ドストエフスキーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「カラマーゾフの兄弟4」
「カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻」
※4.5の感想です。
これで、亀山郁夫訳のカラマーゾフの兄弟全巻を読み終えた。
長くて苦しくて楽しくて、、今まで読んだどの本にも無い読後感だった。
それはこれが、未完の大作であるからということも大きいのかと思う。
ドストエフスキーは、このエピローグまでを第一の小説とし、その13年後を描く第二の小説を念頭に置いて書いていたが、亡くなってしまったから。
にもかかわらず、この完結性の高さという、他に比べようがない(少なくとも自分が読んだ中では。)「人類の奇跡のような」作品。←訳者、亀山郁夫氏の言葉
まずは、第4巻から。
第4巻は、第10編「少年たち」という話から始まるのだけど、これが個人的に素晴らしく良くて、ドストエフスキーの、反抗的でありながらも、少年のもつ純真さや繊細さ、故の暴力性を台詞回しや出来事によって描き切る才に驚愕した。特に、後々まで重要になるコーリャという少年の描写が本当に良くて、、どことなく、スティーブン・ミルハウザーの「エドウィン・マルハウス」の世界観を思い出させた。(これも傑作中の傑作)
イワンの内面が徐々に浮かび上がる中盤、スメルジャコフとの対話のシーンは不穏で不気味、グロテスクで、なんだか自分自身の内面を暴かれているようでどきどきした。
その流れからのミーチャの裁判。
世の中の残酷な事件や、戦争、虐待。
「父殺し」という作中での直接的表現にそれらをあてはめてみると、更に先ほどのイワンの内面描写が他人事ではなく思えて今度はゾッとするのである。
そしてそれらを見つめる「わたし」の俯瞰的目線、それによって台詞の意味が補完される。
5巻にある訳者による解題での「ポリフォニー(多声)性」という手法の巧みさ!読み手により如何様にも読めるという面白味に加えて、最大の主題「神はあるのか」についてもまた、登場人物の言動や行動や、それに伴う結果のそれぞれの違いによって複雑に絡み合って、決して白か黒かでは分つことができない。
その「複雑さ」がリアルで惹きつけられる要因のひとつなのかもしれない。
またしても「二項対立の脱構築」的思考だなと、、
第5巻エピローグは、僅か63ページ。
これで本編自体は完結する。
最後のアリョーシャのスピーチを読んだとき、本当に自然に、ハラハラ涙が出て、心が動くということは多分これのことなんだなと実感した。
これまで積み上げてきた長い物語世界の、一つの側面であり大きな主題でもある、先述した「神はあるか」についての、人間としての最適解というか、本当は全ての人間がこうありたいと願っていると「思いたい」と思える、素晴らしいものだった。
143年前のロシア古典文学が、今もずっと読み継がれている理由が身に染みてよくわかった。
訳者違いで、また何度も読みたい。
素晴らしい読書体験だった。 -
Posted by ブクログ
「カラマーゾフの兄弟4」
「カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻」
※4.5の感想です
これで、亀山郁夫訳のカラマーゾフの兄弟全巻を読み終えた。
長くて苦しくて楽しくて、、今まで読んだどの本にも無い読後感だった。
それはこれが、未完の大作であるからということも大きいのかと思う。
ドストエフスキーは、このエピローグまでを第一の小説とし、その13年後を描く第二の小説を念頭に置いて書いていたが、亡くなってしまったから。
にもかかわらず、この完結性の高さという、他に比べようがない(少なくとも自分が読んだ中では。)「人類の奇跡のような」作品。←訳者、亀山郁夫氏の言葉
まずは、第4巻から。
第4巻は、第10編「少年たち」という話から始まるのだけど、これが個人的に素晴らしく良くて、ドストエフスキーの、反抗的でありながらも、少年のもつ純真さや繊細さ、故の暴力性を台詞回しや出来事によって描き切る才に驚愕した。特に、後々まで重要になるコーリャという少年の描写が本当に良くて、、どことなく、スティーブン・ミルハウザーの「エドウィン・マルハウス」の世界観を思い出させた。(これも傑作中の傑作)
イワンの内面が徐々に浮かび上がる中盤、スメルジャコフとの対話のシーンは不穏で不気味、グロテスクで、なんだか自分自身の内面を暴かれているようでどきどきした。
その流れからのミーチャの裁判。
世の中の残酷な事件や、戦争、虐待。
「父殺し」という作中での直接的表現にそれらをあてはめてみると、更に先ほどのイワンの内面描写が他人事ではなく思えて今度はゾッとするのである。
そしてそれらを見つめる「わたし」の俯瞰的目線、それによって台詞の意味が補完される。
5巻にある訳者による解題での「ポリフォニー(多声)性」という手法の巧みさ!読み手により如何様にも読めるという面白味に加えて、最大の主題「神はあるのか」についてもまた、登場人物の言動や行動や、それに伴う結果のそれぞれの違いによって複雑に絡み合って、決して白か黒かでは分つことができない。
その「複雑さ」がリアルで惹きつけられる要因のひとつなのかもしれない。
またしても「二項対立の脱構築」的思考だなと、、
第5巻エピローグは、僅か63ページ。
これで本編自体は完結する。
最後のアリョーシャのスピーチを読んだとき、本当に自然に、ハラハラ涙が出て、心が動くということは多分これのことなんだなと実感した。
これまで積み上げてきた長い物語世界の、一つの側面であり大きな主題でもある、先述した「神はあるか」についての、人間としての最適解というか、本当は全ての人間がこうありたいと願っていると「思いたい」と思える、素晴らしいものだった。
143年前のロシア古典文学が、今もずっと読み継がれている理由が身に染みてよくわかった。
訳者違いで、また何度も読みたい。
素晴らしい読書体験だった。 -
Posted by ブクログ
ロシア文学のイメージは、なんだか暗そうで苦しそうと自分勝手に思っていた。そして、その勝手なイメージから、ロシア文学を避けていたのだが、この本を読んで全く違っていたことがわかった。
ここではドストエフスキーが4年間シベリア流刑での体験をもとに、監獄での暮らしや人々の様子などが描かれている。
日々の様子をつづったものや人物に焦点を当てたもの、イベント的に起きたことなどについて正確に緻密に描かれている。監獄という特殊性から興味が湧く部分もあるが、多くは普通の人物がどのように生活しているかを見るのと変わらないのかもしれない。
表現が非常にリアリスティックで、それでいて愛情に満ちた文だった。人間観察が緻密であり、その様子から考えられる心情や、監獄であったできごとを描いているが、決してドラマチックではない。また、貴族と民衆の溶け合わないことを実に実感をもって、そしてそれを胸苦しい思いで描いてもいる。
作家が人間に対して愛情をもち、生き生きとした人物を描く作家として確立するにはこのような人間観察をできるかどうかにかかっているのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
1巻と2巻は2週間くらいかけて何とか読み終えたけど、この3巻は朝から晩までかけて1日で読み終えてしまった。
今さっき読み終え、まだ虚無感が残っている。今まで読んだ本の中でトップクラスに心にズシンと来る1冊だった。
色んな知識人がこの作品をべた褒めしてるから、そのバイアスがかかってるとは思うけど。
登場人物が全員好きだった。
ルージンも勿論悪役で性格も悪いんだろうけど、動機はどうであれ、主人公と揉めなければいい人で終わりそう。現実世界でいい人だと思われてる人でも、ルージンみたいな人沢山いるんだろうな。心では相手を見下してる人。
スヴィドリガイロフもいいキャラしてた。突然現れた謎の人物。心の魂胆を見抜かれ主人公と対立するけど、最終的にはドゥーニャに拒絶され自殺。小さい子を助けたりしてる描写から、ルージンみたいな心からの悪人では無いんだろうね。
本当に妻を毒殺したのかどうか、彼の自殺に至るまで心理プロセスなど、まだまだ読み取れてない部分も沢山あるので、時間と気力があればまた考察してみたい。多分しないと思うけど。
結局ナポレオン主義は間違ってたのかな?それとも間違ってる間違ってないとかの次元の問題じゃないのかな?
エピローグの疫病の話から読み取れるように、みんなが皆ラスコーリニコフみたいな考えになったら世界は崩壊する。
選ばれた人間というものが神様によって明確に教えられていれば、このシステムは正しく働く。
でも功利主義的な考えが常に正しいとは限らないし難しいね。
ラスコーリニコフが警察署で自首するシーンが自分の中でピークだったから、エピローグは個人的に蛇足だった気がする。自首するシーンで心臓バクバクだったのに、心が安らかになっちゃった。
まあ主人公の再生のの気持ちが見れたのは嬉しいし、あった方が作品として綺麗に終わるのは分かるけど。
他にとカテリーナさんの発狂シーンや、ラスコーリニコフの「協同組合」の看板のシーン等々お気に入りのシーンが沢山ある。
付箋を貼っておいたのでそこだけでもまた読み直したい。 -
Posted by ブクログ
最高だった。
人生のうちで何度でも読み返したくなるであろう一冊。
正直作者が描いた世界が深すぎて、一読では理解しきれてない部分、把握しきれてない部分はあると思うんだけどそれでも十分面白かった。
なにより亀山郁夫さんの訳が素晴らしい。
ここまで読み切れたのも読みやすい訳があったからこそだと思う。この「罪と罰」は1ページ1ページがドラマの連続で、どのシーンも本当にすごいんだけど、一番忘れられないのがラスコリーニコフが自首する前にドゥーニャとソーニャに向かって自分の思いをぶちまけるシーン。
「血なんてみんな流してるだろ。この世界じゃ、滝みたいに流されているだろ、これまでだってずっと流されてきただろ、シャンパンみたいに流されてきただろ。(中略)このおれだって、人々のためになることをしたかったんだし、何百、何千という善を成し得たかもしれないんだ、あのひとつの愚行な行為の代わりにさ」
一人の人間が逡巡の末に罪を犯し、自らの罪を正当化する姿勢などを見せながらも、結局は自首し、(法律面と精神面での)罰を受けていく、という過程を見る中で本当にさまざまなことを考えさせられた。人を殺すという罪はどれくらいのものなのか。戦争では人を殺すということが正当化され、多く殺したものは英雄視されるのに、なぜ一人殺すと犯罪者として裁かれなければいけないのか。そう簡単に答えが導き出せる問いではないし、この本の中にわかりやすくその答えが提示されているわけでもない。でもその問いを、ここまで素晴らしく、ある意味美しく、ラスコリーニコフの物語に乗せて描き出せるドストエフスキーは本当にすごい。また必ず読み直したい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ就活をしながらダラダラと読み終わった。
あまり、タイミングが良くなかったかもしれない。
罪を犯したが未だ罰せられずにいる主人公は、罪が露見する恐怖や、後ろめたさから生じる孤独感に苛まれる。
彼が許されざる犯罪を行った理由は、自分や家族が置かれた環境を変えること、そして彼の理論を実証することにあった。
極貧の中で精神を病み、流行思想にかぶれた彼はついに強盗殺人を実行し、偶然にも成功させてしまう。
彼は罪を贖うことで恐怖や孤独から解放されたいと感じ、自分が犯人であることを仄めかすような行動を取り始める。
しかし、彼は自分の理論の正しさを示すため、そして「人間」であろうとするために何度もその欲求に抗う。
かつて優秀な学生だった彼は、ナポレオンのように非凡な「人間」は、全人類の利益のために「しらみ」たちを殺しても、良心の呵責を感じない権利を持つと考えていたのだった。
だが、彼の目論見は外れた。
罪を犯してから少し経った頃、彼は自首をする。
牢獄の中で彼は、良心の壁を踏み越えることができなかったことや、自殺よりも自首を選んだことに苦しめられる。
生きながらえたところで、未だ理論を諦め切れない彼にとって、殺人は罪ではなく一種の試みであり、優秀で傲慢な彼は今後の「しらみ」の人生に意味を見出すことはまだできなかった。
しかし、、、
ロシア文学は長くて退屈なイメージがあったが、なかなか面白かった。
今後もドストエフスキーは読み進めていきたいと思う。
贖罪は思考の産物ではなく愛から生まれてくる。
人生に意味をもたらすものは無上の愛である。
人生に意味を見出すことで人は罪を悔いることができるのだ。 -
Posted by ブクログ
面白かったなー!
分からないところもあった
率直に言ってたくさんあった
でも面白かった、かなり面白かった
どうせ難しいだろう、理解できないだろうという思い込みで世界を閉じずに、これからも色んな古典に挑戦していきたいと思いました
改めて目を見開かせられた転機の一冊になりそうですね
日本の古典も読み直したいと思いました
夏目漱石とかね
さてドストエフスキーに話しを戻して自分なりの解釈というかそんなんを書き綴ってみたいと思います
なんかてんで見当違いなことを言うかもしれませんが、多くの研究がされつくしているこの名著に果敢に挑むど素人の姿勢を評価してほしい
今は甘やかす時代なのです
またこの先幾ばくかのネタバレも含まれておりますが、この世界的古典の名作にネタバレもないよなという思いからこのまま行きます
やはり『罪と罰』ですから、何が罪で何が罰かってところだと思うんですね
まずは裏の主人公とも言えるスヴィドリガイロフですが、なんとなく妖しい、女たらしで主人公の妹ドゥーニャにしつこくつきまとい、妻を殺した疑われていますが、実はこの人確定的な「罪」は 何ひとつ語られていないんですね
しかもピストル自殺の直前には娼婦のソーニャとみなしごとなったソーニャの妹弟にお金を渡すという善行も行っており、ラスコーリニコフの「罪」についても結局告発せずに死んでいきます
実は善人だったのでは?なんて陳腐なことを言いたいのではありません
めっちゃ悪人だったのだと思います
事実偶然知ったラスコーリニコフの「罪」を利用してドゥーニャを脅したりしてますからね
だけど悪人であることを自覚しつつも、そんな自分に 嫌気がさしていたんじゃないでしょうか
生まれ変わりたいと心のどこかで思っているのに自分ではどうしようもなく同じことを繰り返してしまう
どうしていいか分からなくなったときに純潔なドゥーニャと結ばれることが自分の「再生」の道と信じたのではないでしょうか
そしてドゥーニャに はっきりと拒絶されたことで自分の思う「再生」の道が絶たれたと絶望したのではないか
そして自分の生き方に「罰」を与えたのではないでしょうか
そして主人公ラスコーリニコフです
物語の最後まで定まらず、思考も評価も大きく振れまくります
彼の「罪」とは何だったのでしょうか
もちろん2人の女性を非常に身勝手な理由で殺害したことは大きな「罪」ですが、ドストエフスキーが彼に背負わせたかった「罪」はそれだけだったのでしょうか?
自分は 「人間」そのものを代表させたかったのではないかと思うのです
人間というのはとても謎の多い種だと思うんですよね
人間の持つ身勝手さというか、揺れまくる思考とか、あととんでもなく残酷なことを正義と信じこんで実行しちゃうところとか
もういろんな、なんでそうなるの?って同じ種でもてんで分からんし、言ったら自分のこともよく分からんし
人の持つ罪深さというか、不安定さみたいなんをラスコーリニコフに背負わせたかったんかなぁと思いました
では、「罰」は?
それはもうずばり「愛」だと思うんですよね
「本当の愛を知る」瞬間が「罪」を犯した後のラスコーリニコフの身に訪れることは、とんでもなく残酷な「罰」だと思うのです
このことが真の意味での「罰」に気付き、自身がいかに身勝手な存在だったかを突きつけられ、そこに「後悔」が生まれます
なぜあんなことをしてしまったのか、あんなことさえしなければもっと彼女と一緒にいられたのに、彼女を苦しめることもなかったのにと
そして「再生」を目指す彼の新たな人生は、これまでの反省もせず、まわりを見下したままの人生に比べればそうとう苦難な道のりになるはずです
今までの自分を全否定するところから始めねばなりません
でもその道を進んだ先にしかソーニャと添い遂げる未来はないのです
それに気付くことが「罰」なのですきっと
やっぱ愛だぜ -
Posted by ブクログ
ネタバレオーディオブックで聴きました。以前、罪と罰を読んだ時は、登場人物の呼び方が複数あり分かりにくかった。そのため、登場人物やあらすじを見ながら聞きました。
1章1 老婆からお金を借りる。
ラスコーニコフは、ある計画実行のために老婆からお金を借りる。その後、近くの汚い居酒屋に初めて行き、ビールを飲んで落ち着く。
1章2 ソーニャの父マルメラードフに絡まれる
酔っ払いの話がダラダラと続くのだか、思わず笑ってしまう。
「私が酒を飲むのは、この酒の中に苦しみを、共感を見出すためなんです。苦しみたいから飲むんです。」・・・よくわからない。
酔っ払いのマルメラードフが家に帰り、妻に髪をつかみ部屋に引っ張り込まれたとき、マルメラードフは額を床にぶつけながら、「これが快感なんです」と言っている。なんのコントかと思ってしまった。
1章3 家に帰る。家賃を払わないため、大家さんが警察に相談していることを知る。母からの手紙。
2章1 ドイツ訛りの達者なロシア語の人の会話も笑える。
ラズミーヒンの翻訳の仕事の会話が印象に残る。ドイツ語は分からないから、自分で作文してる。その方がかえって良くなってると慰めてるが、やっぱり悪くなってるかも笑 -
Posted by ブクログ
なにこれ。すごい。面白すぎる。
ドストエフスキーは、高校時代にカラマーゾフの兄弟を少し齧ったっきり。
難解な話の展開(と、当時は感じた)と登場人物の多さに挫折したのを覚えている。
そこからはドストエフスキー文学とはちょっと気まずくて(?)、正直言って避けてた。
でも、今回たまたまこの「罪と罰」を手に取って読んでみたら面白い面白い。
意味のわからない展開もあるし、相変わらず名前も覚えられないのに、なんでこんなにドストエフスキーを面白く感じるんだろう。
私は今結構病んでいて、そんな闇の深い自分の心にとって、この「罪と罰」が多分すごくいい鎮痛剤のような本だったんだと思う。
多分、高校時代に読んでいたら「なんだこれ」で終わっていたに違いない。
よくわからなかったなあと思う人はぜひ人生に絶望しきっちゃってる時に再読してみて欲しいです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ狂乱と喧騒の第3巻。
途中まで、ミーチャの魅力がまったくわからん……と思いつつ読んでました。
思い込みで突っ走るし、浪費家でお金にだらしがないし。
なんで、作者から「高潔な」と人物描写されるのか、他の登場人物からなんだかんだ言いつつ好意をもたれているのか、理解できん、と。
でも、終盤で彼が絞り出した
「親父の血にかんして、ぼくは無実です! 罰を受け入れるのは、親父を殺したからじゃない、殺したいと思ったから、ひょっとするとじっさいに殺しかねなかったから、なんです······」
というセリフで、今までの彼の支離滅裂な行動も、性格の甘い部分も、ぜんぶが反転して人間らしく思えてくる、見事さよ!
そしてこれは、1巻でスメルジャコフが展開した、キリスト教徒が受ける迫害と改宗の問題への「屁理屈」(と、私は思ってる)に対する、痛烈なドストエフスキーの答えになっているのではないかな。
宿屋で繰り広げられる狂気じみたオールの描写に圧倒されつつ、前半で提示された信仰に関する問いが見事に回収されていく手腕に驚くしかなかった本巻。
改めて作品のスケールの壮大さに圧倒されて、まだほんのり残っていたお正月気分も一気に吹き飛びましたとさ。
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Posted by ブクログ
ずっと長いこと名作と呼ばれている作品を読まなきゃと思いつつも、放置してしまっている。年末の休みを利用して罪と罰を読破しようと思った。
のだけれど、思ったよりも長かった。
とにかく長かった。ずっと何ページにもわたって一人の人が喋り続けている。わりと重大なことかと思ったらそうでもなかったりする。とにかく描写が細かく、長く感じた。読んでて辛い気持ちになるエピソードもあって(マルメラードフ関連のエピソードが辛すぎた…)なかなか思ったよりスピードが出なかった。
以下、章ごとのメモ。
・第1篇〜第2篇
うんざりするような暗澹たる描写が続く。
とくに自分をうんざりさせたのは、弱った牝馬を群衆たちが寄ってたかって蹴り殺す場面だった。なんだってこんな酷い場面を描写したのだろうと暗い気持ちになった。
そもそも、好感の持てる人物はここまでで出てこなく、人間の嫌な面ばかり描写され、そして、一人一人の話が長い。大して興味が持てないか、もしくは聞きたくもない話をずっと聞かされ続けられている、そんな気分になってくる。そういうことって現実でもある。
・第3篇~第4篇
ラスコーリニコフの母と妹、妹の婚約者がペテルブルクに到着し、さらに友人たちも現れて、役者が揃ってくる。が、やはり彼らのエピソードに興味が持てない。興味が持てず、なかなか読むスピードが上がらず、集中力が保たなかった。
とにかく長い。主人公の妹のドゥーニャの結婚のエピソードが差し挟まれ、その間に人事不省になってふらふら出掛けたり、ヒロインであるソーニャと出会ったりして、個人的に好感の持てる人物でもなかったので、ひたすら退屈だった。
わりとすぐに精神状態が悪化してふらふらあっちに行ったりこっちに行ったりする。
まったく好感の持てない人物ばかり出てくるドストエフスキーのなかでも、ラズーミヒンだけはいい奴で癒やしになっている。いつも主人公を気にかけて、色々と世話を焼いてくれる。青春モノの作品にありがちな気のいい友人ポジションだ。
「ナポレオンのような非凡な人間は人を殺しても咎められないので自分だって人を殺したっていいじゃないか」というのが、主人公の軸となる主張なのだけれど、、、その一方で、我が国では前首相が殺され、その結果としてこれまで隠されていたことが明らかになった。世界に目を向けてみれば、それこそロシアとウクライナが戦争をしている。たくさんの死がそこにはある。人殺しそれ自体は良くないことだが、そうでもしないと動かない物事であったり、自分自身や家族、大切な人を守るために人殺しをしなければならない人もいたりする。
そしてこんなことも思い出した。宮台真司を襲った犯人も、今こうして、この物語の主人公のように怯えて暮らしていたりするのだろうか。
・第5~6篇
とくに興味が持てずにここまでやってきてしまったが、第6篇のスヴィドリガイロフとドゥーニャの対決のシーンがすごく面白くてびっくりした。ここだけ別の小説を読んでいるのではないかと思うほどだった。このシーンのためにスヴィドリガイロフがとても好きな悪役となった。悪いこともしているが、それでも、人を助けるような善きこともし、そして、非業な死を遂げる。好き。
このシーンが読めただけでもこの小説を読んだ価値があった気がする。
・まとめ
ずっと「退屈」だとか「興味が持てない」みたいなことを書いてしまったが、結果としては読んでよかったし、満足感もあった。
かつて、「カラマーゾフの兄弟」を読んだことがあるのだけれど、その際は、文字が滑ってしまって「ただ目を通してページをめくった」だけだったのだけれど、今回の罪と罰は、話の筋が理解できたし、それなりに楽しく読むことができた。
確かに人間の描写はすごく上手かった。キャラクター描写としても上手いし、そこにホンモノの人間らしさも表現されている。会話劇だけで盛り上がりを見せるのもすごく上手かった。
これだけ長い作品なので陰鬱としたエピソードもあるし、笑えるようなエピソードもあったり、笑ってたら大変なことになるエピソードもあったり、起伏があって面白かった。
確かに文学史に残る名作だろうし、影響を受けるアーティストの多さも分かった気がした。
長いから大変ではあるけど、青春モノとして読むと一級品であることは間違いない。読み通すことができてよかった。
冬休み。
罪と罰を読破した。(恥ずかしながらずっと未読だった…)
とにかく思っていたよりも長くて冬休み中ずっとこれにかかりっきりになってしまった…
長い小説だったけど、青春小説として、とても面白かった。
(カラマーゾフの兄弟はずっと意味が分からなかったけど罪と罰は、それより遥かに分かりやすかった)