吉田修一のレビュー一覧
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横道世之介シリーズがついに完結。ついに、とはいっても第一作の時点で世之介の結末は示されていたし、続編があるとも思っていなかったので、第二作、そして今回の第三作と続きが読めたこと自体、思いも寄らなかった幸運という感覚です。今回も読み進めて終わってしまうのがもったいなくなるような多幸感に溢れた読書時間を楽しませていただきました。
今回は世之介39歳ということで、今年40になった私としては時代設定はやや異なるもののほぼ同世代の話として自身へ重ねたり重ならなかったりしながら読めたのも楽しかったです。
「なんでもない日常に幸せはあったのだ」と、そう書くとなんとも陳腐になってしまい、この小説と主人公世之介の魅力を言葉にするのは難しく感じます。シリーズ全編を通して人生讃歌であることは間違いないのだけど、今作は特に病で亡くなった恋人であるニ千花とのシーンや、後輩のエバと咲子が子を授かることであったり、世之介の人生観というか死生観のようなものが言葉にされる部分も多く、人生の幸せをより明示的に感じさせやすい作品になっています。「永遠と横道世之介」というタイトルの回収も素晴らしく、シリーズの締めくくりに相応しいあたたかな終わりであったかと思います。映画化も進んでいるということでどんな作品になるか今から楽しみです。
それにしても今作の地の文もなかなか独特ですよね。ナレーション風の『国宝』ほどにはわかりやすくはないし目立ちもしないのだろうけど、時にメタ的な記述も含む独特な三人称視点の地の文が本作の雰囲気全体を支えていて、さすがの吉田修一でした。 -
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ネタバレ国宝がよかったのでオーディブルで聞き始める。
「東洋ではからだのあちこちにツボがあるとされていますその中に壇中というツボがあります、喉元から胸の骨に沿って指を降ろしていくとその指先がすーっと吸い込まれていく先が壇中です。寂しくてどうしようもない時、悲しくてどうしようもない時ここを押さえてみてください、そしてゆっくり深呼吸をしてみてください」
「恋心というのは嫌われたくないと思う気持ちであると。そして愛するというのは嫌われてもいいと思う気持ちじゃないだろうかと。」
久々に感動する本を読んだような気がします
書評より「物語の語り手は、大学院生の岡田一心。彼は指導教授の紹介で、昭和の映画界で一世を風靡した元大女優、和楽京子こと石田鈴の邸宅で、所蔵品整理のアルバイトを始めます。八十代を迎えた鈴は、穏やかで気品ある女性。一心は、膨大な映画関連の品々を整理するうち、鈴の輝かしい女優人生と、その奥にある人間的な魅力に触れていきます。 -
Posted by ブクログ
世の中で1番大切なことはリラックス出来ている事
世之介が言うこの言葉は物凄く自分の心に深く刺さりました
今回で4作全て読まさせて頂きました
40歳で世之介が亡くなる事は1作目から知ってるのでその事が頭に浮かびながら毎回読んでました
自然体で生きる世之介の周りには人が集まり世之介によって普通に段々と変化していく感じが凄く良い
今作は亡くなって15年後みんなが世之介の思い出を語る場面もあり作品終了を寂しく思いました
世之介の様に生きる事はとてもじゃないが無理だと思いますが少しでも近づける様に過ごせば残りの人生も幸せに生きられる様な気がします
国宝の大ヒットしその作者が書いた本だと何気なく手に取り読み始めましたが出会えて本当に良かったです
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Posted by ブクログ
東京に出てきた横道世之介の少し不真面目日常とそれに関わる人々。
なんとも不思議な読後感です。面白い!と絶賛する感じではないが、でもなんだかくすっとしつつ読み進め、気づくとこの世之介のことをなんだか好きになっている。彼と関わった周囲の人々と同様に。
落語でいう”与太郎”みたいな雰囲気が妙によいのかな。世之介のただただ正直でいい人な人間性にこちらの心がほだされるような感覚で読み進めました。
立派だったりすごかったりといったことがない、どっちかというと間抜けで取り柄のないような人間でも、素直で正直ということが関わった人たちを温かくすることができるんだ、というような、ちょっと素敵な気持ちになりました。