吉田修一のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ下巻(花道編)も失速せずずっと面白くてすごい!全てを読んで思うのは、春江と彰子がいい女すぎる!春江は俊ぼうを10年間養い、子供を失って心が壊れて薬に溺れた彼の世話もして、同じく薬に溺れた思春期の綾乃(喜久雄の娘)の面倒も見て、時にはプライドも捨てて(テレビ出演)家を守った。彰子も、喜久雄が自分と結婚したのは自分の家目当てと分かりつつ喜久雄を支え続けた。
あと、喜久雄と生駒、喜久雄と綾乃の関係良好そうでなんか良かった。
足を失って、リハビリしてやっとという時にもう一方の足も失うと分かった俊ぼうが荒れるシーン辛かった。
もう1回映画みたい! -
Posted by ブクログ
吉田修一さんの愛と喪失を描いた物語。
恋愛小説であり、戦争小説でもありました。
主人公・一心の日常と、伝説の映画女優だった和楽京子こと鈴さんの人生がリンクして描かれており、『国宝』と似た描き方だと感じました。
戦後、鈴さんの女優人生は、成功に満ちた鮮かな人生に見えますが、その裏には被爆者であることを揶揄されたり、親友の存在が心の傷として残っていることが明らかとなります。
鈴さんが佳乃子さんを長崎港に連れ出し、海に向かって叫ぶシーンは、胸が引き裂かれそうになりました。
鈴さんが佳乃子さんのことを語ると、彼女が影になってしまうという言葉が重く響き、佳乃子さんの人生も引き受けた鈴さんの覚悟に、戦争を -
Posted by ブクログ
ネタバレ上下巻どちらも引き込まれて、冗長と感じる要素が無い数少ない傑作。映画は観なくとも、映像美が脳裏に映し出されるのは、仔細な表現だからこそ。歌舞伎や歴史に疎い自分にも分かりやすく、ストーリーと演目が重なる仕立てであるが故、感情移入もし易く、より深く知りたい、観たいとさせる。単なる血筋を呪うような安い話しではなく、人が業を極めるとは如何な事か、そしてそれを一観客として求めると言う事の残酷さと儚さ。役者が何故突然死してしまうのか、ブラウン管を通して観ていた私としては勿体無い、何故?という感情しかなかったが、この作品を読み、完璧では無いが、自分で幕引きをするタイミングが決まったのかということを少しだけ理
-
Posted by ブクログ
ネタバレ初読と再読で、印象がまるで変わる作品だった。
ルームシェアをする若者たちの生活が、それぞれの視点から描かれていく。初読では、何気ない日常を追っているうちに、少しずつ空気が濁っていくような不穏さを感じた。
しかし、結末を知ったうえで再読すると、見え方が一変する。
最初から人間関係には歪みがあり、それぞれに焦燥や秘密がある。そして、その秘密は本当に「隠されていた」のだろうかと思えてくる。むしろ住人たちは、互いのことをかなり分かっていながら、あえて触れずに生活を続けていたのではないか。
「知らない」のではなく、「知っているけれど変わらず過ごしている」。
そう考えると、彼らの共同生活は一気に -
Posted by ブクログ
ふと目に止まり導かれるように手に取った吉田修一さんの『ミス・サンシャイン』。
「ミス・サンシャイン」というタイトルから受ける軽やかな印象とは裏腹に、のちのち判明するその言葉が意味する重さや深さに深く納得させられました。
何より、一心君の想いがひしひしと伝わってくる物語で、今の自分の心にこれ以上ないほど響きました。
もし読書の神様がいるのなら、「今のあなたにこそ、これを読みなさい」と手渡されたような気分です。本との出会いはタイミングだと言いますが、まさに今この本に出会えたことに感謝したくなるような、特別な一冊になりました。
やっぱり吉田修一作品好きだ! -
Posted by ブクログ
横道世之介の大学一年生の1年間。続編もあるみたいだけど、上下巻なのでちょっと怯んでいる。
横道世之介、18歳。大学進学のため九州から出てきた。205号室。202号室の人がシチューに誘ってくれたのでご馳走になる。入学式。倉持と知り合いになる。サークルブースをみていると、阿久津唯がくっついてくる。
世之介は一人暮らしを始めて、自分のことは自分でやらないといけないことに気づく。
3人はなぜかサンバサークルに入り、清里に合宿へ。ホテルの配膳の仕事を紹介してくれるという。いつのまにか倉持と阿久津がつきあっている。
中学生の娘の智世が警察に補導されて、一緒にいた18歳の少年とつきあっているという。男 -
Posted by ブクログ
ただただすごい。
目の前に、行ったこともない歌舞伎座の風景とそこで舞う喜久雄の姿、それに魅了される客の姿が鮮明に映し出される
不思議な体験をしたようだった
まるで、喜久雄の一生の一部を体験させてもらったような、そんな気持ちだった。
とにかく、素晴らしいとしか言いようがない。
映画は確かに超長編の三時間だったが、今この2冊を読破して思うのは、3時間なんかで喜久雄の人生が語れるわけがない!3時間というのはあまりにも短くて物足りなく感じさせるのがこの原作な気がする。
もちろん映画も好みの作品の一つではあるけれど、なんというか、原作を読んでからだとダイジェストなような気もして、映画だけ鑑賞した人には