吉田修一のレビュー一覧
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永遠と横道世之介の文庫発売、新作映像化決定ということで再読。
初めて読んだのは10年前ほどだ。映画を先に見てから読んだのだけれど、映画も原作もとても好きな作品。
記憶が薄れているというのもあるけれど、大学生の時に読むのと今読むのでは全然感じ方が違い、号泣してしまった。
好きなのは、世之介の死後、祥子のもとに何でもないような日常の写真が世之介の母より送られ、少し後のパートでその写真を撮った際の世之介の日常が描かれるシーン。
駅のホームでキム君と帽子を拾おうとするシーン。
世之介の人生や、世之介とはこういう人物なんだというのが詰まっているシーンだと個人的に感じてとても好き。
世之介の今後を予感さ -
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audibleで。役者の世界、梨園の厳しさに圧倒され、引き摺り込まれるように下巻に突入。
喜久雄に半次郎を襲名させることに決めた訳が、下巻では明かされている。丹波屋に戻ってきて花井半弥として屋号を継ぎ、順風満帆かと思われた俊介に降りかかる不幸。それと対比するように浮上する喜久雄の運。どのように言われようとも、芸を磨き舞台に立ち観客を虜にする喜久雄。喜久雄の会話部分が少なくなっていくにつれ、孤高感が増し、哀しいほど美しいのだと感じてしまう。
しかし、狂気に取り憑かれたかのように役者であろうとする男たちを、必死で愛し支えた女たちの戦いもまた、この下巻で心に残る部分だった。
ラストは、本当に、なんと -
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audibleで。映画はまだ見ていない。audibleは尾上菊之助のナレーションで、歌舞伎の世界観が頭の中に広がって、圧倒される。映画も見ず、audibleでなかったら、挫折していたかもしれない。
立花組を継ぐものとして生を受けた喜久雄と、丹波屋を継ぐものとして生を受けた俊介が、ともに競い合い、若者らしい友情を深め、芸を極めていく。その清々しさと対比するように、2人の行く末に待ち受けている茨の道が示されていく。演ずることを初めから与えられていた者と、演ずることを渇望し引き摺り込まれてしまった者。切なくて、それでも20歳そこそこの若者には、運命の流れにどうすることもできなかった。そんなことを、思 -
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ヤクザの親分の息子が女形の歌舞伎役者に弟子入りするお話
映画も大ヒットして小説の感想を書いている人も大勢いるので、個人的に思った事を連連と
喜久雄の特定のモデルはいないという事だけど
梨園の代々の血筋の出自ではなく、女形で大成して人間国宝となった人と言えば坂東玉三郎を思い浮かべてしまう
まぁ、あの方も料亭の息子で幼い頃から日舞を習ってたりするので
喜久雄の境遇ともまったく違うんですけどね
喜久雄と俊介
出自の違いはあったけど、俊介の父であり二人の師匠である二代目半次郎は喜久雄の方に何かを見た
その結果として俊介の出奔
これって、本当に喜久雄の方に何かの素養があったのだろうか?
その時だ -
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映画『国宝』に興味を持ちつつも未鑑賞のまま時間だけが過ぎていたところ、職場の仲間に原作を勧められ、読み始めた『国宝 上 青春篇』。
歌舞伎界の知識も、「市川」「中村」といった名を親子代々で継いでいるらしい――という程度のほぼ無知な状態で読み進めていたが、だからこそ歌舞伎界における“血”の重みには強く衝撃を受けた。
これほどまでに血統を重んじる価値観は、歴史ある日本文化ならではなのかもしれない、とも感じた。
才を持つ喜久雄と、血を持つ俊介。
それぞれに異なる苦悩を抱える中で、花井半二郎の代役を見事に務め上げた喜久雄が、見舞いに来た俊介へ向けて放った
「俺な、今、一番欲しいの、俊ぼんの血ぃや -
Posted by ブクログ
芸能に身を捧げた男たち、それを支える女たちの覚悟と行く末に、強い畏敬の念を感じずにはいられなくなる作品でした。
主人公が、他に何もいらないから歌舞伎が上手くなりますようにと願い、それを悪魔との契約だと話すシーンがあります。子供じみているとも、無邪気で一途ともとれる、漠然とした祈りの真ん中にある思いの強さからなのか、そう祈ってしまうくらい、既に歌舞伎に己を差し出してしまっていたからなのか、卵が先か鶏が先か分かりませんが、周りの不幸と引き換えにどんどんこの世界の神に近づいていく様を見ると、大成してくれて喜ぶ気持ちよりも、恐ろしさや危うさの気持ちが強くなってしまうのだなと知ることができました。私はそ