吉田修一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
歌舞伎を上手(うも)うならして下さい他には何も要らないと
マツや徳次や春江、芸鼓の藤駒、竹野、
見守ってる人たちさえも通り越していく
いつしか辿り着く
完璧を越えた完璧な芸へ
芝居の中で自身の目に映るものが
いつしか現実の世界を超越していく
景色が見たい
と言っていた景色は
現実の均衡が保てない世界
芝居への情熱が深く、その先に行き着こうと心がとらわれる
ひとつのキッカケを境に現実と芝居のバランスが崩れる様に息をのんだ
わが道しか見えず
不器用なまでに歌舞伎を愛し歌舞伎に魅せられ
その中でしか生きられなかった役者の生き様を見せてもらった
とても面白かった
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Posted by ブクログ
「あいつに出会えただけで、自分は得をした」
読み終えた今、その言葉が痛いほど胸に響いている。
ラストのページ。
世之介の母親が綴った手紙。
あの一通には、世之介という人間のすべてと、彼を包んできた無償の愛が詰まっていて、気づけばボロボロと泣いていた。
この物語にはモデルがいる。2001年の新大久保駅転落事故で、人を助けようとして亡くなった日本人カメラマンだ。あの事故で助けようとしたのは韓国人留学生だけだと思い込んでいた自分にとって、この事実は大きな衝撃だった。
作中にふわっと韓国人留学生のキムくんが登場するのも、きっと作者の公平な眼差しなのだろう。国籍など関係なく、世之介の周りにはいつも、 -
Posted by ブクログ
吉田修一に手を出した。デビュー作から順次読んでいくつもり。
あえて強引に分類すれば、純文学になると思うが、しばらくエンタメ(ライトノベル、直木賞系)を読んでたので、非常に歯ごたえと旨味があった。そして不思議なことに面白くないのに没頭してどんどん読んでしまうのだった。作品世界に引き込まれる。。。まあそれは結局、面白いということなのだろうが。
長崎弁が大変良い。これまでの人生で大学の4年間だけ九州にいたので長崎弁を聞く機会もあり、本作でも読んでてまったく苦も無く理解することができた。リズムと語呂が良い。
また、荻窪に向かう電車の中で読んでいるとき、主人公がモノレールからJRに乗り換えて荻窪に向かう -
Posted by ブクログ
春江ちゃんとか綾乃ちゃんも、やっぱり女性は強し。w
昭和のあるべき姿なんだよなー。
源氏物語のところでは先日まで紫式部関連を読んでいたから、リンクして情景が浮かぶようだった。
なんか読んでて思い浮かんだのが、映画『ブラック・スワン』
役の世界に取り憑かれて現実と虚構の境界線がわからなくなってくる。
…確かにある意味、最高に幸せなことなのかも知れない。
『幸せ』の価値・基準なんてそれぞれ人によって違うから何が、どういう状態が『幸せ』なのかなんてわからない。
豊かに持っていることが『幸せ』なのか、常に喜楽にいられることが『幸せ』なのか。
私は最近『幸せ』を『お花畑』と言い換えている。
今回一番 -
Posted by ブクログ
筆舌に尽くしがたい。本当に面白い。
昭和のタバコの煙や排気ガスなんかで視界が濁るような空気感の中、清濁盛り合わせて役者道に生きる青年。読んでるだけの身としてはポカンと口を開けて目を見開いて舞台を見上げている気持ち。
一人一人の人生を丁寧に丁寧に書いているし、喜久雄の任侠らしさと役者への没入感がなんともマッチしてる。義理堅いし男らしいのに、たおやかな女形がなんとも言えない。
映画とはまた違うストーリーながらも、吉沢亮が見事に演じていたどこか退廃的な影のある美青年がちらついて、その魅力にうっとりしてしまう。映画と本のどちらも味わえてほんとに幸せ。
先代白虎のこさえた借金、あれは関西歌舞伎界を少しで