吉田修一のレビュー一覧
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喜久雄の器の大きさがかっこいい。歌舞伎の家元の俊介とヤクザ出身で歌舞伎の女形の才能がある喜久雄が、自分たちの芸に一生を捧げた話。子供時代から大人までの波瀾万丈な人生。ひたすら歌舞伎が好きな喜久雄が素敵。
映画は観れなかったけど、本より映画の方が楽しめるだろうなと思った。
歌舞伎の演目ごとの解説があるのは面白かった。こういう知識を持って歌舞伎を観れば面白いんやろなと思った。
以下ネタバレ
ラストは解説が欲しい。
最後は歌舞伎の世界に入りすぎて現実と混同してしまった?
完璧な芸を達成できたから、悪魔の契約を回収する感じで最後は死んだってこと?
中国からの来客は徳ちゃんだと思う -
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三篇収録されている短編集。
最近吉田修一さんの作品にハマっていて、いくつか読んでいますが、何かから逃げている、または目を逸らしている男性を描いている作品が多いように感じます。この三篇の登場人物たちも、何かから逃げている男性。『熱帯魚』の大輔は、同居している子連れの真実やその娘の小麦、義弟の光男や近所に住む時先生に対し、養っている、気にかけていると思っていますが、その思いはどこか、本心とは違うところにあります。自分の淋しさを埋めるために過剰に介入し、その見返りを求めているような描写がとても切ない。
『グリンピース』は吉田作品の中で、一番嫌な男性(笑)でも、それより『突風』の新田の方が、相手の人生 -
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温泉を訪れる五組の男女を描いた恋愛小説。
表題作『初恋温泉』は、初恋の女性と結婚し、がむしゃらに働いて成功するが、夫婦で温泉に出かける前日、妻から離婚を切り出されるというお話し。主人公の重田は、妻には自分が一番幸福な瞬間を見せたいと思っていて、それ以外のダメな部分は見せないようにしていました。妻の立場からすると、良い面も悪い面もすべて見せて欲しい。一番幸福な瞬間を一緒に喜ぶだけのパートナーは、どこかお飾りのような気もして、なんだか寂しい関係であることが読んでいて感じられます。好きな相手だからこそ、輝いている自分だけ見せたい夫と、好きな相手だからこそ、すべてを見せて欲しい妻。自分自身、夫婦関係を -
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昭和後期の地方任侠家の盛衰のなかで、少年の心の成長を追う物語。
主人公の駿と弟の悠太が身を寄せる三村家は、叔父にあたる長男・龍彦がヤクザの組長、次男・文治がチンピラ、文治を慕う正吾と猛々しい男たちばかり。幼い駿はそんな男たちの中で育つ中、自死した三男・哲也と思われる幽霊を離れの家で見ることに。
暴力・酒・女に荒くれる男に自分もなっていくと思いつつも、どこか違和感を感じながら成長していく過程が繊細に描かれています。駿は三村家の男たちにある意味呪われていて、それが消化されるようなラストが良かった。歳を重ねていくうちに、駿が哲也に似ていく様子が少し恐くも感じました。 -
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ネタバレ映画を見てから読みました。
どこかで、「映画を見てからの方がいい」というレビューを見たので。
通常、映画、アニメ、実写化など映像作品を見てから小説を読むと、映像を見た時点で登場人物のイメージが固まってしまうから小説からの方がいいという人もいるけれど、小説から映像に行くと、自分の描いた人物像と演技をしている人(もしくは声優)が全く違っているとガッカリすることがあるとも聞くし。どちらがいいんでしょうかね。
結果、読書に慣れている人は逆でもいいかもしれませんが、私のような、あまり本は読まない・・・という人にはこれは映画から見たほうがとっつきやすいかも、と思いました。
小説から読んでいたらもしかし -
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ネタバレ最初はとても楽しく読めた。
登場人物はそれぞれ個性的で、若さあふれるエネルギーに物語へ引き込まれていった。
一方で独特な言い回しと、距離のある語りに引っかかりながら読み進める。
物語は後半に向かい登場人物たちの成熟とともに苦難が増していく…どうなっていくのか見届けるような気持ちで読み進める中で、嫌な予感が積み重なっていった。
ラストはその不安は外れることなく、現実のものに…
読み終えたあとに残ったのは、途方もない重苦しさ。
最初は楽しく読めていたからこそ、その落差がより強烈。
喜久雄たちは舞台で“何かに見られている、何かがいる”と言っていた、その視線こそが語り手で、天井から見守るその視点は -
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思い当たる節しかない物語だった。
テレビ局に勤める俊平は、
公園で出会った聴覚にハンディキャップを持つ響子と恋に落ちる。
静かで穏やかな日々を重ねる二人だが、音によって隔てられた世界は
恋しさと戸惑いを同時に生み、やがてすれ違いが積み重なっていく。
自分はその相手のことをどれぐらい知っているのだろうか。
これはある意味、永遠の問いなのかもしれない。
言葉にしなければ伝わらない。だが、その言葉によって逆に伝わらない。
そんな矛と盾のような禅問答が頭の中で駆け巡る。
物語は全編通して俊平の目線でしか語られないので、
響子の思いはわからない。つまり読み手も俊平と同じ感覚を味わうしかない。
こち