吉田修一のレビュー一覧

  • 橋を渡る

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    ネタバレになるけれど、2015年から70年後の世界が描かれていて、構成といい、文章といい、とても面白かったけども、わたしが経験した70年後の世界はもっと面白いのかも。

    つまり今、82だから12の時から、現在70年後の世界にいるってこと。

    12歳の時(1953年)は今普通に使っているものは無かったか、初期段階。

    例えば、テレビジョンの放送が始まって、ブラウン管のでかい箱を駅頭で見上げた記憶。
    電話は黒いダイヤル式、冷蔵庫は氷で冷やし、たらいで洗濯(14歳ころ一層式洗濯機ハンドル絞りつきになった)などなど...

    人間関係の世界はっていうと、それも変遷だ。社会機構、体制様変わり。

    LGBTSなど無いような世界、いや闇の中か忖度の世界だった。
    セクハラはあった、けど、それも闇の中か忖度の世界だった。
    離婚が少なかったけど、夫婦関係も問題が内包してだけ、などなど...。

    しかし、ゆっくりと浸かってきているので、自分がどの位置にいるか自覚しないだけ。

    そう、すっかり慣れている自分にびっくりだ!

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    2023年09月27日
  • 悪人 新装版

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    とある男が女性を殺した。
    殺人を犯したって事実がある以上男は"悪人"なんだけど事件の背景、登場人物の人柄を知っていくと男に同情してきてしまう。
    悪人とは…?ってなる話。

    後味は悪いけど考えさせられるの好き。
    週刊誌とかの誹謗中傷も、何も知らない第三者が好き勝手言うのは良くないなって思える。

    祐一が母親に金をせびってた理由が母親の加害者意識を無くすためって知った時には、なんて良いやつ奴だ!って思った。けど、やっぱ殺人犯しちゃったらダメなんだよ。でもあそこで殺さなくても、祐一は逮捕される結果になっただろうし、不憫だな。

    映画も観たい!

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    2023年09月26日
  • 日曜日たち

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    こちらもそうだし、世之介もそうで、「人間を読む」吉田作品が好き。
    心にできるささくれによく効く、家にひとつ置いてあると安心するオロナインてきな作家さん。

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    2023年09月09日
  • ぼくたちがコロナを知らなかったころ

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    吉田修一さんの本は読破。
    インタビュー記事もできるだけ読む。
    新刊も刊行されたらすぐ購入。
    それほど好き。
    エッセイでは、吉田修一さんの素顔を見ることができる。

    P113
    〈毎日毎日言葉を積み上げていくのは本当につらい。
    日々、言葉を探している〉

    作品を読むことができる喜びを噛み締めている。
    ありがたいな。

    さて『永遠と横道世之介 上・下』を読みますか。

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    2023年09月05日
  • 悪人 新装版

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    ネタバレ

    映画のイメージが強くて(観てないけど)、ずっと逃走劇が繰り広げられていると思っていたけど、前半はむしろ淡々と進んでいた印象。登場人物の心情に深入りすることなく、一歩距離をとって紹介が続く。
    こんな感じか、と拍子抜けしていたら、いつの間にか祐一にのめり込んでいて…。光代には惹かれなかったけど、(むしろ、トラウマとはいえ自首させてやれよと思ってイライラした)二人の姿は哀れながらも笑うことはできなかった。

    ラストの首を絞めるシーン、気になって調べたら映画ではアドリブでキスシーンもあったとか。なんだその演出、そこだけでも観たいもんな。そして、ラストの「あの人は悪人やったんですよね?ねえ?そうなんですよね?」が、切なすぎて…。脳内で動く映画キャストたちがそれぞれハマり役でした。

    祐一は母に対するのと同じで、全て自分が引き受けるつもりで、待っててほしくなんかないんだろうけど、読者としてはいつかまた出会ってほしいと思ってしまうな。

    「悪人」とは誰だろうな。真面目に生きる人が報われる世の中じゃなくちゃだめだよな。

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    2023年08月19日
  • 泣きたくなるような青空

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    飛行機はANA派なので、何度も空の上で『翼の王国』の中のこのエッセイを読んだことがある。
    旅のエッセイを読むと、やっぱり旅心がついちゃうな。
    息を飲むようなヨセミテ国立公園の空気、
    それから、長崎の精霊流しの夜、
    私も感じてみたい…。

    著者の小説にまつわる短編も多く、楽しめた。
    『路』を読んで台湾に行きたくなったこともあったなぁ。

    読み終わった時なんとなく、旅の終わりに感じる「あーあ。終わっちゃった」という気持ちになっちゃって、自分でちょっと笑ってしまった。

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    2023年06月18日
  • 空の冒険

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    吉田さんの小説は、『横道世之介』しか読んだことがない。
    本書は、短編+エッセイ集。
    ANAの機内誌『翼の王国』が初出とのこと。
    世之介とはまた違う側面が見えると期待して手に取る。

    超短編小説なので、どうしても説明部分が目立って見える。
    最初の二、三作は、そんな感じが否めなかったが、「居酒屋」あたりから、だんだん作品との波長が合ってくるのがわかる。
    そうすると、やはり展開の鮮やかさに心を奪われる。

    エッセイは…
    以前NHKのネコメンタリーという番組で、吉田さんと飼い猫との日々が取り上げられていたのを見たことがある。
    マンションの様子なども映り、作家の日常生活がほんの少し垣間見えたりする番組だ。
    そこで見た印象は、ずいぶんスタイリッシュな生活をしている人、ということだった。
    抑制的で、悪く言えばとっつきにくい感じさえあったのだ。
    しかし、このエッセイから見える吉田さんは、ぎっくり腰に苦しみ、外国の映画館で、言葉もわからない映画に号泣する人物。
    印象がだいぶ違って、自分にとっては面白かった。

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    2023年06月18日
  • 橋を渡る

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    多少はぼかす事が普通だが、当時のニュースがそのまま使っていた事が面白かった。確かに、こういう事あったなあ、と懐かしい気分になった。

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    2023年06月11日
  • 悪人 新装版

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    吉田さんの作品では『怒り』を読んだことがあり、
    読みながら苦しくやるせない気持ちになった記憶。
    でも、人間の奥の奥に隠された感情に迫る感じが懐かしくなり、今回『悪人』を読むことにしました。

    誰が本当の悪人なのか、
    それを白黒で決めつけることはできない。
    誰しもの中に善も悪も混在していて、1人の人間が誰かにとっての悪でもあり、また別の誰かにとっては善だったりする。
    本で描かれているのは極端な例だけど、
    きっと日常の中でもこの構図は当たり前に存在するんだろうと思った。

    祐一のおかした殺人は絶対にいけないこと。
    それは揺るぎない事実で、私が佳乃の親だったら間違いなく祐一を120%悪(≒許せない)と思うけれど…
    第三者として読み進めると祐一の悪ではない部分も見え、後半はやはり読み進めるのが苦しかった。
    そして増尾の悪事のように法で裁かれない悪も存在してしまうことがまたモヤモヤでもあった。

    小説で描かれていないその先で、
    誰か祐一を救ってくれる人がいますように。
    そして増尾にギャフンという出来事が起こりますように。。。苦笑

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    2023年06月10日
  • 逃亡小説集

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    『ああ、俺、もしかしたらずっと逃げたかったのかも』
    ヒリヒリした緊迫感の中で逃亡の果てにつぶやいた者の言葉だ。4つの短編のどれもが、ふとしたことがきっかけで逃げなければならなかった者たちの、明日は我が身の物語である。

    どのお話も、つい先日 テレビのニュースで見たようなリアルな現実感がある。逃亡するだけの犯罪を犯したということよりも、ごくまっとうな人々が事件を起こし逃げるまでの過程がストンと腑に落ちて共感を呼ぶ。作者 吉田修一さんの、人間の心の動きを見つめる目が好きだ。優しい。

    ふと、偉大な社会派推理作家、松本清張さんを思い出す。松本清張さんも犯罪の背景と、罪を犯した者の心理に共鳴を覚える描き方をする人だった。

    この逃亡小説集、緊迫感の中にも読みやすい展開が気持ちいい。

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    2023年06月05日
  • 愛に乱暴(下)(新潮文庫)

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    不倫もの。軽くさらっと読んでいたが実は構成がこっていてもっとじっくり読めば良かったと少し後悔。良かった。

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    2024年02月25日
  • 泣きたくなるような青空

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    国内外問わず、色んなところに赴いてそこで初めての経験や感じたことが短くまとまっていてわかりやすい。その場のにおいとか天気とかふと思い出すことってあるよなぁ〜と思いながら読んでいました。旅に出たくなった。

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    2023年04月23日
  • 東京湾景(新潮文庫)

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    夜の埠頭にバイクで行ってみたくなる。

    これを薦めてくれた人は、これを読んだ後、過去にマッチングアプリで付き合った人を追って、夜に原付きで長距離走った………と言ってた。そんなイメージなんてない人なのに。
    人をそんなふうにする力がある作品かと。

    登場人物誰一人として、彼らの恋愛観には共感できないけど、その勢いと熱情には共鳴できる。
    そして少し切なくなり、かなり歳を感じる。

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    2023年03月13日
  • 熱帯魚

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    美しい俳優が演じることを想定したダメ男ものの群像劇を、なぜかそのへんの一般人が主演しちゃった!ダメだよ〜人間臭すぎるよ〜!みたいな小説×3篇。好きです。

    共感しながら読むやつじゃないはずなのに、自分のダメポイントを浮き彫りにされるような居心地の悪さを感じながら、ぞわぞわしながら読みました。でも妙に爽やかな読後感なのがウケます。なぜ。

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    2023年01月19日
  • 愛に乱暴(下)(新潮文庫)

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    作者の吉田修一に、騙す気なんてないかもしれないけど騙された(日記の部分)。騙されたことに、読み終わるまでというか読み終わってもなお気づかかなった。登場人物の誰も好きにはなれないけど、日記部分の仕掛けに唸ってます。そこに感心したので★4つにしたけど、内容としては★3つ。
    李という青年、神出鬼没のピーちゃん、時枝おばさん、床下の穴、連続放火事件・・・。怪しさ満載で気を持たせすぎ。

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    2023年01月07日
  • ウォーターゲーム

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    爆発的な面白さ。世界をどこまでも、いつでも戦いのために飛び回る主人公。まさか最後にあんな芸当をやってのけるとは。残り10ページが息つく暇なくページをめくることに。
    テーマはこれから世界的な課題である水問題。日本、カンボジア、ロンドン、キルギスと飛び回り世界的な水ビジネスで悪どく儲けようとする企業をはめていく。その水問題と水ビジネスを的確に描きながらエンターテイメント性を高めていることろ、なかなかに評価できる。

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    2022年12月29日
  • 犯罪小説集

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    ネタバレ

    モデルとなった事件

    ・青田Y字路
     栃木小1女児殺害事件

    ・曼珠姫午睡
     首都圏連続不審死事件

    ・百家楽餓鬼
     大王製紙事件

    ・万屋善次郎
     山口連続殺人放火事件

    ・白球白蛇伝
     元千葉ロッテマリーンズ投手強盗殺人事件
     清原和博覚せい剤取締法違反

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    2022年12月27日
  • 初恋温泉

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    映画的な文章から、柔らかなお湯やしんしんと降る雪の音、ピンと張りつめた空気等々が伝わってきました

    どのお話もよかったけど、男女の機微は私にはわからないところもありました(恋愛経験不足)

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    2022年12月07日
  • 熱帯魚

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    籍も入れていないのに、子連れの女とともに過ごす大輔。さらには仕事をしないで引きこもっている光男。光男は毎日出かけずに熱帯魚の世話をする。大輔はボーナスで家族全員を連れて海外旅行へ行こうというが、だれもまともに取り合ってくれない…。

    吉田修一の短編3編で、いつもどおりなにか起こるようで起こらないようなグズグズとした話である。しかし、とにかくあるかね全部使って何かを変えようとしたり、女子中学生に手を出したり、女にグリーンピースを投げつけたり、作りかけの酢豚を皿ごとゴミ箱に捨てたりと、突然爆発する。

    どこかにあるようでどこかにない、掴みどころのない作風なのだが、なぜか日本映画のような妙な静けさと喧騒が同居したような、BGMも無いんだからしゃべれよといいたくなるような、独特の間が存在するのが吉田修一の作風である。

    現状が嫌になって、何もかも投げ出してしまうが、自分が悪いのをわかっているあたりは、読んでいて救われる。だからといってとっつきやすいわけでもない。

    なぜかわからないが、吉田修一や長嶋有の作品を読むと、自分でも小説を書きたくなってしまうのだ。本作の3篇もれいにもれず。読み終わった今、書かないといけない気がする。不思議だ。

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    2022年12月06日
  • 新装版 静かな爆弾

    ネタバレ 購入済み

    音のない世界

    音が聞こえない世界を時折ヒヤリとする表現されていて一気に読み進めました。未来への可能性を残した終わり方も素敵です。

    #深い #切ない

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    2022年11月20日