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Posted by ブクログ
「未成年」はドストエフスキー五大長編の中でも難解、つまらないなどという噂を良く聞いていたので、読み始めるのが少し躊躇われていましたが、
これこそ躊躇わずにできるだけ若いうちに読んでおきたい本だと強くお勧めできる作品でした。
主人公による一人称の手記として記述されているため、登場人物の激しい心の動きに主人公のこれまた激しい心の動きが重なりあって、確かに全ての筋を理解するのは難しいでしょう。
しかし、自分のことも他人のこともなかなかわからない主人公の目線に入り込んで、「あぁ、この人はこういう人だったんだ」と登場人物を徐々に理解しつつも、たまに裏切られたりする気持ちを共有して読み進めると、登場人物が皆「生きている」ことがわかってきます。
ドストエフスキーの作品の醍醐味はやはり、登場人物が本当に「生きて、悩んでいる」ことが"理解できる"のではなく、ジワジワ自分事のように"感じられてくる"ことだと思います。
「著者に作られた人」が登場人物ならば理解することもできるでしょう。
しかし、ドストエフスキーの作品の中では「生きている人」が動き回っています。
我々が現実世界において「生きている人」たちをはじめから理解することなんてできないのと同じく、ドストエフスキー作品の登場人物とはじっくりと関わり合って、徐々に分かり合っていくような気持ちで読んでいくのがよいと思います。
生きているものは総じて難解なのです。
Posted by ブクログ
『未成年・上巻』の終盤あたりから面白さが増してきて、下巻は過去に起こった出来事や事件が、主人公・アルカージィを通しながら明るみになってゆく。
感銘したのは、アルカージィと実父ヴェルシーロフが感情をむき出しにして、じっくりと語り合うシーン。
父親をだんだんわかりはじめてきたと率直にその場で告白する息子と、父親は息子のナイーブな喚声が大好きだと言いながら、語る言葉一つ一つに深い思想がしみとおっている。
『未成年』はアルカージィの成長過程を描く手記で、回想と記述のプロセスによって自分自身を再教育している。
私が個人的に好きな登場人物、タチヤナ・パーヴロヴナ伯母さんは、主人公をバックアップするいい立役者であり、最も厳しい教育者であったように思う。
Posted by ブクログ
ドストエフスキーの小説のストーリーはいつもよめないですね。だからこそ飽きずに読んでいられる。
貴族、ヴェルシーロフと農奴の女の間に生まれた私生児、
アルカージイの手記という形でつづられる物語でした。
タイトルにもあるように、アルカージイは19歳だったかな?
未成年なんです。そんな青年の未熟さや愚かしさを隠そうともせず、
アルカージイは(物語の中での)事実を述べていきます。
あまりにもおしゃべりで、なんでもかんでもしゃべってしまうところなんかには、
辟易としてしまうような部分もありました。
また、賭博にはまったり、父の金を当てにして豪奢な生活を
おくるところなんかには、未成年らしいなぁとも思えましたし、
事件の経過を知らずに、一人相撲をとってしまっているところなどにも、
頭がこんがらかってしまいそうな主人公の混沌ぶりがうかがわれて、
そういう時代(19世紀)には、そういう成年前の男子もいたかななんて
考えさせられるところもありました。
才気走っていて、屈折させられるような子ども時代の経験があり、
なおかつ私生児という出自を足枷とさせられながらも、
どこか、この小説の言葉で言えば「善美」というものを体現したいと
思っているのか、もしくは「善美」の方向を向く心をわずかでも
持ち合わせていたのか、どちらも半々くらいあったんじゃないかなんて、
感じましたが、そういう素直さというか、純真さというかは、
読んでいていやになるまどろっこしい部分がありながらも、
最後まで読ませるこの小説の魅力のひとつだったんじゃないかな。
ちょっと考えたけれど、
時代によって、つまり文化や環境のありようによって、
純真さや素直さがどういう形を取るかというのが
違ってくるんじゃないだろうか。
性善説とか性悪説とかの話になってしまいそうですが、
そうではなくて、
悪い時代に光るもの、良い時代に光るものっていうのが
あるような気がします。
ただ、こう、歴史を学んだり、時代を超えて昔の小説なんかを
読んでみることで、価値観を学んだり感じたりして、
おおよその、それこそ子どもが絵本や童話で知るような、
基盤としての人のあり方みたいなのが見えてくるような気がします。
それが今の時代、小学校、中学校…と崩れてくるような感じもするんですけどね。
ただ、その崩れに対して気持ち悪さみたいなものを感じる人も
たくさんいると思うんです。
そういう人はこの『未成年』なんかを読んでみると面白いんじゃないかなぁ。
この作品が発表された当時は、小説の方法論なんかが新しくて、
内容も衝撃を与えたものかもしれませんが、
今となっては、まぁ、30を過ぎた男が言うことですけれど、
適度なおどろきを受けつつ読み進められる本なんです。
ぐらっと考え方が崩れ落ちるようなこともなく、
ある程度の距離感、それはこの作品が発表されてからの時間の経過
によるものですが、そういったものを保ちつつ読めます。
でも、これは個人的な感想かもしれない。
みんながそうだとは限らないでしょう。
なんやかや書きましたが、面白かったです。
ドストエフスキーの五大長編は残すところ『悪霊』のみです。
これもそのうち読みたいです。
時代を映した複雑で混雑したお話
なかなか複雑で細かいところまで理解できませんでしたが、活劇的な話の展開が、あの時代にしてあったのだとちょっと感動です。解説を読むと、パリコミューンやロシアの農奴制廃止、資本主義の台頭による貧富の格差など、恐ろしいほどの混沌があって描かれたお話なのだと思いました。
Posted by ブクログ
ドストエフスキーの本は一度読んだだけでは理解が完全ではないと言われてますが、この本は苦戦しました。
まず、登場人物が多い!
これから読む方は書き出しながら読むのをお勧めします。
内容としては、とにかくごちゃごちゃしています。
というのもヴェルシーロフが何人もの女性を抱えるのは今で言う「ゲス不倫じゃないか!」とも言えますが、調べてみるとこの頃のロシアは離婚という法律がなく、一度結婚したらずっと離婚をせず、ヴェルシーロフのようにカテリーナに結婚を申し込むような二重三重結婚はよくあることだそうで、日本人の感覚で言うとちょっと信じられないから余計に混乱してしまう理由の一つでもあると思います。
一番好きなシーンは戸籍上の父親マカール公爵とアルカージイとの会話。
マカール公爵は彼にとって有益な言葉を沢山残して、またその語口が凄く好きだなと思いました。
まだ、よくしっかり内容を掴む為に、時間を置いて再読したいと思います。
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