吉田修一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
新聞でいちおしミステリーとして紹介されていて、面白そうだったので吉田修一作品を初読み。
物語の舞台は絶海の孤島。そこに集まっているのが金持ちの一族と招かれた元警部に私立探偵。こんな状況で、殺人事件が起こらないなんてことがありますか?と一族の当主が言っていた翌朝、当の本人の姿が見当たらず謎めいた遺言書が発見される…
こんな感じで始まるが、私立探偵の遠刈田がなかなか優秀で、物語はサクサク進んでいく。冒険や恋愛小説の要素なんかも盛り込まれていたけど、全体的にはあっさりした印象。でも、ラストは意外だったかな。
『罪名、一万年愛す』のタイトルは素敵。自分だったらどんな罪名にするかな〜 -
Posted by ブクログ
吉田修一氏のオリンピック時に掲載された短編小説集。香港林檎、上海蜜柑、ストロベリーソウル、東京花火と、アジアの若者たちの4つのストーリーを綴りながら、暖かい励ましをくれているような、包み込まれているような感覚だ。
香港では、ボート部の男が将来を案じながら、その道を終えようとしているときにオリンピックが始まろうとしている。中国上海、ソウルでは夢と夢を託す人、頑張れと応援する人、それでいてどこか切ない。応援しても、届かない声。ふんわりとした内容で、突き刺すような内容はないからこそ、コロナ禍のオリンピックは、何もなかったかのように過ぎて行くような感じと重なり合う。人生のどこかで交錯しているような感覚