させてやれよと思ってイライラした)二人の姿は哀れながらも笑うことはできなかった。
ラストの首を絞めるシーン、気になって調べたら映画ではアドリブでキスシーンもあったとか。なんだその演出、そこだけでも観たいもんな。そして、ラストの「あの人は悪人やったんですよね?ねえ?そうなんです -
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「永遠と横道世之介」を読む前にもう一度振り返ってみようと思い再読した。
2009年に読んでから年数は経っているから細かなところは忘れていた。
だが、一気に世之介の世界観に浸る。
長崎から東京へ出てきて大学生活が始まり、サンバサークルの倉持と阿久津との出会いや加藤のアパートに入り浸っていた頃。
バイトに明け暮れていた頃でもある。
自動車教習所で知り合った祥子と夏休みには実家で過ごしたり…と。
確かに出会いとともにいろんなものが増えていく…という感じでアパートの隣人の京子が言うように一年経つとあの頃より隙がなくなった。
ドンピシャな表現である。
飄々とこなしている世之介は妙に人を惹きつけ -
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何気ない1日。何気なく自由気儘に暮らしている世之介。
横道世之介シリーズ、第何弾だろうか?三作目くらいかな。
作中で作者自身がこの物語には、大波や波乱は起こらずごくごく普通の世之介の日常が描かれていると、まさにその通りである。
思えば自分の人生だって、小説やドラマのようなジェットコースターのようなことは早々起こらない。
波乱はないけど、読んでいて安心する。
色々な本を読む中でたまにはこのようにホッコリする小説もいいな。
本編には全く関係ないが、作中で世之介が紹介したアメリカ軍で導入されている寝方は、自分も実践して役立っているw。
1.舌の力を抜く、2.口を緩める、3.徐々に瞼を閉 -
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吉田さんの小説は、『横道世之介』しか読んだことがない。
本書は、短編+エッセイ集。
ANAの機内誌『翼の王国』が初出とのこと。
世之介とはまた違う側面が見えると期待して手に取る。
超短編小説なので、どうしても説明部分が目立って見える。
最初の二、三作は、そんな感じが否めなかったが、「居酒屋」あたりから、だんだん作品との波長が合ってくるのがわかる。
そうすると、やはり展開の鮮やかさに心を奪われる。
エッセイは…
以前NHKのネコメンタリーという番組で、吉田さんと飼い猫との日々が取り上げられていたのを見たことがある。
マンションの様子なども映り、作家の日常生活がほんの少し垣間見えたりする番組だ