ドストエフスキーのレビュー一覧
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ドストエフスキーが実際にシベリア流刑に処されたときの体験を元に書かれたのが本書らしい。
シベリアでの囚人たちの生活が見事に書かれていてとても興味深かった。
やはり人間観察がうまい。
自分がどんな立場で、誰に愛され尊敬されているのか、誰に憎まれ嫌われているのかなどもしっかりと把握していたようだ。
笞の過酷さ、不衛生な環境など辛い面ももちろん多かったが、演劇などの催し物でみんな楽しげにしてたり、監獄だからといって一定して暗いだけではなくさまざまな人間関係や浮き沈みがあるんだなぁと知れた。
小説というより記録の色合いが強いので、難しく深読みしたりする場面が少なく、今まで読んだドストエフスキー作品 -
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ネタバレ□星5
岩波文庫と比較して、まず言葉遣いが現代寄りであるため、内容に入れる点で古典新訳の優位性が個人的に凄く魅力的に映った。
□内容・感想
正直、岩波文庫の上までは読んで、放置して古典新訳でちゃんと読もう!と思って読んでいたので大筋は知っていた。
ラスコーリニコフの狂気と人間味が混じる描写は、サイコパスとはまた異なった、理解に及ぶ範囲の心情を鋭く映し出していると感じた。
正直、登場人物と話の細かな要点等をメモしているわけではないので、見逃している点も多々あると思い感想を述べられるほどではないが、古典ならではの重々しさを漸次、感じた次第。 -
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白夜: とある内気で空想家な青年が、橋で泣いている少女に出会う。彼はすぐに彼女を愛するが、彼女には一年前に別れ、再開を誓った人がいて、その人が現れないがために泣いていたのであった。
恋の初々しさを感じるストーリー。
おかしな人間の夢: 自殺をしようとしていた男が、夢で別世界へ行き、互いに愛し合い真の幸福で満たされている人々に出会う。しかし、彼が地球から堕落を持ち込み、その世界は変わり、地球上と同じ状態になっていく。
彼は夢から醒めたとき、自分は真実を発見したと確信し、伝道を始める。己を愛するように他者を愛せよ、と。
幸福状態の描写が美しい。が、堕落を人々は喜んで受け入れていく。
「生を意識 -
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最後の一文で鳥肌が立ってしまった。
なんか、気のせいか分からないけど、3巻だけ一気にいろんな感情が押し寄せる。1巻2巻は、ラスコーリニコフの陰鬱とした心の中での戦いがメインだったのに、3巻に入ると今まで出てきた人達が伏線を回収するかのように一気に押し寄せる。
ラスコーリニコフの弱さ、独白のシーン。わかる気がする。
弱くて仕方ない自分をどうにかしたくて、それで一歩を踏み出したくて、それが殺しの方向に向いてしまった。
そしてソフィアに独白するシーン、良い。不幸な1人の女に縋り出す感じが、凄くいいし、初めは崇高な目的の元に独白していたはずなのに、自分の弱さをどんどん曝け出していくシーンが心 -
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『あれはどこで?』ラスコーリニコフは先へ歩きながら考えた。『どこで読んだんだっけ?なんでも死刑を宣告された男が、死の一時間前に言ったとか、考えたとかいうんだった。もしどこか高い岩壁の上で、それも、やっと二本の足で立てるくらいの狭い場所で、絶望と、大洋と、永遠の闇と、永遠の孤独と、永遠の嵐に囲まれて生きなければならないとしても、そして、その一アルシン四方の場所に一生涯、千年も万年も、永久に立ち続けなければならないとしても、それでも、いま死んでしまうよりは、そうやって生きた方がいい、というんだった。なんとか生きていたい、生きて、生きていたい!どんな生き方でもいいから、生きていたい!……なんという真
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死の床につくゾシマ神父の回想と垂訓が2部の最後を締めるが、少し長すぎて要点が絞り込めていない。ここでこの大長編を読むのをやめた人は多いと思う。(わたしは二人知っている。)アリョーシャが物語の前面に出てくるが、ドストエフスキー作品中最も人気のあるキャラだけあってやはり好ましい。(ただしわたしはソーニャの方が好きだ。) 天性の人徳と優しさを持ちながら、妙に現実的で、異教徒に対する偏狭さに狂信的なものを感じるときがあるところも魅力だ。
信仰の揺らぎに直面した状態で“カナの婚礼”の説話を聞きながらアリョーシャが霊感を受ける場面はこの作品中で一番渾身の場面だと思う。
ちなみに女性の美徳は男のアリョーシャ -
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1861年 40歳 第16作。
死の家の記録は、ペトラシェフスキー事件に連座して、反逆罪に問われたドストエフスキーが、1850年1月から54年1月までの4年間を囚人として、頭を半分剃られ、足枷をつけられ、強盗殺人犯や詐欺師や窃盗、農民や貴族、イスラムの異民族から異端のキリスト教徒まで、雑多な人々とともにシベリアの流刑地で過ごしたときの様子を描いた作品。
ときにはチャバネゴキブリが大量に入ったスープが出てくるような境遇の中で、社会の最低辺の人間と文字通り寝食をともにしながら行った人間観察の記録である。
ここまでのドストエフスキーの作品では、デビュー作「貧しき人々」が代表作だが、あの「貧し -
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下巻では、シュピグーリン工場の連中が起こした火事を契機に、物語が一気に加速する。
ピョートルを中心とする《五人組》と呼ばれる組織がロシアの転覆を企てている。
それを背後で動かしているのはスタヴローギンなのか?
その人間像は僕には最後までわからなかったが、彼が自殺したときの衝撃は忘れないだろうと思う。
『カラマーゾフの兄弟』よりもはるかに重く、難解な小説である。
「リャムシンさん、お願いだからやめてください、あなたががんがんやるものだから、何も聞きとれやしない」びっこの教師が言った
…
リャムシンが席を蹴った。「だいたいもう弾きたくなんかない!私はお客に来たので、ピアノをぼんぼん -
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神の存在意義からミステリーへの
前半は、(前編)最終部の「大審問官」から続く神の存在についての考察が続きます。それは、アリョーシャが慕うゾシマ長老の死によって、さらに問われることに。この部分を読み進めるうちに、遠藤周作さんの名著「沈黙」を思い浮かべました。神への信仰が深まるにつれ、本当に神は存在するのか…。永遠に解決されない課題なのでしょうか…。
一転、後半からミステリー調の流れになって、現実に引き戻されます。そして、ついにその時は訪れるのです。
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ネタバレ第2巻では、主人公・ムイシキン公爵について「黄金時代にすら聞いたこともない純真さ、無垢さを披露したかと思うと、今みたいにとてつもなく深い心理観察でもって、いきなり弓矢みたいにぷすりと人の心を射貫く」という人物評が語られる。その評は的を射ているが前巻のムイシキン像に近く、本巻でのムイシキンはそのように聖人然とした様子だけでいることはできず、懐疑や嫉妬といった人間的な感情に苦しんでおり、物語全体にも不安感が漂う。
本巻では、ムイシキンとロゴージンとの対話が印象的だった。特にロゴージンがどのようにムイシキンのことを感じているか語る場面が面白い。
「レフ、おれはな、あんたが目の前からいなくなると、と -
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神の存在と人間の心の葛藤
19世紀ロシアの文豪ドストエフスキーが描いた、神の存在とこの世に生きる人間の心の葛藤をテーマとした小説。「人を愛する心とは」といった命題について考えさせられました。まだ上巻だというのに、深い。しかし、カラマーゾフ一家の父と3兄弟を中心に語られる物語は親しみやすく、女性を巡る情景やそれに嫉妬する人間の心がわかりやすく表現されており、ドストエフスキー初心者にもすぐ入りこむことができました。次の中巻も期待大。原卓也さんの翻訳も非常に好感が持てます。素晴らしい翻訳、ありがとうございます。
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「未成年」はドストエフスキー五大長編の中でも難解、つまらないなどという噂を良く聞いていたので、読み始めるのが少し躊躇われていましたが、
これこそ躊躇わずにできるだけ若いうちに読んでおきたい本だと強くお勧めできる作品でした。
主人公による一人称の手記として記述されているため、登場人物の激しい心の動きに主人公のこれまた激しい心の動きが重なりあって、確かに全ての筋を理解するのは難しいでしょう。
しかし、自分のことも他人のこともなかなかわからない主人公の目線に入り込んで、「あぁ、この人はこういう人だったんだ」と登場人物を徐々に理解しつつも、たまに裏切られたりする気持ちを共有して読み進めると、登場人物が