あらすじ
台湾でも大反響! 国を越え、溢れる想い
台湾に日本の新幹線が走る! 巨大プロジェクトに、それぞれの国の人々の個々に抱いてきた想いが繋がる。確かな手触りの感動傑作!
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Posted by ブクログ
ドラマも良かったけど、著者の構成力と描写力が味わえる原作の方に惹かれた。
台湾新幹線の建設という時間の流れを軸にしながら、隠されていた多田春香と劉人豪の人生の交差が次第に明かされて行く。
また、葉山勝一郎と呂のもうひとつの時間の流れ、人生の交差が加わることで、物語の構成に厚みを感じた。
作品の中の高音パートと低音パートがハーモニーを奏でているようだ。
春香や人豪を含めた登場人物たち、繁之や安西、ユキや林芳慧。彼らも人間くさく魅力的だ。
台湾には旅行で数回訪れた程度だが、台湾の風景が原色で甦ってくるような描写力に驚かされる。同時に風土の描写が台湾の人々の描写にもなっていることに感服させらた。
ドラマ版で春香を演じた波瑠さんも良かったが、原作から私が感じた春香のイメージは長澤まさみさんだった。
追記
時間の流れを把握するために年表式のメモを書きながら読んだ。
ドラマでカットされていた淡水のエピソードは、とても美しい。
Posted by ブクログ
多田春香
大井物産台湾新幹線事業部。入社四年目。東京神田生まれ神戸育ち。関西の私立大学出身。母親の道子の実家で小学校卒業まですごした。父親の直人は福岡県出身の寡黙な電気関係の技術者。台湾に出向する。
高橋一馬
大井物産海水淡水化事業部。春香と同期入社。
山尾
台湾新幹線事業部部長。台湾新幹線事業を社内で引っ張ってきた第一人者。
萩尾
台湾で詰めている。
葉山勝一郎
大学で交通工学を学んだ後、大手建設会社の熊井建設に就職した。定年を迎える頃には専務にまで昇り詰めたし。退職後は後輩社員が独立して設立した中堅のコンサルタント会社で顧問として奉公した。台湾で生まれ終戦まで過ごした。
葉山曜子
勝一郎の妻。
安西誠
台湾新幹線事業部所属で春香の先輩。
妻と息子を日本に残し単身赴任中。行きつけのクラブ・クリスタルのホステス・ユキと同棲する。
黄忠賢
仏独チームの日本サイドとの交渉役。台湾人。三十代半ばのやり手ビジネスマン。
池上繁之
春香の恋人。都内の大手ホテルに勤務。
上條
新幹線の父と呼ばれる人で台湾側のアドバイザーとして活躍している。
ジャック・バルト
台湾高鉄の日本側窓口。
林芳慧(リン ファンホエ)/小慧(シャオホエ)
台湾新幹線事業部の現地採用スタッフ。
エリック/劉人豪(リョウ レンハオ)
春香が台湾に旅行しにきた時に現地を案内してくれた。九段下の大手建設会社の建設計画室に勤務。大学生時代に台湾を旅行していた春香を助けた。翌日に偶然再会した春香に観光案内した。
江昆毅(ジャン クンイー)/阿昆(アークン)
芳慧の恋人。
燿緯(ヤオウエイ)
芳慧の姉の子。甥。
阿緯(アーウエイ)
芳慧の姉の子。
陳威志(チエンウエイズー)/阿志(アーズー)
高雄市内にある自宅から燕巣郷で一人暮らしをしている祖母の家に通う。一九八二年生まれ。かき氷屋でバイトしている。
張美青(ヂャンメイチン)/阿美(アーメイ)
威志の幼馴染。威志の祖母の近所に住んでいる。カナダに留学している。中途帰国し、未婚の母となる。
ユキ
クラブ・クリスタルのホステス。
ケビン
クラブ・クリスタルの従業員。ユキの弟。
中野赳夫(なかの たけお)/呂燿宗(ルヤオツオン)
葉山勝一郎と旧制台北高等学校の同級生。
台北市内病院の院長。
呉信意(ウーシンイー)
威志のバイトの先輩。煮ても焼いても食えない男。
李大翔(リーダーシャン)
威志の友人。中学からの同級生。
王窈君(ワンヤオジユン)
威志の中学の同級生。威志が偶然入ったリゾートホテルで働いている。
笵琳琳(ファンリンリン)
芳慧の高校依頼の親友。小さなIT会社を経営している夫がいる。
鴻巣義一
終戦間際の学徒動員で勝一郎と同隊に所属。旧制台北高校卒業。
有吉咲
劉人豪の同僚。環境計画室勤務。
高浜
建設計画室室長。
王春銀(ワンチユンイン)
人豪の大学時代の同級生。オランダ系建設会社の台北支店に勤務。
蔡明樹(ツァイ ミンスー)
人豪の高校時代からの親友。脱サラして辣醤鶏唐揚げ店をオープンした。
小野学
人豪が参加していたボランティアに来ていた東京の学生。
竹本
勝一郎の元部下。熊井建設株式会社常務取締役。
鴻巣義一
台湾の高校で勝一郎と同窓。
振振(ヅエンヅエン)
美青の息子。
村井
JR西日本から派遣されたベテラン運転士。
松浦
JR西日本から派遣されたベテラン運転士。
孫
整備士教育部長。
張家洋(ヂヤンジヤーヤン)
威志の同僚。
甲田
勝一郎のお手伝い。
Posted by ブクログ
●あらすじ
台湾新幹線の着工から開業までの巨大プロジェクトに、商社員や整備士、湾生の老人など日台の人々一人一人を巡るドラマが絡んでいきます。政治では問題を抱えていても、日本と台湾の間にしっかりと育まれた個人の絆を、台湾の風土とともに色鮮やかに描き、大きな感動を呼ぶ、著者の渾身作です。
(文藝春秋BOOKSより)
なんかすごく爽やかだった。
吉田修一ってもっとミスリードがあるというか、ひとつの物語を群像劇で拗れさせるのが上手い印象があったけど、これは拗れることもなく爽やかに進んでいきました。台湾の空気、オフィスの空気、人と人の間に漂う空気。そういう「空気」を書くのがすごく上手だなと思います。
安西とユキの関係性が良かったなぁ。あと主人公カップル(?)が最後まで恋愛に落ち着かなかったのもすごくほっとした。だよね。もう付き合うとか、そういうふうに簡単に出来る話じゃないよね。