無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
経済的な貧しさは必ずしも精神的な貧しさと同義ではないのであろう。それすなわち経済的な豊かさと精神的な豊かさが同義ではないという論理でもある。少なくとも自分は本著者同様そう考えていると言ってよいだろう。では精神的な豊かさとは何か。名誉や愛という言葉で短絡的に定義づけられるものではなかろうが、自身にとっての精神的豊かさとはそれら名誉や愛を含むように思う。自身の言動にまずは自身が恥じることなく捉えられるかどうか。そして自身の生きる意味を自分という人間の願望の充足のみで満たせるかどうかに懐疑的視点を持ち始めた今、他人という存在を愛しその他人の存在に自身の生きる意味を見出せるかどうかは精神的豊かさを構成する要素として捉えられているのである。近年の資本主義のあり方は経済的豊かさにかなりの重みを付与しているように思われる一方で、その尺度とは関連しない尺度として精神的な豊かさを自身の内部に有していきたいと思うのである。
Posted by ブクログ
ロシアの文豪、ドストエフスキーの処女作。
その日暮らしで貧乏から抜け出せない初老の小役人と、病弱で幸薄い生い立ちの少女による往復書簡…
と、話しはこれだけなのですが、手紙という性質を意識しながら読み進めると、会話と違い、文章で語られる熱い言葉の勢いに、自然と引き込まれて行きます。典型的なのは、結びの言葉が内容によって変化するところ。小役人は「〜の友である マカール・ジェーヴシキン」が多く、少女は単にイニシャルで「V.D」が多いのですが、一ヶ所だけお互いに「愛する」と言う言葉とフルネームで書かれているところなど、凝った書き方をしていて驚きました。
小役人の書く文章も、途中プーシキン『ベールキン物語』とか読書をするようになってから教養がつき、次第に手紙の文章が洗練されてくる様子など、とても処女作とは思えない作品です。
内容も、お互い貧困で追い詰められた状況でも、他人を思いやる気持ちを持ち続けている会話のやり取りにおける心理描写が上手いなと思わされることが多々あり、著者の弱者に対する愛を感じました。ラストは、2人の置かれた状況からすれば、いいまとめ方だと思います。
Posted by ブクログ
初めてドストエフスキー作品を読むにあたって、とりあえずページ数も少ないデビュー作を選びました。
正直、度肝を抜かれました。
デビュー作にして、人生のあらゆる智慧と苦悩が散りばめられています。
登場人物による往復書簡のやり取りは見ていて微笑ましいものから悲痛なものまで実に多彩でした。
この150年で人類の生活は劇的に豊かになったのでしょうが、それは量的な意味であって質的にはどうなのかと問いかけられている気がします。
強い自意識が心の渇きを生み出す。
死刑宣告を受ける前の若きドストエフスキーのデビュー作。
本当の豊かさとは何か
忘れそうになった時に読みたい1冊です。
Posted by ブクログ
ロシアの文豪、ドフトエフスキーの処女作。
貧しい47歳の小役人と同じく貧しい10代後半の少女との文通形式の小説。
この小説が書かれたのは1846年ということは日本で言えば江戸時代の後期ということになる。
江戸時代に書かれた小説の登場人物の心情がこれほど豊かに描写されているということを今の時代に普通に読めるということがまず奇跡的。
主人公の小役人マカールが少女ワルワーラを自分の娘のようにあるいは孫のように、しかし実は本当に女性として真に愛している状況が読み取れ、それが涙をさそう。
最終的には悲恋となるが、この小説は「人を本当に思いやる」ということがどのようなことなのかを教えてくれる。
どんな時代であっても人の心は変わらないのだ。
Posted by ブクログ
弱者おじさんと孤児少女のラブレター
ドストエフスキーの入門書として手に取ってみたが大正解だった。デビュー作ということもあってか短めで読みやすく、それでいて彼の世界観や巧みな表現力を楽しめる1冊だと思う。
内容の9割が下級役人マカール(47歳)と孤児少女のワーレンカ(推定18歳)の手紙のやり取りを通して展開される。この2人は現代の言葉で平たくいうと若い女性に貢ぎ困窮していく独身弱者おじさんと、両親を失いメンタルが不安定な孤児少女というキャラクターである。貧困故に共依存的なラブレターでお互いを励まし合う姿は時代や国を越えて普遍的な生々しさがある。
特に印象的だったのは、マカールの自分の気持ちを父性愛と主張する図々しさや自分を大きく見せようとする虚栄心、また物資等の援助は不要と言いながらも上手くそれを利用するワーレンカの(ずる)賢さや浮き沈みの激しさである。
私の読解力や考察力では、いわゆる社会の隅っこにいるような男女にスポットライトを当てた物語に捉えられ、24歳でこんな物語を書いた当時のドストエフスキーは時代や国の背景はあれど「社会の闇」的なものが好きな人物だという印象を受けた。
しかし考察等を読んでいると、マカールの貧しくも善人であろうとしたり自己の尊厳を保とうとする姿勢や、女性が自立しづらい社会の中でも独り懸命に生きるワーレンカの力強さに気付かされ、見方が大きく変わる点もあった。
物語や登場人物を通して描かれたドストエフスキーの価値観や当時のロシアの貧困や閉塞感、また作品理解の為の時代・文化知識の重要性に気付かされるいい1冊だった。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
少年・青年マンガ
少年・青年マンガ
少年・青年マンガ
小説・文芸
小説・文芸