ドストエフスキーのレビュー一覧

  • 地下室の手記

    購入済み

    自意識過剰と書いているけど、実際は人の悪意を正面から受け止め過ぎた悲しい主人公だと思いました。人間は脳髄で考えているのではなく手足からつま先に至るまで、それぞれ別々に考えている。頭も尻もない下等動物の連中が暑い寒いを正確に判断したり、喰い物の選り好みをするのはまだしも、人間の脳髄なんぞが寄っても附けない鋭敏な天気予報までもはっきり表しているのだから。主人公は言動だけでなく人間の態度や、ささいな行動からも人の悪意を感じ取ってしまうのではないだろうか。
    この主人公の考え方は狂っているように見えるが、それは他の人より目立っただけだと思う。

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    2019年03月03日
  • 罪と罰 下

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    19世紀ロシアの小説家ドストエフスキー(1821-1881)後期の長編小説、1866年。

    一般的には、実存思想の先駆とも云われ、思想小説と見做される。しかし、主人公ラスコーリニコフが殺人に到るまでの心理描写や、予審判事ポルフィーリイとの論争場面、さらに終盤のスヴィドリガイロフとドゥーニャとの緊迫したやりとりなどには、推理小説さながらの迫力と戦慄が感じられる。さらに、都会の貧苦に喘ぐ人々を描いた社会小説とみることも可能であろうし、エピローグに於けるラスコーリニコフとソーニャの姿は深遠な愛の物語ともなる。ドストエフスキーの作品には、小説という文学形式の多様な相貌が詰まっているように感じる。ときに

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    2018年07月21日
  • 悪霊 1

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    ドストエフスキー。物語が動き出すと格段に引き込まれるのだが、前半の人物描写の部分(大いに伏線があるのだ)が、なかなか退屈で読み進まない。そこを超えると面白くなってくる。

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    2018年01月12日
  • 悪霊 3

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     もう一度読んでみたい。 一度読んだだけでは、作者が意図することを読み取る力が足りない。訳者あとがきを読んで初めて、あーそういうことだったかと少しわかった気になる。だからもう一度通して読んでみたい。

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    2018年01月12日
  • カラマーゾフの兄弟(下)

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    世界的文学作品というのはどういうものなのか?フラットな気持ちで読んでみた。冷静に見ると、形としては滅茶苦茶なところがあるし物語の流れもスマートとはいえないと思う。サスペンス的な要素を含む話の骨格の周りに沢山の視点と物語がある。流石の文量なのでそれぞれに厚みがあり世界がある。百年以上前の小説に「萌え」をみたり。親子、兄弟、恋愛、友情。お腹いっぱいの作品。一言で言うのは難しい。読んだ。印象を持った。というのは財産だろう。読み応え、という点では間違いなく一級品。ドストエフスキーの別の作品も読んでみようかなと思うくらいの読み応えはあった。読むのが大変だった。が、また読み返したいなと早くも思う不思議な作

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    2024年07月13日
  • 虐げられた人びと

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    ネタバレ

    不幸な面は多々あったけど、後味が悪いという感じではない。
    タイトルからして嫌な終わり方で全部が終わってしまうのではと思ったが、そうじゃなかった。

    お前さえいなければ、何人もが救われただろう。そんな奴が出てくる。

    大人は頑固者だ。愛と憎しみは紙一重。

    繰り返される悲劇を子供がとめる。

    悪魔からも天使が生まれる。

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    2017年12月12日
  • 死の家の記録

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    トルストイも絶賛した本書。
    だからというわけじゃないけど、これは万人受けしやすい内容で、私ももれなく、いい作品だと思った。

    他のドストエフスキーの作品は癖があるので、かなり好き嫌いが分かれそうだけど(私は好きな方)、この作品は誰でもとっつきやすいのではないかと思う。

    シベリアに流刑されたドストエフスキーの獄中実体験を基に書かれている。

    罪をおかし、足枷をつけられ何年も狭い世界で耐えること。
    そこには耐えるために、目的を持ち、喜びを見つけ、足枷を外せる日を待つ。

    最後のシーンは感動する。

    また読み返したくなる作品だ。

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    2017年09月05日
  • 罪と罰 下

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    後半のスピード感はすごい。登場人物の性格の複雑さといい、展開の予測できなさといい、意外と普通に読んでも楽しめるレベルではないか。初めてドストエフスキーで完読できた。

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    2017年08月28日
  • 死の家の記録

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    囚人でもクリスマスには神聖な気持ちになるし年に一度の特別な日を子供のようにはしゃいでいるのがなんか泣ける。超閉鎖空間で暗くて自由が無い生活、独自の雰囲気と慣習、でも強い個性のさまざまな囚人たち…面白い。囚人病院で足枷をしたまま死んでいった人が印象的、囚人達の殺人の思い出話や身の上話が沢山、足枷を取って出獄するラストシーンは最高、卒業感ある。辛い生活の中でも希望を捨てない著者の過去を追体験した。

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    2017年02月17日
  • 未成年(下)

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    ドストエフスキーの中で、頭一つ抜けて面白い。紙とインキでこんなことができるともっと早く知っていたら、物理をやってはいなかったに違いない。

    繋がりがあるようでばらばらな話(逆のパターンは世に溢れている)が、未成年の思想を糊付けする、そんな、ばらばら感の点で最もドストエフスキーらしい。

    物語の中に、罪、罰、白痴、悪霊、といった言葉も登場するが、これらは…ちょっと気を利かせ過ぎかも知れない??

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    2016年11月19日
  • 未成年(下)

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    養父マカールが亡くなってからの終盤の実父ヴェルシーロフの独白に近い対話が迫真。写真について、神について、恋愛における慰みでなく愛について。

    白眉はヴェルシーロフが聖像を叩き壊す場面。その後も分裂する人間像が余すところなく描かれる。

    タチヤナ・パーヴロヴナの人の良さも少ない叙述ながら、光っていた。

    完全な理想的人物はありえず、どこか破綻しているが、憎めないのがドストエフスキーのメインキャストか。

    最後の先達のコメントがこの小説の歴史的な意義を示しているのも嫌味がなく、構成的にさすがという他ない。

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    2016年11月16日
  • 未成年(上)

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    自殺、妊娠。腹の探り合い。実父(ヴェルシーロフ)に子(アルカージィ)はあるときは不信、あるときは絶対の崇拝と激しく揺れ動く感情。祝宴性が全開だ。上巻終盤に出てくる親子の対決?の場面は見物だ。キーアイテムは手紙。ロシアにおけるサモワールの意義の描写もなにげなくいい。

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    2016年11月15日
  • 罪と罰 下

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    いよいよ完結の『罪と罰』
    自らの罪と向き合い翻弄するラスコーニコフの絶望的だが、希望のある終末へと向かっていく。はっきり言ってしっかりと読み込めているとは思えない。ただなんというか、意識の大きなうねりに身をゆだねていくうちに、様々な感情のぶつかり、葛藤を感じ、その波にのまれていった読書体験。最後ラスコーニコフのソーニャへの態度に何か救いを感じた。人間としてまっとうに生きるというのが正しい言い方ではないのかもしれないが、それでもやはり神のもとに生きる一人の人間としての生を取り戻すところは、一人の人間の再生の物語とも感じた。
    さていよいよそろそろカラ兄かな。

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    2016年11月04日
  • 悪霊(下)

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    スタヴローギンなしには、物語の精彩を欠いていただろう。そこに精神のもがきがあるからだ。あとは俗悪で、または、単に俗っぽさがあるのみだ。ステパンの最後の独白も良かった。良心があった。別立てにされたスタヴローギンの告白はやはり本編に含めるべきだろう。でないと、最後の彼の自殺が物語の救いにならなくなる。色々なことが明晰になるし、チホンとの対話が抜き差しならず、スタヴローギン性がより深みを増すからだ。あとは火事場の描写が迫真だった。

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    2016年11月03日
  • 賭博者

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    ギャンブラーの思考があますところなく描かれている。破滅への思考と行動。誰も止められない、手強い依存性。

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    2016年10月14日
  • 虐げられた人びと

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    ラスト30ページほどで、息を飲む謎が明かされる。幾重にも巡らされた入れ子構造。悪人、善人の描き方。金への執着。ネリーが登場してから、俄然物語は進み始めたが、やはり肝だったのだな。舞台装置もドラマチックだった。

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    2016年10月08日
  • 死の家の記録

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    ストーリーというより、エピソードの描写力が神がかっている。ありありとその情景、皮膚感覚、味わい、歌声が迫ってくるのである。

    動物、演劇、風呂、病院‥どれも迫真だ。

    一人一人の人物描写もまるでそこにいるかのようだ。

    貴族と民衆の溝の深さの描写も凄まじい。

    随所に織り込まれる、犯罪や刑罰に関する哲学的考察にも唸らされる。

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    2016年10月01日
  • 白夜/おかしな人間の夢

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    おかしな人間の夢、がすごい。宗教の真髄を余すところなく語っている。ゾクゾクする。
    百姓のマレイは好きなテイスト。
    白夜は下手だが、最後のまぜこぜになったねじれた感情の表現が秀逸。

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    2016年09月22日
  • 虐げられた人びと

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    日曜の午後、急にドストエフスキー読みたい!気分になって一気読み。今まで読んだ彼の作品のどれよりも読みやすかった。それに、主人公(語り手)を素直にかっこいい!と思ってしまった。今まで読んだ彼の作品は、どれも、「自分にもこういう弱い部分がある」と共感しつつ、親しみは持ちたくなかった。(持てない、ではない。笑)けど、ワーニャ。彼は本当に素敵だったので、驚いてしまった。ナターシャと父の関係性には、舌を巻くリアリティがあった。家族って近すぎて全体像が見えない分、すごく難しい。どの人物も重厚で複雑なドラマを持っていて、読み返したらまた違う人の気持ちにフォーカスするだろうな。けど…なんといったらいいか。これ

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    2016年05月09日
  • 賭博者

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    ヤバイ。愛も金も人生をかけてルーレットにかける主人公の感情に完全に惹きつけられた。"ロシア人特有の病的性格を浮き彫りきする"と本の広告にあるが、この一発に全てをかける気持ちは誰もが持ってるんじゃないか??

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    2016年02月27日