あらすじ
台湾でも大反響! 国を越え、溢れる想い
台湾に日本の新幹線が走る! 巨大プロジェクトに、それぞれの国の人々の個々に抱いてきた想いが繋がる。確かな手触りの感動傑作!
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Posted by ブクログ
ドラマも良かったけど、著者の構成力と描写力が味わえる原作の方に惹かれた。
台湾新幹線の建設という時間の流れを軸にしながら、隠されていた多田春香と劉人豪の人生の交差が次第に明かされて行く。
また、葉山勝一郎と呂のもうひとつの時間の流れ、人生の交差が加わることで、物語の構成に厚みを感じた。
作品の中の高音パートと低音パートがハーモニーを奏でているようだ。
春香や人豪を含めた登場人物たち、繁之や安西、ユキや林芳慧。彼らも人間くさく魅力的だ。
台湾には旅行で数回訪れた程度だが、台湾の風景が原色で甦ってくるような描写力に驚かされる。同時に風土の描写が台湾の人々の描写にもなっていることに感服させらた。
ドラマ版で春香を演じた波瑠さんも良かったが、原作から私が感じた春香のイメージは長澤まさみさんだった。
追記
時間の流れを把握するために年表式のメモを書きながら読んだ。
ドラマでカットされていた淡水のエピソードは、とても美しい。
Posted by ブクログ
台湾に日本の新幹線が走る、それを実現させるまでのお仕事小説かな、と思い購入
単純に、新幹線を開通させるまでの苦労話に留まらず、そこに関わるいろんな人(日本人や台湾人)の目線で、物語が展開されていきます
主人公は台湾に新幹線を開通させるプロジェクトに取り組む若手女性社員の春香。春香が、この仕事に携わるきっかけを与えてくれたのが、彼女が学生時代に旅行で台湾に訪れた時に出会った現地の男性、エリックとの出会い。
メインはこの2人が軸に展開されますが、そこに絡んでくる登場人物の人生、生き方、出会い、
台湾そのものの自然、食べ物や街の雰囲気も詳しく描かれていて、想像しながら読んでいると、とても楽しく、魅力的で、むちゃくちゃ行きたくなりました。近々、絶対に台湾行ってみたい!と言う気持ちにさせてくれる内容でもありました。
その時は、絶対に新幹線にも乗らないと^ ^
Posted by ブクログ
他人事ではない小説だった
この小説の根幹のエピソードとほぼ同じ経験をしているから
学生時代、トランジットで1日いた台北で、ただ道を聞いただけの現地のサラリーマンが1日かけて台北を案内してくれて温泉にも一緒に入ったのに、帰国後連絡先を無くしてしまいそれきりなのだ…
台湾に日本の新幹線が走るまでの、その事業に関わる日台の人々の人生が交差するお話
勝一郎が中野から「死ぬなら台湾で死ね」と言われるところはどうしようもなく泣いてしまった
このシーンは素晴らしい
人生にとって大事なのは国なんかよりも友人なのだ
Posted by ブクログ
台湾新幹線でつながる日台の人々の物語。
たった一度きり、たった一人との出逢いで自分の歩む「路」が決まることもある。たとえ会えなくても、相手を思う強い気持ちさえあればきっとつながっていられる。
登場人物たちそれぞれの「路」を辿り、終始胸がいっぱいでした。
脳内に台湾の光景がぶわあっと広がる美しい描写も最高…!
何度でも読みたくなる一冊です。
Posted by ブクログ
吉田修一っぽくはない。でもとても良い。
台湾に日本の新幹線が走る。その巨大プロジェクトに、それぞれの国の人々の個々に抱いてきた想いが繋がっていく群像劇。
Posted by ブクログ
コロナで長いこと旅行もできてなかったので、絶対に台湾に行くと決めてこの本を買いました!
そしてこの本を読み終わる前に航空券も買いました!
生まれ育った国だから1番自分にしっくりくるというわけではなく、自分に合う環境でのびのびと生活できることは心身ともに良いことだらけだなと実感。
ありきたりですが、本当に台湾に行きたくなる、そんな一冊でした。
Posted by ブクログ
台湾高鉄が開業までの道筋を、日台のさまざまなキャラクターの目線から伝える半分ドキュメンタリーのような小説。
一気に読めました。
台湾の文化や台湾人の考え方や感覚まですごく丁寧に表されていて素晴らしいと思った。
春香が抱いた、
台湾の人が日本を思う気持ちに比べると、日本人が台湾のことを知ろうとする気持ちは、あまりにもお粗末としか言いようがない、
という気持ちにも非常に納得。
Posted by ブクログ
つい先日まで波瑠さん主演でドラマをやっていたことと、
台湾新幹線(台湾エクスプレス)の話とのことで、手に取ってみました。
大枠では、台湾新幹線を横糸として、そこに、
4組の男女の物語が縦糸として、彩をあたえていく流れ。
台湾には未だに行ったことがないのですが、風景、人々、食べ物、文化が、
本当に目の前に浮かんでくるようでした、、ドラマのおかげなのかもですが。
1組目は、学生時代に台湾で出会った、台湾人の男性と日本人の女性、
阪神大震災、台湾大震災を経て、台湾と東京でそれぞれの「路」が交差します。
彼らが生きてきた世代は、まんま自分とも重なっていることもあり、共感も一入でした。
2組目は、日本人の男性と台湾人の女性、夜の街での出会いから、
離れていても大丈夫、離れていたら大丈夫ではない、どちらも正解かと。
原作では、そんな家族の在り様の問題も描かれていましたが、、
ドラマでは尺の兼ね合いもあってか、だいぶ端折られていて、残念です。
3組目は、台湾人の一組の男女、幼馴染的な関係性から、
一つの挫折を経て戻ってきた女性と、その息子を絡めての物語。
果たしてこの二人が、どう“台湾新幹線”に絡んでくるのかと思っていましたが、
なるほどなぁ、、と、この時代の台湾の若者、日本とも変わらないよな、とも。
4組目は、戦前・戦中に台湾で生れ育ち、戦後に日本に戻ってきた日本人夫婦、
いつの日か、台湾に“戻りたい”との想いを秘めながらの人生でしたが、、
と、私の祖父(だいぶ前に亡くなりました)も戦中派で従軍もしていたとのことで、
自分の祖父や、そのルーツ(祖父は日本生まれです)に、久々に想いを馳せました。
そんな4組の男女とそれを取り巻く人々、環境を、
2000年から2007年までの間、1年に1エピソードくらいで、描いています。
そういった意味では、ある種ロードムービー的な感じでしょうか、
それこそ、題名の『路』が示している通りに、、
人は何がきっかけで、どんな“路”を進むことになるのかは、
本当にわからない、だからこそ人生は面白い、のでしょう。
ちなみに、波瑠さんのドラマは全3回で、かな~りに駆け足でしたが、
原作との相互補完で、ドラマでは描き切れてない部分も、想像しながら観ていました。
個人的には、6回くらいで組んでくれれば、もうちょっと、
それぞれの想いや軌跡、、“それぞれの路”を描けたのかなぁ、とも。
“台湾の人が日本を思う気持ちに比べると、日本人が
台湾のこと(台湾と中国のこと)を知ろうとする気持ちは、
あまりにお粗末としかいいようがない”
劇中でもよく出てきた「台湾オリジナル」とのフレーズは、
本質的には日本でも連綿と受け継がれてきていると思います。
外部の文化の受け入れからの、日本仕様への変容は、日本人の文化に通じる、と、
そういった意味では、普遍的な価値観だけではなく、文化的な価値観をも共有できるのかな、
と、李登輝さんを思い出しながら、久々にその著作を再読したくなりました、
李登輝さんもまた、私の祖父と同世代の方となります。
ん、自分自身の心の向き先とも折り合いをつけながら、
前を見て、上を向いて歩んでいきたいとあらためて感じた、そんな一冊です。
Posted by ブクログ
昔台湾に旅行したときのことを思い出しながら読んで、また台湾に行きたくなった。
食べ物、自然、天気など、台湾の空気感がイメージできる豊かな描写。
台湾に旅行したとき、私は台湾語ができないが、現地の年配の人たちは日本語を喋れた。
それが日本の統治があったから、ということは知っていたが、そして台湾が親日ということも知識としてはあったが、当時から現在まで、日本と台湾がどういった関係性なのか、私は知らない。
台湾人から見た日本と、日本人から見る台湾、その乖離があることが示唆されていた。
台湾と日本の歴史的関係をしっかり学んでみようと思った。
つまり主人公の奮闘や恋愛よりも、おじいさん世代の話がとても印象に残った小説だった。
でもそういったさまざまな人たちの台湾と日本をめぐるやりとりの繋がりが、『路』なのかなと思った。
Posted by ブクログ
吉田修一は群像劇書くの上手いなぁと思う。その中に核となる主人公がいて、周りの魅力的な人々が様々な生き方を見せてくれる。それらに支えられ主人公が成長する。
「国宝」もそういう小説だった。
今回はさらに台湾という場所が空気感を出して、魅力的。台湾に行きたくなった。台湾映画でいいから、あの台湾の空気を感じたくなった。
Posted by ブクログ
面白かった。
台湾新幹線の完成までのストーリーを中央に据えながら、それに関わるいろんな立場の日本人、台湾人の人生を通して、
日本と台湾の複雑な関係を描いている。
すぐ隣でありながら、近くて遠い国。
たくさんのロマンス、そして、旧い世代と新しい世代。男と女。
少し前の時代を感じながらも、とっても読み応えがありました。
Posted by ブクログ
吉田修一の印象はなんか毎回面白そうなのに読んでみるとパンチがないまま終わるというもので今回もそれに近かった。群像劇の中でいくつか弱いものが混じってて混乱もする。
最後の終わり方は良かった。
Posted by ブクログ
色々と考えさせられる1冊だった。
日本と台湾、国と国のつながりから
春香と人豪、人と人のつながり。
新幹線建設の背景にある
時間、場所を越えたつながり、
それが路のタイトルを回収しているような気がして
しっかりした文量だけど読み返したい作品。
Posted by ブクログ
NHKでドラマ化されたものを観たこともあり、原作である、こちらの本も読んでみました。
ストーリー全体としては若干強引さを感じたので「★★★☆☆」かも、と思ったのですが、部分部分での人間関係の描き方については、胸が熱くなったところが多かったこともあり、「★★★★☆」としました。
個人的には、「台湾新幹線を実現する上で、欧州連合と日本連合が折り合いをつけていく具体的な過程や技術的なところをもっと厚くしてほしい」と思いながら読んでいました。
が、おそらく、著者としては、ここ100年ぐらいの日本と台湾の関係を軸にした人間模様や台湾の人々や風景を描きたかったと思われるので、「この本のような内容にならざるを得ないよなぁ」とも思いながら読み進めました。
とりあえず、この本を読んで、台湾に少し興味が湧いたので、本を読むなどして、ちょっと勉強してみたいと思います。
Posted by ブクログ
この作品を読んで、吉田修一さんの文章から、あたかも目の前で起こっていることがありありと浮かんでくる様な感じを受けました。台湾に行ってみたくなりました。
Posted by ブクログ
とにかく人豪と春香の2人の関係が堪らなく切なくて愛おしい。
たった半日だけだったから、ここまで2人の気持ちを熱くさせたのだろうし、たった半日だけだったから、あまりに長すぎた月日は、その関係を2度とは戻してくれなかった。ギュッと胸が痛くなるけど、少し心地よくて、僕はこの月末で良かったと思います。
その他2人の主人公、威志と勝一郎も魅力的な存在。それにしても、吉田修一さんは複数主人公を上手く絡ませるなぁ
Posted by ブクログ
多田春香
大井物産台湾新幹線事業部。入社四年目。東京神田生まれ神戸育ち。関西の私立大学出身。母親の道子の実家で小学校卒業まですごした。父親の直人は福岡県出身の寡黙な電気関係の技術者。台湾に出向する。
高橋一馬
大井物産海水淡水化事業部。春香と同期入社。
山尾
台湾新幹線事業部部長。台湾新幹線事業を社内で引っ張ってきた第一人者。
萩尾
台湾で詰めている。
葉山勝一郎
大学で交通工学を学んだ後、大手建設会社の熊井建設に就職した。定年を迎える頃には専務にまで昇り詰めたし。退職後は後輩社員が独立して設立した中堅のコンサルタント会社で顧問として奉公した。台湾で生まれ終戦まで過ごした。
葉山曜子
勝一郎の妻。
安西誠
台湾新幹線事業部所属で春香の先輩。
妻と息子を日本に残し単身赴任中。行きつけのクラブ・クリスタルのホステス・ユキと同棲する。
黄忠賢
仏独チームの日本サイドとの交渉役。台湾人。三十代半ばのやり手ビジネスマン。
池上繁之
春香の恋人。都内の大手ホテルに勤務。
上條
新幹線の父と呼ばれる人で台湾側のアドバイザーとして活躍している。
ジャック・バルト
台湾高鉄の日本側窓口。
林芳慧(リン ファンホエ)/小慧(シャオホエ)
台湾新幹線事業部の現地採用スタッフ。
エリック/劉人豪(リョウ レンハオ)
春香が台湾に旅行しにきた時に現地を案内してくれた。九段下の大手建設会社の建設計画室に勤務。大学生時代に台湾を旅行していた春香を助けた。翌日に偶然再会した春香に観光案内した。
江昆毅(ジャン クンイー)/阿昆(アークン)
芳慧の恋人。
燿緯(ヤオウエイ)
芳慧の姉の子。甥。
阿緯(アーウエイ)
芳慧の姉の子。
陳威志(チエンウエイズー)/阿志(アーズー)
高雄市内にある自宅から燕巣郷で一人暮らしをしている祖母の家に通う。一九八二年生まれ。かき氷屋でバイトしている。
張美青(ヂャンメイチン)/阿美(アーメイ)
威志の幼馴染。威志の祖母の近所に住んでいる。カナダに留学している。中途帰国し、未婚の母となる。
ユキ
クラブ・クリスタルのホステス。
ケビン
クラブ・クリスタルの従業員。ユキの弟。
中野赳夫(なかの たけお)/呂燿宗(ルヤオツオン)
葉山勝一郎と旧制台北高等学校の同級生。
台北市内病院の院長。
呉信意(ウーシンイー)
威志のバイトの先輩。煮ても焼いても食えない男。
李大翔(リーダーシャン)
威志の友人。中学からの同級生。
王窈君(ワンヤオジユン)
威志の中学の同級生。威志が偶然入ったリゾートホテルで働いている。
笵琳琳(ファンリンリン)
芳慧の高校依頼の親友。小さなIT会社を経営している夫がいる。
鴻巣義一
終戦間際の学徒動員で勝一郎と同隊に所属。旧制台北高校卒業。
有吉咲
劉人豪の同僚。環境計画室勤務。
高浜
建設計画室室長。
王春銀(ワンチユンイン)
人豪の大学時代の同級生。オランダ系建設会社の台北支店に勤務。
蔡明樹(ツァイ ミンスー)
人豪の高校時代からの親友。脱サラして辣醤鶏唐揚げ店をオープンした。
小野学
人豪が参加していたボランティアに来ていた東京の学生。
竹本
勝一郎の元部下。熊井建設株式会社常務取締役。
鴻巣義一
台湾の高校で勝一郎と同窓。
振振(ヅエンヅエン)
美青の息子。
村井
JR西日本から派遣されたベテラン運転士。
松浦
JR西日本から派遣されたベテラン運転士。
孫
整備士教育部長。
張家洋(ヂヤンジヤーヤン)
威志の同僚。
甲田
勝一郎のお手伝い。
Posted by ブクログ
台湾新幹線の開業に舞台にした群像劇。
国境を越えて時代を越えてめぐる様々な人たちの想いが爽やかに描かれています。
読み終えて、晴れ晴れとした気分になれる一冊、台湾に行きたくなる。プロジェクトX的な内容を想像したけど、そういう感じは薄い
小籠包、魯肉飯、牛肉麺などの単語に反応してしまう。お腹も空いてくる一冊。
Posted by ブクログ
あーこれシンガポールにいる間に読み終わったんだけど感想書いてなかった。なんか台湾新幹線の話で群像劇で結構面白かったなって記憶がある。けどなんか吉田修一ぽくないなって思いながら読んでたような気がするけど、最近俺が思ってる吉田修一ぽさって横道世之介ぽさかもしれないので曖昧だな。
台湾に行きたくなる
台湾ガイドブックとしても使えるとの評判どおり、台湾への愛と大切にしたいという気持ちが伝わってきます。序盤はNHKのプロジェクトXみたいな感じです。みんなで協力して一つのプロジェクトを成し遂げるというストーリーを気負わず読みたい方にオススメの作品です。
Posted by ブクログ
台湾と日本を舞台に繰り広げられる、双方に関わりのある登場人物たちの物語。
一つの事象を中心に、視点を何度も切り替えながら進んでいく物語は「怒り」に代表される吉田修一のスタイルのひとつだと思うのだけれど、今回のこれに関してはこの人たちを一冊の本にまとめた意図があまりわからなかったな。
なんとか目で追ったけれど、夢中になれる類の小説ではなかった。
Posted by ブクログ
日本製新幹線が台湾に輸出された時のお話。
複数登場人物がいて中国名が多く、話が行ったり来たりするため、最初はなかなか人名が頭に入ってこず苦戦した。が、段々とストーリーが交わっていくにつれて気にならなくなったし、人との関わりの尊さを感じるシーンが多く、温かい気持ちで読み進めた。
また、台湾の街の情景が鮮やかに描かれているのも特徴。異国なのに何か郷愁を感じる描写が多く、行ってみたいなーと思わされた。
全体的な雰囲気が好きな小説でした。
Posted by ブクログ
台湾で日本の新幹線を走らせるため奔走する人達の話。各々の路が興味深く、なぜその路を選んだのか、これからどの路を選ぶのか、自分の人生に置き換える。互いに教え合う台湾人と日本人の関係が良いし、台湾の働き方良い日本も見習ってほしい。台湾、どんなところなんやろう。
Posted by ブクログ
ぼちぼちですかね。
台湾新幹線にまつわる人々の物語。簡単にいうとこれだけなんですよね。ひとつひとつのエピソードはわるく無いですが、ほぼ繋がりも少なくて。掴めるまでがとてもきつかった。とはいっても余韻は悪くなかったですが。
Posted by ブクログ
●あらすじ
台湾新幹線の着工から開業までの巨大プロジェクトに、商社員や整備士、湾生の老人など日台の人々一人一人を巡るドラマが絡んでいきます。政治では問題を抱えていても、日本と台湾の間にしっかりと育まれた個人の絆を、台湾の風土とともに色鮮やかに描き、大きな感動を呼ぶ、著者の渾身作です。
(文藝春秋BOOKSより)
なんかすごく爽やかだった。
吉田修一ってもっとミスリードがあるというか、ひとつの物語を群像劇で拗れさせるのが上手い印象があったけど、これは拗れることもなく爽やかに進んでいきました。台湾の空気、オフィスの空気、人と人の間に漂う空気。そういう「空気」を書くのがすごく上手だなと思います。
安西とユキの関係性が良かったなぁ。あと主人公カップル(?)が最後まで恋愛に落ち着かなかったのもすごくほっとした。だよね。もう付き合うとか、そういうふうに簡単に出来る話じゃないよね。
Posted by ブクログ
新幹線の海外輸出というと、中国の高速鉄道のことが頭を占めていて、台湾高速鉄道のことはほとんど記憶にない。 改めて新幹線の海外輸出について知るいい機会になった。 ただ、登場人物の名前や台湾の地名に苦戦し、メモに取った地名や料理名を見返す度にストーリーが途切れ、内容に集中できなかったのでいつかリトライしなきゃ・・・。
Posted by ブクログ
文庫の表紙が素敵だったので 映像化もされていることだし(見れてないけど) 著書が吉田修一さんだし…と思って読んだ
最後になって物語の主だった人達が絶妙に交錯する感じがなかなかおもしろいなと感じた
人生って こういう風に最後には交錯する部分が大いにあるんじゃないかな?と期待!
物語は台湾に日本の技術を持って時速300キロの新幹線を台北から高雄(カオシュン)まで走らせるという大掛かりな計画を遂行するものだ
日本と台湾の背景がうまく表現されている
その新幹線の計画に関連している人物のそれぞれの生き様や 恋の行方も読みどころとなっている
舞台設定は2000年〜2007年で 年ごとに章が分かれており 章の初めはそれぞれ台湾高速鉄道に関する新聞記事となっている
物語はフィクションだそうだが この記事は本物なのかな?
そこは分からない…
台湾の場所や人名には ルビがふってあるけれど しばらくすると『えーっと、なんて読むんだったっけ?』とページを戻る
時間がゆっくり過ぎていくような読書だった
『東京でも台北でも嫌なものを見ようとすれば、どこにでもある。ただ美しいものを意識的に求めれば、それだってどこにでもあるわけで、せっかく開いた目で見るのであれば、美しいものの方がいいと春香は思う。』
(本文より)
上記は私がこの物語の主題ではないかと思った部分だ
台湾は他の国に支配された歴史を持つが 日本の植民地であった時代もある
春香のような心を持って目を開けば 世界はもう少し平和になるのではないか
もっとみじかなところで考えると 自分の生き方はもっとたおやかになれるのではないか…と考えた
春香にこう言わしめた吉田修一さんはすごい!
『気持ちなどというものは、自分がどうしようかと決めて動くものではないのだが、それでも自分が何か方向性を決めてやらないと、自分の気持ちが「どう動いていいのか分からない」と途方に暮れるのだ。』
(本文より)
これも名文!
まったくそうだ その通りだよ!と思う
日々がこの連続!
まず これって悲しむところか 前向きに捉えるところか 塞ぎ込んじゃうところか 笑って済ますところか…
方向性を決めてやらないと 泣くに泣けず 笑うに笑えず モヤモヤして苦しむ期間がある
もう どうにでもなれ!っていうのも 結局は悩みに悩んだ結果 潔く受け止めてあとは自然に任せようという方向性を決めた後の話だ モヤモヤして悩むっていうのは「方向性を決めてやる」時間なんだよきっと
ほんとなら 1年後に台湾に行きたいと思ってた
◯◯歳になったら 台湾旅行しようと友達と話して 夢みてた
けど…コロナが発祥したあたりから 雲行きがあやしくなり コロナが収束でなく共存となる方向の現在も のびのび安心して台湾に行ける気持ちにはなれない
だからこの本でいっぱい 台湾を感じたよ
美味しい屋台の料理を味わったよ
昔懐かしいような風景をスクーターで走ったよ
お弁当を買って 台湾新幹線に乗って穏やかな時間を過ごしているよ
もしかしたらこの新幹線の中で目的地に着くまでに 私も同郷の誰かに偶然出会って著者が記した『説明しがたい安心感』を得ることになるのかもしれないな
物語の中の私