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Posted by ブクログ
吉田修一さんの恋愛小説。
テレビ局に勤める俊平は、公園で出会った聴覚にハンディキャップを持つ女性・響子と恋に落ちる。
静かで穏やかな日々を重ねていく二人は、俊平が仕事で忙殺されるなかで、すれ違いが積み重なっていく。
俊平と響子は言葉を交わせない分、伝えたいことを精査して文字で伝えるため、余分なことを省略するのが当たり前になってしまう。だけど、その余分なことが相手を知るために必要なこともあり、心が通じ合えるほどの関係に至っていなかったことに気付かされる。
思っていた以上に相手のことを知らず、知らないことに薄々気付いていたのに知ろうとしなかった俊平の気持ちが見えてくる描写がとても良かったです。
二人の出会いの場面がとにかく美しく、はっきりとは描かれない二人の関係も想像をかき立てます。
吉田さんの恋愛小説は心に沁みる。また好きな作品が増えました。
Posted by ブクログ
思い当たる節しかない物語だった。
テレビ局に勤める俊平は、
公園で出会った聴覚にハンディキャップを持つ響子と恋に落ちる。
静かで穏やかな日々を重ねる二人だが、音によって隔てられた世界は
恋しさと戸惑いを同時に生み、やがてすれ違いが積み重なっていく。
自分はその相手のことをどれぐらい知っているのだろうか。
これはある意味、永遠の問いなのかもしれない。
言葉にしなければ伝わらない。だが、その言葉によって逆に伝わらない。
そんな矛と盾のような禅問答が頭の中で駆け巡る。
物語は全編通して俊平の目線でしか語られないので、
響子の思いはわからない。つまり読み手も俊平と同じ感覚を味わうしかない。
こちらも俊平でしかいられないのだ。
それはわかったつもりでいることと同じことなのだと、
読み進めるうちに俊平と同じようにハッキリとわかってくる。
これほど怖いことはないかもしれない。
小説を読んであまり味わうことのない類の恐怖を覚えた。
Posted by ブクログ
静謐で美しい話。
冒頭でテレビ局に務める俊平と耳の聞こえない響子が出会うシーンがドラマティックで一気に引き込まれた。
筆談でのやりとりで、響子の短くも優しい言葉や、時々芯をつく会話にはっとさせられる。
音のない静かな爆弾は、爆発するまでその存在にすら気づかないように、響子がなぜ突然俊平の元を去ったのか、響子が本当は何を思っていたのかは分からず、俊平は彼女の家をぐるぐると探す。
読んでいる途中は吉田修一らしくない作品かな?と思ったが、「悪人」や「怒り」と同様に、愛する人が本当はどんな人間なのか、本当は何を思って生きているのかを主人公が考えており、殺人犯が出てこないだけで、これまでの作品とテーマ性が一貫しているように感じられた。
巻末の宇垣美里さんの解説が秀逸。この文章で一気にこの話が好きになる。
バーミヤン遺跡の爆発を誰もが見て見ぬ振りをしたように、俊平も彼女が去っていくかもしれないのを分かっていたのに、去らない方に懸けたという伏線が、この物語をより一層重厚なものにしている。
Posted by ブクログ
・とりあえず読んでみてよかった!!最後はよく分からないけど鳥肌が立った。こうして文章にまとめることにも意味があるんだと思った。
・「音のない世界」って、たぶん想像できない。怖い。
・〝情報というのは、不思議なものだ……〟(P.54L2〜)取材の人も必死なのがよくわかる。情報の価値の違いとか、考えたことなかった。
・アパートで起きたいざこざ、よく分からなかった。誰が悪いんだろう……?
・とにかく、気付かされることが多い!実体験なのかな。
・読んでるとき「これは記憶しておけばいいか」って思ってメモしなかったこともあるけど、きっと忘れちゃうんだろうな、人間って。だからこそ覚えようとするんだろうか。
・響子がいなくなったあたりとか、面白くなってきたー!って感じ。
・ラストの方、気になりすぎて一気読み不可避。
・何かを伝える仕事って素敵。やり方はなんであれ、〝伝える〟って大切。
・最後は「え?!なになに?!」ってなった。もう少し経ってから読み直したい。今までどうして知らなかったのか……
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