ドストエフスキーのレビュー一覧

  • 罪と罰 3
    極限に追い詰められた男の姿、心象風景に飲み込まれる。
    ラスコーリニコフと共にした数日間、常に夢の中にいた様。
    物語に圧倒されると言う稀有な体験。
    凄まじかった。
  • 罪と罰 上
    『あれはどこで?』ラスコーリニコフは先へ歩きながら考えた。『どこで読んだんだっけ?なんでも死刑を宣告された男が、死の一時間前に言ったとか、考えたとかいうんだった。もしどこか高い岩壁の上で、それも、やっと二本の足で立てるくらいの狭い場所で、絶望と、大洋と、永遠の闇と、永遠の孤独と、永遠の嵐に囲まれて生...続きを読む
  • カラマーゾフの兄弟(上)
    久しぶりの再読。フョードル・カラマーゾフは悪徳の権化のように思っていたが改めて読むとそうでもない。長男ドミートリイの方の暴力性の方がはるかに異常である。
    彼に屈辱を受けた老二等大尉と息子イリューシャの挿話が心に響く。哀しい話なのだが、巨匠の筆に依ると直視して受け止めることができる。ここに人間の苦しみ...続きを読む
  • カラマーゾフの兄弟(中)
    死の床につくゾシマ神父の回想と垂訓が2部の最後を締めるが、少し長すぎて要点が絞り込めていない。ここでこの大長編を読むのをやめた人は多いと思う。(わたしは二人知っている。)アリョーシャが物語の前面に出てくるが、ドストエフスキー作品中最も人気のあるキャラだけあってやはり好ましい。(ただしわたしはソーニャ...続きを読む
  • 死の家の記録
    1861年 40歳  第16作。

    死の家の記録は、ペトラシェフスキー事件に連座して、反逆罪に問われたドストエフスキーが、1850年1月から54年1月までの4年間を囚人として、頭を半分剃られ、足枷をつけられ、強盗殺人犯や詐欺師や窃盗、農民や貴族、イスラムの異民族から異端のキリスト教徒まで、雑多な人々...続きを読む
  • 地下室の手記
    親しくもない友達の送別会に無理矢理参加して逆ギレし、酔って風俗嬢に説教するという、この主人公のやってることは最悪なんだけど、こいつのことが可愛そうで可愛くて、抱きしめてやりたくなる。
    あーでもないこーでもないと考えを巡らせ、リーザの考えを勝手に想像していきなり怒り出したり泣き出したりする。これは鬱状...続きを読む
  • 悪霊(下)
    下巻では、シュピグーリン工場の連中が起こした火事を契機に、物語が一気に加速する。
    ピョートルを中心とする《五人組》と呼ばれる組織がロシアの転覆を企てている。
    それを背後で動かしているのはスタヴローギンなのか?
    その人間像は僕には最後までわからなかったが、彼が自殺したときの衝撃は忘れないだろうと...続きを読む
  • 悪霊(上)
    これまでに何冊か読んだドストエフスキーの小説の中で、最も難解な作品。
    主人公はステパン・トロフィーモヴィチではなく、ニコライ・スタブローギンだとわかるまでに時間がかかった。
    上巻のクライマックスは、ニコライとガガーノフの決闘であろうか。
  • カラマーゾフの兄弟(上)
    親父(フョードル・カラマーゾフ)の放蕩ぶりに言葉を失う。
    なんせ1人の女性をめぐって長男と火花を散らすぐらいだから。
    とんでもない奴だな。
    予想では、この親父さん殺されるんじゃないかなと思う。
    聖書とか、神様とか、キリスト教とかいうのは全く分からないので、ゾシマ長老の話はちょっと胡散臭く聞こ...続きを読む
  • カラマーゾフの兄弟(中)
    父フョードルが殺害され、長男のドミートリイに嫌疑がかけられるあたりからは本当におもしろい。
    カテリーナから盗んだ3千ルーブルの内の半分、1,500ルーブルを袋に縫いこんで、それを胸にさげておいたという《恥ずべき》秘密の告白の場面は最高!
    「僕は卑劣漢だけれど、泥棒じゃない」と訴えるドミートリイの...続きを読む
  • 悪霊 3
    『罪と罰』『白痴』とこの『悪霊』と読んできて、どれもまだるっこしい序盤に不穏になりはじめながらも混沌とした中盤、一気にスピードをあげて破局になだれ込む終盤、というのは同じだなと思った。特に『悪霊』と『白痴』は、終盤のなだれ込み加減と、あまりにも急展開かつあっけない幕切れが似てる。
  • 白痴3
    結核を患い余命幾ばくもないと信じている若者・イッポリートによる、長大な手記「わが必要不可欠な告白」を含む第3巻。感情の混乱や激発が頻発し、読む側の意識まで揺さぶられているような心持ちになる。
    ムイシキンとロゴージンとの関係性は変化することなく続く一方、ムイシキンとナスターシヤとの関係性は間に若き令嬢...続きを読む
  • カラマーゾフの兄弟(中)

    神の存在意義からミステリーへの

    前半は、(前編)最終部の「大審問官」から続く神の存在についての考察が続きます。それは、アリョーシャが慕うゾシマ長老の死によって、さらに問われることに。この部分を読み進めるうちに、遠藤周作さんの名著「沈黙」を思い浮かべました。神への信仰が深まるにつれ、本当に神は存在するのか…。永遠に解決されない課題な...続きを読む
  • 白痴2
    第2巻では、主人公・ムイシキン公爵について「黄金時代にすら聞いたこともない純真さ、無垢さを披露したかと思うと、今みたいにとてつもなく深い心理観察でもって、いきなり弓矢みたいにぷすりと人の心を射貫く」という人物評が語られる。その評は的を射ているが前巻のムイシキン像に近く、本巻でのムイシキンはそのように...続きを読む
  • カラマーゾフの兄弟(上)

    圧倒的。

    読むべき読むべきといろいろなところで
    紹介されているこの本だが、あまりの長さに
    敬遠していた。
    コロナウイルスによる自粛で、家にいる時間が
    長くなったので、この機会によんでみることにした。

    まだ上のみを読んだ段階だが、ストーリーの
    面白さ、重厚な書きぶり、はっとさせられる
    哲学に、こ...続きを読む
  • 白痴1
    癲癇を患って他人からは「白痴」と呼ばれる青年・ムイシキン公爵、ならず者ながら一途な男・ロゴージン、凄まじい矛盾と葛藤を抱える美女・ナスターシヤ、3人の関係性が語られ始める恋愛小説第1巻。
    どの人物にも厚みがあるが、「完全に美しい人間」として描かれたムイシキンの人物像が特に印象的。純粋で高潔で、物事の...続きを読む
  • カラマーゾフの兄弟(上)
     地下室の手記に続いて、ドストエフスキーの作品を読んだのは2作目。短編を先に読んで、著者のクセに慣れてから長編を読むのが自分に合ってたなーと思う。昔ドストエフスキーにチャレンジしたときは挫折してしまったけど、今読んだら特別難解というわけじゃないし、むしろ要素が詰まっているから読んでいて楽しいし、さっ...続きを読む
  • カラマーゾフの兄弟(上)

    神の存在と人間の心の葛藤

    19世紀ロシアの文豪ドストエフスキーが描いた、神の存在とこの世に生きる人間の心の葛藤をテーマとした小説。「人を愛する心とは」といった命題について考えさせられました。まだ上巻だというのに、深い。しかし、カラマーゾフ一家の父と3兄弟を中心に語られる物語は親しみやすく、女性を巡る情景やそれに嫉妬する人間の...続きを読む
  • 悪霊 3
    正直ちゃんと理解はできてないと思うけど、それでも面白かった。
    特に三巻目はいろんな事件が起こり大量に人が死ぬなど、動きが激しいしわかりやすい部分も今までの巻よりは多かったので読みやすかった。

    『祭り』でのカルマジーノフのあたりはすごく笑えた。
    実在の人物であるツルゲーネフがカルマジーノフのモデルら...続きを読む
  • 未成年(下)
    「未成年」はドストエフスキー五大長編の中でも難解、つまらないなどという噂を良く聞いていたので、読み始めるのが少し躊躇われていましたが、
    これこそ躊躇わずにできるだけ若いうちに読んでおきたい本だと強くお勧めできる作品でした。
    主人公による一人称の手記として記述されているため、登場人物の激しい心の動きに...続きを読む