ドストエフスキーのレビュー一覧

  • 罪と罰 3
    言うまでもないが、人類史上最高の小説のひとつ。
    新訳なので人名がごっちゃにならず読みやすかった。海外文学が苦手な自分でも読みだすと止まらなかった。
    「ひとをなぜ殺してはいけないか」という答えがここに示されている。人間の良心に訴える名作。人生に迷ったときにもういちど読み直してみたい。
  • カラマーゾフの兄弟〈4〉
    4巻まで来て達成感を覚えつつある。

    クライマックスの緊張感に圧倒されつつ、第10編のコーリャとアリョーシャの問答、11編のイワンとスメルジャコフとの対話が印象的。

    スメルジャコフってよくないね、と思った。
  • 罪と罰 下
    19世紀ロシアの小説家ドストエフスキー(1821-1881)後期の長編小説、1866年。

    一般的には、実存思想の先駆とも云われ、思想小説と見做される。しかし、主人公ラスコーリニコフが殺人に到るまでの心理描写や、予審判事ポルフィーリイとの論争場面、さらに終盤のスヴィドリガイロフとドゥーニャとの緊迫し...続きを読む
  • 悪霊 3
     もう一度読んでみたい。 一度読んだだけでは、作者が意図することを読み取る力が足りない。訳者あとがきを読んで初めて、あーそういうことだったかと少しわかった気になる。だからもう一度通して読んでみたい。
  • 悪霊 1
    ドストエフスキー。物語が動き出すと格段に引き込まれるのだが、前半の人物描写の部分(大いに伏線があるのだ)が、なかなか退屈で読み進まない。そこを超えると面白くなってくる。
  • 虐げられた人びと
    不幸な面は多々あったけど、後味が悪いという感じではない。
    タイトルからして嫌な終わり方で全部が終わってしまうのではと思ったが、そうじゃなかった。

    お前さえいなければ、何人もが救われただろう。そんな奴が出てくる。

    大人は頑固者だ。愛と憎しみは紙一重。

    繰り返される悲劇を子供がとめる。

    悪魔から...続きを読む
  • 死の家の記録
    トルストイも絶賛した本書。
    だからというわけじゃないけど、これは万人受けしやすい内容で、私ももれなく、いい作品だと思った。

    他のドストエフスキーの作品は癖があるので、かなり好き嫌いが分かれそうだけど(私は好きな方)、この作品は誰でもとっつきやすいのではないかと思う。

    シベリアに流刑されたドスト...続きを読む
  • 罪と罰 下
    後半のスピード感はすごい。登場人物の性格の複雑さといい、展開の予測できなさといい、意外と普通に読んでも楽しめるレベルではないか。初めてドストエフスキーで完読できた。
  • カラマーゾフの兄弟(中)
    (01)
    解法をほぼ無限に有する傑作なテクストで、テーマとモチーフ、ドラマとロマンス、エピソードとアレゴリー、ミステリーとヒストリー、コミカルとシニカル、どうつまんでもおいしいのが本書である。
    さしあたり人物の魅力ということなら、兄弟の主人公たちはともかく、いつも泣いたりへらついたりしているけれど漢...続きを読む
  • カラマーゾフの兄弟〈4〉
    第3部で展開されたストーリーが第4部では総括される形になった。純文学として読み始めたがいつの間にか犯人は誰なのか、と考えている自分に気づき、いつの間にかミステリーの世界に迷い込んだ感覚がした。とは言ってもやはり純文学。カラマーゾフの兄弟が示す命題は読者の数々だけあると言っても過言ではないほど考えさせ...続きを読む
  • カラマーゾフの兄弟〈3〉
    第1部、第2部に渡って神はいるか、いないか、などを挙げ、宗教面を引き合いに出したりアリョーシャを通して相関関係を我々読者が(カテリーナの件についてを除いて)説明的に理解していたったのは全てこの第3部のためにあったと感じた。 また、第3部まではアリョーシャが軸となっていたわけだがゾシマ長老の件があっ...続きを読む
  • 死の家の記録
    囚人でもクリスマスには神聖な気持ちになるし年に一度の特別な日を子供のようにはしゃいでいるのがなんか泣ける。超閉鎖空間で暗くて自由が無い生活、独自の雰囲気と慣習、でも強い個性のさまざまな囚人たち…面白い。囚人病院で足枷をしたまま死んでいった人が印象的、囚人達の殺人の思い出話や身の上話が沢山、足枷を取っ...続きを読む
  • カラマーゾフの兄弟〈5〉エピローグ別巻
    エピローグ自体は静かなもので、第2小説、つまり、アリョーシャがより主人公として動く物語があってこそ完結することを伺わせた。

    解題で、ミーチャ、イワン、アリョーシャの特徴、性格があらためて指摘され、多くの気づきがあった。これで☆5つ。
  • カラマーゾフの兄弟〈4〉
    検事と弁護士のやりとりは息が詰まるような切迫感。結論は出ないのが文学か。スメルジャコフを含む4兄弟が織りなす悲劇。女性の描き方の見事さ。父親という存在の重要性を描いたのは、母性神話がある現代ではかえって新鮮。
  • カラマーゾフの兄弟〈2〉
    イワンの懐疑(子どもへの虐待と大審問官)とゾシマ長老の神への信仰。この二つが織りなすコントラストとその間で揺れるアリョーシャ。

    それにしても読みやすい。
  • 未成年(下)
    ドストエフスキーの中で、頭一つ抜けて面白い。紙とインキでこんなことができるともっと早く知っていたら、物理をやってはいなかったに違いない。

    繋がりがあるようでばらばらな話(逆のパターンは世に溢れている)が、未成年の思想を糊付けする、そんな、ばらばら感の点で最もドストエフスキーらしい。

    物語の中に、...続きを読む
  • 未成年(下)
    養父マカールが亡くなってからの終盤の実父ヴェルシーロフの独白に近い対話が迫真。写真について、神について、恋愛における慰みでなく愛について。

    白眉はヴェルシーロフが聖像を叩き壊す場面。その後も分裂する人間像が余すところなく描かれる。

    タチヤナ・パーヴロヴナの人の良さも少ない叙述ながら、光っていた。...続きを読む
  • 未成年(上)
    自殺、妊娠。腹の探り合い。実父(ヴェルシーロフ)に子(アルカージィ)はあるときは不信、あるときは絶対の崇拝と激しく揺れ動く感情。祝宴性が全開だ。上巻終盤に出てくる親子の対決?の場面は見物だ。キーアイテムは手紙。ロシアにおけるサモワールの意義の描写もなにげなくいい。
  • 罪と罰 下
    いよいよ完結の『罪と罰』
    自らの罪と向き合い翻弄するラスコーニコフの絶望的だが、希望のある終末へと向かっていく。はっきり言ってしっかりと読み込めているとは思えない。ただなんというか、意識の大きなうねりに身をゆだねていくうちに、様々な感情のぶつかり、葛藤を感じ、その波にのまれていった読書体験。最後ラス...続きを読む
  • 悪霊(下)
    スタヴローギンなしには、物語の精彩を欠いていただろう。そこに精神のもがきがあるからだ。あとは俗悪で、または、単に俗っぽさがあるのみだ。ステパンの最後の独白も良かった。良心があった。別立てにされたスタヴローギンの告白はやはり本編に含めるべきだろう。でないと、最後の彼の自殺が物語の救いにならなくなる。色...続きを読む