吉田修一のレビュー一覧

  • 犯罪小説集

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    ネタバレ

    有名映画の原作が多くあるので、大衆寄りの作風かなと想像しちゃうけど文学的な仕上がりがこの著者にはあるし、そこにまんまと魅了される。

    主人公たちは想像の範囲内で一癖二癖あり、生きていく環境に翻弄されてまさに罪への陥穽に知らず知らずに嵌まる。決して根っからの悪人ではなく、ただボタンの掛け違いが修復不可能なまでに加速しもう後戻りできない最後の一線を超えていってしまう。

    特に「百家楽餓鬼」と「白球白蛇伝」がシビれる。
    原因は違えどどちらもお金に関係し、堕落していく。しかし、主人公二人とも最初は真っ当な人間といて歩んでいるはずなのに、周りの環境からの外的影響から歯車が徐々に狂い出し堕落していく。そこ

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    2023年09月15日
  • 湖の女たち(新潮文庫)

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    『もし揺れていなければ、存在しない』
    『小鳥の声や波音が、わたしやあなたの心に沁みてくる。ただ、沁みてくる。これが世界の始まりだ』
    最終章、夜から朝になる琵琶湖を描写した表現が美しすぎた!!!!!!
    かと思えば、徹頭徹尾、性欲というより「情欲」という言葉の方が相応しいような妖しさが漂う。こういう沼にハマる感じは、なんか、わかる気がする。
    沼に嵌めてるつもりの男が、実は女の沼に嵌められてるという。

    地元滋賀が舞台。映画は見たことあるが、吉田修一作品を読むのは初めてで、濃密さに感動した。正常な人は、週刊誌記者の池田しかいなかった。

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    2023年09月15日
  • 永遠と横道世之介 下

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     飄々とかつ一生懸命に人生を楽しむ男、横道世之介。
     現在は東京郊外にある下宿屋「ドーミー吉祥寺の南」で、家主のあけみや4人の店子たちと共同生活を送っている。
     暮らし向きが豊かでないのは相変わらずだけれど、やはり毎日が楽しそうだ。

     世之介不惑の歳までの約1年間を描くシリーズ最終作。下巻は、後半の半年間の物語。
              ◇
    世之介は39歳を迎えた。カメラマンをしながら東京郊外での下宿屋暮らし。大家で妻のあけみと、気心の知れた3人の店子たち。そんな平和な空間にやってきたのは引きこもり男子高校生。名を一歩という。

     一歩は世之介が仕事で知り合った中学教師の一人息子で、誰とも

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    2025年06月25日
  • 永遠と横道世之介 上

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     飄々と、そして一生懸命に、人生を楽しむ男、横道世之介。
     現在はカメラマンとして生計を立てつつ、「ドーミー吉祥寺の南」という東京郊外の下宿屋で、家主のあけみや3人の店子たちと共同生活を送っている。相変わらず暮らし向きは豊かでないけれど、やはり毎日が楽しそうだ。

     世之介不惑の歳までの約1年間を描くシリーズ最終作。上巻は、前半の半年間の物語。
              ◇
    前巻から14年ほどが過ぎ、世之介39歳を迎える年。カメラマンとして (かろうじて) 身を立てられるようになっている。

     現在の住居は東京郊外の下宿屋。でも店子というわけではなく、寝起きするのは家主のあけみの居住スペース

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    2023年09月03日
  • 泣きたくなるような青空

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    日曜の夜に一気読みしてしまった。
    エッセイなのに横道世之介を読んでいるかのようだった。世之介は著者そのものなのか!?
    何だかキャンプとか屋外で夜風に当たりながらランプの灯りで読みたい本だった。
    あまり旅行をできないが、本で旅をした。
    いつか行ってみたいと思いを馳せながら…

    修学旅行で行った長崎、もう一度行きたいな。

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    2023年07月24日
  • 路

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    少し読みづらい展開でしたが、読み終えてみると人間の感情がよく描かれているストーリーでした。新しい読み物に一歩入ったかな。

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    2023年07月20日
  • 新装版 静かな爆弾

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    ネタバレ

    ・とりあえず読んでみてよかった!!最後はよく分からないけど鳥肌が立った。こうして文章にまとめることにも意味があるんだと思った。
    ・「音のない世界」って、たぶん想像できない。怖い。
    ・〝情報というのは、不思議なものだ……〟(P.54L2〜)取材の人も必死なのがよくわかる。情報の価値の違いとか、考えたことなかった。
    ・アパートで起きたいざこざ、よく分からなかった。誰が悪いんだろう……?
    ・とにかく、気付かされることが多い!実体験なのかな。
    ・読んでるとき「これは記憶しておけばいいか」って思ってメモしなかったこともあるけど、きっと忘れちゃうんだろうな、人間って。だからこそ覚えようとするんだろうか。

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    2023年07月07日
  • 永遠と横道世之介 下

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    上巻とは打って変わって、お別れが近いからか、ほっこりエピソードも、悲しいエピソードも、すべて切なくなる。まるで、楽しい旅行の最終日のような。
    でも素敵な旅行のような、嫌な日常を全て忘れてはしゃぐような読書体験をさせてくれた世之介に感謝したい。
    自然体で生きること。長さや短さ、濃さや薄さに違いはあれど、人と比べることなく満足して一生を終えられることが素敵な人生なんだなと感じた。世之介や、二千花のように。 ★5.0

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    2024年09月07日
  • 最後に手にしたいもの

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    自分のことを目の前でTwitterにて呟いた大学生とのエピソード、最高でした。長崎ではなく、佐賀にこの人は欲しかった。

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    2023年06月28日
  • 永遠と横道世之介 上

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    横道世之介シリーズがついに完結。
    上巻からすでに名残惜しくて、1ページ、1ページ、大事に読ませていただきました。
    割とタイムリーに読んできた自分としては、いつの時代も、あぁ、これが世之介だよなぁと思わせてくれるキャラクターで、まるで実際に存在しているかのでは思わせる。小説なのにここまで生き生きと描ける吉田修一さんはやっぱり巧い。
    体温と同じくらいの温度で、浸かってんのか浸かってないのか、よく分かんないぬるいお湯のような世界観に浸かりながら、最後まで見届けたい。 ★5.0

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    2024年09月07日
  • 作家と一日

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    吉田修一さんのエッセイ、やっぱりとてもいい。
    さりげなく、結構高級そうなホテルやリゾートに行っていたり、ドンペリ飲んでたりするのだけど、マウント取ることもへりくだることもなく、フラットな目線をしているから全然嫌味じゃないのも、実はすごいと思う。
    あとは、出来事を脚色したり、変にオチをつけようとせず、本当に感動したことをそのまま書いている(もちろんそこは吉田修一だから素晴らしい表現だけど)のもいい。信頼できる感じがする。
    秋田の乳頭温泉、台湾、フィンランド…と行きたいところが増えた。

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    2023年06月09日
  • 犯罪小説集

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    解説にあるように、登場人物たちの人生、生きる空間が丹念に描かれていて、人が罪を犯すまでが、ものすごくリアルに、近所の噂話かのように感じられる。
    一人一人が身近に思えるので、事件が起こる瞬間には、ああもう取り返しがつかないと、とてつもないやるせなさに襲われる。
    矛盾だらけで、本当に言いたいことは伝えられない、人間の哀しさみたいなものを感じる。

    そんなずっしり重くてしんどい短編集だけれど、読むたびに発見があり、別の登場人物に共感できたりするので、何度も読み返している。
    特に印象的なのは『万屋善次郎』『白球白蛇伝』。

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    2023年06月04日
  • パレード

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    ただのほのぼの作品かと思いきや、最後の最後で驚かされた!ものすごく恐ろしいようで、だけどどこか暖かくて、どう解釈するべきか迷い考えさせられる作品だった。

    「この部屋での、この共同生活は、そういったものを持ち込まないからこそ、成立しているんじゃないか、とも思う。話したいことではなく、話してもいいことだけを話しているから、こうやってうまく暮らせているのだと。」
    ーー良介

    「飽こうが飽くまいがこの世に悪意は存在するし、目をつぶって過ごそうなんて、そんなの楽観的すぎるよ、と笑う人がいるかもしれない。ただ、そう言って笑おうとする、その悪意にも、私はもう飽きている。」
    ーー琴ちゃん

    「ここでうまく暮

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    2023年04月30日
  • 悪人 新装版

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    決して明るい話ではない。
    だけど、自分はこっち側なんだと。どうしてか共感出来る部分多々あり。
    生きているなかでの社会での不条理さや不公平感、要領良い人やうまく立ち回れない自分。
    吉田氏、好きです。

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    2023年04月23日
  • 泣きたくなるような青空

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    吉田修一さんのエッセイ読むの、意外にも初めてかも。
    人間というものの切なさ、愛おしさが感じられる簡潔な文章はエッセイでも健在で、ああ吉田修一ってやっぱいいなあ、と思いながら読んだ。

    特に好きなのは『お盆・花火・長崎』。
    長崎ではお盆に墓場で花火したり、精霊流しで100本以上も爆竹を鳴らすのは初めて知った。故人を賑やかに送るの、楽しそうで、どうしようもなく切なくて、最高。

    吉田修一さんは、盛大な爆竹と共に精霊船を流し終えた後、宴会に向かって、高揚と虚しさが入り混じったような足取りで歩きながら、亡くなった家族や友人のことを話すのが好きだそうで、それもすごくいいなあと思った。

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    2023年04月20日
  • 犯罪小説集

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    随分前に『楽園』を見て読みたくなり購入。買ってから短編集と知るw

    じめ〜っとした嫌な蒸し暑さと全てを覆い隠してしまう重苦しい寒さといった温度が感じられる文章だったな。
    不快な温度の中にいると何も考えられなくなるのと同じように、各短編の登場人物達も考え方が一方通行すぎるし人って本当に自分の都合のいい方にしか考えられへんのやなと思った。
    それは悪夢を終わらせる希望でもあるのか。
    あいつが怪しい、あいつに決まってるって次々に言い出すの怖かった。

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    2023年02月04日
  • 路

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    吉田修一っぽくはない。でもとても良い。

    台湾に日本の新幹線が走る。その巨大プロジェクトに、それぞれの国の人々の個々に抱いてきた想いが繋がっていく群像劇。

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    2023年01月22日
  • 逃亡小説集

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    ネタバレ

    吉田修一の短編小説集で『逃げろ九州男児』『逃げろ純愛』『逃げろお嬢さん』『逃げろミスター・ポストマン』の4作が収録されている。
    どの話も実際にあった事件を彷彿とさせる内容で、個人的には『逃げろお嬢さん』がとても良かったと思う。夫が大麻取締法違反で捕まった舞子が逃亡し、その舞子をかつて推していた宿の経営者宮藤康太がひょんなことから舞子を助け「テレビのドッキリだな」という壮大な勘違いをしてしまい、その結果、大騒ぎになるというもの。
    クスッと笑ってしまう表現とハラハラする表現の塩梅が最高でのめり込むようにして読んでしまった。
    また、吉田修一は社会的弱者とされる立場の人たちの描写をこちらの心が痛くなる

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    2023年01月04日
  • 悪人 新装版

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    主要な登場人物の中での「悪人」ランキング

    僕の中では、

    第一位 ボンボンの大学生・増尾圭吾(だんとつ)
    第二位 殺された保険外交員・石橋佳乃
    第三位 土木作業員・清水祐一
    第四位 紳士服店店員・馬込光代

    でした。


    「人としての正しい行い」がこの小説のテーマかな、と思いました。
    誰にも潜む「悪人」の自分。そいつが衝動的に引き起こす悪行。もちろん取り返しのつかないこともあるけど、その悪行の後の「人としての正しい行い」こそ、生きていく上では大切なこと。


    それと、人に執着すること、について。
    佳乃の父、佳男が増尾の友人、鶴田に語りかける言葉。
    長くなるけど、とても心に残ったので引用する。

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    2022年10月05日
  • おかえり横道世之介

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    なるほど、そういうことか!

    世之介の人生において、前作には書かれなかった部分のお話。
    前作との繋がりは殆ど無いに等しいので、本作だけ読んでも充分楽しめます。もちろん、前作ファンの方は必読です。

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    2022年09月05日