ドストエフスキーのレビュー一覧

  • 貧しき人々

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    暗い気持ちになりたくない方にはおすすめできません。
    社会の最下層で貧しくひもじい思いをしながらもお互いを手紙で励まし合う物語…とにかく救いがありません。

    カラマーゾフや罪と罰等の長編も良いですが、こちらの処女作もドストエフスキー好きとしては外せません。

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    2013年11月14日
  • 死の家の記録

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    勤めは生業と割りきって、余暇で学問をしたまえ・・・遠山啓は著作集で説いた。その遠山が東大数学科を中退後、東北大学に再入学するまでに読み漁った西洋文学のなかで、特に印象深いと語ったのが"死の家の記録"。初読の時は何も響かなかったが、思えば生への自分の覚悟が足りなかった。アレから15年経つ。大勢が浴室に押しこめられ、洗い場に自分の場所を確保するにも金を必要とし、浴槽は垢だらけ。足枷をはめられたままなので服を脱ぐのも一苦労ながら、それでもクリスマスを前に、囚人達は入浴を喜ぶのである。自分を鼓舞するにジャスト。

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    2013年10月16日
  • 悪霊(下)

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    ピョートルとキリーロフが対決し、両者の関係は修復不可能になる。主人公とされるスタヴローギンは最後まで影が薄くて五人組を裏で動かす大悪党として映ってこない。本筋に関わらないのに何故こんなにステパンが登場するのか?いつ果てるともつかない夜の営みのような、モヤモヤ感がいつまでも続いた後の突然の火事や暗殺のシーンは生々しい。ピョートルが啓示を与え悪事を働いたモノどもは逮捕されるが、一人ピョートルだけが国外逃亡する。何故こんな奴に大の大人が掌中の駒として操られるのか、隷従するのか、現代でもそういうことは起こり得る。

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    2015年09月06日
  • 悪霊(上)

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    帝政ロシア末期、地下組織が脱退者を殺害したという「ネチャーエフ事件」をモチーフに書かれた。革命勢力を揶揄しているとして、ソ連時代は弾圧された問題の小説。子離れしない親を持つ各々の息子スタヴローギンとピョートル。二組の親子を中心とした人間関係を成す多彩な登場人物たち。やはりキリーロフが好きである。語り手の一人称は誰だろう?と思っていたら、いつのまにか「G」という名前で呼ばれる人物として物語の中に入り込んでくる。個人的には「スタヴローギンの告白」はあまり好きでない。10年位前に改版されて文字が大きくなった。

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    2015年09月06日
  • 死の家の記録

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    作家、ドストエフスキーが体験した『シベリア抑留』を基にして描かれた小説で、規格外の囚人たちに囲まれる作者の分身の孤独さと、「地獄の沙汰も金次第」という身も蓋もない『真実』を突きつけられてしまいました。

    本書は作家、ドストエフスキーが『ペトラシェフスキー事件』に連座し、1850年1月から54年1月までの4年間を西南シベリアはオムスク要塞監獄の獄中体験が下敷きとなって著された作品です。

    タイトルにある『記録』というのはノンフィクションというわけではなく、実体験ベースのフィクションとも言うべきで、実際に時間や空間の構造はもちろんのこと、本書の中に出てくる囚人や彼等を取り仕切る側の人間にも、事実と

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    2013年10月13日
  • 悪霊 別巻~「スタヴローギンの告白」異稿~

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    『永遠のロストナンバー』という宿命を持ち続けるドストエフスキーの『悪霊』の中にある「チーホンのもとで」の中にある『スタヴローギンの告白』ここでは世界初の試みとして現存する3つの告白を収録しております。

    「<告白>のない『悪霊』は丸屋根のない正教寺院である」

    これはロシアを代表するドストエフスキー学者の一人であるユーリー・カリャーキンの言葉です。『永遠のロストナンバー』という宿命を持ち続ける“スタヴローギンの告白”を含んだ『チーホンのもとで』。これは小説『悪霊』の劇中で重要なクライマックスのひとつとして第2部9章、もしくは第3部1章に収録される予定ではありましたが、掲載誌である『ロシア報知』

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    2013年09月12日
  • 悪霊 3

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    ドストエフスキーが後年に著した『五大長編』の内、政治的な意味あいが最も強いといわれる『悪霊』その完結編です。全ての物語上の複線が回収され、狂乱と崩壊に向かって疾走する様子が描かれております。

    登場人物の実に3分の1が何らかの形で死を迎えるという陰惨極まりない小説であるドストエフスキーの『悪霊』その完結編です。しかし、改めて思うのはストーリー全体の時間軸が秋から冬にかけての「一季節」であるということに衝撃を受けた、ということです。ようやくこの第3部で全ての複線が回収され、物語は一気に崩壊へと突き進んでいくのです。『革命組織の内ゲバリンチ殺人事件』と美貌。知力。腕力に加え、貴族という特権的な身分

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    2013年09月07日
  • 悪霊 1

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    『ネチャーエフ事件』に発想をえて綴られたドストエフスキーによる政治小説です。『内ゲバリンチ殺人』という陰惨なテーマとスタヴローギンという悪魔的な主人公に『人間とは何か』ということを突きつけられます。

    ロシアの誇る文豪、ドストエフスキーが後年に発表した『五大長編』のうち、内容的にはもっとも『危険』とされる小説である『悪霊』それが亀山郁夫氏の新訳によって現代の社会に甦りました。

    この小説の構想を得たものは1869年に発生した『ネチャーエフ事件』と呼ばれる内ゲバリンチ殺人事件で、架空の世界的革命組織のロシア支部代表を名乗って秘密結社を組織したネチャーエフが、内ゲバの過程で一人の学生イワン・イワノ

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    2013年08月30日
  • 罪と罰 上

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    某犯罪学の教授曰く、法学部生が読むべき本。有名文学作品というと暗くて重いというイメージだったが、先が気になる展開のおかげもあってサクサク読めた。タイトルからして深いテーマを扱っているがあまり身構えずに読み始めても楽しめると思う。大学生くらいなら主人公の考え方に共感できてしまう人も少なくない…ような気がする

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    2013年08月25日
  • 罪と罰 下

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    ネタバレ

    主人公にかなり感情移入していたので救いがある終わり方でよかった。最後の短い部分ではあるが刑務所の中での主人公の変化は読んでいて安心?できる。

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    2013年08月25日
  • 罪と罰 下

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    下巻では一つ一つの会話を噛みしめ、読む時間を多く費やしてしまった。が時間を費やしても読んでおきたかった一冊と言えるはず。1860年代のロシア人も、2010年代の日本人も、大事なところはさして変わらないのではないのか?という思いを持ちながら読み進めていった。

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    2013年07月27日
  • 罪と罰 中

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    とにかく人間の感情、悲哀、エゴ、理不尽さなどが隅々に描かれている。中編になって、やっと登場人物の名前(と愛称)をおぼろげながら把握できてきた。ラスコーリニコフの罪がいつ暴かれるのか、スリリング。

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    2013年07月10日
  • 虐げられた人びと

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    一気に読みました。星50ぐらいつけたいです。特に中盤ぐらいまでは。終盤ちょっと失速?と思いましたが、最高です。こんなの読んでたら気が狂いそう…。

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    2013年05月17日
  • 罪と罰 1巻

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    バンチコミック完結全4巻
    ドストエフスキー原作の世界的名作を漫F画太郎先生が改編、そして再構築!

    何故、人を殺してはいけない?
    何故、罪の意識が芽生える?

    うるせー!
    くだらねー!

    くらえ!ゲリ便!!
    立ち上がれチンポ!!

    本当にくだらねー世の中だけど
    さいごに笑えればいいのです。

    きっとこんなメッセージを先生は残されたのだろう。

    画太郎先生…面白い漫画をいつも…いつも…ありがとうございます…!!

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    2013年05月07日
  • 罪と罰 4巻(完)

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    大迫力の見開きの数々、崖から突き落とされたような急展開、毎度のことではあるが。そして、核心はどこに行ったのか最後は行方不明。でも、いいじゃないか。文豪の罪と罰はこの漫画家に如何になぞられたか、それが大事なのだ。
    罪と罰のコミカライズとしてはとても人に薦められたものじゃないけども。

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    2013年04月23日
  • 罪と罰 4巻(完)

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    いろいろなことをほっぽらかすように、すごい形の終わり方。
    終わらせ方が統一されているようで、さすがだなぁとw。

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    2013年04月19日
  • 死の家の記録

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    「イワンデニーソヴィチの一日」と、この「死の家の記録」は、
    私の中でベスト・オブ・シベリア流刑小説の地位を常に争っています。
    いや、これらの他に読んだことないんですが。

    こちらに関しては、貴族がいきなりシベリアに来て精神的にかなり参ってる感じにぐっときます。
    お風呂の不潔さにうひゃー、とか囚人服がベトベトしててうげーとか。
    特にお風呂(サウナ?)の描写は圧倒的に迫ってきます。
    囚人の垢とか髪の毛とかが、自分の足にからみついてきてぬるぬるしてる気がします。
    とにかくもう迫力があるんですよ。

    他に好きな場面は囚人がクリスマスなどのイベント事に心からウキウキしてるところかな。
    どんなにどん底に落

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    2013年03月15日
  • 死の家の記録

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    シベリア流刑囚として過ごした4年間の体験を元に執筆された本書には、ドストエフスキー諸作品の通定音が最も濃縮された形で表れている。共に暮らした囚人や兵士達に、時には犬畜生相手にまで向けられるその洞察力は、ふとした会話や行動から対象の内面に潜り込み、当人も自覚していないその愚かしい性質や特徴を暴き立てる。獄中に置いても貴族は仲間として扱わないその態度に嘆息しながら、それでも庶民の中に人間讃歌を見い出すことを決して諦めない。長編作品の登場人物のみならず『夜と霧』を始めとする多くの作品が、この家から生まれてきた。

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    2013年01月25日
  • 悪霊(下)

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    「完全な無神論でさえ、世俗的な無関心よりましなのです」雑誌連載時にはその内容ゆえに掲載を見送られた「スタヴローギンの告白」内で用いられる、上記の言葉が個人的ハイライト。そう、無神論というのは「絶対的な神が存在する場所に、絶対に何も置こうとしない」という思想を信仰する、一つの宗教的態度である。宗教に無関心な人にでも、星に祈りたくなる夜は来る。あなたが好きなものを語る時、それは一つの信仰告白が行われているということなのだ。それでも僕らは何かを信じずにはいられない、人は真に堕ちきるには弱すぎる存在なのだから。

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    2013年01月23日
  • 悪霊(上)

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    ドストエフスキーの長編小説の中でも最も難解といわれるこの『悪霊』だけどその分より深淵に踏み込んだ、どうにも救われない個人の内面というテーマの描かれ方は随一。見栄や思想、強欲、宗教、そして時代…誰もが目に見えない「何か」に心を奪われ、病人の様に生きている。キリスト教には病人の代わりに悪霊を引き受けてくれる豚たちがいる。だけど僕らには、そんな病を引き受ける豚はいない。目に見えない何かに取り憑かれたまま溺れていく人は今も沢山いるわけで、そんな人達になんとか呼吸の仕方を伝えようとするような、例えるならそんな小説。

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    2013年01月22日