ドストエフスキーのレビュー一覧

  • ステパンチコヴォ村とその住人たち
    ドストエフスキーで読んだ事のない喜劇。
    エンタメとしても面白かった。

    一座の大御所たる将軍夫人、その威光を前にして人みなが怖れ畏む将軍夫人は、ひからびた意地悪婆さんで、喪服に身を包んでいた。とはいえ、鬼婆ぶりが増したのは、寄る年波に勝てず、もともと貧弱だったおつむが余すところなく枯渇したからにほか...続きを読む
  • 罪と罰 2
    殺人の動機が徐々に明されていく第2巻。ラスコーリニコフが語るその主たる動機の根拠となる思想は、先般ウクライナを侵略したロシアの大統領も、同様に持っているのではなかろうか。
  • 罪と罰 3
    圧巻の最終巻。真実が次第に漏れていく中、愛する者たちに困難が降りかかる。犯罪者の苦悩と決断に感動は必至!

    分厚いが一気に読める500ページ。ヒロインふたりに襲いかかる危機に白熱。ドラマチックな展開に夢中になるあまり、ラスコーリニコフの心理的な変化を見落としがちだった。なし崩し的にあの結末に向かうが...続きを読む
  • 罪と罰 2
    母と妹の登場、予審判事や妹の婚約者との対決、そして明らかになっていく犯罪の理由。福音書が彼に寄り添う。

    加速感のある第3部と第4部を収録。追い詰められていくラスコーリニコフ。愛する母と妹に再会しても喜ぶ余裕もない彼の横で展開する家族ドラマ。超絶美人な妹の、傲慢な婚約者やストーカーとのすったもんだ、...続きを読む
  • 罪と罰 1
    命の価値によって殺人は許されるか?普遍のテーマに切り込む永遠の名作。あちこちで使われてしまうタイトル……元ネタはこちら。椎名林檎でもNintendo64でもないぞ!

    これは面白い。難解な内容を想像していたが、犯行前後のサスペンスと犯人が心理的に追い詰められていく過程、深みのある人間関係のドラマに夢...続きを読む
  • カラマーゾフの兄弟〈2〉
    圧巻の読み応えの2巻。
    めちゃくちゃひきこまれました!

    有名な大審問官のパートはつきささったし、それ以外にも印象的なくだりが盛りだくさん。
    スネギリョフとイリューシャの、貧しさと闘うなかでの鬱屈とプライド、それから親子愛。
    若かりし日のゾシマ長老を訪ねる謎の訪問者も面白かったなあ。
    あと意外だった...続きを読む
  • カラマーゾフの兄弟(下)
    ・ここまでが第一部で未完だったとは…たしかに「これだけ期待をもたせてここで終わるの?」とは思ったけど。
    解説によると「書かれなかった第二部では、アリョーシャ・カラマーゾフが修道院を出て、リーザとの愛に傷つき、革命家になって皇帝暗殺の計画に加わり、断頭台にのぼることになっていたという説もある」とのこと...続きを読む
  • ステパンチコヴォ村とその住人たち
    村の領主の屋敷に男が、巧みな弁舌とアップダウンの激しい気性で周りを翻弄し支配してゆく。
    ドストエフスキー作品お馴染みの息をもつかせぬ長広舌がこれでもかと味わえる。
    読みやすく、面白い。
  • 罪と罰 3

    おもしろかった

    半分も理解できてないだろうけど
    ともかく読み終わった。おもしろかった。
    なぜそうなったのかと思うところもあるが
    世の中理屈で割り切れるものではないということからすると
    とても現実的な物語なのかもしれない。
    気力があれば読み返してみたいところだが
    今はちょっと無理。
  • 罪と罰(下)
    人は自分が犯した罪を隠したいが、どういうわけか話さずには居れない。時間が経てば経つほど、罪は罰としてはっきり自覚される。
  • カラマーゾフの兄弟(下)
     読み終わってうれしいような悲しいようなところが正直なところですが、未完で終わるののがよかったようにも思えます。
  • カラマーゾフの兄弟〈5〉エピローグ別巻
    最終巻はエピローグが数十ページ。残りの大部分は解説となり、ドストエフスキーの生涯、解題、訳者あとがき。

    エピローグのみ別巻とする配分は初めてらしい。気になる登場人物たちのその後は、アリョーシャと少年たちの未来を予感させて終わる。続編が予定されていた本作だが、刊行直後に作者が亡くなってしまい執筆され...続きを読む
  • カラマーゾフの兄弟〈3〉
    長老の遺体による腐臭騒ぎで、迷いが生じるアレクセイ。一方、ドミートリイは愛人のため金策に走り回っていた。

    グルーシェニカの人柄と背景がよくわかる深掘りと、アリョーシャ(アレクセイ)の信仰が新生する第7編。第8編ではミーチャ(ドミートリイ)が奔走するなか、ついに事件が起こってしまう。続く第9編では、...続きを読む
  • カラマーゾフの兄弟〈2〉
    さらに泥沼化するかに思える複雑な人間模様のなか、兄イワンと高僧ゾシマ長老がそれぞれに神学的テーマを展開。

    キリストにケンカをふっかけるイワンの創作叙事詩『大審問官』の衝撃と、ゾシマ長老の愛に満ちた談話・説教のコントラストが印象深い。いずれも難解で普遍的なテーマを含んでいるため、ざっと一読では消化不...続きを読む
  • 貧しき人々
    九等官とは行き止まりの等級。清書係がそれ以上出世することはない。お相手は20歳前後の孤独な少女。書簡が往復する舞台は19世紀前半の帝政ロシア。ソ連となる半世紀以上も前。「うだつが上がらぬ中年下級官吏と薄幸の若い娘の恋物語」…そんな構図だけで語れぬ何かがある。迎える結末はそれしかないだろうという運命。...続きを読む
  • カラマーゾフの兄弟(下)
    「少年たち」の章、続編への布石か。「兄イワン」の章、「神がなければすべてが許される」という自身の思想にイワン本人が押し潰されている。スメルジャコフの悪意、憎悪は彼を指導したイワンを圧倒して立場が逆転。彼が首を吊るのはご都合主義的、そんなタマじゃない。悪魔との対話は何言ってるのかわからず退屈。「誤審」...続きを読む
  • 悪霊 3
    一、二巻は展開が冗長でまどろっこしい印象を抱いたが、この三巻で『悪霊』の筆舌に尽くしがたい面白さが一気に畳み掛けてきた。この面白さを味わう資格のある者は一、二巻を辛抱強く読み終えた者達だけである。『罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』に散りばめられた“救い”の部分がこの作品からは殆ど感じられないぐらい陰...続きを読む
  • カラマーゾフの兄弟(中)
    大審問官への反論としての「ロシアの修道僧」。ガリラヤのカナをアリョーシャが幻視する場面、聖書の朗読と幻が絡み合う叙述が素晴らしい。この場面が、書かれなかった続編のアリョーシャの「闘争」の伏線だったのかな。中盤以降はミーチャの独壇場。金をめぐって東奔西走、セッターやホフラコワ夫人とのやりとりは爆笑必至...続きを読む
  • カラマーゾフの兄弟(上)
    人生でもっとも影響を受けただろう小説。再読は10年振りくらい。読む前は分量と文字の多さに読みきれるか不安になるが読み始めると面白くてどんどん進む。歳とったせいか若者たちよりフョードルやグリゴーリイの言動にひかれたのは自分でも意外。ドストエフスキーが描く恋愛って愛憎が表裏一体なところがある、とカテリー...続きを読む
  • カラマーゾフの兄弟〈5〉エピローグ別巻
    完結巻。長い長い物語の終わり。訳者の解説で続編の存在に触れられている通り、シナリオとしては未完、アリョーシャの物語はまだ始まったばかりだ。それなのに読後は爽やかな気分になる。快晴の冬の朝のようだ。

    劇的なシーンは前巻の裁判で最後であり、主要キャラクターの顛末を考えても決してハッピーエンドとは言えな...続きを読む