吉田修一のレビュー一覧
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ネタバレ風呂上がりの火照った肌に鮮やかな刺青を躍らせた猛々しい男たちが集う三村の家。父親を事故で亡くし母親の実家に暮らし始めた7歳の駿とまだ幼い弟の悠太。
叔父の文治が刑務所に入っている間、家を仕切っていた正吾。母親の千鶴を家の離れに連れこむ姿を何度も見ている。
ある日駿は古ぼけた離れの一隅に幽霊がいることに気づく。祖父母に幽霊の話をすると
ヤクザ稼業に手を染めることなく女たちを連れ込むことなく絵を描き離れで首を吊って死んだ母親の弟、哲也の存在を知る。
徐々に幽霊との会話の内容の全てを話さなくなった駿はバスケ部でひとつ年上の石倉にいじめられる。狭い街では三村家の人間と関わりあいたくない者も多いことを知った小学5年になった駿。
ようやくバスケからも解放され美術部に入った中学生時代。
別れ話の末に父親が母親を刺し殺し、祖父と暮らしている同級生の明生と部活に使う写真撮影の約束をしていた駿。
刑務所からでてきた文治に駆り出され、祭りの出店の番をさせられ学校を休んでいた。
言った所で自分の意見は通る訳もなく、しかし明生がわざわざ来てくれたことに羞恥の気持ちも芽生え素っ気ない態度になる。
ある時父親がわりだと思っていた正吾が三村家と組を捨て神戸へ姿を消した。
祖父は呆けて亡くなりずっと文治の内縁の妻として祖父の世話をしてくれていた奈緒も葬式が終わると家をでていった。
しばらくして母親の千鶴も正吾を追って家をでていく。だか正吾はヤクザの抗争で殺されてしまう。
高2で中退した駿はアルバイトに明け暮れる。そんな時に再会した梨花と東京にでるために二人で金を貯める。
今度こそ自分で道を切り開くつもりでいたのに弟の悠太に母親の千鶴を一緒に迎えに行って欲しいと懇願される。
大学生になった弟の悠太は祖母の三回忌の為に東京から母親と兄の駿が暮らす実家に帰省する。
母親が戻ってきてから兄は仕事もせずに離れに籠って絵を描いているらしい。
最後の章だけは弟の悠太目線になっていて死んだように生きている自堕落な兄、駿を軽蔑しつつ母と兄を見据えるつもりがあるような終わり方だった。
駿が不憫でならない。ずっと世間からの目と母親に振り回されあの夏まではずっとここをでていくつもりで生きてきたのに。
亡き叔父の哲也に姿もやることも似てきた駿が悲しくもあり怖さもあった。
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土砂降りの雨の中タクシーでの再会から始まる久遠とオッソーの物語。20年前に閉ざされたままの過去が少しずつ解かれる。
久遠の同僚に健全と評されるオッソーだが、オッソーの生い立ちは健やかとは言えない。妻と幼い息子を置いて家を出て行った父。育ててくれた母は不倫疑惑を負って亡くなり、自身には何の非もないオッソーが非難を受ける。
父の足跡を求め、あてもなくゆし木島を訪れるオッソーを追って、共に島に向かう久遠。二人はそのまま島で暮らし始める。他には何もいらない。島の人々の助けを得て、自由を感じられる生活が続くと思われたが、彼らの日々は終わりを迎える。そこから土砂降りのタクシーまでの二人の時間は空白だ。
再会から20年前に遡り、封印されていた過去の時間を丁寧に埋めながら物語が進んでゆく。現実の久遠とオッソーはそれぞれに問題を抱えている。それでも過去の輝いていた時間は色褪せない。20年経ってようやく再び訪れたゆし木島の海と空は変わらず美しかった。
沖縄の海と空のイメージが常にあり、読んでいる間もずっとその輝きと澄んだ色が背景にあった。切なく美しい恋の物語だった。ラストのオレンジも美しい。
島で二人を支えたチャンプがとても素敵な大人だった。久遠の兄のサポートも良かった。
オッソーというニックネームにどうしても違和感があり、何か意味があるのか検索してみた。ossoはイタリア語で骨を指す言葉だそうだ。そんな意図があるのかどうかは知らないが、そういうことにして何となく納得した。久遠と骨なら繋がる‥気がする。 -
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吉田修一は天才すぎないかい。
作品の幅が広すぎる。
そして、奥深かったり重かったり軽かったり。
自由自在。
ほんとにすごいの言葉しか出てこない。
今回、この作品を3部作と知らずに、2作目から読んでしまいショック!笑
今から1作目と3作目も楽しみ!
無理な設定もあるものの、
どこかリアルに思える筆力の高さ!
風間がAN通信に入ったことだけは、腑に落ちなかったものの、
それぞれのキャラクターが生きていて
もう中盤からは一気読みでした。
福祉人だっただけに、孤児を使うAN通信は許せませんが
どんな世界にいても
生きることに意味がある。
そんなことを思った作品でした! -
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尾崎颯(オッソー)は建設会社に勤め、海斗という小学生の息子と妻と暮らす。ある豪雨の日にたまたま同じタクシーに乗り込もうとして高校の同級生だった久遠愛と再会するが、偶然は続き、同じ建造物のプロジェクトチームメンバーとしてまた出会う。二人の間にあった関係は、ただの同級生ではないらしく、デザイナーのために難航していくプロジェクトや二人の家庭での様子と18歳の頃が交互に語られていく。
評判が良かったのですごく期待して読んだのですが、私にはあまり刺さらないタイプの恋愛ものでした。残念。読んでいて“マディソン郡の橋“を妙に思い出してしまったのは私だけでしょうか(あれもダメだったなー、見た時もっと若かったけど)。
現在の舞台が東京で、それは川沿いで、回想シーンで長崎が出てきて、あと沖縄も出てきて、キラキラした海(水面)なのに、切ない感じで見えるような小説です。50代以上の方が面白く読める人、多いのじゃないかと感じました。
不倫、家出、自殺未遂、深夜徘徊などいろんな大人アイテムあり、高校くらいから。 -
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雷雨の中の都立多摩公園。
尾崎と野上はタクシーを呼び止めようとした瞬間
反対側から女性2人連れも「乗りまーす」と叫ぶ。
尾崎と久遠の再会。
一度、サラッと読み終え再読。
今回は2人に何があったのか全て知っているので
一度目よりドキドキしながら読む。
いまは尾崎も久遠もそれぞれ連れ合いがいて
すっかり落ち着いている。
(家庭の方はいろいろあるようだけれど)
その2人が高校時代、沖縄で懸命に生きる姿が良かった。
最近読み終えた『初恋温泉』でも
高校生が親に内緒で温泉旅館へ泊まる話があった。
こういう年代のキラキラした様子を書くのが上手。
若い2人を温かく見守る大人たちもいい。
初期の作品から、最新刊まで
いつまでも色褪せない吉田修一さんの作品が好き。