ドストエフスキーのレビュー一覧

  • 死の家の記録

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    期待よりもずっと面白かった。女房殺しの男の手記で始まりながら、途中で構成が変わっているのもいい。他を削り取って監獄生活に絞り込んだ写実的な描写は最後まで飽きさせず、巨匠の作品の中ではもっとも読み易いと思う。
    読んでいて連想したのは漱石の『坑夫』だが、漱石の転機がその作品であったように、この作品がドストエフスキーの転機なんだなと感じた。創作から一歩離れて、人間を描き記述していくことで見えてくるものもあるのかなと思う。
    読書や創作、社会生活と隔離された流刑地での4年半がドストエフスキーにとって無駄ではなかったどころか、深い内省、稀有な経験、特異な出会いと人間観察が後の世界的文豪を創ったのだと認識で

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    2021年02月28日
  • 白夜/おかしな人間の夢

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    ネタバレ

    「百姓のマレイ」がよかった。主人公がふと、子ども時代に、農奴のマレイに優しくしてもらったことを思い出す。身分も学歴も関係なく、徳のある人はいるんだということ。色眼鏡で見てはいけないということ。ドストの人に対する優しい視線が心地よい物語。
    一方で、ラストの「1864年のメモ」はよくわからない話だった・・・

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    2021年02月23日
  • 悪霊 1

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    むかし手に取った時は、途中から何読んでるのかさっぱりわからなくなるほど、話が全く頭に入って来ず。
    一巻の途中であえなく断念。

    中村文則のエッセイ読んだことをきっかけに(バーの帰りに女の子の家にまんまと遊びにいけたのに、悪霊の続きが気になって仕方ない中村文則は、二兎を得ようとして女の子の部屋でモリモリ悪霊を読み進み、結局女の子との間には何も起こらず朝を迎えた、あの悪霊)、そんなにおもろいんかともう一度チャレンジ。

    2回目手に取った今回は、あら、こんな話でしたっけ?
    と思うほど、一度目の私のおぼろげな記憶にあった話とは全然違って、驚くほどスイスイと面白く読みました。
    一巻の終わりまで難なくたど

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    2021年02月19日
  • 賭博者

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    ルーレンテンベルグなる観光地でルーレットに取り憑かれた人間模様。
    賭博にハマった人たちの行動と心理描写のリアリズムが凄い。結局のところ大勝しても大敗しても破滅的な末路に陥るのは勉強になる。特にお祖母さんの顛末はテンプレート的ですらある。
    魅惑のポリーナの描写が生々しいと思ったところ解説によるとモデルは不倫相手。更にドストエフスキー自身もギャンブル狂という実体験によるリアリティと納得。
    ラストも印象的な賭博小説の逸品。

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    2021年02月19日
  • 賭博者

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    ネタバレ

    他の長編にくらべると思想的なものが薄かったりして読みやすかった。
    ギャンブルにはまったひとにしか書けなさそうな文だとおもったらドストエフスキーもギャンブルでえらいめにあってたのね…。
    書いてあることが、ギャンブル依存症の知人が言ってることとだいたい同じだった。

    老婦人が登場してからの勢いのある賭け方とスリ方にはつい笑ってしまった。
    ドストエフスキーの登場人物は唐突に叫んだり激昂したりするけど、この人もそんな感じで、周りが必死になってとめてるのにウォォォ!とばかりに賭けまくって持ち金全部なくす様は潔くもあり滑稽でもありまた切なくもあった。
    負ければ取り返したくなるのは仕方ないことだけどあまりに

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    2021年02月16日
  • カラマーゾフの兄弟(中)

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    ネタバレ有かも…
    ご注意ください

    さて中巻は見習い修道僧であり、愛されキャラ三男アリョーシャがお世話になっている修道院の長老であるゾシマが瀕死状態になる
    ここでゾシマ長老の過去の回想(伝記)及び法話と説教など…(か、かなり長い)

    今でこそアリョーシャをはじめ、民衆から尊敬されるゾシマ長老(その民衆らの信仰ぶりは遠方からはるばるゾシマ長老に一目会いにくるなど、上巻たっぷり記載されていた)だが、若い頃は結構平凡で普通の青少年だ
    ポイントとなるエピソードは3つ(個人的見解です)

    ■エピソード1
    (ん?スターウォーズ⁉︎)
    お兄さんの精神世界の変化
    ゾシマ長老は精神的にアリョーシャと自分の兄が

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    2021年01月27日
  • 悪霊 2

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    1巻の解説で少々ネタバレがあったものの、読んでみると不穏な空気にぐいぐい引き込まれた。悪意のある人々に、善良で金や地位がある人がしらずしらずのうちに巻き込まれていく様は非常に恐ろしい。本書はずっと不穏。宮部みゆきさんの作品を読んでいるような気分になる。

    スタヴローギンが主教に相談にいく場面はなにか唐突な感じはしたが、想像と違った方に進んでいて、こちらも目が離せなくなった。

    本書の解説では、当時のロシアの社会情勢を教えてくれており、それはとても参考になる。少し置いて読み直したい。

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    2021年01月24日
  • 白夜/おかしな人間の夢

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    表題作である偶然出会った妄想青年と少女の恋愛物語が印象的。女のリアルスティックさと男のやせ我慢(ではないのだろうと思うけど)が感じられる。構成もすっきりしていて読みやすい。
    農夫の話ではドストエフスキーの過去作も出てきて面白かった。

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    2021年01月23日
  • 悪霊 3

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    内ゲバ殺人事件。終盤大量に人が死んでいく。ドミノ倒しのように。
    第二部で登場するシガリョーフ理論(人類の十分の一は、個人の自由と、残りの十分の九に対する無限の権利を享受します。残りの十分の九の人間は個性を失い、家畜の群れのようなものに変わり、云々)が予言的でそら恐ろしい。

    これで五大小説のうち、未成年を除く四作を読み終えた。カラマーゾフの次におもしろいのは、この悪量かな。

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    2021年01月16日
  • 悪霊 2

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    第7章 同志仲間で p483
    『でも、どんなにうまく事が運んだって、それだけの首切りをやり終えるには早くて五十年、いや三十年はかかります。』

    舞台設定の1869年、連載の1871-1872年から、1905年のロシア第一革命、1917年のロシア革命まで 33〜36年、45〜48年と考えると、随分予言的な台詞だ。

    後付け史観かもしれないが、他にものちの歴史を知って読むとドキッとする表現が多い。革命待望の雰囲気は当時から濃厚にあったんだろうか。ドストエフスキーは待望してないにせよ。

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    2021年01月09日
  • 貧しき人々

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    ワルワーラの少女時代は、泣けるぐらい悲しい。
    マカールとワルワーラの手紙からは仲の良さ、と同時に不幸さ、生きづらさを感じる。
    ワルワーラの結婚相手は、ひどい癇癪持ちで、幸せになれないことが分かっている感じが、またさらに悲しい。

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    2021年01月04日
  • 悪霊 1

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    文庫本の栞に書いてある『主要登場人物』を、多分300回くらい見たと思う。亀山郁夫さんは人名呼称を随分とシンプルにしてくれてるらしいけど、聞き慣れない長い名前を覚えるところがいつもしんどい。。
    前半ダラダラ、第一部第五章から物語が一気に加速を始めたところで、第二部へ続く。
    150年前にこんな超長編書いてるって、ロシア人すげえなあ。(ほぼドストエフスキー個人の凄さだろうけど。)
    ドストエフスキー本人がよく使う『ロシア的なもの』の意味が、掴めそうで未だ掴めず。残る二冊を読み終えた時に見えてくるか?

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    2020年12月30日
  • 罪と罰 下

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    2020.12.18
    想像していたよりずっとおもしろかったです。翻訳本特有の言い回しにはじめの100頁で慣れれば、あとは集中して読めます。伏線回収がすごい。

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    2020年12月19日
  • 貧しき人々

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    下級役人マカールと天涯孤独な娘ワルワーラの書簡形式による貧乏物語でドストエフスキーの処女作。よく分からんがデビューから絶賛されたらしい。
    ワルワーラの名前も手紙ではワーレンカばっかり言ってるので混乱してくる。
    お互い貧乏になっていく過程よりも女に借金しても入れ込む心情は現代に通じるものがある。ただしマカールは粘着質的な内気者なので現代ならもっと悲惨な目にあう可能性あり。状況が好転したところでの急展開。ワーレンカの文面も変わるところがリアル。
    ところどころ悲惨な死に様が出てくるところも印象深い。
    さて解説ではこの話が架空の少女を作り上げたマカールの妄想話の可能性ありとしている。そうだとすると個人

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    2020年12月18日
  • 白夜/おかしな人間の夢

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    夢想家で人付き合いが下手な主人公の気持ちがよくわかって途中すごく辛くなった『白夜』。
    でもドストエフスキーにしては明るくて読みやすいほうなんだと思う。
    ナースチェンカ…主人公はさっぱりした気持ちになれてたけど実際あんなことされたらすごく怨んだり辛くなったりしそう…。

    『キリストの樅ノ木祭りに召された少年』と、『百姓のマレイ』もよかった。
    短編てこともあってわかりやすく、読みやすかった。

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    2020年10月17日
  • 未成年(下)

    購入済み

    時代を映した複雑で混雑したお話

    なかなか複雑で細かいところまで理解できませんでしたが、活劇的な話の展開が、あの時代にしてあったのだとちょっと感動です。解説を読むと、パリコミューンやロシアの農奴制廃止、資本主義の台頭による貧富の格差など、恐ろしいほどの混沌があって描かれたお話なのだと思いました。

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    2020年10月05日
  • 罪と罰 2

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    ネタバレ

    罪と罰〈2〉 (光文社古典新訳文庫)
    (和書)2009年09月25日 16:22
    フョードル・ミハイロヴィチ ドストエフスキー 光文社 2009年2月


    ソーニャの部屋で聖書を読むシーンが好きなのです。

    読み易くとても興味深く読めました。

    次の巻も楽しみ。

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    2020年09月25日
  • 悪霊(下)

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    悪霊 (下巻)
    (和書)2009年09月15日 15:52
    1971 新潮社 ドストエフスキー, 江川 卓


    なかなか興味深い内容でとても参考になりました。

    ドストエフスキーの作品を再読してみたいなーと最近思っています。他にも彼の作品をどんどん読んでいきたい。

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    2020年09月25日
  • 悪霊(上)

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    悪霊 (上巻)
    (和書)2009年09月13日 01:19
    1971 新潮社 ドストエフスキー, 江川 卓


    米川正夫翻訳「悪霊」は以前に読んだことがあるのですが、今回は江川卓翻訳で再読しています。

    関係というものが関係妄想のように諸関係がその活動を開始し始めその呪力(ハウ)のようなものによる関係性がからみ複層的に争乱の予感を滾らせていきます。それがどうなっていくのかとても興味深く読んで行くことになると思います。

    下巻も楽しみ。

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    2020年09月25日
  • カラマーゾフの兄弟〈4〉

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    カラマーゾフの兄弟 (4) (光文社古典新訳文庫 (KAト1-4))
    (和書)2009年06月23日 20:42
    2007 光文社 ドストエフスキー, 亀山 郁夫


    イワンとスメルジュコフの関係がとても面白かった。
    洞察力と関係妄想の繋がりなどが秀逸に結晶化されて作品になってるように感じる。
    イワンは発狂しているのかしていないのか分からないが、その精神的現象がとても良く描かれている。

    エピローグは短いからこの本でほぼ終わりらしい。

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    2020年09月25日