ドストエフスキーのレビュー一覧

  • カラマーゾフの兄弟〈2〉
    キリスト教に馴染みのない(クリスマス程度でしか関わらないからね)大多数の日本人にとっては読み進めるにあたって鬼門となる2巻。だけれどもイワンとゾシマ、どちらのエピソードもこの物語の核、芯となる重要部材なので絶対に外せない。

    「カラマーゾフの兄弟の感想を聞かせて?」と頼まれたら、8割くらいの人間がこ...続きを読む
  • カラマーゾフの兄弟〈1〉
    長い長い物語の序章。ドタバタコメディ的な魅力があるため、世間で言われてるほど読みづらくはない。

    「東大生〇〇が選んだ〜」だの「世界最高峰の〜」といったレッテルが手に取るまでの敷居を上げてしまうが、感触は「銀魂」みたいなもんだ。気軽に挑め。

    序盤だけあって人物紹介やドストおじさんの語が多くてダルい...続きを読む
  • カラマーゾフの兄弟〈3〉
    全5冊の中で最も読みやすい巻。初見の読者もここまで辿り着ければ後はイッキだと思う。ミーチャの視点になってからはドライブ感、グルーヴ感と呼ぶべきようなスピーディーな展開が待っている。不意打ちで襲いかかるシリアスな笑いに思わず噴き出すおそれがあるのでお家で読もう。
  • カラマーゾフの兄弟〈4〉
    凄まじいカタルシス。物理的にはいちばん分厚いけれど、体感時間はいちばん短いと思う。散りばめられた細かいサイドストーリーが思わぬところでつながり、異様な説得力を伴って胸に迫る。この物語に賑やかしのモブなんていないことがよくわかる。
  • カラマーゾフの兄弟〈4〉
    父親=ロシア=フョードル、と恐らくたとえが置き換えられており、かつ、フョードルは「父親ではない」として、ロシアの国としての態度を批判している構図。そもそもこの父親は生物学上の父親ではあるが、父親たる行動はとれていないため、その子供には権利と自由が生まれる、としている。

    その偽父親を国民の8割を占め...続きを読む
  • カラマーゾフの兄弟〈4〉
    ゾシマ長老とフョードルという、二人の「父」を同時に失ったアレクセイ。また、「運命と闘い、自分を救う」ために奔走するドミートリーは、ついに念願のグルーシェニカの愛を手にしたものの、「父殺し」の容疑で逮捕され、早くも別りの運命にさらされようとしていた。そして、カラマーゾフ家との紐帯ばかりか、カテリーナと...続きを読む
  • カラマーゾフの兄弟〈1〉
    3度目のトライであり、30代では初めて。

    フョードルの、道化であると分かっていながら道化を演じる部分や、ミーチェのプライドや恥からカタリーナと別れを告げたがっている部分や、イワンの世を知った様な傲慢な部分や、アリーシャのあたかも自分はすべての人に平等であるとでも言いたいかのような振る舞い、そしてそ...続きを読む
  • 罪と罰 3
    さて、この複雑で面白いたくさんの登場人物たちとラスコーリニコフというトンデモ青年の物語を読み終わって、思い上がり青年の無謀な殺人は、本人の罪だけでなく、家族はもちろん、周りの人たちをも否応なく巻き込む複雑なストーリーになるのだなあ、と。(名作なれば)世界中の読者も「これは何なのか!あれは何だったのだ...続きを読む
  • 罪と罰 2
    3回目なのにすっかり忘れているから、やっぱりおもしろいなあと読み進む。

    忘れるからと、第1部と第2部はあらすじを追って書き出したが、何のことはない『罪と罰 2』巻末の「読書ガイド」に、翻訳者の亀山先生が第1部と第2部のあらすじを完璧にまとめてくださっていたのだ。第3部と第4部は最後の『罪と罰 3』...続きを読む
  • カラマーゾフの兄弟〈1〉
    東大教授たちが新入生に進める作品ベスト1に選ばれるこの作品。宗教をテーマにしたり、家族をテーマにしたり、推理小説的であったり、大きなテーマがいくつもある。序盤では人物の説明、舞台の説明が細かく説明されているため、ストーリーが一気に動くのは中盤である。

    1巻最後のリーズからアレクセイに書かれたラブレ...続きを読む
  • 罪と罰 1
    第一部あらすじ​

    7月の太陽が照りつけるペテルブルグの街中を、元大学生ラスコーリニコフは歩いている。
    彼は殺人計画を立てていて、そのターゲット金貸し老女アリョーナの居室を下見の目的で訪れるのである。はたして実行できるのか、神経質にびくびくしている様子が描かれる。
    いよいよ金貸しアリョーナの部屋に着...続きを読む
  • 罪と罰(下)
    罪と罰があることは救いだとおもう。どうしようもない、不確かで弱い自分に罰を与えることができるから。罰なんてなくて、罪を犯すことをしないまま腐っていく弱い人間。こんなやつを救えるのは理論でも、信仰でもなく、愛のみだと思う。人は愛によって愛されることで、罪も罰も受け入れることができるのかな。
  • 罪と罰 下
    ものすごい量だったけど、読み終わったぜー。今年の冬から読み始めて、ゴールデンウイークでなんとかケリつけた。苦行だったけど、読み終わった後にはものすごい爽快感が。是非とも読むべき。色んな日本の小説やアニメを思い出しながら読んだ。宮崎駿は特にヤバい。魔女の宅急便も猫の恩返しも、もう純粋な目では見られない...続きを読む
  • カラマーゾフの兄弟〈4〉
    すごく面白いミステリだった。明瞭な真実が晒されることはないから、正確にはミステリじゃないかもしれないけど、意外な結末だった。第二部が書かれなかったのが残念でならない……
  • カラマーゾフの兄弟〈5〉エピローグ別巻
    4冊+エピローグと長い小説であったが、内容が濃く、飽きることなく読み通すことができた。
    未完の物語というのが惜しい。
  • カラマーゾフの兄弟(下)
    「カラマーゾフの兄弟を読破した側人間になりたい」というだけの極めて不純な動機で読み始めた本作だったがその初期衝動だけでこれだけの大著を読み通せるわけがない。単に面白かったから読んだ、それだけのこと。
    不死がなければ善行もない、ゾシマ長老の説法、大審問官、フョードルとドミートリィの確執、スメルジャコフ...続きを読む
  • カラマーゾフの兄弟(下)
    通勤電車でちまちまと読み進め、上巻から半年くらいかけて読み終わった。取り掛かっている時間が長かっただけに、読み終えた際の喪失感も一入だった。
    半年近くかけて読んでも面白さが持続する長編小説、なんていうのはそう多くないのではないか。小説は時間をかければかけるほど、感情の揺さぶりが希釈され、感動が小さく...続きを読む
  • カラマーゾフの兄弟〈3〉
    3巻を読み出してすぐ
    これがドストエフスキーの凄さだなと思った。
    他の古典的名著とは一線を画している。
    長老の腐臭の話だ。
    人間のこのあざとさをここで書くとは…。
    凄まじいことだ。
  • 死の家の記録
    『死の家の記録』は、1860年から1862年にかけて発表された。
    ペトラシェフスキー会のメンバーとして逮捕されたドストエフスキーは、オムスク監獄で囚人として4年間過ごした。「死の家の記録」は実質上、ドストエフスキー自身の獄中体験記録とも言える。
    あらすじ
    語り手アレクサンドル・ペトローヴィッチ・ゴリ...続きを読む
  • 罪と罰 下
    貧困と混沌とした社会で苦悩し、葛藤する人々の物語。人の心を守り正しい方向(平和、自由、人権尊重といった現代の我々が持つ普遍的な価値観)に導いてくれるのが愛情であり、信仰なのだと思った。
    ラスコーリニコフは、大きな罪を犯しながらそれを悔悟したが、周りの人たちの愛情によって救いを得ることができた。
    彼ほ...続きを読む