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Posted by ブクログ
中盤からは、最高のサスペンス小説を読んでいるようだった。
ある人物の狂気で歪んだ心理描写は、150年も前に書かれたと思えないほど、今読んでも全く古くなくて驚く。
そして、裁判と判決。
弁護士の存在感が凄かった。
弁護士パートは心に残る言葉を次々と投げかけてくる。
これまで長い物語を読み進めてきて、最後に著者から自分に問いかけられているようにも感じた。
長男 ミーチャ:直感と情熱
次男 イワン:知性と懐疑
三男 アリョーシャ:信仰と人を愛する
自分の中にも彼らの要素が共存しているように感じる。
それぞれの危うさを意識しながら、どう生きていくか…読後もそんなことをずっとぐるぐると考えている。
押し付けがましさが一切なく、様々な立場や視点を提示しながら、読む側に考える余地を残してくれる。
難しいところもあったので時間はかかったけど、自分の見方を揺らされることも多くて、最後まで読んで本当によかった。
残すは5巻のみ。
5巻はエピローグと解説。
読後の余韻に浸りながら、最後のエピローグをじっくり楽しみたい。
Posted by ブクログ
「カラマーゾフの兄弟4」
「カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻」
※4.5の感想です
これで、亀山郁夫訳のカラマーゾフの兄弟全巻を読み終えた。
長くて苦しくて楽しくて、、今まで読んだどの本にも無い読後感だった。
それはこれが、未完の大作であるからということも大きいのかと思う。
ドストエフスキーは、このエピローグまでを第一の小説とし、その13年後を描く第二の小説を念頭に置いて書いていたが、亡くなってしまったから。
にもかかわらず、この完結性の高さという、他に比べようがない(少なくとも自分が読んだ中では。)「人類の奇跡のような」作品。←訳者、亀山郁夫氏の言葉
まずは、第4巻から。
第4巻は、第10編「少年たち」という話から始まるのだけど、これが個人的に素晴らしく良くて、ドストエフスキーの、反抗的でありながらも、少年のもつ純真さや繊細さ、故の暴力性を台詞回しや出来事によって描き切る才に驚愕した。特に、後々まで重要になるコーリャという少年の描写が本当に良くて、、どことなく、スティーブン・ミルハウザーの「エドウィン・マルハウス」の世界観を思い出させた。(これも傑作中の傑作)
イワンの内面が徐々に浮かび上がる中盤、スメルジャコフとの対話のシーンは不穏で不気味、グロテスクで、なんだか自分自身の内面を暴かれているようでどきどきした。
その流れからのミーチャの裁判。
世の中の残酷な事件や、戦争、虐待。
「父殺し」という作中での直接的表現にそれらをあてはめてみると、更に先ほどのイワンの内面描写が他人事ではなく思えて今度はゾッとするのである。
そしてそれらを見つめる「わたし」の俯瞰的目線、それによって台詞の意味が補完される。
5巻にある訳者による解題での「ポリフォニー(多声)性」という手法の巧みさ!読み手により如何様にも読めるという面白味に加えて、最大の主題「神はあるのか」についてもまた、登場人物の言動や行動や、それに伴う結果のそれぞれの違いによって複雑に絡み合って、決して白か黒かでは分つことができない。
その「複雑さ」がリアルで惹きつけられる要因のひとつなのかもしれない。
またしても「二項対立の脱構築」的思考だなと、、
第5巻エピローグは、僅か63ページ。
これで本編自体は完結する。
最後のアリョーシャのスピーチを読んだとき、本当に自然に、ハラハラ涙が出て、心が動くということは多分これのことなんだなと実感した。
これまで積み上げてきた長い物語世界の、一つの側面であり大きな主題でもある、先述した「神はあるか」についての、人間としての最適解というか、本当は全ての人間がこうありたいと願っていると「思いたい」と思える、素晴らしいものだった。
143年前のロシア古典文学が、今もずっと読み継がれている理由が身に染みてよくわかった。
訳者違いで、また何度も読みたい。
素晴らしい読書体験だった。
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