吉田修一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
吉田修一の本、「パークライフ」しか読んだことない。この本はヒグチユウコの表紙だから手に取った。ライオンのクルクルのたてがみと凛々しい横顔、もう心を鷲摑みされた。
「安寿と厨子王」です。内容的には。それを「アンジュと頭獅王」にしたのは、何か考えがあったからでしょうね・・・ 文体も古典風。ファンでもないし、興味もないから深くは追求しません。音読してると、文章のリズムは面白いかな。
アンジュと頭獅王、讒言で筑紫の国に流された父に会うため、母と旅に出ます。世間知らずのため、途中、人攫いに親子ともども騙されて、悲しいかな生き別れ。奴隷として売り飛ばされた先の山椒大夫に酷使され、宿願果たす機を奪われる。これじゃ、あかん!
頭獅王や、お前だけでも逃げ延びて、父に会い、父と共に私を救いに来ておくれ!と姉のアンジュ、必死の訴え。おとうと頭獅王、えっ、えっ、姉ちゃん、俺こわいよと、おどおど。うじうじ弟に姉、張り手!
地蔵菩薩様がついていてくれるから、早く行きなさい!
アンジュと頭獅王は果たして父と会えるのか、騙されて生き別れになった母との再会はかなうのか。知るは地蔵菩薩のみ。なぜならこれは仏教説話だから。
これ読んだ後に森鴎外の「山椒大夫」も読んだけど、どっちが面白かった?と訊かれたら鴎外のほうって答える。
ファンは違う読み方をするんでしょうね。
ファンの方のレビューをお待ちしています。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ難しい!これ、ムツカシイ本や!ムツカシイ系の本だ!って、思いました。一読して。いやあ。こうねえ。男女の恋愛の機微、系?生きていくって色々あるねえ、っていう緩い諦観、系?なんなんだこの不気味さは?っていう、ヌルッとした人間の怖さがシミジミ、系?いやあ、ムツカシイ。難しい系の本だな、って感じでした。
面白いかどうか?と言われると、面白いような面白くないような、うーん。なんだかなあ。という感じなのですが、なんかしら、おおう?って引っかかる所は、あった。そんな感じでしたね。吉田修一、なんか、ええなあ~、って感じの。
オサレなのか不細工なのか。アツいのか冷酷なのか。気合入っているのかニヒルなのか。うーん。わからん。わからぬ。その分からなさが、なんだか、不思議な味になっている、っていう。
熱帯魚
表題作なのですが、主人公の大輔と、血の繋がっていない兄弟?の、光男の関係。熱帯魚の水槽をジッと見ている光男の姿。黒沢清監督の映画「アカルイミライ」の、浅野忠信とオダギリジョーの二人を思い出しました。「アカルイミライ」のストーリー、一回見たけど、もう全然思い出せないんだけど、それでもまあ、思い出した。水槽を見つめる男の姿って、絵になるんですかね?どうなんですかね?不思議だなあ。
あ、大輔と、家主の娘の律子ちゃんとの、あのなんだかエロい駆け引き。あれ、すっごい良かったです。プールのあのエロい駆け引きから、あの建設途中の新居で起きたアレに至るまでのあの流れ、すげえなんだろう、いいなあ、って思いました。いやあ、思いました。いやしかし、まあ、あんなことしたら、大輔、棟梁にボッコボコにボコられますよねえ。まあ、しゃあないよね。って思う。あの感じ、すげえリアルで、好きだったなあ~。
グリンピース
主人公の草介が、嫌なヤツすぎて笑ける、って感じなのですが、オシャレ雰囲気なのに、いなたい。そんな不思議な作品ですねえ。うーん。男女の恋愛の機微は、わからん、って感じでしょうか。面白くないと思うのに面白いかもしれないと思わなくもない、という、すげえ不思議な味わいの作品です。謎のパーティーの主催者の草介の友人の三上が気になる。そしてこの時代、まだ、DVDが出現する前の、ビデオデッキの時代なんだ、、、と思うと、すげえ不思議な気持ちになりますね。ケータイのない時代の話なんだなあ、、、タイムレスなイメージ、ありますね。
突風
あんじゃこら?という雰囲気の話でした。超クール。こ、この話を読んで、なにをどう感じろと?みたいな。超クール。だが不思議と嫌いじゃないぜ、みたいな。いやあ、なんだかなあ~。ほんと、謎のシャレオツ感と、謎のいなたさが、見事に同居しております。
全体的に、ホンマに不穏なんですよね。怖いんですよ。でも、その怖さが、なんなのかが、よく分からない。不気味だ。不気味な作品です。で、なんだか妙に、スッコーン、って明るい所も、ホンマに不思議で不気味。やっぱなあ、吉田修一、凄いよなあ、って思います。この不気味さが、後に、「悪人」生み出すわけでしょ?いやもう凄いですよそれは。 -
Posted by ブクログ
連れ子の有る妻と結婚した、平凡な会社員である筒井の日常と過去の短編アンソロジー作品。
「入園式に、デパートで新しくネクタイくらい買ったら」と、家族でデパートに向かった筒井。そこで、過去に同棲していたオカマが、別の男の服を選んでいた。子供と妻の手前、他人のふりをしているが…。
なんていうか、今趣味で書いている日常的な文章と、テーマなどがよく似通っていて、プロだとこう書くんだなあと感心させられる作品である。大したことを説明しているわけでもないのだけど、言葉の選び方が、一朝一夕で真似できそうではない。
電車に乗っていて、昔の電車のエピソードを思い出したり、たまにはと、車で会社に向かっている途中で、会社とは違う道に入ってしまう話など、サラリーマン小説の王道で、自分でも書いているので余計に文章を観察するように読んでしまう。
ただ、短い。
電子書籍でよくわからず購入したけど、一瞬で終わってしまった。せめて2倍くらいのボリュームは欲しかったな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最初は、なんとなく後味の悪い短編が続いてるだけのように思えて、どこで繋がるんだろうと思っていたら、ラストで急にSFになってびっくりした!
ips細胞の話や議員のヤジなど、実際に起こったニュースが多く取り上げられていたのは、文春の連載だったからなのか?
自分自身いちばん怖かったのは、ヤジを聞いた人がどこにもいない、聞いたと名乗り出る者がいないというシーン。
ここまでのニュースにはならなくとも、絶対に実際起こっているのに、全員が見て見ぬ振りをすることでなかったことになること、それを恐怖と思わない人が確かに存在することが恐ろしかった。
ラストの章で、若干頭が混乱してしまった部分はあるけど、未来の日本や技術の発達にあまりポジティブなイメージを持っていなかったわたしにとっては、少し救われたラストだった。