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Posted by ブクログ
籍も入れていないのに、子連れの女とともに過ごす大輔。さらには仕事をしないで引きこもっている光男。光男は毎日出かけずに熱帯魚の世話をする。大輔はボーナスで家族全員を連れて海外旅行へ行こうというが、だれもまともに取り合ってくれない…。
吉田修一の短編3編で、いつもどおりなにか起こるようで起こらないようなグズグズとした話である。しかし、とにかくあるかね全部使って何かを変えようとしたり、女子中学生に手を出したり、女にグリーンピースを投げつけたり、作りかけの酢豚を皿ごとゴミ箱に捨てたりと、突然爆発する。
どこかにあるようでどこかにない、掴みどころのない作風なのだが、なぜか日本映画のような妙な静けさと喧騒が同居したような、BGMも無いんだからしゃべれよといいたくなるような、独特の間が存在するのが吉田修一の作風である。
現状が嫌になって、何もかも投げ出してしまうが、自分が悪いのをわかっているあたりは、読んでいて救われる。だからといってとっつきやすいわけでもない。
なぜかわからないが、吉田修一や長嶋有の作品を読むと、自分でも小説を書きたくなってしまうのだ。本作の3篇もれいにもれず。読み終わった今、書かないといけない気がする。不思議だ。
Posted by ブクログ
【本の内容】
大工の大輔は子連れの美女、真実と同棲し、結婚を目指すのだが、そこに毎日熱帯魚ばかり見て過ごす引きこもり気味の義理の弟・光男までが加わることに。
不思議な共同生活のなかで、ふたりの間には微妙な温度差が生じて…。
ひりひりする恋を描く、とびっきりクールな青春小説。
表題作の他「グリンピース」「突風」の二篇収録。
[ 目次 ]
[ POP ]
鬱々とした気分で読むと、いっそう「鬱」な気分になることうけあいです。
それがいいことなのか悪いことなのかは判らないけど、小説を読んでから自分を反省したり、下には下があるからまだ大丈夫、などと都合よく自分を励ましてみたりするのも、たまにはいいかもしれません。
小気味良いテンポで話が進み、心理描写の薄っぺらさ(たぶん意図的に省かれているのだと思う)のお陰で、ぞっとするような突発的な感情の爆発が伝わってきます。
ヤな奴、ダメな奴、とレッテルを貼って目を背けることはたやすいのだけれど、せっかく小説の世界に擬似空間を演出してくれたのだから、とことん堕ちて嫌な気分になるのもいいのかもしれません。
ばっさりと切り捨てられるように終わるので、救われない気分も倍加してしまいます。
評価は「B」なんだけれど、もう一度ぱらぱらとめくって読み返してみるとかなり面白かったんだな、と思えてきました。
乗り物の中で読むと酔います。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
三篇収録されている短編集。
最近吉田修一さんの作品にハマっていて、いくつか読んでいますが、何かから逃げている、または目を逸らしている男性を描いている作品が多いように感じます。この三篇の登場人物たちも、何かから逃げている男性。『熱帯魚』の大輔は、同居している子連れの真実やその娘の小麦、義弟の光男や近所に住む時先生に対し、養っている、気にかけていると思っていますが、その思いはどこか、本心とは違うところにあります。自分の淋しさを埋めるために過剰に介入し、その見返りを求めているような描写がとても切ない。
『グリンピース』は吉田作品の中で、一番嫌な男性(笑)でも、それより『突風』の新田の方が、相手の人生に踏み込んだのに、手を離すというまたまた最低な人物。胸糞悪い男性の物語を読みたいときにオススメです。
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小説・文芸
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