吉田修一のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
読み始めはなんて温度が高い小説かと驚いた。そして、主人公である瞬が、小1、小5、中1、中3、そして高校2年で中退し、最後には最初は赤ん坊に近かった弟が大学生となり、主人公ではなくなった兄をあきれた目で見るようになるまでの、どんどん温度が低くなっていく過程に悲しくなった。一話一話進むごとに、三村家の人間がいなくなっていき、比例するように確実に温度が下がっていく。悠太が瞬を見る視線に遣る瀬無さがつのった。幼くして父親を亡くし、たくさんの男たちを見てきた瞬は、何も覚えてない悠と違い、ずっと「男」の姿を模索し続けてきた。「なんもせんで生きとるのも、なかなか難しかとぞ」と言う瞬に涙が出そうになった。最後
-
Posted by ブクログ
歌舞伎の舞台は見たこともないし映画も観ていないけれど舞台上での演出、効果音、動きや空気感全てが想像上で見えた。
喜久雄の人生。
振り返ってみると本当に波乱万丈だが歌舞伎を愛し歌舞伎に溺れた役者一筋の人生。
何かを究める人間は凡人には視えていない世界が視えていて周りからは少し狂っているように映るのかもしれない。
喜久雄の不器用な性格ゆえの真っ直ぐさが歌舞伎役者の女形に扮することで繊細でものすごく美しい妖艶なものを生み出しているように思えた。
明るい夜空であればあるほど、そこで輝く星々はその身を粉にしているのでございましょう。
この一文がとても印象的だった。
国宝というものに値する喜久雄をよく