吉田修一のレビュー一覧
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介護施設で100歳の老人が亡くなる。その近くを訪れていた記者がたまたま展示されていた写真から地元の有名人の繋がりを見つける。
推理小説の展開のはずが、壊れていく主人公の心理描写を中心に、湖の周りにいる人たちに伝染していくかのような怪しげな空気が漂う。帯に憎悪が沈澱する場所とあった。そういう話かと気づいた自分もその濁った湖の中に飲み込まれそうなる感じ。
これを映画にしたのか、いやぁあまり見たくないかな、と思いつつ、ストーリーはエンディングに向かうところで、湖がさまざまに変化していく姿を描写がある。何か吉田修一が描きたかったことがここに表されているのか。そしてミステリーの結末へ。
明確に結論を描い -
Posted by ブクログ
吉田修一氏がANAの機内誌『翼の王国』に載せていたエッセイの集大成。2019年〜2021年に掲載されていた内容が主なのでちょうどコロナウィルスで緊急事態宣言が出されたり、今読んでみるとなかなか面白い。
吉田修一氏は歳は5歳くらい下だが、実は同じ大学なので学生時代の回想を書いていたりすると、妙な親近感もある。
学生時代の飲み会で吉川晃司の歌を振り付きで歌わされたとか、もしかしたら神楽坂や飯田橋の居酒屋だったのかなと想像してしまう。
また吉田修一さんの小説『湖の女たち』『横道世之介』『悪人』などを書いた際のエピソードなども触れられているので興味深い。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ探偵の遠刈田は「一万年愛す」という宝石を探してほしいと依頼をうけ、依頼者の豊大とともに孤島、野良島を訪れる。そこでは豊大の祖父、壮吾の米寿をお祝いするため息子家族、そして元刑事の坂巻が待っていた。
その次の日、「一万年愛すは、わたしの過去に置いてある。」という遺言書をのこし壮吾は消えてしまう。台風の影響で本土から警察も呼べないなか、彼らは壮吾を探し始めるが……。
この本のほとんどが会話文で成り立っており、その9割が「」の外にあるため、それがセリフなのか、それとも状況説明なのかを確認しながら読まなければならない。
最初はものすごく読みづらかったが、中盤あたりもすぎるとそれにも慣れ、気にならな -
Posted by ブクログ
どんな作品かも全く知らずなんの事前情報もないまま、好きな吉田修一の作品というだけの理由で読んだ。
だから読みながら「え?島田荘司でも乗り移った?」とちょっと思うくらい、よもやのストーリー展開だったけれど、終盤になって、ああこの感じは『悪人』とかそっちっぽいのかな、とも。
正直荒唐無稽とも言っていいかもしれないけれども、読みやすくてほぼ一気読みだったし、著者が描く人物像は相変わらず嫌いじゃない。
うーん、でもやっぱりちょっと突っ込みどころ満載な感じは否めず。最後の最後のオチも、これ必要?と思わないでもない。
まあいわゆるエンタテイメントとして受けとめとくのが正解かなー。
ほんとは、著者のリア