吉田修一のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
東京に出てきた横道世之介の少し不真面目日常とそれに関わる人々。
なんとも不思議な読後感です。面白い!と絶賛する感じではないが、でもなんだかくすっとしつつ読み進め、気づくとこの世之介のことをなんだか好きになっている。彼と関わった周囲の人々と同様に。
落語でいう”与太郎”みたいな雰囲気が妙によいのかな。世之介のただただ正直でいい人な人間性にこちらの心がほだされるような感覚で読み進めました。
立派だったりすごかったりといったことがない、どっちかというと間抜けで取り柄のないような人間でも、素直で正直ということが関わった人たちを温かくすることができるんだ、というような、ちょっと素敵な気持ちにな -
Posted by ブクログ
ネタバレ数年ぶりに読み終わりたくない本に出会った。
オッソーと久遠のふたりをもっと見ていたかったなぁ。
高校卒業を目前に控えた2人が家出して、沖縄の小さな島でサトウキビ畑や工場で働きながら貧しいながらもいつも2人は笑っていて楽しそうに暮らしている。
現在ではオッソーは結婚して息子がいるけど妻が浮気して別居、久遠は離婚したけど元旦那と一緒に暮らしている。土砂降りの中、駆け込んだタクシーでの再会。同じプロジェクトを担当している同志でもある関係。
今と昔を交互に描いていくんだけど、島での暮らしの美しい情景とか、チャンプや民宿のおばさんなど温かい人柄の脇役達が印象的な昔と、不甲斐なさが否めない今がシームレス -
Posted by ブクログ
ネタバレいま、一瞬の前は、すべて過去であるように、秒ごと、日ごと、さまざまな過去がある
穏やかな午後もあれば、この世の終わりだと思うほど苦しかった時間もあるだろう
どんな過去も、受け止められないことであっても否定はできない
そういう時間が、確かにあったということ
不変の愛と言ったら大げさかもしれないけど、揺るがないものがそこにあった
ビターでメロウなこの曲のフレーズ、彼女のハスキーボイス
世代ど真ん中のわたしにはあまりに直球で、少し痛い
If you're lost, you can look and you will find me
Time after time -
Posted by ブクログ
《戻れない時間が、今の自分を形作っている》
気になっていた新刊。
みなさんのレビューを拝読して、読みたくなり手に取った✧*。
建設会社に勤める尾崎颯は、土砂降りの雨のなか、高校の同級生だった久遠愛と再会し、2人の心はやがて、二十年数前の夏へと引き戻されていくー…。
読み始めてすぐ「やっぱり香りかよ…!」って思ったのは、最近千早さんの香りシリーズを読んだからに違いない( ー̀֊ー́ )✧笑
こちら、文章も構成も、オッソーと久遠の2人も最高に好みだった!♡
特にオッソーが素敵すぎて…( ´͈ ᵕ `͈ )♡
私がオッソーに出逢いたい!
現実にいてほしい!笑
特に派手な事件や展開があるわ -
Posted by ブクログ
永遠に続くと思っていたこと。
未来の自分が、過去を抱きしめて掬いあげる。
後悔だったり、悲しみだったり、手段や方法がなくて不憫だけど、その不憫さも楽しめてた時期があって。
その記憶が未来を支えることになるんだなって。
"毎年その時期になると、一真は何かとても大切なものを奪われたような気がしていた。一真の体からなのか、心からなのか、分からないが、毎年一つずつ夏が奪われていく。たぶん、それが大人になっていくということなのだろう。夏が一つ奪われるたびに、きっと人は一つ大人になっていく。"
"恋愛っていうのはね、何かを奪ったり奪われたりするもんじゃなくて、大切なものを