ドストエフスキーのレビュー一覧

  • カラマーゾフの兄弟〈5〉エピローグ別巻

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    約2ヶ月かかって全巻読破。ロシアン家族のドタバタ劇。
    学生時代に挫折した「大審問官」は、今なお難解で再び挫折しかけたが、その後は面白く読めた。

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    2021年05月31日
  • 死の家の記録

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    ■死の家で生きる。99%の苦痛と1%の楽しみ。■

    19世紀ロシアの流刑地シベリアでの監獄生活の実態が生々しく描かれる。21世紀の平和な日本に住む僕らには想像もつかない世界が繰り広げられる。
    登場人物がやたらと多いが、本書を通して継続したストーリーや明確な起承転結のようなものがあるわけではなく、章ごとにある程度独立した小話がオムニバス的に進行するため、あまり問題にはならない。

    タイトルから廃人のような暗い無気力な人間ばかり登場するのかと勝手に想像していたが、そんなに悲壮ではない。囚人・看守含め、とにかく癖が強すぎる個性的なキャラが次々に登場する。まるで動物園だ。そんな奴らが一つ屋根の下(塀の

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    2021年05月28日
  • 罪と罰(上)

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    貧乏な元大学生が金貸しの老婆姉妹(妹は義理でまだ若い)を殺した後で様々な人たちと邂逅し心的変化を遂げていく文豪の代表作の1つ。
    主人公であるラスコーリニコフは頭脳明晰ながらも傲岸不遜というか選民思想的な悪党で恐らくは「デスノート」の夜神月や「心理試験」の蕗屋清一郎の原型。
    後の創作人物に比すると斧であっさりと連続殺人を犯すほどの非情さと知り合いになったアル中貧乏人の家族に有り金(自分で稼いだわけではない)を差し出す熱情さが入り混じった病的さが特徴的。
    そんな彼の非凡人による権利主張の論文からプロファイリングしていく予審判事ポルフィーリーもかなり凄い。
    ロシア人名に馴染みがないせいもあるが名前が

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    2021年05月05日
  • カラマーゾフの兄弟〈1〉

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    カラマーゾフ家の3兄弟と父と二人の女性(グルーシェニカ、カテリーナ)をめぐる愛と憎しみの話。どの人物もとても人間的で憎めないキャラクターだ。誰からも愛されるキャラクターのアレクセイという三男が中心になって展開される。ドミトリーとイワンがこの先アリューシャとどう絡んでいくか興味深い。

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    2021年05月05日
  • 悪霊 3

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    なんというか、圧倒されたまま終わってしまった。宮部みゆき作品を読んでいるような展開の圧力と速さと暗さ。雨で流量の増した川の流れに押し流されるような、抗っても耐えられない恐ろしさ。
    いつの間にか忍び寄って、気づいたときにはもう後戻りできない。

    いまでも、ごく一部ではあるが純化されて暴走する組織は存在しうる。そういうときにどうすればいいか。根本対処は自分ではどうしようもない気はするので、助けを求められるうちに求めないとと思う。

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    2021年04月29日
  • 虐げられた人びと

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    ドストエフスキーって
    根源的に人間は善であるという
    圧倒的な倫理観で
    小説書ける人だったんだな。

    何に虐げられた人々なのか…
    やはり、運命に。

    久しぶりに泣いた。
    とても深入りしながら物語を読んだ。

    なんだかな、すごく良かった。
    ハッピーエンドなんだろうな、一応。

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    2021年04月18日
  • カラマーゾフの兄弟〈4〉

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    複雑で発散したような展開のようで、最後はしっかりとまとめてきたって感じ。読み応えあり。解説者が「計算し尽くされた作品」というのが理解できたような気がします。

    「人間は悪いことを憎むとか、みんな言ってるけど、心のなかじゃ、みんな悪いことが好きなのよ」p203
    「ひょっとしたら見あげた心の持ち主だったかもしれないのに、酒と女遊びがたたって、スウェーデン人みたいに破滅してしもうた」p214

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    2021年04月10日
  • カラマーゾフの兄弟〈3〉

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    最初の宗教的、哲学的な部分は読みづらいが、長男ドミートリーの行動が中心となる後半はどんどん読み進められた。面白い。多くの登場人物それぞれに特徴があり、個人個人の描写と心理、お互いの反応が絶妙。

    「わたし、だれにもお金を貸さない主義なんです。お金を貸すことって、喧嘩をするのと同じことですからね。あなた、とくにあなたにはお貸ししません」p177
    「(百姓について)百姓たちに葉巻やワインやお金をふるまったりしないよう言い聞かせ、女たちがリキュールを飲んだりお菓子を食べたりしていると言って、いたく憤慨していた。「シラミだらけの連中ですよ。ドミートリーの旦那」と彼は言った。「あんなやつら、わたしなら、

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    2021年04月03日
  • 地下室の手記

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    ネタバレ

    「正常な人間はもともと頭が弱いはずのものかもしれない」って言葉がずっと引っかかって、友人とずっと話してた。生物的に優れているのはどちらなんだろう。大馬鹿者で、理性的でないようなとんでもないことをしでかす人間の方が長期的な目で見ると優れているのかもしれない、だから生存選択で生き残って、この本が共感を集めているのは結局このタイプの人間が多数で、倫理を説く人間より優れてるんだろう。そうしたら人間って可愛いしすっごく天才的な選択された生物な気がしてくる……?かも。

    ドストエフスキーはこういう一般的なこういうものを持っている人間に対して何を思っていたんだろう。きっと自分の中にも持っていたのだから「これ

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    2021年03月29日
  • 未成年(上)

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    なんだかよくわからないままに上巻を読み終わってしまった。ちょっと訳文が古いかんじ(仕方ないです)で語り手が”未成年”にはあまり思えない。言動とか考え方とかのこじらせたかんじはまさしく”未成年”なんだけども。何の話だかよくわからないままに読ませてしまうのはさすがドストエフスキーならでは、なのか!?

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    2021年03月25日
  • カラマーゾフの兄弟〈1〉

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    昨年、古典小説を読もうと思い立ち、トルストイの「アンナ・カレーニナ」を読み感銘を受けたことから、第2弾として同じくロシアの古典であるドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」を読み始めた。最初しばらくは、全く面白くなく読み進めるのがつらかった。序文の意味が分からないし、第1部の書き出しも人物紹介形式になっており、つまらない。だが、中盤から物語が流れ出すと多くの登場人物が複雑に絡み合った人間関係と、宗教や哲学、ビジネスに関連した様々な出来事が起こり、どんどん面白くなっていく。これは、最初のつまらない部分がやはり大事で、複雑な舞台設定を説明した上で物語を重層的に展開している著者の巧みな技なんだと思う

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    2021年03月23日
  • 白痴4

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    ネタバレ

    かなりモヤモヤ感のあるラストでしたが、まああれはあれで四人にとってベストな結末だったのでは無かろうかと^^;。あと、ムダに長すぎる会話文も、あれはあれで、善と悪に分かれがちな各登場人物それぞれの多様な一面であったり心情であったりが読み取れて面白かったかな~☆…全ての作家があの方式を採用されるとちょっと困るけど(笑)。


    <以下、ネタバレ有り>
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    以下、主要な登場人物4人に対する僕のざっくりとした感想。
    ●ムイシキン公爵
    =八方美人は嫌いです^^;。相手の事を思ってわざと冷たくするのが本当の愛じゃないのかな~。
    ●ロゴージン
    =あれを一途とか言ってたらスト

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    2021年03月16日
  • 地下室の手記

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    ネタバレ

    ひたすら社会や周囲を見下して自分はえらい間違っていないなどと自意識がやたらに強く後悔もしない悲劇的で醜悪な人間をえがきだした作品。

    とはいえ、出だしから『ぼくは意地の悪い人間だ。』『これは肝臓が悪いのだと思う。』でも医者が嫌いだから『いっそ思いきりそいつをこじらせてやれ!』という無茶苦茶なことを言い出したからこれはギャグか??と笑ってしまった。
    絶対に絶対に帰ってやる!!!→だが、帰らなかった、のように心で毒づきまくって勢いのいいことを言うくせに実際には実行にもうつせず余計に事態を悪くさせていく様は滑稽で醜悪。

    第一部は主人公がぐだぐだと思想(とはいえないとおもうけど)を披露し続けるだけな

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    2021年03月09日
  • 罪と罰(上)

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    ラスコーリニコフが殺人をした後で罪の意識に怯える不安な心理状態が詳細に描かれている。ドストエフスキーは人間に対する観察眼が鋭いと思う。イワーノブナ、ソーニャ、ラズミーヒン、アレクサンドロヴナ、ソーネチカ、ナスターシャ等多くの庶民の生活がよく分かった。ロシア人の考え方も含めて。

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    2021年03月06日
  • 死の家の記録

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    期待よりもずっと面白かった。女房殺しの男の手記で始まりながら、途中で構成が変わっているのもいい。他を削り取って監獄生活に絞り込んだ写実的な描写は最後まで飽きさせず、巨匠の作品の中ではもっとも読み易いと思う。
    読んでいて連想したのは漱石の『坑夫』だが、漱石の転機がその作品であったように、この作品がドストエフスキーの転機なんだなと感じた。創作から一歩離れて、人間を描き記述していくことで見えてくるものもあるのかなと思う。
    読書や創作、社会生活と隔離された流刑地での4年半がドストエフスキーにとって無駄ではなかったどころか、深い内省、稀有な経験、特異な出会いと人間観察が後の世界的文豪を創ったのだと認識で

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    2021年02月28日
  • 罪と罰(上)

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    字も小さいし、名前もコロコロ変わるし、分厚いしで三重苦でなかなか読み進められなかったけれどどうしても読むのをやめられなかった一冊。面白い、、、。
    「上の層」の人間だからこそ、殺人を正当化する権利がある。とはいいつつも発作的に襲う罪の意識に全身が戦慄くほど追い詰められる。行為としては残虐だが殺人の正当性と良心の呵責の相剋に思い悩むラスコーリニコフは非常に人間味に満ちた共感しやすいキャラクターだったように感じた。

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    2021年02月26日
  • カラマーゾフの兄弟(下)

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    とうとう下巻である

    注)軽くネタバレ有


    これまたアクの強いコーリャ少年の新登場
    自尊心が強く、知性はあるものの突拍子もないふるまいをしたりと、度の過ぎたブラックユーモアを好む傾向にある
    またことさらクールにみせたり、マウント取りに行ったり、知ったかぶりしたり、大人をからかったり馬鹿にしたりさえする
    …と、まぁハッキリ言えば子供らしさを欠いたかわいくないガキだ

    元二等大尉(以前カラマーゾフ長男ミーチャが大衆の面前で、腹を立て引き回すなどの暴行を加えた)のスネギリョフの息子のイリューシャ君
    上巻でのイリューシャ君は父のスネギリョフの「仇をとるんだぁ!」と一人で悔し涙をこらえて頑張っていた

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    2021年02月25日
  • カラマーゾフの兄弟〈1〉

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    昔のロシア文学って読みづらくて難しくて堅苦しいものだと思ってたけど読んでみたらめちゃくちゃ面白い。亀山先生の訳もいいのかな?やっと1/5読んだ。続きが楽しみです。

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    2021年02月25日
  • 白夜/おかしな人間の夢

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    ネタバレ

    「百姓のマレイ」がよかった。主人公がふと、子ども時代に、農奴のマレイに優しくしてもらったことを思い出す。身分も学歴も関係なく、徳のある人はいるんだということ。色眼鏡で見てはいけないということ。ドストの人に対する優しい視線が心地よい物語。
    一方で、ラストの「1864年のメモ」はよくわからない話だった・・・

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    2021年02月23日
  • 悪霊 1

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    むかし手に取った時は、途中から何読んでるのかさっぱりわからなくなるほど、話が全く頭に入って来ず。
    一巻の途中であえなく断念。

    中村文則のエッセイ読んだことをきっかけに(バーの帰りに女の子の家にまんまと遊びにいけたのに、悪霊の続きが気になって仕方ない中村文則は、二兎を得ようとして女の子の部屋でモリモリ悪霊を読み進み、結局女の子との間には何も起こらず朝を迎えた、あの悪霊)、そんなにおもろいんかともう一度チャレンジ。

    2回目手に取った今回は、あら、こんな話でしたっけ?
    と思うほど、一度目の私のおぼろげな記憶にあった話とは全然違って、驚くほどスイスイと面白く読みました。
    一巻の終わりまで難なくたど

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    2021年02月19日