吉田修一のレビュー一覧
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ネタバレキョンキョンが書評を書いていて、面白そうで読んでみた。猿蟹合戦という題名から最後の終わり方が気になったのと、登場人物がそれぞれ魅力的だった(サワおばあちゃんと美姫が好き)のとで、読み進められたけど、ちょっと長かったかな。ページをめくる指が止まらないってなったのは後半100ページくらいだった。もう少し短くかけたのではという気も…。
後味はよい本だけど、個人的には毒がもう少し欲しい。
吉田修一は2作目。パレードのほうが好きだな。
読んだ後、キョンキョンの書評、なんて書いてあったんだったっけと思って、読み直したら、自分が気になったセリフをキョンキョンも書いてあって嬉しかった。
好きなシーン
サワ -
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表題作、ほか3編。いずれも、幼稚で身勝手な若い男性が主人公。
一見普通に見えて、じつは心の奥底に凶器を隠し持っているような、精神的に不安定な男たちを主人公にするのがうまい、といつも思う。おそらくは肉親の愛情だろうけれど、彼らには大事な何かが欠落しているため、ふとした瞬間に突然牙をむき、破壊的になる。当人は無自覚なのだろうが、破滅願望すらうかがえる。
だから、周囲の人間、とくに側にいる女たちはいつも振り回され傷つけられることになるため、読後感もよくはない。設定こそ違うけれど、3編に共通するこういう種類の男には、近づかないに限る。
最近は、わかりやすいストーリー性のある作品も増えてきたが、初期 -
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『最後の息子』の主人公のその後を描いた短編集。
ヒモ状態で同棲していたオカマバーのママを裏切り、部屋を飛び出した主人公は、子持ち女性と結婚して父親になっていた。
偶然オカマのママと再開する最初の一編は、とくに切ない。
一見まともな社会人生活を送っているようだが、やはり主人公の本質は変わっていない。まともな生活は息苦しく、いつも逃げ道を探している。相手の女性は出来すぎで、ダメ男を増長させる。でも、しっかり者ほどそういう男に頼られて、また惹かれてしまうんだろうな。どう考えても、幸せになれるとは思えないのに。
最近、読み終えるそばから次の本を開いてしまい、レビューを何冊分か溜め込む状態が続いてい -
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吉田修一の描く男をみていると なぜか ささくれ立つ。
なんとも言えないほどの頼りなさ。
そして、自分中心なのだ。それに愛想を尽かすオンナ。
いつの間にか ドロドロの関係になって、すすめなくなり
結果として 別れるしかないみたいだ。
この三つの短編も、底流は 似ている。
「熱帯魚」
大工さん。大輔。ある程度任せられるけど、任せきれないところがある。
吉田修一の男主人公としては、めずらしく 高給取り。
大工さんに、ボーナスで プーケットに4人が行けるほど出るのだろうか?
大輔は、ちょっと、おせっかい。『オレについてこい』系。
大家は 時先生で いつもむつかしいことを考えている先生。
歳をとってい -
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11人のオンナの デッサン。
そのオンナの断面を切り取る うまさがある。
それなりに、存在感がある。
そのオンナたちを見ているオトコの
不確かさ。不安定性が 目につく。
下流のオトコたち。
『どしゃぶりの女』
頼りないオトコなのに、オンナを試す。
何もしないオンナが、食事を待っている。
だから、待っているのを どれだけ待てるか 試す。
この こころ意地の悪さ。
それでいなくなった。
それは、オンナではなく ペットの猫の扱い。
『殺したい女』
あかねにつきあい、居着いてしまうあかねの工場。
母親が蒸発し、娘 あかねも蒸発してしまう。
お母さんのところにいったんだ。
それで納得する オトコたち -
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吉田修一や石田衣良は若者の風俗を描いて支持を得たような印象があるのですが、そういう作家さん胡散臭くて結構嫌い。吉田修一もパレードが面白かったにも関わらず、結構胡散臭げに見ていてあまり読まなかったのだけれど、去年読んだ「さよなら渓谷」で見直したのです。
さて、この本は多分昭和30年代位のやくざの家系の家で育った少年が大人になる道すがらを描いた連作長編で、予想通りろくな大人になって行かない姿がつらつらと書かれています。性的な描写も結構有りますが、個々の章が全て寸止めなので、すっきりしたいエンタメ好きの人には物足りないかも(僕がそうです)。でもそういうワカモノガーみたいな変なおもねりはなく、淡々とど