ドストエフスキーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ『死の家の記録』は、1860年から1862年にかけて発表された。
ペトラシェフスキー会のメンバーとして逮捕されたドストエフスキーは、オムスク監獄で囚人として4年間過ごした。「死の家の記録」は実質上、ドストエフスキー自身の獄中体験記録とも言える。
あらすじ
語り手アレクサンドル・ペトローヴィッチ・ゴリャンチコフは妻殺しの罪で10年間の追放と強制労働との判決を受ける。彼は貴族地主出身であったことから、他囚人たち(多くが、地主に搾取される農民出身)から悪意・憎しみを大いに買い、当初は監獄生活に苦しむ。しかし次第に収容所生活や受刑仲間に対する自身の嫌悪感を克服して、それまでの信念を再構築してゆく。(Wikipediaより)
感想:
ドストファン必読書。なぜなら後年のドスト作品に登場するキャラクター達のモデルになった人々が本作に多数登場するから。獄中で仲良くなった天使のように可愛い青年アレイは『カラ兄』のアリョーシャだし、父親を殺し財産を持ち逃げした軍人はドミートリィのモデルだし、敬虔な正教徒のお爺さんはゾシマ長老のモデルに思える。また、妻殺しは本作以外だと『永遠の夫』のシナリオに重なる。ドストが獄中で培った犯罪心理学的考察は『罪と罰』、『虐げられた人々』などに反映されているのではと思えなくもない。
本作は一言で言えば獄中での人間観察記。主人公が見た、ロシア民衆達、たまにタタール人やインド方面の囚人もいる。言葉が通じないながらも心をかよわせたり、仲良くなっていく様子はちょっぴりホッコリする。が基本的には、貴族である主人公は周囲から敬遠され、いやむしろ疎まれ敵対され馬鹿にされる対象であった。ために主人公は当初獄中で、これ以上ないと言っていいほどの孤独を味わい、収監当初は獄舎に居着いている犬しか話し相手が居ないほどであった。これドストエフスキーもそうだったんかな?ドストも犬相手に話かけたりしてたのかと思うと、侘しいと同時に少しユーモラス笑
主人公が特に愛し、可愛がった美青年アレイ…これはカラマーゾフの兄弟のアリョーシャだよね!?いちいち描写が可愛いので少しキュンとなる。
一言で囚人といっても、性格から出自から何もかもが違い、個性的で、いろんな奴らがいる。陽気であったり陰気であったり。
一般に監獄生活といえば、苦しく辛く単調なものてあるように思われがちだが、本作における囚人達はそれぞれ手に職があったり、内職をして小銭を稼ぎ、稼いだ金で肉を買ったり酒を飲んだり(許可はされていないがどこかしらから持ち込んでいるのである)クリスマスには一張羅を着てご馳走を食らい、また囚人達一丸となって外部客を招き劇を演じるなど、それなりに監獄生活を謳歌しているので、
『死の家の記録』と題されるタイトルに似つかわしくないある意味楽しげな(楽しいのかわからないが)生活ぶりが描かれる。これは帝政ロシアの時代までなのか?ソ連時代はどうだったか知らないが、当時は割とおおらかだったのかなと思わないでも無かった。それでも懲罰はかなり苛烈で、笞刑(ムチ打ち刑)の描写には戦慄してしまう。死んでしまう者もいたらしく、当時の法律や刑罰の方法、施行され方に対する非難めいた記述も所々に見られ、非人道的な体制へのドストエフスキーの強い憤りが垣間見られることもあり、とても興味深かった。 -
Posted by ブクログ
貧困と混沌とした社会で苦悩し、葛藤する人々の物語。人の心を守り正しい方向(平和、自由、人権尊重といった現代の我々が持つ普遍的な価値観)に導いてくれるのが愛情であり、信仰なのだと思った。
ラスコーリニコフは、大きな罪を犯しながらそれを悔悟したが、周りの人たちの愛情によって救いを得ることができた。
彼ほどの極端な思想がなくても、我々誰しもが、心の中に善と悪の2つの心を持ち、過ちを犯し、罪の念に苦しみ、苛まれている。また、極端に親の愛情を受けなかった子供が犯罪者になる割合が高いという。
人の心を救い、正しい方向に向かわせるのは愛であり、未来への希望なんだろうと思った。
ラスコーリニコフ、ラズミーヒン、ストヴィリガイロフ、ルージン、ソーニャ、登場人物たちは皆、我々の中にもある狂気と善意を象徴的に強烈に際立たせた人々に他ならない。
その描き方、表現は世界最高峰文学と言われるに相応しい作品だった。
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娼婦を感動させたのに...
娼婦に気持ちが伝わったのは感動だ。
でも、主人公は分裂した感情を持つ。
単純でないのはつらいことだ。
だが、読者が
アンビバレンツを直視するなら
何かが見えるかもしれない。
娼婦ではないが汚れた状況下の女性である
『ブギーポップは笑わない』の織機綺、
『青春の門・筑豊篇』の牧織江、
また、同時期の作家トルストイの描く、
厳しい状況下にいた
『戦争と平和』のナターシャ
たちには、理解ある彼が現れて、
筋が単純だが、この手記では
誰も救われなくてつらい。
でも、矛盾や苦悩の中で
とにかく生きていると思う。
出世とかの土俵違いのところで
戦っている役人には
知識や思考を生かす場を与えてあげたい。
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2巻は母と妹が上京(ではないのか)してくるところからスタート。私のイチオシラズミーヒン大活躍。そして妹の婚約者ルージンの小物感もすごい(笑)今でいうモラ夫だよな。
ポルフィーリーがラスコーリニコフの論文の話をするところは手に汗握る展開!うぉぉぉっ!ってなった(笑)やっとここでラスコーリニコフがなにを考え殺害に至ったかがわかる。そう言うことかぁ。
後半は私のもう一人の推しキャラであるスヴィドリガイロフ(名前が長い!)が登場。会話が成立していない感じが好き。ソーニャと聖書の朗読シーンは聖書がイマイチわかんないからアレだったけど、ラストのポルフィーリーとの対決は面白かった!
いやぁ、盛り上がり場面が多くてページをめくる手が止まらん。わくわくしながら3巻へ。 -
Posted by ブクログ
初めてドストエフスキー作品を読むにあたって、とりあえずページ数も少ないデビュー作を選びました。
正直、度肝を抜かれました。
デビュー作にして、人生のあらゆる智慧と苦悩が散りばめられています。
登場人物による往復書簡のやり取りは見ていて微笑ましいものから悲痛なものまで実に多彩でした。
この150年で人類の生活は劇的に豊かになったのでしょうが、それは量的な意味であって質的にはどうなのかと問いかけられている気がします。
強い自意識が心の渇きを生み出す。
死刑宣告を受ける前の若きドストエフスキーのデビュー作。
本当の豊かさとは何か
忘れそうになった時に読みたい1冊です。 -
Posted by ブクログ
軽薄純情な青年アリョーシャと清純ヒステリックなナターシャの恋物語を中心とした人間ドラマ。冒頭から出てくる老人と犬(アゾルカ)がけっこう重要な役回りだったり、ネリーの意外な素性だったりと構成が巧みなように思う。語り手がドストエフスキー的な人物(デビュー作は当たってその後はうまくいっていない状態)というのも面白い。
人間に対する観察力というか洞察力が深いのか虐げる側と虐げられる側はあっても単純な善悪の話はない。公爵の考え方(ゲスなところはあるが)も現代人には同調できる面もあるのではあるまいか。どちらかというと悪意なく天使のように悪魔的所業を行うアリーシャのほうがゲス野郎な気もする。自分の知人でホストに嵌った女性がいたが状況的に似ていて時代を超えた普遍性が感じ取れる。
577ページからのナターシャの愛情に対する自己分析が印象的。
個人的には本当の主人公はネリーだと思うし、そのためか読み終わったときに何ともいえない深い余韻を覚えた。
恋愛・親子関係が上手くいっていない人にもお勧めしたい傑作。 -
Posted by ブクログ
ルーレット賭博の魅力に取り憑かれ、泥沼に嵌まっていく人たち。賭博そのものよりも、賭博に取り憑かれる心理を通じて「人間」を描く。本作からも、「全てを平準化する力としての金の威力」という、ドストエフスキーの一貫したテーマの一つを強く感じとることができる。またギャンブルに対する関わり方や、金銭的な感覚を通じて、ロシア・フランス・イギリスの国民性の違いをかなり強調して描いている。ロシア=蕩尽、フランス=収奪、イギリス=分配といったかなり大雑把な分類(イギリス推し・フランス嫌いがすごい)ではあるが、それなりに説得力はあるし、なによりそういった分類が、作中の登場人物の特徴を際立たせ、魅力的な人物として描くことに貢献しているように思う。フランス人は怒るかもしれないが。
ドストエフスキーらしさ全開の面白い小説でした。 -
Posted by ブクログ
ドストエフスキーが実際にシベリア流刑に処されたときの体験を元に書かれたのが本書らしい。
シベリアでの囚人たちの生活が見事に書かれていてとても興味深かった。
やはり人間観察がうまい。
自分がどんな立場で、誰に愛され尊敬されているのか、誰に憎まれ嫌われているのかなどもしっかりと把握していたようだ。
笞の過酷さ、不衛生な環境など辛い面ももちろん多かったが、演劇などの催し物でみんな楽しげにしてたり、監獄だからといって一定して暗いだけではなくさまざまな人間関係や浮き沈みがあるんだなぁと知れた。
小説というより記録の色合いが強いので、難しく深読みしたりする場面が少なく、今まで読んだドストエフスキー作品よりすんなり読めたようにおもう。