ドストエフスキーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
エピローグは60ページくらいで、あとはドストエフスキーの生涯、解題、そして訳者後書き。
やはり、2つめの小説ありきになってるから、エピローグ自体は物足りない。
続編があると、これが見事な伏線になってるんだろうな、きっと。
エピローグは分冊になっているせいで妙に期待してしまったけど、4部の後に続いていたほうが良かったように思えた。でもドストエフスキーにとっては第5部的な位置付けだからこれが作者の意図どおりの構成。
解題は長いけど読む価値あった。
大審問官やゾシマの説教、イワンとスメルジャコフのやりとりの意義。ミーチャが主人公の割に存在感が薄い理由。スメルジャコフの発言の真意など、曖昧だったことがクリアになった。
時間をおいてもう一度初めから読み通したい作品ですね。 -
Posted by ブクログ
年始から始めた長い長いカラマーゾフマラソンをようやくゴールしました。頑張って読み切ったことで、読書経験値がはぐんっと上がったと思います(正直、途中から、早く他の本を読みたいなと思いながら我慢して読んでいた節があります。)。
長男が父親に対して殺人未遂を起こす本作品。男児2人の父親である私にとって、少々ショッキングな内容でした。
最終巻で、印象に残ったのは長男が述べた次の言葉。
『果たして親父はおれのためにおれを作ったのだろうか。あの瞬間、おそらくは酒で情欲を燃え立たせたかもしれぬあの瞬間には親父はおれを知らなかったし、俺の性別も知りはしなかった。そして親父から譲られたものといえば飲酒癖だけだ。それが親父の恩恵のすべてなんだ…おれを生んだ父が、そのあと一生涯おれを愛してくれなかったとしたら、そのためにどうしておれが親父を愛さなくてはならないんだ?』
こんな父親にはなりたくないと思うけれど、どんなに子煩悩にみえる父親でも、心のどこかにカラマーゾフ的な要素を持ち合わせているのではないか。親子、愛、欲望とはどういうものなのか、どうあるべきなのか、そんなことを考えさせてくれる作品でした。
1800年台のロシアでも、現代の日本でも変わらない、男性に備わった何か普遍的な特徴が本作で描かれているように感じました。聖書的な側面もあり、内容の解釈は相当に難しいのだろうと思います。ただ、読書初心者の私でも、感じることが多々あり、晩年のドストエフスキーの凄みが感じられる作品であったと思います。 -
Posted by ブクログ
あらすじのみ読んだ状態で読み始めたら思ってたんと結構違った。
上巻は登場人物の名前を覚えることが大変だった。
主人公は「我非凡人だし、ババアはくそなので死んで然るべきだし」みたいなスタンスを基本的に取りつつ、殺人をしてからというもの悪夢にうなされたり、記憶が曖昧になったり、病気になったりと、自分の信念や意思とは裏腹に、意識の外でしっかり苦しんでいることが伺えるのが印象的だった。
母、妹、友人からの信頼に触れてそうなっていったのかも。
自分の信念とは裏腹に思いもよらぬ愛を受けて、非凡人となりきれなかった自分に苦しむことが罰なのかなぁと思った。
貧困により人を殺したり、立場が苦しくなったり、頭がおかしくなったりと、追いつめられた人々を登場させることで、貧困に対するドストエフスキーの考え方がかなり描かれていると思った。そんな中でもどこまでも献身的で聡明なソーニャが非常に印象的だった。
時代背景や聖書を理解していた方がもっと面白かっただろうな。
私は三島由紀夫の「美徳のよろめき」を読んでいた際にも思ったのだけれど、正論を言われるより説得されるより、ただただ正しく聡明な人が目の前にいること、身近にいること、そのような人物に「私はあなたを信じている」「あなたと一緒に苦しむ」と言われることや態度で示されることが、何よりも倫理観を取り戻させるのだと感じた。
最近は一日一話古畑任三郎を見ているので、ポルフィーリーののらりくらりした雰囲気で相手の隙を狙っている感じが古畑任三郎で脳内再生された。
主人公と二人で対話する場面は主人公の緊張感が伝わってきて緊迫感があり、面白かった。
スヴィドリガイロフの存在の解釈が難しい。
彼は自らの欲望のために人を殺すし(噂)、ロリコン(噂)だし、地位もお金もある。周りにどう見られていようと、のうのうと、飄々と生きている。けど、周りに人がいない。そばにいて欲しいと願ったドゥーニャには拒否される。
そう思うと主人公と対象的な人物のように思える。
けどクライマックスで主人公がもし自分が孤独であったら、と考えていたように、主人公も周りに母や、妹や、友人がいなかったらスヴィドリガイロフのように、モンスター的存在になっていたのではないかとも思う。そして彼は自決する。主人公のif的な存在だろうか。
言い回しがくどくどしていたし、ずっと救いようのない展開が続いていたけれど、最後は主人公も人間らしさを取り戻しハッピーエンドを迎えたように思う。
意外と「孤独でないことが人を救う」という普遍的なテーマの物語であったのかも。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ高利貸しの老婆を殺害する前、殺害時、殺害後の心境の変化が面白い。
殺害時は焦って冷静な判断ができず、紙一重の所で逃げることができた。ただ、その後は心身ともに疲労困憊している中で証拠隠滅をしていくが、それも理性的な判断が出来ないまま進んでいくのが、罪を犯した後の心境として納得できる。
上では、自分が犯した罪を暴露して楽になりたい気持ちから、自分の罪を正当化しようとする気持ちへ移行していっている感じがする。
後者については、社会主義(人類は皆平等であるべき)の思想を持ち出して老婆の殺害を正当化しようとしていて、当時のロシアの時代を感じた。