ドストエフスキーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
当時のロシアの社会的背景や宗教について
詳しく知らなくても
圧倒的に面白い
主人公のラスコーリニコフが
一線を越えるまで
超えてしまった直後
そしてその後
彼の心理的変遷が
たっぷりの独白と理解し難い行動と共に
凄まじい情報量と臨場感で描かれていきます
人を殺めてしまった人間に
見える風景
親しい人たちとの
関係性の変化
犯人として追い込まれていく
心理
一人の犯罪者の人生に
力ずくで引き摺り込まれていくような
没入感
何より心奪われたのは
青年の刻々と変わっていく心理
何者かになろうとして人を殺め
何者にもなれなかったラスコーリニコフ
彼自身がそのことを受け止めきれない
だから自分が犯した罪も受け入れられない
罪を犯してからの
精神的苦悩 幻聴 幻影 精神的不安定さ
彼の真っ当な理性も道徳心も
意識の底に潜み
自分ではコントロールできない何かに
支配され翻弄されていく姿は痛々しく
その姿そのものが罰を受けているように
私には見えました
でも彼にとっては
罪を犯した自分を認めた事で
本当の意味での罰が始まるのかもしれません
ラスコーリニコフにそれができたのかどうか
私には最後までわからないままでした
こんなにも深淵で複雑怪奇
理解不能な人間の心
読み終えた今
自分の心の奥にも
コントロールできない
得体の知れない何かが隠れているかもしれない
そんな事を考えていたら
すごくゾッとして
立ちすくんでしまいました -
Posted by ブクログ
ネタバレドストエフスキーの「貧しき人々」を読んでみた。「古典文学」の魅力に取りつかれつつある?(笑)。そもそも「古典文学」の定義はどうなのか?
日本文学では「近代文学」に対し、江戸以前のものを「古典文学」と呼ばれるのが一般的らしい。が、ともかく、日本に限らず、世界の「名作」と呼ばれるもの、時代を越えて、歴史に名を残した作家たちの作品と出会ってみたくなってきた(もちろん再会も)。
今回のきっかけもツヴァイクの「四人の巨匠」を起点として、3人目の巨匠ドストエフスキーを選んだが、まずはビギナーとして、氏の処女作であり、しかも輝かしいデビューを果たしたという本作を選んでみた。
最初の「訳者(安岡治子さん)まえがき」は貴重だ。この作品にまつわる背景を簡潔に説明してくださっている。
「『貧しき人々』は、一八四六年に二十四歳のドストエフスキーが発表した処女小説です。舞台はペテルブルグ、四十七歳の下級官吏マカール・ジェーヴシキンと、若くして両親を失った薄幸の娘(おそらく十八歳ぐらいの)ワルワーラ・ドブロショロワ(愛称ワーレンカ)の半年にわたる往復書簡の形で書かれています。マカールは・・・。一方ワーレンカは・・・。」と
もちろんのこの二人の主人公が貧しい生活の中でお互いの貧困生活にもがき、なかなか抜け出せないという生活が描かれているが、そのなかに、お互いに対する思いやり、あるいは愛情が描かれ、また周囲の人たちへの感情(怒りとか悲しさとか)も描かれており、総じてドスエフスキーが見事に、当時のロシア社会の様子を描き出した作品でもあるようだ。
このドストエフスキーの処女作は、世に出る前に、何度も推敲が重ねられたようで、そして本作が完成した際に、それは詩人ネクラーソフの目にとまり、さらに偉大な批評家ベリンスキーに「この小説は、今まで誰も考えたこともなかったほど鮮やかに、ロシアの生活と人物の神秘を明かしてみせた。これは、我々が手にした初めての社会小説だ」と言わしめたことからも明らかだ。
往復書簡の場面は、4月8日の春先から9月30日の秋口まで。この約半年に二人が交わした書簡が小説を構成している。こういう往復書簡形式の小説は、それまでもあり(探してみるのも興味深い・・・)、ただしこの時期ではやや時代遅れの感があったようだ。
本作だが、この半年の間、ほぼ前半からずーっと二人の貧しい生活の描写が続き、謙虚で相手を思いやる気持ち、むしろ自己犠牲に近いと思われるほどの思いやりの会話で、「貧しい生活の中にも美しい心」というものを感じつつも、「この年齢差の二人の愛情とはどういうものなのか」とか、「たった庭をはさんだだけのお隣さん同士なのに、どうして直接会わないで、書簡交換ばかりしているんだろう」とか、「貧困からの脱出は難しい反面、そういう貧困の中になんとか喜びを見出そうとしているな」とか、読者に様々な考えを想起させてくれる。当時のロシアの社会は、むしろこのような姿が典型的だったということだ。
考えてみれば、年齢差の愛情の在り方や、コミュニケーションの在り方にふと疑問を持った自分も、いま目の前の社会を見てみると、SNSを通じた様々な愛情の形があり、会社の隣の席同士でメール交換をしている実態があり、時代に応じた姿がありうるんだなとも思えた。
そして、小説は後半から終盤にかけて、一気に急展開し、たった半年の月日の流れの中で、これほどまでに変わるのかという結末へと進んでいく。人の心も、環境がかわることで影響を受け、変わってしまう現実というものがある。しかしながら、環境がかわっても変わらない「大切なもの」があるということも、この作品は教えてくれているようだ。
訳者のあとがきの中で述べられている、「身を削られるような極貧を体験する中で、二人の主人公が結局知り得たのは単純な真実である。幸せをもたらすのはお金ではない。人生に喜びを与えてくれるのは、互いの不幸を思いやり相手の幸せを心から喜ぶことのできるような隣人をもつことなのだ。貧困が広がる中で、人と人との繫がりがますます希薄になっている現代にこそ、もう一度読み直されるべき小説ではなかろうか。」との言葉は、読後の自身もそう思う。
本作は、ドスエフスキーの処女作ではあるが、作中に出てくるゴーゴリやプーシキンなどの作品のプロットは絶妙だそうで、自分のような素人には、まだまだそこまで読み取れなかった。ただ、巻末の「ドスエフスキー年譜」をみて、本作が世に出る前年に、ドストエフスキーはバルザックの本の翻訳をしていたようで、「文学の世界はつながっているんだな~」と感じた次第です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレカラマーゾフの兄弟よりも分かりやすかった。
展開が早くて咀嚼が足りない気がしたので、2回読んだ。
漫画にしてくれたお陰で短時間で読めるのはありがたい。
伝えたいテーマは本当にシンプルで、罪と罰というタイトルそのものだった。
何を罪とし、何を罰とするのか。
主張する人間の見方次第で、殺人は正義だと言えてしまうのか。
法的な罰よりも、自らの良心と誇りを傷つけた苦しみが重い罰となって人生にのしかかる。
確かに、戦争で人を殺すことは罪にならないのか?大罪だろ!ってものすごく思う。
国公認なら殺人が正当化されるなんておかしい。
どんな人でも、どんな理由があろうとも、命は奪う権利はない。
こんなに文明が進歩した現代にもまだ、武力で人をコントロールしようとする人間がいるなんて幼稚すぎる。
カラマーゾフの兄弟でも感じたけど、この時代のロシアだからなのか、人々への宗教への想いが並外れて強い。
殺伐として争いが絶えない時代には、「神」という「絶対的な救いの存在」が必要なんだろうな。
キリスト教の、罪を犯した人間であってもその罪を償うことで許されるという考え方って不思議だなと思う。
本作でも、ラスコーリニコフを愛する人達は、彼が殺人者だと知っても「罪を償う事は立派なこと」的なことを言っていた。
「一つの悪行は百の善行によって打ち消される」っていう台詞もあった(これは完全にエゴだと思うけど)。
キリスト教の教え的には、どんな人間も失敗することはあるし、1度の過ちで全てを失ってしまうのはさすがに気の毒だから、再起のチャンスを与えようということなのかな。
「故意ではない失敗」で犯してしまった罪ならわからなくもないけど…罪の程度にもよる気がする…。
個人的には、罪はどれだけ償っても一生消えないから、もしやってしまったら逃げ道ゼロでゲームオーバー、だからこそ初めから絶対に犯さないのが当然だと思うのだが。
そんな信念を持っているがゆえ、私はうっかり自分の言動で人を傷つけてしまうことですら非常に恐れている。
これはちょっとビビりすぎだとは思うんだけど……。
それにしても、ラスコーリニコフはどうしてこんなにたくさんの人に愛されているのか。
こんなに堕落して、身勝手な大義名分で人を殺しておきながら、盗品を何の役にも立てず、ビビったり開き直ったりしておかしくなって。
それでも愛してくれる人がいるって、なんて幸せな男なんだ。
なによりソーニャの慈愛がすごすぎる。
自分を助けてくれた人だからって、人殺しをここまで許し愛せるのか?
ラスコーリニコフが狂っていても、心根は純粋な人だと見抜いたからかな?
「罪」と「罰」もそうだけど、もう1つ「許し」も大きなテーマだなと思う。
たくさんのことを考えされられた作品。
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Posted by ブクログ
上下巻とようやく読み終えた
合わせて約1200頁…流石に長かったが、面白かった
長台詞の応酬と心情描写が凄まじかった
人の心理的に怒り、苦悩、哀しみ、安堵、冷静、慈しみなど様々な感情が、順々に訪れたと思ったら別の感情に流され、また繰り返し…が表現されていて非常に生々しく人の感情が日々いかに込み入っているのかを知らされた
物語的にはシンプルなはずだが、主人公ラスコーリニコフに関わる人々の関係性や心理描写も更に加わり絡み合っているせいかより複雑になっているように感じた
妙に明るく書かれてたりもするが、基本的には暗い
せめて、後味の悪い終わり方でなくて良かった…
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Posted by ブクログ
ネタバレ原作は上・中・下あるらしいのに、漫画で1冊にできちゃってるのすごい。
漫画でもちょっと難しい内容&1冊にまとめてるからか展開がめっちゃ早い。
金と女に溺れるっていうのはよくあるテーマだけど、残虐だったり強欲な人間の死を願う事は罪なのか?とか、不死・復活など、興味深い内容だった。
原作で読んだらさらにわけわからないかもしれないけど、じっくり読みといてみたい気もする。
イワンが冷徹なようで実は純粋に恋してたり、残酷なようで誰よりも良心の呵責に苦しめられたりと人間臭いところがよかった。
きっと繊細な人なんだね。
ラストはおバカなミーチャも改心しようとしてたり、クソ真面目なアリョーシャが脱走を勧めたり、それまでの彼らとイメージが変わるのもいい。
こんな暗いテーマなのに、ほんのり希望のあるエンディングで、意外と読後感が爽やかだった。