吉田修一のレビュー一覧

  • 路

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    吉田修一の描く群像劇はやはりピカイチだと思う。
    とても素敵な作品だった。

    台湾に日本の新幹線が走る。
    商社の台湾支局に勤める春香と日本で働く建築家・人豪の巡り合い。
    台湾で生まれ戦後引き揚げた老人・勝一郎の後悔。
    「今」を謳歌する台湾人青年・威志の日常。
    新幹線事業を背景に、
    日台の人々の国を越え時間を越えて繋がる想いを色鮮やかに描く群像劇。

    出てくる登場人物たちが皆何らかの形で台湾新幹線に関わっている。
    これは非常に高等なテクニックだとも思った。
    何気ない日常を描き、何でもない台湾人青年に至ってもそういう流れになる。
    群像劇で一番難しい繋がりを、いとも簡単に描いている点は流石の一言。

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    2026年04月20日
  • 国宝 上 青春篇

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    喜久雄と俊介の人生が対照的でありながらお互いを補うように、まるで太陽と月のように描かれている。映画を観ておらず歌舞伎にも疎いが、ありありと映像が目に浮かぶような、特等席で芝居を見ているような芸の凄みを見た感覚になった。

    「…見るもん、やるもん、何から何まで新鮮で、歌舞伎が好きで好きで、稽古がおもろうておもろうて…」

    「…歌舞伎が憎くて憎くて仕方ないんでしょ。…でも、それでいいの。それでもやるの。それでも毎日舞台に立つのがあたしたち役者なんでしょうよ」

    芸に魅了された者と生まれた時から芸に生きる道を決められた者、この文章にすべてが凝縮されているのではないかと思う。花道篇を読むのが楽しみ。

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    2026年04月19日
  • 横道世之介

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    オールタイムベスト級に大好きな映画の原作小説、やっと読めた。ダラダラと精一杯今を生きる世之介は小説でもやっぱり愛おしいし、記憶の中で現在と過去が交差するその一瞬の切なさよ。世之介が辿る人生は必然的なものだったのかも、と示唆させるラスト前の展開が見事。

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    2026年04月15日
  • ウォーターゲーム

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    水道の利権をめぐる策略と情報戦。色んな企業、国、政治、それぞれの私利私欲が絡み、スパイ&アクションのエンタメ要素ががっつり高めで面白い!展開がテンポ良く変わるので飽きずに読める。ただ、前の2作と比べるとあまりにも現実離れしすぎているというか出来すぎている感はあって、前半はそんなにのめり込めなかった。でも、終盤の畳み掛けるような展開が好き過ぎた。
    スピンオフも出して欲しいな。

    あと、ファッテューチョンってスープ、初めて知った。仏も飛んでくるってすごい!どんな味なんだろ?!

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    2026年04月11日
  • ミス・サンシャイン

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    当初想像していたのとはだいぶ違う内容だった。それは勿論良い意味で。

    心に傷を負った大学院生の岡田一心は、
    伝説の映画女優である和楽京子こと石田鈴の自宅で荷物整理を手伝うことに。
    引退した今なお美しい鈴さんの胸に秘められていた波瀾万丈な映画人生、
    原爆が奪った運命と大切な人たち。
    その過去に触れるうち、一心の胸にあたたかな光が灯る。

    吉田修一作品で言ったら横道世之介に分類される読みやすさと温かさであった。
    何より、鈴さんの生きた人生が本当に胸に刺さる内容であった。
    ミス・サンシャインに込められた皮肉、
    そんなことにも気付けなかった己の無知さ加減も含めて。

    鈴さんという存在によって、
    主人公

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    2026年04月11日
  • パレード

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    小さなきっかけで集まった、お互いに無関心な緩い関係性の5人の話。ゆるい日常にだんだんと暗雲が立ち込めて、ラストに繋がった。まともそうな人が実は、というとこまで含めて親近感がわく小説だった。
    長く付き合う関係性もいいけど、人生の中で数年程度の刹那的な関係っていいよね。

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    2026年04月10日
  • ミス・サンシャイン

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    最初は物語の核となる部分がどこにあるのか分からなかったが読み進めることで和楽京子と一心がそれぞれ異なる人生を歩む中でも重なる部分にこちらが惹き込まれていく。桃ちゃんの件が必要だったのかは微妙なところだが、逆のこの年相応の恋模様が展開されることで読みやすく、また主人公がまだまだ大人にも非情にもなりきれない未熟な少年であることが上手く表現されている。原爆に関して、記述は多くはないがそれでも歴史と和楽京子の人生の重みを感じるには充分な文章だった。

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    2026年04月07日
  • 怒り(下) 新装版

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    信じる 信じない 信じられない
    信じていたのに裏切られる

    結局最後は自分自身を信じることができた者だけが、自分にとって大切だと思う人のことを信じることができるのだろう

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    2026年04月07日
  • 怒り(上) 新装版

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    最初はよくわからないまま進んでいたけど、後半はかなり面白くてサクサク読めた。続きが非常に気になる。
    下まで読んでもう一度ちゃんと感想書こう。

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    2026年04月05日
  • 永遠と横道世之介 下

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    なんでもない一日。
    春の、夏の、秋の、冬の。
    そんななんでもない一日みたいな人。

    心が洗われるような本でした。

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    2026年04月04日
  • 平成猿蟹合戦図

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    描写がリアル過ぎて、衝撃的だった。
    実体験として脳裏でその瞬間を見てしまった、その現場にいたように感じ、読まなきゃ良かった。
    面白く一気に読んだが、フィクションとノンフィクションの境が分からないような描写に戸惑う。
    そこが作者の力だと思うが。

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    2026年04月01日
  • 横道世之介

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    上京してきた大学生の日常の物語。
    特に変わったところの無い、普通の大学生、それが世之介。ありふれた大学生のひとりだけど、一つ一つの出会いを大切にしてのんびーり過ごすのも青春だなって懐かしくなった。

    読み終わってから、世之介死んじゃったのか…と知り合いでもない本の主人公なのに、なんか力が入らないというか、どこかやるせなさを感じてしまう。

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    2026年03月31日
  • 路

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    台湾新幹線のお話という事でもっとプロジェクトXっぽいかと思いましたが、いい意味で予想を裏切ってもらいました。

    吉田修一さんの作品は人間を描くのが上手だといつも感心しますが今回はいい方の人間臭さが目立つ内容で台湾の人の優しさ、おおらかさがとても心地よかったです。

    後、一番は台湾の空気、匂い、そして南国の蒸し暑さ、それがすごく伝わって来ましたね。

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    2026年03月29日
  • パレード

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    ネタバレ

    直樹の章の最後で、全くジャンルが異なる本になる。
    共同アパートで暮らす5人を丁寧に描いた群像劇のように進んでいく。
    サトルが新たに入居して不穏な空気になるがそれがミスリードのまま終わると思いきや、まさかのそれをオチに持ってくる衝撃の展開。
    読んでいて全く予想できなかった、ただこの作品のジャンルがとても難しいと思った。
    オチありきならミステリーになるのだが、それだとオチの衝撃が無くなってしまうだろう。
    しかし、純文学と言われればオチによって全く異なる性質に変わるので純文学ではない、故に非常に難しい本の紹介になる。
    紹介する人の技術が問われる小説なのかもしれない。

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    2026年03月28日
  • 永遠と横道世之介 上

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    少し前に読んだ『太陽は動かない』でもコメントしたが、改めて吉田修一の表現力の広さ(深さ?)には恐れ入る。『横道世之介』シリーズの三作目として、これまでの軽妙な表現や内容は、『悪人』『怒り』『犯罪小説集』等の「重さ」と『太陽は動かない』の「ダイナミックなアクションもの」とは全く別物で、シリーズの期待どおり思わず笑ったりホッとさせたりしてくれる。第一作目の映画化のとおり、世之介は主演の高良健吾君をイメージしながら読んでしまった。
    (小説の内容については下巻も含めて全て読んだところでコメントさせてもらう。)

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    2026年03月27日
  • 悪人 新装版

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    やはり吉田修一作品すごいなあ。
    いったい悪人とはなんなのか。見栄を張り平然と嘘をつくものなのか。殺しはしないが人の心を弄びなんとも思わないものなのか。追い詰められて人を殺すものなのか。愛を貫いて法を破るのが悪人なのか。知りもしないで外野から批判する者たちなのか。
    2人にとっては逃避行だったけれども、孤独な者同士が初めて繋がる居場所だったんだろう。究極に切ない。
    長崎弁で書かれているからか素朴さを感じながらもかえって剥き出しの感情が刺さってくる。
    「その人の幸せな様子を思うだけで、自分までうれしくなってくるような人たい」という父親のセリフや「祐一、逃げたら駄目よ。怖かやろうけど、逃げたら駄目よ。

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    2026年03月25日
  • 国宝 下 花道篇

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     昨年の夏に映画版を見た。
     三時間超の長丁場。良かったことは間違いなく良かったのだが、それでも後半はなんだかダイジェスト版を見せられたように感じてしまった。
     原作は上下巻本なのだから、これは絶対にもっと書き込まれているはずだと確信できたので、一度きちんと読んでみたいと思った。

     最初に意外に感じたのが敬体――「です・ます体」で書かれていたことだった。
     なぜこの文体を選んだのか。
     しかも、その語り口は“神の視点”ではなく、何やら人格を感じさせるものがあり、それが若干ノイズのようにも思えたのだ。
     著者は、自身黒子として歌舞伎の現場取材を重ねた上で本作の執筆にあたったという。その取材経験

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    2026年03月24日
  • 横道世之介

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    大学進学を機に上京した横道くんの青春物語。
    冴えない青年だった横道くんが、読み進むにつれて気付いたら成長してる。すごく垢抜けたとかではなく、自然な感じが絶妙。
    友人たちのその後が描かれているのが良かった!

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    2026年03月21日
  • 昨日、若者たちは

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    何気ない景色も、当事者にとっては人生が変わるきっかけになる。言葉にはし難いけれど今から何かが変わるような、新しい自分が始まるような。得体の知れないけど確実に存在する空気感が描写されていて頭がすきっとした。

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    2026年03月19日
  • 国宝 上 青春篇

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    ネタバレ

    会社の同僚たちが次から次へと映画『国宝』を観に行きました。映画を観て小説を読んでも小説を読んでから映画を観ても良いよと言われたのですが、映画を観る前に小説を読みます。
    読みながら喜久雄のイメージは横浜流星だと思ったのですが違いましたね(笑)。読んでから映画のキャストを見ました。

    語り口調で話が進むのも俯瞰的で良いです。
    喜久雄はいい人に恵まれましたね。
    いつでも喜久雄の味方になってくれる幼馴染の徳次、愛情深い父の後妻のマツ、喜久雄を目の敵にしているように見えるけど実は…な体育教師の尾崎、そして、喜久雄を引き取って稽古をつけてくれた歌舞伎役者の半二郎。半二郎の息子の俊介も喜久雄をライバルとして

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    2026年03月21日