吉田修一のレビュー一覧

  • 怒り (上)

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    とある猟奇殺人。犯人は逃亡し、指名手配に。
    証言から作られた犯人の似顔絵に顔が似た3人の男。東京と静岡と沖縄、三か所で語られる3人の男たちの物語。彼らのうち、誰が犯人なのか…。

    いやー、暗くて暗くて、好みの作品でした。
    沖縄編は悲痛すぎて二度と観たくない。

    3か所それぞれの土地の雰囲気は居心地が良かった。実写映画も好きだけど、やはりこの原作の表現力はすごい。

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    2024年06月05日
  • 永遠と横道世之介 上

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    女性に困らない世之介は、カメラマンとなり、あけみちゃんの経営すること下宿で同棲する。
    仕事の友達、下宿の人々…世之介が穏やかで楽しい人物のおかげで、周りに人が集まってくる。

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    2024年06月04日
  • 永遠と横道世之介 上

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    ネタバレ

    読みやすい。
    けどなんとなく過去作に比べて変にこなれた感じもした。

    下巻を読まないと評価を下しづらいけど、
    上巻の最後のシーンはジーンと来た。

    なんか、前は未来との行き来で、今回は過去と行き来する、しかし、あまりそれが興味を持てないもんだから、なんとなく気持ちがのれない。
    面白いのですし、読みやすいのですが、気持ちがのらないかな…
    下巻を早く読もう。

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    2024年05月27日
  • 悪人 新装版

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    楽しい。この描写の奥深さ。
    たとえば、腕をつたう洗剤の泡、だとかそのかゆみが全身にうつる、とか細かな描写から人物の心の内をのぞかせてくれる。宮部みゆきさんとかもそう。余韻というのか、想像の余地を少し残してくれている。
    よくファミコンなんかが再評価される時に使われる、表現しすぎないというプレイヤーの自由。

    ああ、吉田修一さんは『国宝(上)(下)』に震撼させられた方じゃないか。本作もまた、シーンと深い思索に落ちていくような感覚を味わった。
    祈るしかないようなフィナーレの迎え方が、人間という余韻すら残してくれる。


    うん、なんかいいこと言った気がする。
    生きたという余韻。

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    2024年05月22日
  • 女たちは二度遊ぶ

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    吉田修一さんって、短編もなかなかですね。一つ一つはとても短いですが、人間関係の機微を上手く切り抜いて表現されていました。少し甘いけど、星4つです

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    2024年05月20日
  • 森は知っている

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    子どもの生育環境がその後の人生に与える影響を感じた物語でした。

    「水」に関しても様々な角度から描かれていて、味わい深く読みました。海、川、滝、ダム、大雨、冷たい雨、凍る水、濁流、水道、、それぞれの知識があるとまたさらに深く読み込めるのではないかと思いました。

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    2024年05月18日
  • 永遠と横道世之介 上

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    読み終わった。

    生活支援員として働き出し、夜勤をして4年目。
    介護福祉士の勉強が、なかなか家で思う通りに出来なくて、
    「よし!夜勤の時間を使おう!」と思ったのがきっかけで、
    夜勤の時間を使って、好きなことをするようになった。
    今まではiPhoneさえ触っていなかった。

    ちょうど気持ちに余裕がある夜でもあり、読んだ。

    横道世之介といえば、熊本出身の俳優、高良健吾さんが主演を務めるということで、
    その時大分に住んでいた私は、
    お世話になっている綺麗なお姉さんとそのご友人さんと試写会に博多の映画館に行った。
    その時、恐らく高良さんのご両親とお兄様も見にこられていた様子だったなぁ。

    その時の横

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    2024年05月16日
  • 逃亡小説集

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    吉田修一の『犯罪小説集』に続く日常からの逸脱をテーマとした連作短編集。本作品集としての特徴は実際に起こった事件を題材にしていることにあるのですが、解説でも触れられていた通り「日常からの逸脱」自体は吉田修一の他の多くの作品にも描かれる重要テーマ。実際の事件を下敷きにしている本作はそうした日常からの逸脱が決して特異なものではなく私たちの日常と地続きのものであることを考えさせてくれる。『犯罪小説集』『逃亡小説集』ときて、次が出るならなんだろうか。

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    2024年05月02日
  • 橋を渡る

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    ネタバレ

     まさに橋を渡るような読書体験だった。春、夏、秋と橋を渡った先には奇妙な冬の景色がある。それは虚構に違いは無いが、我々自身の選択によってはある意味有り得る未来図とも言える。

     初めの三篇は極平凡な純文学的作品に見える。iPS細胞、東京都議会野次問題、雨傘革命、マララ・ユスフザイ、東京オリンピック等等、当時としてはタイムリーだったのだろう、リアルと地続きの距離感と世界観で物語は展開する。日常に潜む言語化し難いモヤモヤを抉りながら。人間ってこういうところあるよね、みたいな。それぞれの掌編の繋がりは稀薄で、態々一つの作品としてやる意味あるのかな、なんて考えたけれど……。

     最終章「そして、冬」に

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    2024年04月29日
  • おかえり横道世之介

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    続編はいまいちだったり、前作と似たような感じになってしまうことが多いけど、これは本当に世之介の人生を続けてみている感じで良かったなー。
    関わる周囲の人達のその後と24歳の世之介の暮らしぶりが描かれるのは同じなんだけど。みんないい。底にいるけど、善良にみんな頑張ってる。浜ちゃん、コモロン、サク、隼人さん、亮太。隣の中国人、コンビニの娼婦たち。下町の人情物語な2作目でした。

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    2024年04月28日
  • おかえり横道世之介

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    というわけで読み直し(詳しくは永遠と横道世之介上巻の感想)。

    そうそう、就活に失敗してパチンコ通いだったよね。浜ちゃん、コモロン、小岩の桜子さん一家…懐かしい面々を思い出しつつ読み進む。
    まだあの頃はデジタル化もまだまたで、時間の流れが緩やかだったよなぁ…。

    ん?ニチカいないぞʕʘ‿ʘʔ
    出てこないじゃーん ´Д`
    これはやっぱり下巻で種明かしだったのか…もう少し自分の記憶力を信じても良さそうだ。
    無駄足だった気もするけど、やっぱり世之介を読むと心がほどける。

    というわけでいざ下巻へ。
    2024.3.23

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    2024年04月25日
  • 愛に乱暴(下)(新潮文庫)

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    倦怠気味の夫婦の日常を描きつつ、並行して不倫相手の日記によって、旦那の不倫が描かれている?
    上巻から下巻にかけて一変する展開に驚き!

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    2024年04月16日
  • 横道世之介

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    バブル期に大学生として上京してきた横道世之介の一年間。と世之介の周りの人達の20数年後。
    真面目なんだか抜けてるんだかフワフワしてるのに一途でおもいやりがある。こんな友達が欲しいなと思わされる。
    まさかな展開に「えっ!」て声が出てしまった。
    祥子の変貌振りが1番びっくりだった。

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    2024年04月11日
  • もの書く人のかたわらには、いつも猫がいた NHK ネコメンタリー 猫も、杓子も。

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    NHKの「ネコメンタリー 猫も、杓子も。」見損ねてるからみたいな。
    個人的には、保坂和志さんの猫本読みたくなった。

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    2024年04月09日
  • 女たちは二度遊ぶ

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    作者の吉田修一氏が「初めて何かを思い出そうとして書いた作品」と語っている通り、過去に関わった女を懐古した作品。
    「何を思い出そうとして書いたのか、、それは結局わからなかった」と。


    アベレージは低いけれど、こういう余韻を残す作品は嫌いではない。

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    2024年04月04日
  • 犯罪小説集

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    いずれも実際に起きた事件を題材とした短編5編。どの作品もラストに曖昧さを残すが現実と創作の差異を読んで想像する。
    誰しも犯罪者となる隙間が見える。

    「青田のY字路」
    北関東連続幼女誘拐殺人事が題材か。
    そのうちの一件「殺人犯はそこにいる」で取り上げられた冤罪事件“足利事件”を意識したかな。
    それだけでなく類似犯罪も取材の上かと思う。
    少女達の誘拐殺人は許せるものではないが、
    犯人であろうと地域住民から追い詰められる男の行先。数々の状況や生い立ちそのものへの不信感。
    「曼珠姫午睡」
    弁護士の妻英里子の中学の同級生が殺人犯で捕まる。内縁の夫の保険金殺人。目立たなかった少女の中学卒業後の変貌。中学

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    2024年03月31日
  • もの書く人のかたわらには、いつも猫がいた NHK ネコメンタリー 猫も、杓子も。

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    6人の作家さん毎に色が異なる厚手の紙の本。
    写真はもちろんカラー。

    角田光代さん
    「トト」は2冊フォトエッセイを読んだので知ってる。
    「トトが来る前は自分中心で、辛いことがあると全身で向かい合っていたのでしんどかった。」が、
    「トトが来てからは、とりあえずトトにご飯をあげなきゃ、といった気持ちの逃し方ができた。」そうだ。
    角田さんは犬が好きで、「トト」は犬の要素を持っていると言っていたのを思い出した。
    他の猫よりも人懐っこいのかな。

    村山由佳さん
    猫が大好きなんですね。
    「もみじ」に対する想いは尋常ではなく、エッセイを何冊も出しているみたい。
    「もみじ」の生まれる瞬間にも立ち会ってるし、亡

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    2024年03月28日
  • ウォーターゲーム

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    このビジネスサスペンス小説は、利権絡みの競争社会を描いており、政治家の大物が関与する現実を反映しています。物語の面白さは、主人公が過去の人生を晴らすために社会に斬り込む奇想天外な計画と逆転展開を描いている点にあります。主人公は情報を駆使し駆け引きを行い、最終的には巧みな戦略で生き残りを果たす様子が描かれています。この小説は、現代社会における利権を巡る金持ちや政治家の貪欲さ、そして彼らが利権を手放さずにしがみつく姿をリアルに描写しています。

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    2024年03月16日
  • 湖の女たち(新潮文庫)

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    最後までドロドロした空気で覆われて、さすが吉田修一!と感じさせられた一冊。どう考えても一般的な日常からはかけ離れた世界なのに、何故か引き込まれて一気に読み終えてしまった。
    ホワイダニットの観点から見ると、そんなアホなと思う一方で、もしかしたら有り得てしまうなぁと恐ろしく感じるところも。
    インモラルな関係はなくても成り立つ話だけど、それがあるからこそ独特の世界観が成立するんだろなと。さすが。何はともあれ、楽しかった。

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    2024年03月08日
  • 愛に乱暴(上)(新潮文庫)

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    最初は少し退屈に感じたが読み進めていくと、何かおかしい…なんだ?なんだ?とのめり込み最後は止まらなくなっていた。
    不思議なところはあるけど、最後までおもしろかった。

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    2024年03月06日