ドストエフスキーのレビュー一覧
-
ドストエフスキーで読んだ事のない喜劇。
エンタメとしても面白かった。
一座の大御所たる将軍夫人、その威光を前にして人みなが怖れ畏む将軍夫人は、ひからびた意地悪婆さんで、喪服に身を包んでいた。とはいえ、鬼婆ぶりが増したのは、寄る年波に勝てず、もともと貧弱だったおつむが余すところなく枯渇したからにほか...続きを読むPosted by ブクログ -
圧巻の読み応えの2巻。
めちゃくちゃひきこまれました!
有名な大審問官のパートはつきささったし、それ以外にも印象的なくだりが盛りだくさん。
スネギリョフとイリューシャの、貧しさと闘うなかでの鬱屈とプライド、それから親子愛。
若かりし日のゾシマ長老を訪ねる謎の訪問者も面白かったなあ。
あと意外だった...続きを読むPosted by ブクログ -
・ここまでが第一部で未完だったとは…たしかに「これだけ期待をもたせてここで終わるの?」とは思ったけど。
解説によると「書かれなかった第二部では、アリョーシャ・カラマーゾフが修道院を出て、リーザとの愛に傷つき、革命家になって皇帝暗殺の計画に加わり、断頭台にのぼることになっていたという説もある」とのこと...続きを読むPosted by ブクログ -
村の領主の屋敷に男が、巧みな弁舌とアップダウンの激しい気性で周りを翻弄し支配してゆく。
ドストエフスキー作品お馴染みの息をもつかせぬ長広舌がこれでもかと味わえる。
読みやすく、面白い。Posted by ブクログ -
最終巻はエピローグが数十ページ。残りの大部分は解説となり、ドストエフスキーの生涯、解題、訳者あとがき。
エピローグのみ別巻とする配分は初めてらしい。気になる登場人物たちのその後は、アリョーシャと少年たちの未来を予感させて終わる。続編が予定されていた本作だが、刊行直後に作者が亡くなってしまい執筆され...続きを読むPosted by ブクログ -
長老の遺体による腐臭騒ぎで、迷いが生じるアレクセイ。一方、ドミートリイは愛人のため金策に走り回っていた。
グルーシェニカの人柄と背景がよくわかる深掘りと、アリョーシャ(アレクセイ)の信仰が新生する第7編。第8編ではミーチャ(ドミートリイ)が奔走するなか、ついに事件が起こってしまう。続く第9編では、...続きを読むPosted by ブクログ -
さらに泥沼化するかに思える複雑な人間模様のなか、兄イワンと高僧ゾシマ長老がそれぞれに神学的テーマを展開。
キリストにケンカをふっかけるイワンの創作叙事詩『大審問官』の衝撃と、ゾシマ長老の愛に満ちた談話・説教のコントラストが印象深い。いずれも難解で普遍的なテーマを含んでいるため、ざっと一読では消化不...続きを読むPosted by ブクログ -
「少年たち」の章、続編への布石か。「兄イワン」の章、「神がなければすべてが許される」という自身の思想にイワン本人が押し潰されている。スメルジャコフの悪意、憎悪は彼を指導したイワンを圧倒して立場が逆転。彼が首を吊るのはご都合主義的、そんなタマじゃない。悪魔との対話は何言ってるのかわからず退屈。「誤審」...続きを読むPosted by ブクログ
-
大審問官への反論としての「ロシアの修道僧」。ガリラヤのカナをアリョーシャが幻視する場面、聖書の朗読と幻が絡み合う叙述が素晴らしい。この場面が、書かれなかった続編のアリョーシャの「闘争」の伏線だったのかな。中盤以降はミーチャの独壇場。金をめぐって東奔西走、セッターやホフラコワ夫人とのやりとりは爆笑必至...続きを読むPosted by ブクログ
-
人生でもっとも影響を受けただろう小説。再読は10年振りくらい。読む前は分量と文字の多さに読みきれるか不安になるが読み始めると面白くてどんどん進む。歳とったせいか若者たちよりフョードルやグリゴーリイの言動にひかれたのは自分でも意外。ドストエフスキーが描く恋愛って愛憎が表裏一体なところがある、とカテリー...続きを読むPosted by ブクログ
-
完結巻。長い長い物語の終わり。訳者の解説で続編の存在に触れられている通り、シナリオとしては未完、アリョーシャの物語はまだ始まったばかりだ。それなのに読後は爽やかな気分になる。快晴の冬の朝のようだ。
劇的なシーンは前巻の裁判で最後であり、主要キャラクターの顛末を考えても決してハッピーエンドとは言えな...続きを読むPosted by ブクログ