ドストエフスキーのレビュー一覧
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ネタバレ2020年9月21日 再読
前半はゾシマ長老、中盤はグルーシェニカ、後半はミーチャ。神秘的な客、一本の葱、証人たちの供述。童、読み応えのあるエピソードが複数ある。
上巻の後宮部みゆきをはさみ、中巻へ。
べミハイルの話が印象的である。
いわゆるこの物語の中心をなす出来事が中心に据えられ、ミーチャの成り行きを進めていく展開であり、上巻に続き読み応えがあり、そしてどんどん引き込まれてしまう。
印象的なのは「神秘的な客」の編。
神は全ての罪を赦し、全ての罪人を救うというなら、神によってこれほどの葛藤が生まれるのは何故だろう。べミハイルはともすると若かりしゾシマ長老を殺しかねなかったのである。また、全ての罪が赦されるのであれば、この世は罪人だらけになる。神は、神秘的な態度をとり我々を苦しめるのではないのか。そう思ううち、何故か神を強く意識してしまう。というこの宗教の仕組みが垣間見える。 -
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ネタバレ<登場人物>
ヴェルホヴェンスキー氏
ワルワーラ夫人
ニコライ・スタヴローギン 奇行がある。
アントン・G わたし 物語の語り手。
リーザ リザヴェータ・ニコラーエヴナ
ダーリヤ
キリーロフ
レビャートキン大尉
シャートフ
リプーチン
ペトルーシャ ヴェルホヴェンスキー氏の息子。
プラスコーヴィヤ リザヴェータの母。
ワルワーラ夫人の性格
”夫人が何にもましてがまんできなかったのは、裏にまわってこそこそと陰口を叩くやり方で、つねに正々堂々とした戦いを好んでいた。” (p390)
【物語】
ワルワーラ夫人とヴェルホヴェンスキー氏との関係で話は進んでいく。
ワルワーラ夫人の勧めで、ヴェルホヴェンスキー氏とリーザとの結婚話が持ち上がる。
第1部の後半に一気に物語は急転回する。
レビャートキン大尉がスタヴローギンを脅し、ワルワーラ夫人に匿名の手紙を出していたことが暴露される。
スタヴローギンの帰国。
シャートフが、いきなり、スタヴローギンを公衆の面前で殴る。
[レビュー]
ヴェルホヴェンスキー氏とワルワーラ夫人の会話劇が中心で、物語が中々動きださない。
それが、後半、怒濤のように物語が進む。
彼の物語るテクニックにおいて、この『悪霊』だけでなく、まず、行動、言動のその反響をまず書き、そして、その実際の言動、行動を書くというものがある。 -
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ネタバレ最終章となる第17章がとても印象的だ。
マドマアゼル・ブランシェとのパリでの浪費生活を終えたアレクセイは、ルーレット賭博のためにルーレテンブルク、ホンブルクと流れ着き、各地で手痛く敗北する。
やがてホンブルクで再開したアストリーから、かつて恋い焦がれていたポリーナの真の気持ちを告げられる。その内容は、あれだけつれなかったポリーナが、実はアレクセイを愛していたというものであった。これを機にアレクセイは再起を志す。しかし、既にアレクセイの生活から賭博は切り離し難く、再起のための手段と称して再び賭博に手を出そうとする…。最早、彼にとって賭博を打つことは経済的再生の手段ではなく、刺激を得る為の目的となったようだ。
私は小心者であるから、博打ごとはとても苦手だ。お金が増えるのは有難いが、無為に失くすかもしれないと思うと興奮よりも恐怖が先立ってしまう。そのような自分には、この賭博者で描かれているアレクセイやワシーリエブナお祖母ちゃんの心境について理解仕切ることは難しいだろう。分かるといえば、失ったものを取り戻すために更に失うおそれのある行動をしてしまう心理は分かるかもしれない。
月並みな感想だが、博打は怖そうだから極力避けようと強く思った、というところです。
この本のもう一つ印象深いところは、自分自身の価値観に照らすと、登場人物のほぼ全員が嫌な奴ばかりで、イライラさせられるのに、途中で読むのを放棄したいとはならないところかな。それだけ惹きつけるものがある。
人柄としてはアストリーが一番マシだが、ポリーナに対する対応は英国流の騎士道精神に隠した下心がありそうで嫌だし、他人の破滅をそっと眺めて楽しんでいるようにも感じてしまう。
最大のイライラ人物はブランシェでしょう。次点で賭博場にいたポーランド人たち。
やたらとこの本はフランス人とポーランド人、そしてロシア人に厳しい。どんな作者も一定の批判精神を持って作品を書く場合、自国民には当然に厳しくなるかも知れないが…。
ところで、この本は初版が1861年に出版されたそうです。そうするとクリミア戦争でフランスがトルコ側についた恨みや、ロシアがポーランド王国を支配していたことからくるポーランド人への蔑視なんかがあったのかもしれないですね。また、罪と罰で悪し様に扱われたユダヤ人ですが、端役ではあるものの、この本ではちょいと良い人として現れるのも不思議な感じです。ネットで調べる限りではドストエフスキーさんは、晩年、ユダヤ人嫌いだったようです。これを書いていた当時はまだそこまで嫌いではなかったのでしょうか。 -
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中年の文官と少女との、貧しい2人の文通。年齢的に釣り合わない組み合わせのきっかけはついぞ語られるとこなく、裕福ではあるがこれまた釣り合わない年齢の男との結婚で結末を迎える。解説でも想像しているが中年執筆家が架空の少女との文通をもうそう豊かに書いたとも思えなくもない。恋い焦がれる瑞々しいワルワーラと文官マカールは文通が付き合いの主体であまり会っていないようなのもなんだか不自然でもある。
中年文官も少女もどこまで落ちるのか激貧の一途を辿るところに嫌気が差し始めたところに一転して幸福が訪れつつ一挙にそして唐突な結末となり、何か慣性が働くような余韻がある。
ただ、中盤の暗さと停滞感は間延びしてストーリーを追う初見では少々退屈。
かといって次に読む機会を作るかも微妙ですね。 -
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怒涛の展開だった。なんともやりきれない話なのだけれど、引き込まれた。
相手のことを思うがゆえに、二人にとってよくない方向に進んでしまうのは、どこに原因があるのだろうと考えてしまう。素直に享受すればよいのに、どこかで自分を卑下してしまうのか、傷つくことに快を得るからなのか。
純粋な気持ちにも、いろいろな表れ方があるのだなあとも思った。周りの人にとって気持ちのいい表れ方もあるし、表裏がなくても苛立たせる表れ方もあるし、陰湿で苛烈な表れ方もある。表面だけでは内面はわからないし、内面が同じでも表面は異なることがある。
そういう人間の性質も、小説が尽きない要因なのだろう。 -
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以前別の出版社のものを読もうとしたら訳が馴染めず序盤でリタイヤしてしまったけど、こちらは読みやすい訳なので読みきれた。
この訳者の訳は批判されることもあるようだけど、細かいところは一旦おいておいてまず読みきることを前提とするなら一番向いてる気がする。
しおりに登場人物表もついてるのでわかりやすいし。
それでも後半までは話があまり進んでる感じがしなくてしんどかったけど、キリーロフの話は引き込まれるものがあったし、終盤やっとスタヴローギンとピョートルが登場してからは展開が気になって楽しく読めた。
ここからだいぶ話に勢いがつきそうな気がするので2巻も楽しみ。
(2024/01/22 再読) -
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一応架空の主人公を設定していますが、実際にはドストエフスキーの実体験を描いているルポタージュのような小説。ノンフィクション、ドキュメンタリーの好きな私には読みやすかった。描かれる囚人たちの描写も様々で面白く読めた。
鞭打ち刑は想像以上に厳しい物のようで、それで死んでしまうこともあった刑罰のよう。小説内で主人公は「犯罪の差異に刑罰の結果の重みが平等に応対しているか」「同じ刑罰でも、受ける人によって非常に軽い結果となる場合と思い結果になる場合があるが、それは平等なのか」、囚人たちが真に欲しているのは「自由」であり「思い通りにふるまう自由」を求めていること、刑罰が囚人の更生にならないことなどについて論じさせている。そして、病人の収容される病棟で、病に苦しむ囚人の外されない足鎖、閉鎖される病室の空気の悪さなども描写される。一方で、収容所内のクリスマスなどの祝祭日、囚人たちが演じた劇の盛り上がり、馬の購入、集団入浴などの賑やかな様子の描写は非常に面白く興味深い。
「死の家の記録」はこれが初めて読んだので、他の翻訳版と比較することはできないのが、光文社古典新訳文庫の望月哲男訳版は非常に読みやすかったし、巻末の読書ガイドも非常に面白く参考になった。そのガイドの中で、監獄に収容されている状態を「生きながらの死(人間的尊厳の破壊)と定義し」「暴力や恫喝は後悔にも矯正にも結び付かず、そうした効果は理解や許しという生きた魂への働きかけから生じる」と示唆している(p.707)と述べているが、そのような罪に対する罰は、現代でも難しい。正直、私が罪を犯した人に求めているものも「罰としての罰」であるのが本当のところだと思わないでもない。
「自由」「贖罪」というテーマは、その後のドストエフスキーの「地下室の手記」「罪と罰」「カラマーゾフの兄弟」でも根底に据えられているとのこと、これらの作品も読んでみたい。 -
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本書の魅力は、登場人物がそれぞれ強烈な特徴を持っていることです。
特にラスコーリニコフは、自らの考えを正しいと信じ、最後まで変わることがありません。自首し投獄される中でも道徳的な罪というものを認めることができずに葛藤します。自分を非凡な人間だと信じる自尊心が強く、高慢で不信心な若者が、人を殺めたときにどう感じるのか、生生しい苦悩の描写に引き込まれました。
ラスコーリニコフがソーニャを罪人だと責める理由が最初分かりませんでした。ソーニャが自分の人生を生きないから、つまり偉大な人生を貪欲に求める彼の思想と正反対だからだと読み終わった後に思いました。
エピローグの結末は個人的に好きです。
時を経ても変わらない面白さを感じることができるまさに名著です。 -
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ネタバレFeBeで聴書
主人公の心の動きを整理してみました。
家族の訪問にて家族との再会に喜ぶも同時に拒絶する。
ソーニャの訪問にてソーニャに惹かれる。
ポルフィーリーのもとへ時計を取り返しに行くと称して偵察に行く。ラズミーヒンを騙す狡猾さが見られる。
スビトリガイロフの訪問に驚く、幽霊の話に自分の経験と重なりあっけにとられる。
ルージンと妹の縁談の破談。家族と絶縁する。罪人としての意識と決心が読み取れる。
ソーニャに会いに行く。彼女を自分と同じ罪人とし、一緒にいるべきだと考える。
警察署にてポルフィーリーと面会する。自白に行くのかと思いきや、ポルフィーリー見抜かれないように振る舞う。手の内を暴こうと心理戦を繰り広げる。
上巻はほとんど主人公について語られていましたが、中巻では家族や友人、その他の登場人物が多く登場し物語が豊かになってきます。さらに面白くなってきました。 -
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ネタバレFeBeで聴書
主人公の心の動きを整理してみました。
ある計画が頭に浮かんでいるが、現実味がなく感じている。
マルメラードフとの出会い。自分の惨めな境遇と重なって、彼に共感する。人間どこかに居場所がなくっちゃいけない。
母からの手紙。彼の人柄が分かる。妹想いの兄であること。事の一切を見抜く鋭い利口さがある。ひねくれている。
衝動的に行った外出。偶然に絶好の機会が訪れ、計画の実行を決心する。
計画の決行。精細さを欠いた、行き当たりばったりの行動から決心しつつも、自分の中で受け入れられていないことが分かる。そして、自らが事を起こす前に想像していたにも関わらず、気が動転しこらえきれなくなる。
その後は、自らの行いを受け止められない。
病気になり、証拠を隠滅する。
それでも、罪の意識が彼の心を蝕み、自首、自殺の寸前まで行った。
マルメラードフの死に直面する。彼を救おうとすることで主人公の本来の良心が蘇る?もしくは彼の娘から感謝されることで救われる。
貧しさからすっかり心がやせ細った人間の起こす、人の矮小さ、心の葛藤が描かれていて面白いです。
続編が楽しみです。