吉田修一のレビュー一覧

  • 平成猿蟹合戦図

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    深刻になりそうストーリーなのに軽い感じになってますね。
    上手く行き過ぎの感じがあるけどそれが良いのかな。
    面白かったですね。

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    2022年02月17日
  • 愛に乱暴(下)(新潮文庫)

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    ミスサンシャインという著者の新作へのインタビュー記事の「人はどんどん優しくなってきていると思う。」というコメントを読んで、なんだか好きな予感がして読んでみたらやはりとても面白くハマりました。
    男性作家が書く女性像はなんとなく違和感を覚えるものが多いのだけど、この本に出てくる女性達の描写は細部までリアルで鼻白むところがなく、とても女性のことを理解している方なんだろうなあと著者の人としての深さを感じました。
    自分の子供を宿したと思われる女性にふらふらと移ろっていく真守もまた「こんな人いそう」とリアルで、本気で始まった愛が乱暴に終わっていく様が悲しい。最後に救いがあったのも、人生悪いことばかりじゃな

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    2022年02月12日
  • 最後の息子

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    「最後の息子」「破片」「Water」の三篇。
    先日(と言っても昨年8月)に読んで良かった『春、バーニーズで』がこの本の後日譚だと知り手にしました。
    勿論、吉田さんの方が先達ですが、最近嵌まっている桜木紫乃さんと同じ香りがします。片や長崎、片や釧路。場所は違うけれど、場末の夜の繁華街。背徳感のある愛憎劇。最後の短編「Water」なんて、水泳部で競い合う高校生の爽やかな青春物語なのだけど、そんな話でさえどこか夜の酒場や背徳の香りが漂うのですから。
    「破片」は良く判らなかったけれど、ショートムービーを繋ぎ合わせるようにしてストーリーを紡いで行く(しかも今はやりのLGBTネタ)構成力。そして、こういう

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    2022年02月11日
  • ウォーターゲーム

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    ダムをテーマにした内容で興味深かった。メコン川の上流で、どんどんダムが造られているのには驚いた。中央アジアでも水の取り合いが起きているとは知らなかった。島国で山が多い日本では危機感を感じることは少ないが、いずれ山ごと外国企業に買われてしまったら人ごととは言えなくなる。読み終わってから世界のダム事情を調べて日本は取り残されている気がした。

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    2022年02月10日
  • 最後の息子

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    ネタバレ

    同性愛者の閻魔ちゃんとの同棲を続けながら、同性愛者に向けられる偏見の眼差しを他者からも自己からも感じる「最後の息子」
    幼い頃土石流で母を亡くした弟が、女性は自分がいなければ死んでしまうものという強迫観念から彼女を執拗に束縛してしまう「破片」
    亡くなった兄の後を追うように高校の水泳部のキャプテンとなった凌雲が、仲間たちと大会に挑む青春小説「Water」
    前二作は社会派でもあり重いところもあるが、「Water」は比較的爽やかで読みやすかった。くじ引きで水泳部の顧問になった大人の女性な黒木先生が、ジンを飲みながら練習を眺めてる場面が好き。惨めに見える先生に、どうしてあげたら良いか尋ねる凌雲に、そのま

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    2022年02月05日
  • 作家と一日

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    旅行のスタイルに共感が持て、ますます著者のファンになった。特に台湾好きだという著者の台湾に行ったらすること~はそのオススメプランをそっくり真似して旅してみたい。

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    2022年01月01日
  • 悪人 新装版

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    ネタバレ

    出会うタイミングや環境の変化次第で、誰もが悪人になってしまうんだなぁと思った。
    罪は犯してしまったけど、本当は母親にも周りにも優しすぎる人。

    『どっちも被害者にはなれない』
    すごく深い言葉。

    面白かった。

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    2021年12月28日
  • 悪人 新装版

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    単純に一人の悪人がいて犯罪が起きる、
    というのではなく
    長い期間をかけて絡み合ってくる
    多くの要素が
    結果 犯罪 となり誰かを
    悪人にしてしまう

    出会う順番が違ったなら
    誰もが幸せになったかもしれない
    可能性や、
    被害者が1番の加害者なのでは
    ないかとも考えてしまう
    奥深さが絶妙な作品で、
    終始暗さがあるものの、面白かった

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    2021年12月21日
  • 橋を渡る

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    あの『悪人』や『怒り』と同じ系統の群像劇を期待して読み始めたら何だか違う。現代を舞台にした3編はそれぞれにつながりがなく、最後の4編目で時代は2085年に。私の苦手なSFチックな話になっているという。
    現代の3編でそれぞれの主人公やその周囲の人は、ちょっとした悪事や倫理・正義にもとる行動をとるかとらないかという狭間におかれる。「橋を渡る」ってどういう意味だろうかと思うけど、人間として越えちゃいけないものを暗示しているんだろうかと思いながら読んだ。
    4編目の未来でそれまでの3編がつながるんだけど、かといってよかったとも悪かったともいえない読後感。いやいやどっちかというと「そして、冬」ってだけあっ

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    2021年12月12日
  • もの書く人のかたわらには、いつも猫がいた NHK ネコメンタリー 猫も、杓子も。

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    心がほっこりするエッセイ集。
    作家と猫の関係性をいろんな所から掘り下げた作品。
    猫は犬と違い、自由気ままな性格が多い。それが作家の心の癒しになるのだ。
    また、原稿で行き詰まった時に猫を愛でてパワーチャージする。そんなところも形はどうであれみんな同じなんだと思った。

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    2021年12月04日
  • 森は知っている

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    『太陽は動かない』をまだ読んでいないので、いきなりの『森は知っている』なので何も知らないで南の島での謎の冒険?と思って読み始めました。
    違いました。
    ストーリーは面白かった。
    主人公達がそこに至るまでの経緯は正直辛かった。

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    2021年11月30日
  • 犯罪小説集

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    この小説を原作にした映画「楽園」を先に観た。
    小説の短編をまとめた映画になっていた。
    Y路路で運命の別れ道を描いて刹那に向かう
    それぞれの人生の物語り
    短編の各主人公たちはそれぞれ別れ道を
    どう進んだのか
    そしてどうなっていくのか

    私は普段映画が先でよかったことは稀だけれど
    今作の「楽園」は先に映画で良かった

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    2021年11月21日
  • 最後に手にしたいもの

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     コロナ始まって以来、ほとんど飛行機乗ってない(去年の秋、いったん弱まったときに国東半島行ったくらい?)。
     ANAの機内誌、翼の王国に連載している吉田修一のエッセー集が本書。

     旅先でのエッセー25編。
     さらっと読める読書時間と、内容もさらっと頭を通り過ぎて残らない、このサラサラ感が機内誌にはよいのかもしれない。

     旅の途中の機内誌もまた旅の楽しみのひとつ。
     また飛行機乗ってどこか旅に行きたいところ。

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    2021年10月22日
  • 最後の息子

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    私とオカマの閻魔ちゃんと一緒に住んでいた「大統領」と呼ぶ男は、K公園のオカマ狩りで殴り殺された。大統領の亡くなるまでの痕跡を、いつも持ち歩いていたビデオカメラで撮り、それを見ることで思い出そうとするが…。

    吉田修一の作品は、少しずつ積み上げていくタイプの砂山のような作品で、途中で大きくストーリーが展開したりするわけでもないので、あらすじが極めて書きにくい。

    初期作品ということで、短編3つ。オカマの家に住み込む主人公、父がなくなって九州に里帰りし、酒屋の手伝いをする主人公、高校の水泳で強豪校に勝ちたい主人公。

    ストーリー的には3本目の『water』が一番とっつきやすいので、1本目を読みかけ

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    2021年10月02日
  • 作家と一日

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    かつて訪れたことのある国や街の話を読むと嬉しい気持ちになる。だけど、このエッセイは「悪人」の作者のものとは思えない優しさに溢れている。

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    2021年09月18日
  • 泣きたくなるような青空

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    7月24日通りを読んだ。
    このアプリに登録がないようなのでこちらの本で。
    リスボンの街並み、良し。
    小百合は地味だけどうじうじしている方でもないし現状はつまらないけどその中に自分なりの楽しみを見出していて嫌いじゃなかった。
    キャラ付けがすき。

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    2021年09月15日
  • 最後の息子

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    実家が酒屋さんだったり、同性愛が登場したり、三篇少しづつ重なるところがあって、かなりの部分は実話に基づいているんかなと思った。(作者の実家が酒屋さんなのはインタビューに載ってた。)

    三篇中、『Water』が一番読後感が良い。
    最後の方の、400メートルメドレーリレーのスタート直前のいざこざが、張り詰めた緊張感の一つの表現形として楽しい。(ずっと気遣いしてたのに「ホモはあっち行っとれ!」て、身も蓋もない。。圭一郎が、「凌雲!この前、藤森が別れようって言うてきた。お前のことが好きらしか。俺に隠れてこそこそ人の女にちょっかい出しやがって」と口火を切ったのがどう見ても間が悪いので、しょうがない。。)

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    2021年09月12日
  • 東京湾景(新潮文庫)

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    タイトルに惹かれて読みました。
    取り巻く雰囲気がリアルで、物語は割と淡々と進みます。実際に東京湾周辺で仕事していたら、こうなるのかなと思ったり想像して読んでました。
    地方在住ですが、東京湾周辺に行ってみたいと思いました。

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    2021年09月03日
  • 春、バーニーズで

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    本の紹介に曰く「デビュー作『最後の息子』の主人公のその後が、精緻な文章で綴られる連作短篇集。」
    そうとは知らず『最後の息子』を未読のまま読んでしまいました。読み終えてみれば、どうも前作を読んでおいた方が話のつながりは見えやすい様と思えるのですが、これだけを読んでも中々良いのです。
    日常を切り取ったような短編が5作。ちょっとした事件は起こるのだけれど、事件そのものよりもその背景にある主人公と妻、そして妻の連れ子の三人の「生活」が後ろから見事に浮き上がってくるような、なんかこう、良い雰囲気です。
    やっぱり上手いですね。

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    2021年08月17日
  • 森は知っている

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    南の島に暮らす高校生が秘密組織の一員となって行く。企み、逃亡、裏切り、策略が駆け巡るエンターテイメント。徳永の男気が良い。鷹野と柳の未来にも期待したい。

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    2021年08月11日