吉田修一のレビュー一覧

  • 森は知っている

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    いや、コレはなんだかスゴい作品ですぞ。
    リアリティが無さすぎるだけに、逆に本当にありそうな世界。
    上手いなあと思う。
    無事に34歳まで勤め上げて平穏な人生を送らせてあげたい。

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    2023年12月29日
  • 路

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    台湾新幹線でつながる日台の人々の物語。
    たった一度きり、たった一人との出逢いで自分の歩む「路」が決まることもある。たとえ会えなくても、相手を思う強い気持ちさえあればきっとつながっていられる。
    登場人物たちそれぞれの「路」を辿り、終始胸がいっぱいでした。

    脳内に台湾の光景がぶわあっと広がる美しい描写も最高…!
    何度でも読みたくなる一冊です。

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    2023年12月19日
  • 愛に乱暴(下)(新潮文庫)

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    ネタバレ

    真守の罪、奈央の罪、照子の罪、そして桃子の罪。歪な人間関係や生活環境がそれらを産んだのだろうか? 母屋と離れという、近いのに遠い距離感がそうさせたのだろうか? 鞄が底なしになって、引っ張られないように畳をひっくり返したのはその罪に精神を引き摺り込まれないようにするためだっか? 全ての出来事が写真のフレームのようになって連続してさまざまな想像が掻き立てられた。なんだかんだと8年も結婚生活を続けてきたのだから、ことはそう簡単ではない。ただ急転直下でもなければ不満のちりつもでもなくて、一つの因果関係で物語れないところにこの著作の肝がある気がする。

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    2023年12月04日
  • パーク・ライフ

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    ネタバレ

    ⚫︎受け取ったメッセージ
    公園は人が入ってきて出ていく。
    体は食べ物が入ってきて出ていく。
    同じ人が来る、同じ食べ物が入る。
    でも、違う人も来るし、違う食べ物も入る。
    毎日毎日、同じように見えていても、絶対に同じ日はなく、気づかない間に、少しずつ少しずつ変わっていっている。小さな変化を受け取るという丁寧さを思い出させてくれた。

    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)
    昼間の公園のベンチにひとりで座っていると、あなたは何が見えますか? スターバックスのコーヒーを片手に、春風に乱れる髪を押さえていたのは、地下鉄でぼくが話しかけてしまった女だった。なんとなく見えていた景色がせつないほどリアルに動きはじめる

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    2023年11月06日
  • 横道世之介

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    以前吉田修一さんのパレードという作品を読みました。そして横道与之介が2作品目。
    うまく言語化できないのですが、この作品の中で迷子になってしまう自分がとても心地よい。最後の1ページを読んだ後にまだ小説の中から抜け出せない感覚味わえました。
    なんなんでしょうこの感覚は、続編も読んでみたいと思います。

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    2023年10月15日
  • 初恋温泉

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    温泉行きたいなぁ。
    コロナが流行り出してから 何年も行ってないな。
    これからだったら紅葉みながらの露天風呂とか
    いいなぁ。草津、伊香保、那須塩原…。いいなぁ。


    こちら、温泉旅館に泊まる男女5組の恋愛小説です。

    初恋の女性と結婚した男性。 突然 妻から離婚したいと告げられる。別れる理由も聞けないまま温泉へ訪れる。
    結婚を間近に控えたおしゃべり好きのカップル。義母から「脇役夫婦」と言われる。襖一枚隔てた隣の部屋には 物静かな男女が泊まる。(これ好き)
    お互いの配偶者に嘘をつき温泉に泊まりに来たダブル不倫の男女。
    初めての1泊旅行に来た高校生カップル。(これ男の子がザ・高校生男子でめちゃ可愛

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    2023年09月23日
  • 最後に手にしたいもの

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    何のために生きてるのか、考える時間がたっぷりある今のタイミングからこそ、沁みる内容だった。東京で何かに焦りながら暮らした直近4年間も、それはそれで悪くなかったと感じさせてくれた。旅はこれから続ける。本当に心を癒してくれるのは綺麗な空とか人の優しさとかいつかの思い出なのかなあ、とか考えた。
    著者吉田修一さんが映画「怒り」原作者とは知らなかった。とてもいい映画だったのでまた見たい。

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    2023年09月21日
  • 犯罪小説集

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    ネタバレ

    有名映画の原作が多くあるので、大衆寄りの作風かなと想像しちゃうけど文学的な仕上がりがこの著者にはあるし、そこにまんまと魅了される。

    主人公たちは想像の範囲内で一癖二癖あり、生きていく環境に翻弄されてまさに罪への陥穽に知らず知らずに嵌まる。決して根っからの悪人ではなく、ただボタンの掛け違いが修復不可能なまでに加速しもう後戻りできない最後の一線を超えていってしまう。

    特に「百家楽餓鬼」と「白球白蛇伝」がシビれる。
    原因は違えどどちらもお金に関係し、堕落していく。しかし、主人公二人とも最初は真っ当な人間といて歩んでいるはずなのに、周りの環境からの外的影響から歯車が徐々に狂い出し堕落していく。そこ

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    2023年09月15日
  • 湖の女たち(新潮文庫)

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    『もし揺れていなければ、存在しない』
    『小鳥の声や波音が、わたしやあなたの心に沁みてくる。ただ、沁みてくる。これが世界の始まりだ』
    最終章、夜から朝になる琵琶湖を描写した表現が美しすぎた!!!!!!
    かと思えば、徹頭徹尾、性欲というより「情欲」という言葉の方が相応しいような妖しさが漂う。こういう沼にハマる感じは、なんか、わかる気がする。
    沼に嵌めてるつもりの男が、実は女の沼に嵌められてるという。

    地元滋賀が舞台。映画は見たことあるが、吉田修一作品を読むのは初めてで、濃密さに感動した。正常な人は、週刊誌記者の池田しかいなかった。

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    2023年09月15日
  • 永遠と横道世之介 下

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     飄々とかつ一生懸命に人生を楽しむ男、横道世之介。
     現在は東京郊外にある下宿屋「ドーミー吉祥寺の南」で、家主のあけみや4人の店子たちと共同生活を送っている。
     暮らし向きが豊かでないのは相変わらずだけれど、やはり毎日が楽しそうだ。

     世之介不惑の歳までの約1年間を描くシリーズ最終作。下巻は、後半の半年間の物語。
              ◇
    世之介は39歳を迎えた。カメラマンをしながら東京郊外での下宿屋暮らし。大家で妻のあけみと、気心の知れた3人の店子たち。そんな平和な空間にやってきたのは引きこもり男子高校生。名を一歩という。

     一歩は世之介が仕事で知り合った中学教師の一人息子で、誰とも

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    2025年06月25日
  • 永遠と横道世之介 上

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     飄々と、そして一生懸命に、人生を楽しむ男、横道世之介。
     現在はカメラマンとして生計を立てつつ、「ドーミー吉祥寺の南」という東京郊外の下宿屋で、家主のあけみや3人の店子たちと共同生活を送っている。相変わらず暮らし向きは豊かでないけれど、やはり毎日が楽しそうだ。

     世之介不惑の歳までの約1年間を描くシリーズ最終作。上巻は、前半の半年間の物語。
              ◇
    前巻から14年ほどが過ぎ、世之介39歳を迎える年。カメラマンとして (かろうじて) 身を立てられるようになっている。

     現在の住居は東京郊外の下宿屋。でも店子というわけではなく、寝起きするのは家主のあけみの居住スペース

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    2023年09月03日
  • 泣きたくなるような青空

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    日曜の夜に一気読みしてしまった。
    エッセイなのに横道世之介を読んでいるかのようだった。世之介は著者そのものなのか!?
    何だかキャンプとか屋外で夜風に当たりながらランプの灯りで読みたい本だった。
    あまり旅行をできないが、本で旅をした。
    いつか行ってみたいと思いを馳せながら…

    修学旅行で行った長崎、もう一度行きたいな。

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    2023年07月24日
  • 路

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    少し読みづらい展開でしたが、読み終えてみると人間の感情がよく描かれているストーリーでした。新しい読み物に一歩入ったかな。

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    2023年07月20日
  • 新装版 静かな爆弾

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    ネタバレ

    ・とりあえず読んでみてよかった!!最後はよく分からないけど鳥肌が立った。こうして文章にまとめることにも意味があるんだと思った。
    ・「音のない世界」って、たぶん想像できない。怖い。
    ・〝情報というのは、不思議なものだ……〟(P.54L2〜)取材の人も必死なのがよくわかる。情報の価値の違いとか、考えたことなかった。
    ・アパートで起きたいざこざ、よく分からなかった。誰が悪いんだろう……?
    ・とにかく、気付かされることが多い!実体験なのかな。
    ・読んでるとき「これは記憶しておけばいいか」って思ってメモしなかったこともあるけど、きっと忘れちゃうんだろうな、人間って。だからこそ覚えようとするんだろうか。

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    2023年07月07日
  • 怒り (上)

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    何年も前に映画を観たが、いまだに衝撃がはっきりと残っている作品。ずっと原作を読みたいと思っており、ようやく読めた。
    映像で犯人がわかっていても、疑わしい三人とそれぞれが関係を築いていく過程に胸がギュッとなる。濃く、重いが一気読み。下巻を読んで、そのまま映画を再視聴したい。

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    2023年07月03日
  • 永遠と横道世之介 下

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    上巻とは打って変わって、お別れが近いからか、ほっこりエピソードも、悲しいエピソードも、すべて切なくなる。まるで、楽しい旅行の最終日のような。
    でも素敵な旅行のような、嫌な日常を全て忘れてはしゃぐような読書体験をさせてくれた世之介に感謝したい。
    自然体で生きること。長さや短さ、濃さや薄さに違いはあれど、人と比べることなく満足して一生を終えられることが素敵な人生なんだなと感じた。世之介や、二千花のように。 ★5.0

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    2024年09月07日
  • 最後に手にしたいもの

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    自分のことを目の前でTwitterにて呟いた大学生とのエピソード、最高でした。長崎ではなく、佐賀にこの人は欲しかった。

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    2023年06月28日
  • 永遠と横道世之介 上

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    横道世之介シリーズがついに完結。
    上巻からすでに名残惜しくて、1ページ、1ページ、大事に読ませていただきました。
    割とタイムリーに読んできた自分としては、いつの時代も、あぁ、これが世之介だよなぁと思わせてくれるキャラクターで、まるで実際に存在しているかのでは思わせる。小説なのにここまで生き生きと描ける吉田修一さんはやっぱり巧い。
    体温と同じくらいの温度で、浸かってんのか浸かってないのか、よく分かんないぬるいお湯のような世界観に浸かりながら、最後まで見届けたい。 ★5.0

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    2024年09月07日
  • 作家と一日

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    吉田修一さんのエッセイ、やっぱりとてもいい。
    さりげなく、結構高級そうなホテルやリゾートに行っていたり、ドンペリ飲んでたりするのだけど、マウント取ることもへりくだることもなく、フラットな目線をしているから全然嫌味じゃないのも、実はすごいと思う。
    あとは、出来事を脚色したり、変にオチをつけようとせず、本当に感動したことをそのまま書いている(もちろんそこは吉田修一だから素晴らしい表現だけど)のもいい。信頼できる感じがする。
    秋田の乳頭温泉、台湾、フィンランド…と行きたいところが増えた。

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    2023年06月09日
  • 犯罪小説集

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    解説にあるように、登場人物たちの人生、生きる空間が丹念に描かれていて、人が罪を犯すまでが、ものすごくリアルに、近所の噂話かのように感じられる。
    一人一人が身近に思えるので、事件が起こる瞬間には、ああもう取り返しがつかないと、とてつもないやるせなさに襲われる。
    矛盾だらけで、本当に言いたいことは伝えられない、人間の哀しさみたいなものを感じる。

    そんなずっしり重くてしんどい短編集だけれど、読むたびに発見があり、別の登場人物に共感できたりするので、何度も読み返している。
    特に印象的なのは『万屋善次郎』『白球白蛇伝』。

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    2023年06月04日