吉田修一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレサクッと読める本が読みたいなーと思い、購入◎
なんの疑問も持たずに読みすすめて、まんまと騙されました。
チェーンソーや穴、火という不気味な描写で、桃子はこれから先生きてゆけるのかと心配になりながら読んでいったけれど、ラスト、ああ、この人は生きてゆける、そう思いました。
この作品の心理描写、桃子を追い詰める周囲の人物や出来事の描写は、読者をどんどん作品の世界へと引きずり込んでゆく。
けれど、個人的にはなくはない不倫をされた女性の心理描写に、日記のトリックが加わったもの。
せっかく、という言い方がふさわしいかわからないけれど、せっかく上下巻に別れているのなら、真守の目線もあってよかったんじゃ -
Posted by ブクログ
えー。。。こんなのってあり?
桃子が不憫で不憫でかわいそうで久しぶりに本読んでこんなに滅入った気持ちになってしまった。
トリックにはまんまと騙されました。でもそれを踏まえても因果応報?とはあえて言いたくない。
ただただサレ妻が精神に異常をきたしていく姿がじわじわと描写されていって怖かった。いや、桃子の言う通り実際は"気が触れたフリ"なんだとしても、それでもね。不倫ってこういうことだ。誰かの日常を、生活を、精神を、確実に壊す。
上巻では想像もできない展開と結末でした。一縷の希望は残されたのでホッとしたけど、うーん未だ消化できず。
吉田修一氏はこの小説でなにを書きたかったんだろ -
Posted by ブクログ
ネタバレ不思議なタイトルだなあ、と思いながら、読み始めました。
猿蟹合戦といえば、日本の昔話。でも、どんな内容だったっけ?あんまり思い出せないなあ、、、猿と蟹が合戦するんよね、とりあえず。なんで合戦せな、あかんかったんかなあ?わからんなあ。まあいいや。で、それの舞台が、平成の時代。ということは、現代ものだよなあ、、、?どんな話やろ?
ってな感じで読み進め、読み進め、終わってみれば、ああ、なるほど。読み終えてから、ネットで「さるかに合戦」の本家の昔話の内容も調べて、なおさら納得、みたいな。そんな読書体験でしたね。
とりあえず、読んでいる最中は、ずっとずっと、
なんだか、吉田修一さんの作品にしては、 -
Posted by ブクログ
内容(「BOOK」データベースより)
新宿でオカマの「閻魔」ちゃんと同棲して、時々はガールフレンドとも会いながら、気楽なモラトリアムの日々を過ごす「ぼく」のビデオ日記に残された映像とは…。第84回文学界新人賞を受賞した表題作の他に、長崎の高校水泳部員たちを爽やかに描いた「Water」、「破片」も収録。爽快感200%、とってもキュートな青春小説。
吉田修一の書く若者は怠惰で優しくて欲深く、残酷で小心者で純粋です。一面しかない人間なんていない、どんな人間も多面体で有るという事をどの本においても強く感じます。表題作は筆者のよく描くモラトリアムで怠惰な若者そのもので、マイノリティーであるゲイの「閻魔 -
Posted by ブクログ
内容(「BOOK」データベースより)
初恋の女性と結婚した男。がむしゃらに働いて成功するが、夫婦で温泉に出かける前日、妻から離婚を切り出される。幸せにするために頑張ってきたのに、なぜ―表題作ほか、不倫を重ねる元同級生や、親に内緒で初めて外泊する高校生カップルなど、温泉を訪れる五組の男女の心情を細やかにすくいあげる。日常を離れた場所で気づく、本当の気持ち。切なく、あたたかく、ほろ苦い恋愛小説集。
男女の機微は年々分からなくなってきて、最近では恋愛ものを読んでも「まー若い子はいいわねー!」とわくわくキュンキュンしたくて読むことが多いのですが、この本は行間に含みが有って、シチュエーションの数%は