吉田修一のレビュー一覧
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「400字詰め原稿用紙10枚程度で、エッセイを書いてください」と頼まれれば、誰でも、とまでは言わないが、まあそこそこ文章を書いた経験のある人なら何とか書けるのではないだろうか。
最近起こった事件とか、身の回りの出来事とか、友人と交わした何気ない会話などを題材にして、自分の思いを語ればいいのだから。
ところが、同じ分量で「小説を書いてください」と頼まれれば、話は別だ。
僅か4000文字程度の文章の中に、テーマ、人物構成、会話、エピソードなどを上手に散りばめ、起承転結のある一つの物語を構築しなければならない。
私は、それほど短編小説というのは好きではなかった。
というのは、先に書いたような素材や -
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ネタバレ書評にも何回か掲載されたこともあるみたいで
吉田修一のなかでも代表作なのかな?
地方都市に住んでいる小百合
ちょっと美形の弟・耕治がいる
だけど弟の彼女・めぐみが平凡すぎて似合わないとイライラ
そんな時、同窓会があってそこであったのは
憧れの先輩・聡史
イライラしてる小百合に先輩からお誘いがあって
東京に向かおうとする小百合だけど
前に本屋であったある一人の青年がいて・・・
という話なんですが(大雑把すぎやわ)
個人的にめぐみと小百合が話してる時
めぐみが言ってたこと
”耕治と付き合う前の自分は燦々たる結果で
どうしてこんなに男の縁がないのか
自己分析したんで -
Posted by ブクログ
ANA機内誌の連載されていた短編集らしいのでてっきり全部が飛行機に関連する話かと思ったんですが必ずしもそうじゃないです。割と自由に書いてるっぽいです。全部で12作が収録されています。たぶんどれも「旅」って設定なんでしょうがそういう縛りが感じられないぐらい自然です。吉田修一の短編はいろいろありますが、これが一番ほんわかって感じがしました。飛行機に乗ったら必ず神様に願い事をするというお話の「願い事」、いいですねーこういうの。吉田修一ってこういう大人の恋愛ものって上手ですよね。あと若者の恋愛を綴った「男と女」これは旅関係無い話ですけど好きです。あと、男の友情ってやっぱこうだよねって妙に納得してしまう
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ネタバレ≪内容≫
大宮の地にそびえたつ地上35階建ての超高層ビル。それはフロアがねじれながら、巨大な螺旋を描くという、特異な構造をもっていた。設計士・犬飼と鉄筋工・隼人、ふたりの毎日もビルが投影したかのように不安定になり、ついにゆがんだ日常は臨界点を超える。
≪感想≫
そびえ立つランドマークとそれに関わる2人の男の日常。Number10から始まりNumber1で終わる各節のタイトルは、歪みの臨界へのカウントダウンとなっている。結末が明確でないことに不満を感じる方もいるのかもしれないが、徐々に歪みに耐えられなくなっていく2人の不安や焦燥感と、その捌け口となる行動がとてもリアルに感じられ、現代の閉塞感を -
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主人公の一人、隼人は鍵を埋める
作り手として自分だけが知っている秘密を残したいのか
それ以上の意味があるのか
隼人のそれまでの行動がとんでいるのでわかりがたい
もう一人の主人公、犬飼は愛人部屋で
“グローバル経済と現代奴隷制”という書籍を見つける
この本が気になって(実際にある書籍のため)購入
現代奴隷制という相反するような言葉が連なって
ひとつの単語を形成していることはなんだか不思議な印象
最後、これで終わり?と思う終わり方になっている
吉田さんのお話はあくまで生活の一部を切り取ったもの
という形になっている気がする
何か大きなことが起こったとしても
わかりやすいハッピーエンドも哀しい結 -
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会社の上司の奥さんが高校時代の知り合いの亜希子だった。
自分が中心にいないと気がすまない彼女は
私を観客に仕立て上げて高校時代は聡史と、
今は安藤さんとの仲を見せつける。
しかし同窓会をきっかけに亜希子と聡史が再燃。
聡史を好きだった私は今日も7月24日通りを歩く。
写真:畠山直哉 装丁:新潮社装丁室
自分の町がリスボンの造りと似ているって知ったら
いつもの景色が全然違った風に見えるんだろうなあ。
絶対絵描きの彼といた方が幸せになるのに、と思いつつも
彼がいたからこそ間違いに踏み出せたのかも。
章題がいまいちだと思ってたんだけど最後のリストとつながってて
うまい!と思った。そっくりだよ本当