吉田修一のレビュー一覧
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ネタバレ最近話題の映画の国宝の筆者だと、読んでいるうちに気づいた。
ゲイの世界に対しても解像度が高いように思い(単純に私が知らないだけかもしれませんが)、幅の広さを感じた。
それぞれのシーンの時間軸が違うだけで同人物なのかと思いきや、報道のタイミングから同時並行で進んでいるシーンがあることに気づき、読み進める手が止まらなくなった。
警察署で南條が言った「結局は場所なんだよ」という言葉が残った。それは自分の持つ価値観でも言えることかもしれない。どこでどのようなシーンで知り合ったか、などなど…。
洋平が愛子を信じられていなくてこれから愛子を信じようとしていること、信じていた田中が大吾を裏切った(信じ -
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吉田修一さんの「ミス・サンシャイン」
文春文庫にて発売されたので、買い求めて読んだ。
文庫帯に書いてある"最高に泣ける吉田修一"
この文句のとおり、感動巨篇の名に相応しい小説。
((作品紹介))
心に傷を負った大学院生・岡田一心は伝説の映画女優・和楽京子こと石田鈴の自宅で荷物整理を手伝うことに。引退した今なお美しい鈴さんの胸に秘められていた波乱万丈な映画人生、原爆が奪った運命と大切な人たち――その過去に触れるうち、一心の胸にあたたかな光が灯る。清冽な感動に包まれる島清恋愛文学賞受賞の傑作長篇
古い日本映画好きの自分には、和楽京子ってどうみても京マチ子?って思ってしまい -
Posted by ブクログ
ネタバレ映画『国宝』が大ヒットロングラン上映。大注目の作家、吉田修一さんが昨年上梓された小説。昨年、産経新聞に連載されていたようだ。
長崎の九十九島(くじゅうくしま)が舞台の梅田一族の話だ。百貨店を経営し財を築いた創業者。その米寿のお祝いに一族が集まる。翌朝その創業者が姿を消す。
ここからはネタバレ。
『砂の器』『飢餓海峡』『人間の証明』…いずれも日本映画の名作だが、この映画のDVDを疾走する前に創業者が見ていたという。これがヒントとなる。
戦争で孤児になった子供の残酷な運命。そして創業者の過去の事実に目頭を熱くした。
これもきっと来年あたり映画化されそうだなあ。それぞれのシーンの絵がすでに何 -
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ネタバレ収録されている2話のうち、タイトルにもなっているパークライフが良かった。
以下、ネタバレあり
公園から過去の話を思い出し、そこからさらに過去の初キスの話へと展開されて、また公園に戻ってくるところ。複雑な構成だが、スッと頭にイメージできて、自分も体験している感じになれた。人物同士の距離感が不思議。夫婦は離れていて、夫婦じゃない、初見同士の方が近い。最後のふわっとだけど何か芯のある終わり方。
全体的にさっぱりしている。
2話目は1話目と違い内容が気持ちの良いものではなかったので★-1で、トータル★4とした。
ただ、表現というか、時系列が前後する構成はこちらも健在で、読みものとしておもしろか -
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「国宝」を読む前に横道世之介は履修しなくては、と手に取りました。前から気になっていた本なので、丁度良いきっかけになりました。
長崎(佐世保?)出身の世之介が東京の大学(法政?)に進学し、東京の暮らしを始めるお話です。一年生の期間と、その時濃密に過ごした人のその後が●印の後にちらりと出てきます。特に大きなにかがおこるわけではないのですが、バブル期なのに毎日の生活は金満とはあまり関係なくて、ただ、ホテルのバイト内容はバブルっぽい。あとは、千春みたいな存在も。
世之介だけでなく、祥子さん筆頭に出会った登場人物がとても個性的で、多分誰かしらを好きになるのがこの本の人気を支えている気がします。大きなこと -
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「最後の息子」
ビデオ日記を撮るという設定がなんとなくピンと来ず。かなり自分で感情を考察しなければいけない部分が多いのが難しく、読むのは2回目だが、やっぱりあまりハマれなかった。
ラストの閻魔ちゃんの電話中のメモの愛情にはグッとくる。あえて悪ぶるのとか、それでも閻魔ちゃんには優しく見えているのとか、人間失格に近い構図か?
「破片」
最後の息子に比べて格段に情景描写が増え、一気に物語の風景が浮かんで真に迫ってくる感じがあった。これぞ吉田修一という感じ。明らかに才能開花している。
積み重ねられるエピソードで、母を不幸な事故で亡くした田舎の男世帯の雰囲気、九州に根強く横たわる男尊女卑思想、兄弟それ