吉田修一のレビュー一覧
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長崎で被爆した私と彼女
たった一人の親友は亡くなり、私は生きた
そんな悔しさが読み進めるほど、じわじわと迫ってくる
大学院生の岡田一心はゼミの担当教授から、ちょっと変わったバイトを紹介された。
伝説の映画女優・和楽京子の自宅で、資料や書籍などの荷物整理を手伝う、というもの。
本名は石田鈴
〝すずさん〟と呼ばれるその人は、80代とは思えないほど美しく血色の良い女性だった。
鈴さんと過ごしたのは半年間ほどだが、それはとても濃密で、一心の人生に大きな影響をもたらす。
一心は小学五年生の夏に妹を亡くしている。
たったの九年という短い一生だった。
鈴さんは親友を原爆症で亡くしている。
それ -
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ネタバレ柴田練三郎賞 第7回本屋大賞3位 こんな面白い本が3位だったら、1位と2位は何だろうかと思ったら、「天地明察」と、「神様のカルテ」だった。
とても面白くて、爽快な、楽しい本だった。
ところが、いつも解説から読むので、何気なく最後のページを開いたら、解説が無くて、最も大切な世之介のその後だった。残念だった。もしこれから読まれる方がありましたら、最後のページは開けないで後回しで。
本好きの方はもうとっくに読んでしまっているかも、その上新聞連載だったそうで、無駄な一言だったかもしれませんが。
東京の大学に入学するので、九州から上京した世之介。世事に疎く、のんびりしたお人よしな性格。一人息子で、 -
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国宝が大ヒットしているので吉田修一さんの好きな作品の感想を今さらですが書いてみます。
この作品は台湾に頻繁に出張していた約十年前に読みました。
当時一緒に働いていた台湾の仲間の中には日本に憧れる方や日本に留学されてた方や毎年日本に旅行に行く方がいました。一方で日本からの出張者の気持ちは自分自身がよく分かります。自分と彼ら彼女らを映し出してくれる作品でした。
吉田修一さんらしい景色の描写も実際に行った事のある場所だと本当にまたそこを訪れた気になれました。
また、台湾では新幹線を使って頻繁に移動していましたので作中の登場人物と実際の新幹線導入に携わった皆さんに感謝です。
個人的には吉田修一さん -
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映画を観てから原作を読む。
春江は俊介と共にいた時間のひと時たりとも喜久雄の存在を忘れたことなど無かった事にやや安堵。映画だと、喜久雄から俊介に乗り換えて歌舞伎名門一家に嫁ぎ、俊介に関しても全てを喜久雄から奪った男に私には見えたから。
原作の俊介は、一度は歌舞伎の道を投げ出したものの、投げ出しきれずに鍛錬し父親の元に戻るも認められず、さらに必死で修行に励み、やっとの思いで元いた道に戻ることを認められている。
そんな俊介を戸惑いながらも受け入れ、共に舞台に立つのだから、喜久雄もなかなか器の大きい男である。
それに逆の側から見ると喜久雄自身が疫病神のように映るのかもしれない。喜久雄は全てを手にし、 -
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見栄を張り、異性から人気があるかのように装っていた石橋佳乃は、出会い系サイトで知り合った男に殺害される。
馬込光代は出会い系サイトを通して男と知り合い、彼に強く惹かれるが、彼が殺人を犯したことを知る。光代は、自首しようとする男を引き止めると、一緒に逃亡を図る。
誰が悪いのか。
映画「国宝」も原作の小説もおもしろかったので本作も読んでみた。
生活感のある登場人物たちの描写が緻密で、次第に見えてくる彼らの生い立ちは悲しく、行動にリアリティがある。
彼は悪人なのか。結末はあいまいだ。でも僕の思っているとおりなんだと思う。
映画も見た(アマプラで)。
原作に出てくる風俗嬢が出てこないので、彼 -
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自分の大学生時代を思い出しました。自由だけど、分からないことだらけ。その場のその視点からでしか物事を判断できずにいる主人公の滑稽さに親しみだけでなく懐かしさまで感じさせられました。
作者の心の機微を表現する様々な工夫が、自分のこれまでの人生の様々な場面での感情までもうまく言葉にしてもらえた気がしました。複雑な感情って言葉で諦めていたけれど、感情って言葉にできるんだなと思えたことが、国語が苦手だった私のこの本での学びでした。
読むのも遅い私でしたが、最後まで読めたことで、過去も今の出来事ももっと言葉に換えて大切にしたいと思えました。
温かい気持ちになれました。自分には長すぎでしたが。。