吉田修一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ世之介の人となりが、読めば読むほど素敵で引き込まれた。
たった1年の物語なのに、誰かの人生に何か影響してたり、ふとしたときに(良い意味で少しだけ)思い出されたりする人ってこう言う人なんだと言うことを上手に描いてて、読んでいてじわじわと感動した。
40歳で人身事故で亡くなったことを千春さんのページで突然知ってから、世之介のことが儚く見ててくる。より世之介の人柄を好きになるトリック。
最後、キムくんとの電車の描写から、「あれ、、線路に降りちゃうの今じゃないよね、、」ってハラハラしながらページを読み戻り、
「そうか、、一緒に女性を助けようとして亡くなった留学生はキム君とは別の人だし、40歳のときか、、」と思いながらも、
結局世之介と言う人は、初めて会った留学生でも誰とでも分け隔てなく仲良くなるし、誰かのことを真っ直ぐな気持ちで助けてしまう人なんだな(そういう運命である)と言うことを描写していて、吉田修一さんは本当に素敵な本の書き方をされるなと鳥肌が立った。 -
Posted by ブクログ
恋愛小説なのに、最後に残るのは「ふたりは結ばれたのか」という問いだけじゃない。
人は、誰かを愛したあとも、自分自身の人生を生きていく。その人生には、別れたあとにしか見えない風景もある。
過去は消えない。
あのとき愛した人も、うまくいかなかったことも、選ばなかった道も、全部、自分の人生の中に残っている。
でも、時間は流れていく。
人は変わるし、出会う人も変わる。
見える景色も、同じ出来事に対する感じ方も、少しずつ変わっていく。
そして、ある日ふと気づく。
あのときは悲しいだけだった出来事に、今なら別の意味を見いだせること。あのときは想像もできなかった景色が、今の自分の目の前に広がっていること。
過去をやり直すことはできなくても、過去を抱えた自分の未来は、まだ続いていく。
尾崎と久遠は、若いころの恋を取り戻したわけじゃない。でも、あの恋を経験したふたりが、それぞれの人生を生きて、もう一度同じ場所に立った。
そのとき、過去は単なる「失ったもの」ではなくなったのかもしれない。
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Posted by ブクログ
吉田修一のある女たちとの物語を綴る短編集。
決してドラマティックな展開があるわけではない。日常に少しの不穏さが混ぜ込まれているくらいの盛り上がりである。なのに、作者の筆力にかかればそれは珠玉の物語へと変貌をとげるのである。
著者の文体から感じる独特な偏屈さがたまらない。
どの物語も何か達成されるものがあるのでなく、肩透かしな余韻だけが残される。でも、生活ってのはいつも起承転結があり波乱万丈があるわけではないと、本作を読むことで気づかされる。でも個人の人生において特別な意味を待つ場面って、他人から見たらなんてことない些末な出来事だったりするんだろうな。 -
Posted by ブクログ
読み始めから引き込まれっぱなし。
オッソーと久遠が10代の頃に何でもないことで笑い合ったりふざけ合ったり、再会してから昔を懐かしんで微笑み合ったりする姿がたまらなく大好き。
次に本を開くのが楽しみだったし、もっともっと2人の物語を読んでいたかった。
どんなに辛くてもお互いがいればいいって思える恋愛ってあるよね。
だけどやっぱり2人は若くて。
試練ばっかり。
久遠が帰りのフェリーで言った言葉がとても印象的。
友人や久遠の兄、沖縄で出会った人たちみんないい人で、凪沙のことだって切なくて感情移入してしまって切なくなってしまうくらい。
一緒に笑ったり涙したり、いい作品に出会えたなぁ。
映像化された風景が浮かぶくらい情景鮮やか。